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2026年09月07日

【マーケティング】『良い売上、悪い売上 「利益」を最大化し持続させるマーケティングの根幹』西口一希


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良い売上、悪い売上 「利益」を最大化し持続させるマーケティングの根幹(MarkeZine BOOKS)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本高価格帯本セール」の中でも、個人的に読んでみたかったマーケティング本。

いわゆる広い意味でのマーケティング的な要素を持つ作品は、当ブログでも結構取り上げてきましたが、ここまで骨太なマーケティング本は、初めてかもしれません。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
その売上は利益を生まない。今の日本に問う「売上至上主義の罠」
なぜマーケティングは信頼されないのか?
AIマーケティングが台頭する時代、10年後も生き残るマーケターになるための必読書
P&G出身の著者が、35年の経験と430社超(2025年7月時点)の経営相談から開発・実践した「顧客起点マーケティング」の真髄、ついに書籍化。

中古があまり値下がりしていませんから、このKindle版が900円弱お得な計算です!






【ポイント】

■1.売上には2つの種類がある
 本書で提案する「良い売上」とは、端的に言うと「継続的に利益に貢献する売上」です。「悪い売上」は逆に「一過性で利益に貢献しない売上」です。言い換えると、1回しか購入や利用をせずに離反する顧客からいただく売上です。同じ1万円の売上でも、利益は大きく変わります。継続的に良い売上を積み上げている事業は、短期的に利益の上下があっても中長期的に利益率と利益額全体が成長しますが、一方で悪い売上を積み上げてしまった事業は、短期的には好調に見えてもいつまでも初期投資を回収できず、売上が伸びても利益率が下がり続けて、投資の継続が難しくなり程なく衰退します。


■2.継続顧客候補を呼び込む
 新規顧客は利益貢献が低く、継続しなければ、その顧客からの売上は悪い売上になってしまいます。既存顧客は継続するほど利益貢献が高く、良い売上が積み上がります。ですが重要なのは、新規顧客=悪い、という二者択一的な捉え方ではなく、「継続につながりやすい新規顧客を集める」ことであり、「継続していただけるようにプロダクトを磨く」ことです。既存顧客は永遠ではなく、必ず一定数が離反していくため、常に新たな「継続顧客�犖�補�瓠廚鮓討唸�まないといけません。
 どの顧客も最初は新規顧客なわけですが、その時点で今後も継続購入して継続顧客になるかどうか、企業はあまり考えません。ただ、例えば先の鉄板焼き店における子連れ顧客のように、実際の継続顧客の特徴を見ることで、継続顧客になりやすい顧客の特徴をある程度つかむことはできますし、その分析ができれば新規顧客の獲得時点で戦略的に集めることも可能です。


■3.売上増ばかり追うと「悪い売上」が積み上がる
 初回購入時点で利益は生まれず、その顧客の購入が継続して利益を生み出すようになるかはわかりません。したがって短期的には売上が重要なKPIとならざるを得ず、売上が上がれば見た目ではビジネスが好調のように見えるでしょう。しかし過度なプロモーションなどで新規顧客の拡大を急ぎ、そのプロダクトに価値を見いだす顧客ではない人まで獲得したりしてしまうと、残存率は低く継続購入につながらず利益は生まれません。CRMやカスタマーサクセスでは対応が難しいのです。さらに言うと、プロダクト自体が価値を生み出すような便益と独自性に乏しいのに強引に売ってしまうと、当然ながら「悪い売上」にしかなりません。
 初回購入し、使用体験したあとに「もう一度、買いたい」と「価値の再評価」を超えてリピート購入するかどうかが、良い売上と悪い売上の分かれ道です。しかし、新規獲得に注力していると、長期的な売上継続性や利益の積み上がりがどうなるかは視界に入らないのです。


