2026年09月04日
【悩み解決】『「考えているのに進めない」がなくなる 思考渋滞から抜け出す方法』佐野創太

「考えているのに進めない」がなくなる 思考渋滞から抜け出す方法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも非常に人気の高かった1冊。特にキャリア関係でお悩みの方に、効き目がありそうな内容でした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書では、「こんなに長い時間考えているのに前に進んでない気がする」という現象を「思考渋滞」と定義します。
思考渋滞は、「情報」「感情」「意味」という3つの車線のいずれかで発生します。
十分な情報が整理されていないのか、感情が意思決定を妨げているのか、それとも物事の捉え方(意味づけ)が行き詰まっているのか――。
どの車線で滞っているかによって、取るべきアプローチは大きく異なります。
重要なのは、同じ車線で考え続けることではなく、詰まっている車線から別の車線へと意図的に移動することです。
思考の車線を切り替えることで、これまで動かなかった問題が驚くほどスムーズに前進するケースは少なくありません。
本書では、なぜ思考渋滞が起きてしまうのか、思考渋滞の構造・抜け出し方を解説します。
今抱えている悩みを解消するだけでなく、これから先、迷ったときに自力で抜け出せる力が身につく1冊です。
中古が値下がりしていない一方、Kindle版は若干お求めやすくなっています!

