2026年08月13日
【コミュニケーション】『すぐに「できません」と言う人たち』榎本博明

すぐに「できません」と言う人たち (PHP新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 サマーセール第2弾」からの職場におけるコミュニケーション本。若手を中心に、最近職場にはびこる「仕事を断る人」をテーマにした1冊です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
やりがいよりも安心を求め、失敗を恐れる。雑用は自分の仕事ではないと思っている。やりたい仕事しかしようとしない……。さまざまな理由で、上司から与えられた仕事を断る人が増えている。職場の心理学の第一人者が彼らの心理を分析し、「不安の強い人に『もっと自信をもって、ポジティブにいこう』などと言うと、とんでもないことになったりする」など、知っているのと知らないのでは大違いのアドバイスを行う。
中古が意外と高値のため、このKindle版が500円弱お買い得です!

【ポイント】
■1.自分の頭で考えずに、すぐに人に頼ってくる「 たとえば、何らかの仕事を振ると、
『どんなやり方をすればいいですか?』
と聞いてくる。そこで、まずはいろいろ調べることから始めてみたらと言うと、
『何を調べればいいんでしょうか?』
と聞いてくる。そんなことは自分で考えるものだろうにと思いながら、たとえば、どんなサービスが求められているか、実際にどんなサービスが行われているか、といったことをまず調べてみるのもいいかもしれないねと言うと、
『どうやって調べればいいですか?』
と聞いてくる。自分であれこれ試してみろよ、そんなことまでいちいち聞くなよ、と言いたい気持ちを抑えて、やんわりとアドバイスをしました」
このような事例をみてもわかるのは、何でもすぐに検索する習慣が身についてしまっているせいか、まずは自分の頭で考えてみようという姿勢が乏しい。チャットGPTが登場し、そうした傾向がますます強まっていくのではないだろうか。
■2.傷つきやすい若者たち
傷つきやすい若者たちは、社会に出ていきなりそうなったわけではない。学校時代の経験が深く関係している。現に学校の先生たちも、児童・生徒が傷つきやすく、ちょっと厳しいことを言うとひどく落ち込んだり反発したりするし、何よりも保護者からのクレームがあるため、厳しく指導することができなくなっている。
学生たちに聞くと、これまで学校で先生から叱られたことなどほとんどないし、周囲の友だちが叱られるのを見たこともほとんどないという。私などが小中学生だった時代には、先生にきつく叱られるのは日常茶飯事だったが、どうも様相が一変しているようなのだ。
生徒が悪いことをしても、先生は叱るのではなく、「そういうことはしないほうがいいよ」といった感じで「お話をする」のだという。
アルバイト先で遅刻して店長から叱られ、逆ギレして辞めた友だちがいるという学生たちが結構いるのだが、彼らによれば、これまで遅刻しても叱られることはなかったから、どうして叱られるのかがわからず、ムカついて我慢できなくなるのだろうという。
■3.「なんで?」ではなく「どうしたら?」
傷つきやすい人の特徴として、何かとすぐに感情的になるということがある。
たとえば、同じようなミスを繰り返してしまったとき、
「なんで自分はこうなんだ! もう嫌だ!」
「自分はほんとうにダメ人間だ! 情けない」
というように感情反応をすれば、気分が落ち込むばかりで、何の改善も期待できない。
だが、そのようなときに、
「またやっちゃった。どうしたら同じようなミスを繰り返さないですむだろうか?」
「何とか工夫して、こういうミスを防がないと」
というように認知反応をすれば、落ち込むよりも、今後に目を向けて対策を練る方向に踏み出すことができる。
このように感情反応より認知反応を心がけることで、失敗に傷つくよりも失敗を 糧 にして成長することができるようになる。
その際、「なんで?」という思いを「どうしたら?」という自問に変えるように意識することが大切だ。「なんで?」という思いは感情反応につながりやすく、「どうしたら?」という自問は認知反応につながりやすい。
■4.適正は開発されていく
今の自分の能力で無理なくこなせる仕事が自分に向いた仕事であり、自分に適性がある仕事だというように、適性というものを固定的にとらえると、成長が止まってしまう。
できないことができるようになるのが成長であり、自分が成長しているといった実感が喜びや充実を生む。それが、さらなる頑張りの原動力となり、ますますできることが増えていく。そうした好循環の中で潜在能力の開発が進み、いろいろな仕事に対する適性も開発されていくのである。
慣れない仕事を任されたとき、自分には適性があるのだろうかと不安になる人もいるだろうが、自分の中に新たな適性を育てるチャンスかもしれないと考えると、チャレンジしてみようという前向きな気持ちになれるのではないか。
「この仕事に対する適性が自分にあるのだろうか」
と自問するのではなく、
「新たな適性が開発されるチャンスかもしれない」
と前向きにとらえることで、適性はかぎりなく開発されていくはずである。
■5.ポジティブ・イリュージョンが職場への不満を生む
だれにでも自己愛があるから、自分を過大評価するのは万人にみられる傾向といえる。これをポジティブ・イリュージョンという。
何らかの能力やら望ましい性質やらに関して、自分は平均以上と思っていることが多いのも、ポジティブ・イリュージョンによるものといえる。
心理学者のダニングたちは、高校生を対象とした調査により、ポジティブ・イリュージョンの存在を証明している。
たとえば、自分のリーダーシップ能力について、約70%が自分は平均以上だとみなしており、自分は平均以下だとみなす者はわずか2%しかいなかった。70%が平均以上で、平均以下が2%しかいないというのは、統計的にはあり得ない。
自分が優れているかどうかが非常にわかりやすい運動能力についてさえも、60%が自分は平均以上だとみなしており、自分は平均以下だとみなす者はわずか6%にすぎなかったのだ。
【感想】
◆本書のタイトルは『すぐに「できません」と言う人たち』というものですが、「与えられた仕事を断る」パターンはさまざまです。冒頭の内容紹介では割愛しましたが、アマゾンのページに掲載されている具体例はこんな感じ。
●諦めずに何とかするという気力がないこれらはあくまで一例ですが、一つひとつ原因が違えば、その対処法も違うわけでして。
●自分の頭で考えずに、すぐに人に頼ってくる
●自分には「できない」と言う権利があると思っている
●管理職になるのを避けようとする人
●文句は第三者を介して言う
●能力の問題――たとえば、データをもとに説明することができない
もっとも、単にパターンとして挙げることが中心のものもあれば、対処法を深く掘り下げているものもありました。
結果として上記ポイントでも、レイヤーが異なる話が並列的に並んでおりますが。
◆ちなみに「できません」というのも、モチベーション的なものもあれば、縄張り的なものもあり、また能力的な問題ゆえのものもあります。
たとえば第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目のパターンは、能力的な問題に属するかと。
まぁでも、すぐに聞いてくるから「できない」ことがわかるのであって、何も聞いてこずに、締め切りになってから「できませんでした」と言われるよりはマシなのかも。
かといって、ミスややる気のなさを問いただすと、上記ポイントの2番目にあるように、落ち込んだり反発したり、という事になりかねません。
それにしても、イマドキの若い人は家庭でもこんなに甘やかされているんでしょうか?
我が家では舐めたことを言っていると、ヨメのカミナリが落ちるので、子どもたちは叱られることには慣れっこな模様。
もっとも私自身は、子ども時代、妹とケンカ(主にテレビのチャンネル争いで)した時以外で、親に怒られた記憶がない「いい子」だったので、それと比べたら、我が家の子どもたちはグタグタなのですが。
◆続く第2章では、こうした「傷つきやすい人」を分析しています。
特に挫折に弱い人に対しては、モチベーションのマネジメントが大事なよう。
この辺は部下に対する上司の声かけで、お悩みの方も多いかもしれません。
一方で、ミスした本人も、上記ポイントの3番目にあるように「感情反応を控えて認知反応をする」よう心がけるべき!
実際、このお話を著者の榎本さんが企業研修でしたところ、「目からウロコだった」という感想を出した人もいたのだそうです。
◆また、第3章では「好きな仕事」や「やりがい」といった、自己啓発書ではおなじみのテーマが登場。
今の若い世代は「キャリア教育」を受けており、「好きなこと探し」をし、さらにはそれを職業選択にまで結びつけています。
結果「好きなことしかしたくない」となりかねません。
しかし上記ポイントの4番目に引用したように、自分の適性なんて、いくらでも変わっていきます。
若いうちから変に小さく固まらずに、色んなことをどんどんやる方が、その後の成長に結びつくと思うのですが……。
◆そして最後の第4章では、自己評価についても触れられています。
上記ポイントの5番目にある「ポジティブ・イリュージョン」という言葉は初めて聞きましたが、名前が出てくる「ダニング」とはあの「ダニング=クルーガー効果」のダニングその人。
ダニング=クルーガー効果 - Wikipedia
そりゃ、間違っているとはいえ自己評価が高かったら、自分の好きな仕事だけやってていい、と勘違いしかねませんよね。
まさにこのことが、なぜか仕事のできない人ほど自信をもっているということの理由といえる。物事を理解する能力の低さが自己認知も 妨げるため、自分の能力が低いという事実にも気づかないのである。ただし、こうした下位グループの人でも、認知能力を鍛えるトレーニングをさせて認知能力が向上すると、過大評価傾向は弱まり、とくに下位4分の1の人たちの著しい過大評価傾向は大きく改善されるそうですから、望みアリ。
ただ、自分の能力のなさを思い知って、やる気がなくならないといいのですが……。
身近にこんな人がいる方なら、一読の価値アリ!

