2026年07月29日
【恋愛?】『モテない中年 恋愛格差と孤独を超えて』坂爪真吾

モテない中年 恋愛格差と孤独を超えて (PHP新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 サマーセール第1弾」からの非モテ系恋愛本。ただし、単純なノウハウ本というわけではないので、ご留意ください。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
なぜ私たちは何歳になっても「モテる/モテない」の呪縛から逃れられないのか。異性と関わることができない苦しみ、独身を謳歌していても訪れる寂しさ、既婚者の脳裏をよぎる不倫やパパ活への欲求。そうした呪いに縛られるのはあなたのせいではない。性と孤独をめぐる問題に最前線で向き合い続けてきた著者による、5人の中年男性へのインタビューを通して浮かび上がってきたリアルとは。
送料を加味した中古よりも、このKindle版が500円弱お買い得な1冊です!

【ポイント】
■1.年齢の壁は努力では超えられない春日さんは、安定した仕事と収入があり、社交性も高く、異性とのコミュニケーション能力もスムーズに行うことができる男性である。そして結婚願望もある。しかし、どれだけ努力を重ね、婚活に時間を費やしても、パートナーが見つからない。40歳を過ぎてから、一度も女性と交際に至ったことがない。(中略)
「結婚適齢期」という言葉は現代では死語になりつつあるが、年齢的に結婚しやすい時期が20代〜30代前半であることは、昔からほとんど変わっていない。結婚の時期に関しては、「個人の価値観やライフスタイルに合わせて、柔軟に検討されるべき」という考え方が広まり、他人の結婚の時期についてあれこれ言及すること自体がハラスメントになっているが、「年齢的に結婚しやすい時期を逃すと、結婚は極めて難しくなる」という当たり前の事実は、今も昔も変わっていない。おそらく、これからも変わらないだろう。
■2.中年男性の「語彙の貧困」
中年男性の性的孤立や社会的孤立の背景には、「語彙の貧困」がある。語彙を獲得しなければ、自分の気持ちを自分で理解することはできないし、自分の気持ちを他人に伝えることもできない。(中略)
語彙の獲得は、生きていくうえで良いことづくしのように思えるが、なぜ男性は語彙の獲得を拒むのだろうか。
その答えは様々だが、1つの大きな理由としては、「あえて語彙を獲得しない」ということが、1つの防御策であり、生きる知恵になっているからだ。現在の自分の気持ちや置かれている立場を言語化してしまったら、それによって具現化された感情や事実によってメンタルや自尊心が押しつぶされてしまうリスクがある。
自分の気持ちを他人に伝える手段を持ってしまったら、「伝えたい」という切望、「伝えなくてはいけない」という焦り、「伝わらない」という悲しみ、「伝えられない自分はダメな人間だ」という劣等感など、様々なノイズが発生する。
それらに苛まれ、苦しむくらいならば、最初から語彙なんていらない。そう考えている男性は少なくないのではないだろうか。
■3.必要なのは自己効力感と自己肯定感
中高年男性には、とにかく人の話を聞くことができない人が一定数存在する。仕事の場や飲み会などの席でひたすら自分のことしか話さない人や、自慢話しかしない人、一方的に話し続ける人が少なくない。正確に言えば、彼らは「人の話を聞かない」のではない。「聞けない」のだ。
自己効力感と自己肯定感が十分に得られていないため、まず「自分はすごい」ということを示して、相手に対してマウントを取らないと、コミュニケーション自体ができない。つまり、目の前の相手と対等な関係で話すことができないのだ。常に上下関係を意識したやり取りしかできない。これは話している本人にとっても、話を聞かされている周りの人にとっても、極めて不幸な状態である。
会話のキャッチボールは、お互いが対等な関係であることが前提になる。対等な関係だからこそ、自分の話を相手が聞き、相手の話を自分が聞く、というやり取りを続けることができる。会話のキャッチボールができなければ他人とはうまく付き合えないし、コミュニティに所属することも困難になる。
■4.「自分は変わりたくない」という気持ちをいかに捨てられるか
「自分は変わりたくない」という気持ち自体は、善でも悪でもない。個人の判断として、尊重されるべきだろう。ただし、恋愛や結婚のように相手がいる関係の中で、相手が「あなたに変わってほしい」と願っている場合、それに応えない限り、関係は継続できない。
もちろん、自分自身が変わることなく、他人にも変わることを求めないままでも、構築できる関係性はある。例えばSNSでは、自分と同じ価値観の相手とつながることができるので、自分自身が変わる必要はない。「自分は変わりたくない」という気持ちを持ち続けたまま、社会の中で生きていくことは十分に可能だ。
ただ、特定の他者と、恋愛や結婚などの親密な関係性を築くうえでは、「自分は変わりたくない」という気持ちは、多くの場合、自分も相手も傷つけてしまう障害にしかならない。恋愛や結婚をしなくても特に孤独を感じない、という人であれば問題はないが、恋愛や結婚によって孤独を埋めたい、と考えている人にとっては、「自分は変わりたくない」という気持ちをいかに捨てられるかが、性的孤立や社会的孤立から抜け出す鍵になるだろう。
■5.「同居力」を磨け