■4.パレートの法則の罠─利益貢献しない顧客にコストを割いてしまう
 先のロクシタンの事例で、継続しない80%の顧客に何度も提案を重ねてしまうのが、「パレートの法則の罠」だと言えます。前出の三角形と逆三角形の図で表すと一目瞭然なのですが、ビジネスをしていると、つい目の前の顧客全員の声、短期間で視界に入る多数派の声に応えようとしてしまい、結果的に「長期で貢献しない8割(大多数)の顧客」に時間やリソースを割いてしまうのです。
 例えば飲食店で、今日来店された100人の顧客全員から意見を聞くと、どうしても多数派である80人の印象が強くなります。本当に中長期で通ってくれる20人のロイヤル顧客の声は、その時点では埋もれてしまうのです。しかし、多数派の80人は一過性の顧客です。80人の声に応えようと改善を繰り返すと、結果的にロイヤル顧客がますます離れるビジネスを作っていく可能性すらあります。


■5.プログラムが暴走して「悪い売上」を集めてしまった
榊   要はAIが「売上向上」を最重要課題に、私たちが想定していない変な方向に進んでしまうというか。
西口  勝手に最適化がかかってしまって、利益につながらない売上まで上げてしまうといったことですか?   
榊   そうです。その例の象徴が、コロナ禍の2020年7月に開始した「GoToトラベル」のときです。高級な宿に安く泊まれるということで、普段は一休を使わない方々を含め、高級な宿を閲覧する人がものすごく増えたのです。するとAIが「普段は来ないお客様がたくさん来た! ぜひ予約してほしいからクーポンを発行しよう」と反応してしまいました。
西口  トラフィックをトリガーに、クーポンを大量発行してしまったんですね。   
榊   そうです。でも、その方々の多くはキャンペーンが終わると去ってしまうので、私たちとしては多額のクーポンを発行してほしいわけではありません。「これはいかん」となって、ちゃんと状況が見えるよう、PDCAを可視化して回せるようにしたのです。


【感想】

◆冒頭でも触れたように、ガチ系のマーケティング本でした。

「え? そこまででもなくね?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は本書で図や表を用いて解説されている部分については、ほぼ割愛しています。

というのも、私自身、たとえば表を見ながらでないと、今ひとつわからなかった箇所がそれなりにあり、それらを表以外のテキストだけ引用しても、極めて理解が難しいだろうから。

実際、第4章の「良い売上をもたらす顧客を見つける3つのフレームワーク -ID POS分析、5segs、9segs」のある一定量あるパートでは、下記リンク先で表示される2つ目の画像に近い図表でお話が進んでいます。

2-2-27:9segsにおける顧客動態の可視化� 宗柔�長ルート | Wisdom-Beta

もちろん、この表だけでなく、ふんだんに図表やグラフが使われており、それらは本書を読む際には、理解の大きな助けになるものの、レビューで抜き出すにはかなり難しくなる次第。


◆また、本書の第1章の「『良い売上』を積み上げるために必要な知識」では、いわゆる「財務知識」の解説があります。

具体的には、売上、費用、営業利益、経常利益……等々。

これらはマーケティングを深く理解するためには、必要な知識でしょう。

さらには、固定費や変動費、損益分岐点と限界利益率のお話も、本書のテーマである「良い売上、悪い売上」を理解する上で重要なため、必然的に触れられています。

その「良い売上、悪い売上」の定義については、上記ポイントの1番目にあるとおり。

「100万円は100万円。売上なんてどれも一緒だ」なんて考えは、利益や利益率をまったく無視したものと言えるかと。

つまり同じ100万円の売上でも、それを生み出すのに、やたらと費用がかかるのか、そうではないのか、を意識する必要があるわけです。


◆要は、広告費を打って新たな顧客を呼び込んでも、2度目がなければ、むしろ赤字。

2度目、3度目とできるだけ継続して立つのが「良い売上」であり、本書はこの「良い売上」を目指しています。

かといって、上記ポイント2番目にあるように、「既存顧客は永遠ではなく、必ず一定数が離反していく」ため、「継続顧客候補」を呼び込まなければなりません。

その点、引用内にある「鉄板焼き店における子連れ顧客」というのは、分かりやすい例の1つ……なんですけど、これだけだと分かりませんよね?

