2026年06月06日
【繁盛の秘訣?】『飲食業界 成功する店 失敗する店』重野和稔

飲食業界 成功する店 失敗する店
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも人気の1冊。いつか起業して飲食店を開きたい方なら、要チェックの作品です。
アマゾンの内容紹介から。
独立して以来、国内外200店舗以上の飲食店プロデュース、運営管理などをまかされ、死屍累々の飲食業界で8割以上の高確率で繁盛店を作り続けてきた著者が、その経験から学んだ飲食店サバイバル&繁盛店づくりの極意を教えます!
飲食業に興味をもっている人や、飲食店を経営している人には必読の1冊です。
このKindle版は400円しませんから、値崩れしている中古よりもさらにお得です!

【ポイント】
■1.【失敗】半年で閉店、借金2億円!直営、プロデュース店あわせて200店舗以上に携わった今なら、開店前のマーケティングリサーチが重要ということは肌身でわかっています。 しかし当時は、「代官山駅から徒歩1分」という便利さのみに目を奪われ、なんのリサーチもせずに物件を見て、即決してしまいました。その結果、予想していた集客数にまったく届きませんでした。(中略)
実はこの物件を借りるに際し、アルバイトも含めスタッフが直接見に行ったのですが、全員が全員、「やめたほうがいい」「人なんて歩いてないですよ」と反対していたのです。でも私は、「青山だってそうでしょ。人は呼べばいいんだよ」と、みんなの意見に耳を貸そうともしませんでした。(中略)
銀行もバンバン融資してくれましたが、結局借金2億円を背負うことになり、ほかの直営店を巻き込まないよう、半年で閉店しました。
「恵比寿や中目黒に行かせない。代官山を起点に店舗展開を狙う。当社の勝負の店だ!」
と意気込んでいたのですが、立地のイメージだけで大型店がいけると売上高を試算し、コンセプトも地域の住民とまったく合致しない大失敗でした。
■2.どうして焼鳥屋は多いのか
ちなみに、景気にあまり左右されない飲食店の業態をあげるとすれば、焼鳥屋です。個人店の焼鳥屋は、家賃の高い一等地に出すのでなければ失敗する確率は低いといえるでしょう。
焼鳥は大人から子どもまで幅広い世代が好きですし、外国の方にもウケがよいです。高級焼鳥店は別として、焼鳥は単価も原価も安く、お店の敷居も低くて入りやすい。そして、お酒も出ます。さらに、テイクアウトの売り上げも見込めます。
小さい店なら本人が現場に入りながら切り盛りすれば、人を1、2人ほど雇えばすみますし、それが家族経営なら人件費も安くなり、潰れにくいのです。プロデュースした店でも、焼鳥屋の存続率は高いといえます。
とはいうものの競合店が多く、奥深い業態なので、素人がいきなり焼鳥屋を始めてもたいてい失敗します。現場での修行を積むことが必要でしょう。
■3.紹介・謝礼制度は効果的
学生アルバイトの場合、どうしても卒業間近になると辞めざるを得ませんが、気の利く人は後輩を紹介してくれます。また、よく働いてくれたバイトさんに「誰か、後釜いない?」と尋ねることもあります。
気が利く、仕事のできるバイトさんの後輩も同じように仕事ができる可能性が高く、身元もはっきりしているからです。
弊社では紹介制度を採用しており、次のバイトさんを紹介してくれると謝礼を払うようにしています。(中略)
紹介・謝礼制度によって、紹介者は被紹介者に気を配るようになり、結果として短期の離職が減る傾向にあります。
また、ウェブや情報誌などで新たに広告募集をかけるより、時間もお金もかからなくてすみます。外部にお金を支払うのであれば、スタッフにお金を支払うほうが喜んでもらえ、モチベーションも上がります。
■4.儲けにくい業種はカフェ
経験上、たとえ数字を管理しても儲けにくい業態はカフェです。商品単価が安いですし、お客様の回転が悪い。最近よくあるWi‐Fiと電源付きのカフェで、1杯350円のコーヒーで5時間粘る人もいます。