【ポイント】
■1.思考には3つの車線がある高速道路に複数の車線があるように、思考には大きく分けて3つの車線があります。
1つ目は、情報の車線。事実、条件、選択肢、メリット、デメリットを整理するための車線です。
転職でいえば、年収、仕事内容、勤務地、会社の将来性、必要なスキルなどを比べるときに使います。
2つ目は、感情の車線。好き、嫌い、怖い、つらい、納得できない、安心する、といった気持ちを扱う車線です。
どれだけ条件がよくても、心が拒んでいるなら、そこには見過ごせない感情があります。
3つ目は、意味の車線。「自分は何を大事にしたいのか」「何のために働くのか」「この選択は、自分の人生にとってどんな意味があるのか」などの問いを扱う車線です。
悩みが深くなるとき、私たちはこの3つを混ぜたまま考えています。
■2.思考渋滞には、3つの種類がある
情報渋滞は、情報や選択肢が整理できていない状態です。「何を選べばいいかわからない」「比べても比べても決められない」という詰まり方をします。
感情渋滞は、感情がもつれて行動の妨げになっている状態です。「どうすればいいかはわかる、でも動けない」「怖い、不安、踏み出せない」という詰まり方をします。
意味渋滞は、自分の価値観や物語が揺らいでいる状態です。「なぜこれをするのかわからない」「何のために動くのか見えない」という詰まり方をします。
ただし、複数の車線が同時に詰まっていることも少なくありません。
「どうすればいいかわからないし、動けない」
キャリア相談でよく出会う言葉です。「何がわからないかわからない」「聞きたいことはあるけど、何を聞けばいいかわからない」という状態も典型的な例です。これは情報渋滞と感情渋滞が同時に起きています。
■3.小渋滞の3つのサイン
大きな渋滞の前ぶれを、私は「小渋滞」と呼んでいます。
小渋滞はいつも同じ3つの顔をしてやってきます。それが、「無理」「我慢」「自己犠牲」です。1つずつ見ていきます。
1つ目は「無理」です。やりたくないのにやってしまったこと。 頭では納得していないのに、自分で引き受けてしまったことです。(中略)
2つ目は「我慢」です。進みたいのに進まなかったこと。 気持ちはそちらに向いているのに、立場や空気でやめておいたことです。(中略)
3つ目は「自己犠牲」です。自分が道を譲れば誰かが助かる。やる意味は正直わからないけれど、困っている誰かを放っておけなくて自分から手を挙げてしまったことです。
■4.苦しくても未来を見つめる
でもTさんの話を伺っていて、私が印象に残ったのは別のことでした。苦しい転職活動のさなかで、Tさんはこう言っていたのです。
「この経験は、つらかったけれど、これからの人生にとって意味のあるものになると思う」(中略)
とても大変なことが起きたとき、人の心を本当に折ってしまうのは、その状況の厳しさそのものではありません。「なんで自分がこんな目に」「これにいったい何の意味があるのか」という、無意味さの感覚なのです。
逆に言えば、その出来事に少しでも意味を見出せたとき、人は同じ状況の中でも心折れずに立っていられます。
Tさんは、つらい休職と転職活動を半年後には1つ越えていました。そしてその経験は、「ただのつらかった時期」ではなく「自分の働き方を見つめ直した時期」に変わっていました。何が自分に合う仕事なのか、責任とは何をどう抱えることなのか。休職する前には言葉にできなかったことが、この苦しみを通して言葉になっていました。
■5.気になって仕方ないのは、どうでもよくないから
たとえば会議で自分の意見が軽く流されたとき。すぐに忘れられる人もいれば、家に帰ってお風呂に入っても、その場面を何度も思い返してしまう人もいます。同じ出来事なのに、なぜ引っかかる人と引っかからない人がいるのでしょうか。
それは、引っかかるその人にとって「自分の考えをちゃんと聞いてもらうこと」が大事なものだからです。
どうでもいいことには引っかかりません。引っかかるのは、そこに自分の大事なものがあるからです。強く引っかかるほど、それだけ大事にしているということです。
ただここで問いかける言葉に気をつけたいのです。「なぜ引っかかったのか」とそのまま自分に問うと、原因が見えることもありますが、弱い自分やダメな自分ばかりが大きく見えてしまうことがあります。誰にでも弱いところはあるのに、そこだけが目に飛び込んでくる。だから問いを変えます。
「この引っかかりは、自分に何を教えてくれるのか」「どんな成長をくれるのか」
原因や欠点ではなく、意味のほうへ向ける問いです。
【感想】
◆お恥ずかしい話、読む前に本書のタイトルからイメージしていた内容と、実際の内容が若干異なっており、当初戸惑ってしまいました。特に本書の重要なキーワードである「思考渋滞」というフレーズ。
これについては、本書の「はじめに」にて、次のように定義がされています。
やるべきこと。気になること。不安なこと。選択肢や情報。それらが頭の中に次々と流れ込み、行き場を失って詰まってしまう。その結果、考えているのに進めない状態になる。これっていわゆる「お悩み」の状態であり、「悩む」ことと「思考すること」は違うよな、と思ったワタクシ。
私はこの状態を「思考渋滞」 と呼んでいます。
ただ、それがゆえに「思考」ではなく「思考渋滞」と呼んでいるわけであり、考えが先に進めないことをうまく表現していると思います。
また、登場する具体例の多くが、著者である佐野さんのお仕事絡みのキャリアデザインに関するものであり、それこそ人間関係のお悩み等とは、一線を画すべきでしょう。
◆さて、まず第1章では、その「思考渋滞」にはまってしまう原因を掘り下げています。
ここで考えるべきなのが、思考の3つの車線。
アマゾンの内容紹介でも簡単に触れられていましたが、上記ポイントの1番目にあるように、「情報」「感情」「意味」の車線がそれぞれ存在しています。
そして「思考渋滞」が起きるとき、それは車線の選択ミスであるということ。
そこで、渋滞している車線から別の車線に移るだけで、文字どおり「道が開ける」ようになるのだそうです。
◆続く第2章では、思考渋滞をより掘り下げて「構造と抜け出し方」を解説。
具体的には、上記ポイントの2番目のとおりなのですが、3つそれぞれ、上記の「車線」の考え方をそのまま発展させています。
本書では3つの渋滞ごとに、具体的な実例を付して解説がされていますので、ぜひご一読を。
特に転職情報を集めすぎて、かえって身動きがとれなくなる、というケースは普通によくありそうです。
ではそういう時に、どうすべきか?
判断はいくらでもできます。情報があれば比べ続けられます。こうして情報渋滞にはまります。なるほど、納得!
決断は情報だけでは生まれません。「Aにします」と決めるためには、「Aがいいんだ」という気持ち、つまり感情が動いていることが必要なのです。
◆一方第3章では、そもそも渋滞にはまらないようにする、予防法についてのアドバイスが。
その渋滞の前触れとなるのが、上記ポイントの3番目の「小渋滞」です。
ただし、この「無理」「我慢」「自己犠牲」は、決して悪いことではなく、いいところが「誤作動」を起こしているだけなのだとか。
そして、その状態に自らが「気づく」ことにより、大渋滞を防ぐことができるわけです。
なお、上記ポイントの4番目もこの第3章からなのですが、予防法というよりも大きな悩みの対処法かと。
後半部分は、あの『夜と霧』のヴィクトール・フランクルの「ロゴセラピー」という考え方に沿ったものになります。
ロゴセラピー - Wikipedia
それにしても、このTさん、後から振り返って言うのではなく、そのつらい最中にこのように考えられるのは、かなりすごいことなのではないでしょうか。
◆最後のポイントの5番目は、第4章の「思考渋滞を引き起こす悩みとの向き合い方」からのもの。
ここにある「引っかかる」という状態は、詳しくは触れませんが、私にも記憶があります。
ただ、私は「意味のある問い」はできませんでした。
……なるほど、問いの言葉が変わると、引っかかりも終わりでなく始まりになるのですね(反省)。
学びの多い1冊でした!

「考えているのに進めない」がなくなる 思考渋滞から抜け出す方法
第1章 なぜ思考渋滞にはまってしまうのか?
第2章 思考渋滞の構造と抜け出し方
第3章 思考渋滞の予防法
第4章 思考渋滞を引き起こす悩みとの向き合い方
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