詳しくは本書の「はじめに」をご覧いただきたいのですが、その店は、子連れで外食をするのに適した施策(「店の奥に遊び場がある」「子どもにアイスのサービス有り」等々)によって、常連が知り合いを連れてきて、新たな常連になる、という好サイクルを実現していたのでした。

なお、静かに食べたい人は、当然2度目は来ませんが、マスターはその手の客は追いません。

また、宣伝も打ちませんから、その意味でも安定して利益が出ていたようです。


◆とはいえ、最初の時点で、どっちの売上かが分からないのは、飲食店も通販も同じ。

そこでとりあえず売上を上げることに集中してしまうと、上記ポイントの3番目にあるように、むしろ「悪い売上」が増えてしまいます。

さらには、リピートするだけの価値がないと、まさに「初回のみ」という「悪い売上」ばかりになるのも当然。

製品の問題ですと、マーケティングで何とかなるものでもないのですが……。

実際、良い売上と悪い売上の比率は、上記ポイントの4番目にある「パレートの法則」に近いものになるとのこと。

ところが、ここにもあるように、声の大きい(人数の多い)人のリクエストに応えようとすると、かえって間違った報告に進みかねない、という指摘は目からウロコでした。

なるほど、継続顧客を見極めて、その人たちの意見を聞く必要があるわけですね。


◆そして上記ポイントの5番目は、巻末の特別対談からのもの。

このパートでは、本書の著者の西口さんと、「一休.com」の代表取締役社長の榊さん、さらには発言は拾ってませんが、同じく「一休.com」の宿泊事業本部長の花房さんがお話をされています。

榊さんの言うように「GoToトラベル」という経済政策は、まさに「一休.com」の本来の顧客以外の顧客を呼び込んでしまったわけですね。

私も高級宿とは無縁なので、「一休.com」は使ったことがないのですが、実際に宿泊予約事業ですと、「年間100万円以上を宿泊に使う人」をターゲットにされているのだそう。

……それは「良い売上」ですわ。

この対談を読んで、榊さんのご本も興味が出てきました。

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DATA is BOSS 収益が上がり続けるデータドリブン経営入門

こちらもマーケティング好きならば要チェックで。


利益を確保する「良い売上」を上げるために読むべし!

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良い売上、悪い売上 「利益」を最大化し持続させるマーケティングの根幹(MarkeZine BOOKS)
はじめに 売上には、2つの“種類”がある
序 章 「良い売上」「悪い売上」とは何か?
第1章 「良い売上」を積み上げるために必要な知識
第2章 ロイヤル顧客がなぜ重要か -「価値の再評価」と3つの法則
第3章 「良い売上」はLTVが高い -時間軸で見る売上と利益
第4章 良い売上をもたらす顧客を見つける3つのフレームワーク -ID POS分析、5segs、9segs
第5章 経営を左右する二大問題とその対応
第6章 BtoBにおける良い売上、悪い売上
監修:ジャパン・クラウド・コンサルティング株式会社 代表取締役社長/『THE MODEL』著者 福田康隆氏
特別対談 「一休.com」における良い売上の最大化


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」における、お買い得作品をセレクト!

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霊山と日本人 (講談社学術文庫)

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入門&ガイド 沢登り ヤマケイ入門&ガイド

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山スキールート212

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高校数学からはじめるディープラーニング 初歩からわかる人工知能が働くしくみ (ブルーバックス)

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目からウロコのハングル練習帳 改訂版 3日で終わる文字ドリル

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コールセンターもしもし日記

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蛇 (講談社学術文庫)

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志麻さんのベストおかず 料理のきほん編 (別冊ESSE)

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ハイデガーの哲学 『存在と時間』から後期の思索まで (講談社現代新書)

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歩くという哲学

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あなたがブラックホールについて知っていることはほぼすべて間違っている

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本人・家族に優しい統合失調症のお話 第2版 ココロの健康シリーズ

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お人好しが損しない話し方の教科書

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せいろでおやつ、時々ごはん

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増補新版 女ふたり、暮らしています。

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今回はUnlimited作品が多くて、全体量としては微妙だったのですが、その中で『お人好しが損しない話し方の教科書』と『世帯年収1000万円超の人が知っておきたいお金のルール』の2冊は当ブログ向きではないか、と。


【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle本高価格帯本セール」の「ビジネス・経済分」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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『AI独学超大全』

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アナリストのためのChatGPTリサーチ・レポート術【リフロー型】 Deep Researchで調査分析力・報告書作成力アップ! Prompt for Engineers

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人が成長するとは、どういうことか

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ご参考になりましたら!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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