家族と一緒に暮らすことで生じるトラブルやリスクを減らすためには「同居力」を身につけることは欠かせない。しかし、そのための具体的な方法は誰も教えてくれない。結婚した後に、自力で事後的に学ぶしかない。行政や企業は、婚活支援などのサービスを通してパートナーと出会うためのサポートをするところまではできるが、出会ったパートナーと幸せな共同生活を送るためのサポートはできない。語学やスポーツと同様に、各々が実践の中で身につけていくしかない。
共同生活を続けていくうちに、自分自身、そして相手の「変えられる部分」と「変えられない部分」「頑張れば変えられるかもしれないけれども、おそらくコストパフォーマンスに見合わない部分」「無理に変えてしまうと、2人の関係性にヒビが入ってしまう部分」などが見えてくる。そうした部分を的確に把握したうえで、各部分の最適化ではなく、全体での最適化を目指すことで、共同生活はより充実したものになり、お互いの信頼関係も蓄積されていく。
【感想】
◆タイトルにもある「モテない中年」というフレーズを見た際、私の頭の中には、いわゆる「非モテ」属性の中年男性が思い浮かびました。さらには「5人の中年男性へのインタビュー」とあるのも、いわゆる典型的なパターンのほか、多少は変化球的なキャラの男性もいるのかな、といった予想を立てたわけでして。
実際、上記ポイントの1番目にもある「年齢の壁」の件は、最初に登場した人物(春日さん)が、婚活市場で苦戦しているのを踏まえて書かれていたのですが、この春日さん、典型的な「非モテ」とはちょっと違います。
なにせ
安定した仕事と収入があり、社交性も高く、異性とのコミュニケーション能力もスムーズに行うことができる男性である。そして結婚願望もあるくらいですから、非モテというより、むしろ年齢だけがネックのリア充と言ってもいいくらい。
「そうか、最初は無難な線で攻めといて、本番はこれからか」と思ったのですが、あにはからんや……!?
◆日本の恋愛史を綴った第2章に続いて、第3章で登場するのが「バツイチシングルファーザー」の新井さん。
「あ、そうなんだ、結婚して子どもがいても、今がモテてなければアリなのか」と、やや戸惑いながら読み進めていくと、この新井さん、20代半ばで学生時代からの知り合いの女性と結婚していました(やはり非モテにあらず!)。
しかしセックスレスを経て、奥さんが浮気しも揉めた上で離婚。
その後は前述の春日さん同様、40代で恋愛戦線で苦戦してはいるのですが、現在の性欲の解消法は、ChatGPTを使ってストーリーを組み立て、読み上げ機能の音声を聞きながら自慰しているのだそうです(!?)。
この新井さんのインタビューの後のまとめで、上記ポイントの2番目の「語彙」の話が出てくるのですが、性的にも社会的にも「孤立」しているからこそ、「語彙」が大事である、ということなんでしょうね。
◆一方、上記ポイントの3番目の「自己効力感と自己肯定感」のお話は、第4章からのもの。
ここに登場する高田さんも、かつては自己効力感と自己肯定感が足りていませんでしたが、その後の職業となる「写真」を通じてそれらを育んだそうです。
……とサラッと書くと、高田さんは普通の人かと思われるかもしれませんが、15歳にして27歳の女性に「性の手ほどき」を受けて大人のテクを身につけたり、闇金で働いて月収2000万(年収ではありませんw)稼いだり、離島に逃げたり、ソープ嬢だった嫁に刺されたりした、という方(簡単にまとめると)。
既に前の章あたりから、キャラが立った人しか出てこないんだ、と分かっていたからいいんですけど、読者の共感とか求めなくていいんですかね?
それはさておき、「中高年男性には、とにかく人の話を聞くことができない人が一定数存在する」というのはごもっとも。
特に「相手に対してマウントを取らないと、コミュニケーション自体ができない」というのは、むしろネットでよく見かけるような気がしますが。
◆1つ飛んだ第6章では、章題にもあるように「結婚相談所代表」の関川さんが登場しています。
ちなみに本書の中で、孤独を解決する手段の1つとして「金」、具体的にはパパ活や街コン、婚活パーティ等々が登場するのに、結婚相談所が出てこないのはちょっと疑問でした(インタビューされた5人が使ってないからだと思いますが)。
中高年男性のように、プライドが高くて「人の話が聞けない」人こそ、結婚相談所でガツンと言われた方がいいような気もするのですが。
なお、この関川さんは「家の中に他人がいるとダメ」という男性でしたが、「唯一居心地の良かった」女性と結婚。
ただそれは彼女が色々と我慢していたからであり、子どもが生まれてから彼女が我を出すようになったため、結局離婚されたのでした。
そこで上記ポイントの4番目にあるように、結婚生活を続けたかったなら、「自分を変える」必要があったワケです。
◆そして上記ポイントの5番目の「同居力」のお話は、本書の中で何度か出てはきていたのですが、まとめである「終章」から引用。
そういえば私も、ヨメと結婚する前に1年ほど同棲して、お互いの「同居力」を確認していましたっけ。
ただ、単純に「同居力」を磨けば良いかというと、それ以前に「モテる力」がないと、そもそも相手との共同生活を開始すること自体ができません。
さらには、本書で対象となっている中高年には「年齢の壁」という問題もあります。
結局本書は、簡単に実践できるハウツー本とは違いますが、熟読して自分なりのアプローチを見出していただけたら、と思う次第。
自分なりの解答を見つけるために読むべし!

