2026年06月29日
【コミュニケーション】『否定しない言い換え事典』林健太郎

否定しない言い換え事典
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 夏の超大セール 第1弾」からのコミュニケーション本。著者の林さんの作品は、当ブログでも人気が高かったので、今回もセレクトしてみました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「否定しない」という考え方は頭でわかっていても、いざ会話をしていく中で無意識にでてくるもの。
それを意識的に「否定しないようにしよう」と思っても、なかなか言葉が見つかりません。
そこで本書では、あらゆるシーンでつい言ってしまう「否定の言葉」を、「否定しない言葉」に言い換える実践的フレーズ集としてまとめました。
中古価格が定価を超えていますから、このKindle版が1100円弱お買い得です!

【ポイント】
■1.否定の9割は、無意識から生まれるたとえば職場で、新入社員がとても実現できないようなアイデアを提案してきたとしましょう。そんなとき、それを聞いたあなたが、「まだ仕事についてわかっていないな。そんなことはできないって教えてあげなくては……」と良かれと思って、こう言ったとします。
「そのやり方だとうまくいかないと思うよ」
言われた相手にとっては、ただの否定でしかありません。(中略)
このように、「否定」は、悪気がなくても生まれます。
それどころか、「相手のためを思って」「成長させてあげたいと思って」など、善意を持っているからこそ、「相手のために、つい、否定してしまう」というメカニズムがあるのです。
■2.否定で返さず、間を作る
「否定返し」という言葉をご存じでしょうか。
否定返しとは、相手に否定されたと感じたとき、咄嗟にこちらも否定的な言葉で返してしまう反応のことです。(中略)
こんなとき、頭の中で起きているのは「返答」というより「防御」です。「これ以上責められたくない」という気持ちから、強めな言葉が口をついて出てしまう。
その代表例が、「そんなに何回も言われなくても、わかってるよ!」という言葉です。
言いたいのは反論ではなく、「これ以上は今辛い」というサイン。ただ、その切迫感が強い言葉になると、相手には否定として届いてしまいます。
そこで使ってほしいのが、「気にかけてくれてありがとう」です。ここでの「ありがとう」は、感謝の表明ではありません。聞く気はあること、ただ今は余裕がないことを伝えるための、いわゆる「クッション言葉」として機能します。
■3.ミスには次の行動を考えてもらう
部下が何かしらミスをする。働いていれば、そんなことは日常的に起きるはずです。(中略)
そんなときに頭の中で唱えたい言葉があります。
それは、「その人は、その人なりに精一杯やっている」です。(中略)
大事なのは、相手の心理的安全性をいたずらに下げることなく、次の行動をどう変えてもらうか、という視点です。
そのためにも、まずは自分が冷静になるまで、ほんの少し間を取り、頭に浮かんだ否定の言葉を、別の言い方に置き換えてみてください。
なぜそうなったのか、どんな考えで進めていたのか。ミスの背景にある事情を、「まずは話を聞かせてくれる?」という問いかけでいったん相手の言葉で語ってもらいましょう。
原因が見えてきたら、次は未来に目を向ける一言です。それが、「次はどうすればうまくいくと思う?」という問いかけ。これは、コーチングでも大切にされている基本的な考え方です。
■4.相手の好みを評価しない
人の好みは千差万別。そうわかっていても、自分の価値観と違うものに出会うと、つい口を出したくなることがあります。
そこで多くの人が使いがちなのが、「人それぞれだから否定はしないけど」という言い回しです。実はこの一言、話している側は配慮しているつもりでも、聞いている側には否定として届いています。「否定しないけど」のあとに続くのは、たいてい評価や価値判断だからです。つまり、「正しい・正しくない」、「良い・悪い」を決めにいっているのです。
言葉としては否定を避けているようで、構造としては完全に否定している。
ここに気づけると、「あっ、自分もやっていたな……」と認識できるかもしれませんね。
■5.「未来志向」に変えてみる
スポーツの世界には、「うんち・うんこは語らない」という考え方があります。
これは、Unchangeable(変えられないこと)、Uncontrollable(コントロールできないこと) は語らない、という教えです。試合が終わったあとに、天候や判定、相手の調子をいくら振り返っても、次のプレーは良くなりません。これは、人間関係でも同じです。たとえどんな失敗や行き違いがあっても、過去に向かって原因を掘り下げ続けることは、相手を責める形になりやすく、結果的に「否定」になってしまいます。
それよりも、「今回のことはもう起きてしまった。じゃあ、この経験をこれからどう生かしていけそう?」と、視点を未来に移してみる。
そうすると、相手は責められる立場から、自分で考える立場に戻ることができます。そして、「失敗」や「つまずき」は、少しずつ「使える経験」へと姿を変えていきます。
変えられない過去を何度も振り返るか、これから変えられる未来に目を向けるか。その一言の違いが、否定になるか否かの境目なのです。
【感想】
◆冒頭でも触れたように、林さんの本は以前、こちらをご紹介したことがありました。
否定しない習慣
参考記事:【コミュニケーション】『否定しない習慣』林健太郎(2023年03月05日)
また、他の著者さんのコミュニケーション系の書籍を読んでも、いずれも基本的に「相手を否定すること」を禁じています。
当然そのことは理解していますし、自分自身は頭ごなしに否定をしないように心掛けているのですが、第1章からの上記ポイントの1番目にあるように「無意識に」と言われてしまうと、心もとない次第。
こういうのって多分、言ってる本人は「否定」じゃなくて「評価」なんですよね。
ただ、対象となる事象が「正しいか否か」ということではなくて、相手から見て「自分の意見に対して同意か不同意か」と言われた場合、「不同意」というのはイコール「否定」ということ。
それをストレートに伝えない方法を、本書は指南してくれるわけです。
◆続く第2章からは、本格的に「言い換え」の事例が多数登場。
各節ごとに扉ページに「NG例」と「言い換え」があるのですが、結局解説部分で両者がほぼ登場しているので、普段の「言い換え本」の記事なら掲載している、「NG例&言い換え」部分は割愛しました。
というわけで、第2章の舞台は「日常生活・家庭」です。
私も親として、子どもが小さい頃はグチグチ言ってましたし、逆に自分が子どもの頃は、親からとやかく言われていた記憶が。
ただ、親からガンガンに責められた際に、上記ポイントの2番目にある「気にかけてくれてありがとう」は、さすがに言ったことはありませんでした。
いえ、もちろん、言えたら素敵なんですけどね。
てか、私もうちの子どもから、そんな「人間でき過ぎ」なこと言われたら、「え? 大丈夫?」と心配しそうですが……。
◆一方第3章は職場が舞台。
これはもう、自分が上司として、いかに部下を否定しないでマネジメントしていくかがキモになってきます。
さっそくありがちなのが、上記ポイントの3番目の「部下がミスをしたとき」。
ちなみに扉のNG発言は
「なんでこんなこともできないの? 何度も注意したよね」なんですけど、これって今の時代だとパワハラではないでしょうか?
代わりに問うべきなのは「未来はどうするか?」ということ。
実はこちら、第5章から引用した、上記ポイントの5番目でも同じ趣旨のことが述べられています。
「変えられない過去を何度も振り返るか、これから変えられる未来に目を向けるか」という考え方は、まさにいい得て妙でしょう。
◆そして1つ戻った第4章から抜き出したのが、上記ポイントの4番目の「好みの評価」の話です。
ここにある「人それぞれだから否定はしないけど」というフレーズは、私もネットでよく目にしました。
かく言う私も、それに近いことはしていたかもしれないので、まったく他人事ではありません。
ちなみにこの場合の対処法は、「相手の好みを評価しないで、代わりに純粋な興味を向けること」だそう。
「○○が好きなんだね。どのへんがいいの?」。そう聞くだけで、相手は安心して話し始めます。なるほど、推し活している身としては大変勉強になりました。
そのあとで、「ちなみに、私は○○が好きでね」と自分の話を添えれば、会話は自然と開かれていきます。
知らぬまに否定しているかもしれない人に!