すぐに「できません」と言う人たち (PHP新書)
第1章 すぐに「できません」と言う人たち
第2章 傷つくのが怖くてチャレンジできない人たち
第3章 好きな仕事、やりたい仕事しかやろうとしない人たち
第4章 能力の問題、自己評価の問題
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から、お買い得本をご紹介!
のぞみ33歳。だだ漏れ日記 (扶桑社BOOKS)

古代史講義【戦乱篇】 (ちくま新書)

まんがでわかる 隣のサイコパス

新しい香水の教科書

【音声DL付】杉田敏の 現代ビジネス英語 2025年 秋号

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マンガで教養 やさしい歌舞伎鑑賞 改訂新版

「越境3.0」境界線を越えて未来を創る行動哲学
今回は大量のUnlimited作品のおかげで、対象作品がこれだけしかなかったのですが、『まんがでわかる 隣のサイコパス』はちょっと読んでみたいかもしれませんね。
【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本 サマーセール第2弾」のフォレスト出版分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
専業主婦、株式投資で4億円。

ToDoリストですら使えなかった僕が見つけたすごい仕事術
参考記事:【仕事術】『ToDoリストですら使えなかった僕が見つけたすごい仕事術』いぐぞー(2026年05月11日)

7つのステップでビジネスモデルを可視化する決算分析の技術

考えてはいけないことリスト
参考記事:【科学的自己啓発】『考えてはいけないことリスト』堀田秀吾(2026年04月27日)
ご参考になりましたら!
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