モテない中年 恋愛格差と孤独を超えて (PHP新書)
第1章 なぜ私たちは「モテる/モテない」に踊らされるのか
第2章 日本の恋愛をめぐる150年史
第3章 バツイチのシングルファザーの孤独
第4章 孤独だった少年が孤独を楽しめる大人になるまで
第5章 ギャンブル依存と満たされない性
第6章 結婚相談所代表が離婚した理由
終 章 「モテる/モテない」という呪縛からの解放
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から、お買い得作品をご紹介。
恋の中国文明史 (ちくま学芸文庫)

ルポ 居所不明児童 ――消えた子どもたち (ちくま新書)

「ココロ」の経済学 ──行動経済学から読み解く人間のふしぎ (ちくま新書)

機械昆蟲制作のすべて 進化し続けるメカニカルミュータントたち

オーブンなしで焼ける フライパンちぎりパン

アンダークラス ──新たな下層階級の出現 (ちくま新書)

粘土でつくる空想生物 ゼロからわかるプロの造形技法

近代の超克 現代日本のエッセイ (講談社文芸文庫)

聖母の美術全史 ――信仰を育んだイメージ (ちくま新書)

料理家・飛田和緒 シンプルで作り続けたくなる、傑作レシピ選

算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル やさしめ (ヒー&マーのゆかいな学習)

学校に染まるな! ――バカとルールの無限増殖 (ちくまプリマー新書)
今日もまた当ブログのトレンドとは違う感じですが、『「ココロ」の経済学』と『アンダークラス』は読んでみたいですね!
【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本 サマーセール第1弾」の「ビジネス・経済分」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
できる人だけが知っている 「超」インプット術 あなたの「学び」を「結果」に変える最強のスキル (知的生きかた文庫)

ドラクエに学ぶ チームマネジメント

金利で得する「金利計算ブック」

ビジネスですぐ使える 語彙力が身につく本―――仕事の「成果」は、「言葉」で変わる! (知的生きかた文庫)
宜しければご参考まで!
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