否定しない言い換え事典
第1章 「否定しない言い換え」の原則
第2章 日常生活・家庭での「否定しない言い換え」
第3章 職場での「否定しない言い換え」
第4章 「否定のタイプ」ごとの言い換え
第5章 否定しない「言い換え技法」
第6章 自分自身を「否定しない言い換え」
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【人を動かす】『神トーーク 「伝え方しだい」で人生は思い通り』星 渉(2020年01月15日)
【NG5選】『人を怒らせない話し方 46のルール』に学ぶ5つのNG(2016年04月12日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」からの、お買い得本はこちら!
くらべてわかる きのこ (原寸大)

工場萌え

サ道 心と体が「ととのう」サウナの心得 (講談社+α文庫)

陶淵明伝 (ちくま学芸文庫)

「今、ここ」から考える社会学 (ちくまプリマー新書)

ヒトと文明 ──狩猟採集民から現代を見る (ちくま新書)

学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす

はじめての明治史 ──東大駒場連続講義 (ちくまプリマー新書)

都市空間の明治維新 ──江戸から東京への大転換 (ちくま新書)

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縄文vs.弥生 ――先史時代を九つの視点で比較する (ちくま新書)

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根も葉もある植物のはなし その多様なすがた・かたちについて

マンガでわかる道徳 すぐできる ずっと役立つ 基礎・基本
相変わらず筑摩書房さんの作品が多めですが、『非認知能力が子どもを伸ばす』『世界最強組織のつくり方』『介護と相続、これでもめる!』辺りが、当ブログ向きではないでしょうか?
【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本 夏の超大セール 第1弾」の早川書房分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上 (ハヤカワ文庫SF)

自由と国家 上 繁栄する国 衰退する国 (ハヤカワ文庫NF)

ミステリで知る全米50州

トレーディング・ゲーム 天才トレーダーのクソったれ人生
ご参考になりましたら!
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