多くのお客様にきてほしいなら、人通りの多い立地に出店しなければなりませんが、家賃が高い。そこで、コーヒーなどのテイクアウトや、夜にお酒を飲ませて売り上げを上げる努力をしないといけません。
このような運営で、人を雇って店長に任せると経営的にかなり厳しいでしょう。結果として、オーナーが調理して接客もし、自分の給料は低くする、ということになりがちです。
個人でカフェをやりたがる人は多いのですが、よほどセンスのある人が商圏人口と家賃のバランスを見極めてやらないと、だいたい失敗します。
■5.万が一に備えてあらかじめ撤退のラインを決めておく
現在、飲食店の新規出店の6割が2年後に、8割が5年後には潰れています(東京23区内)。飲食業界は非常に厳しい競争(弱肉強食)の世界ですから、飲食店を始めるうえで、実は一番考えておかなければならないのが出口戦略です。
どのような経営状態になったら店を閉めるのか、ということです。たとえば、「赤字が〇か月続いたら撤退」とあらかじめ決めておくのです。
大手飲食店の場合はルールがしっかり決まっていて、だいたい3か月から6か月、赤字が連続したら撤退、もしくは業態変更を行うというケースが多いです。(中略)
自分の店には思い入れがありますから、赤字続きの経営でもつい無理をしがちです。銀行に毎月の返済ができない場合、消費者金融や街金(特定の地域のみで営業をしている中小の消費者金融)から借りて返済に充てたり、それでも返済が追いつかない場合は、違法な闇金に手を出してしまうこともあります。
【感想】
◆かつて当ブログが、勉強本や恋愛本ばかりご紹介していた時期があったことは、いにしえの読者さんならご存じでしょうけど、それよりさらに前には、本書のような起業を目的とした方が読むような食店本を、結構読んでいたワタクシ。かといって、特に起業したかったわけではなくて、純粋にビジネス書として面白かったからなんですが、最後にこの手の本を読んだのが、下記関連記事を見ると12年前という。
もちろんその後も、外食本やサイゼ本は時おり読んではいたものの、本書のようにお店として成功するか失敗するかの「結果」が出る本は興味が尽きません。
ちなみに本書がユニークなのは、著者の重野さんがコンサルないしは自分で立ち上げて失敗したケースと成功したケースが、同等に扱われていること。
普通は失敗だけ、もしくは成功だけ集めて、反対側を扱うにしても「コラム」として軽く触れる程度なところ、本書はガッツリ両方のケースを紹介しています。
たとえば第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目は失敗のケースですが、他にも全部のケースについて、その経緯と要因について分析されている次第。
なお、こちらは重野さんの直営店であり、この時のトラウマで、今でも車で近くを通ると気持ち悪くなるのだそうです。
◆続く第2章では様々なメニューを分析。
上記ポイントの2番目にあるように、焼鳥はかなり勝算の高いメニューなのだそうです。
そういえば鶏肉って、宗教的な縛りがありませんから、インバウンド客でも受け入れやすそうな?
ただし、コンサル先の焼鳥屋は売り上げが落ち気味だっため、そこに呼ばれた重野さんは名物メニューを考案し、起死回生に成功します。
ちなみにその名物メニューとは、かつて失敗した(そのいきさつも本書に詳しいです)商業施設の店で出していたもの。
やはり経験が豊富だと、打つ手も色々あるものですね。
◆一方第3章は人材がテーマであり、色々なスタッフが登場します。
中には失敗例として、売上金を盗むスタッフや、さらには横領どころか、信じられないような行為に及ぶ店長まで登場し、目がテンに。
そう考えると、上記ポイントの3番目にあるような「紹介制度」や、それに伴う「謝礼制度」はコスパが良いかもしれません。
ちなみにうちのムスコも、先にムスメがバイトしていたホテルで、「弟がバイト探してる」と口にしたところ結果的に採用に至っています。
この辺は、ムスメがきちんと働いていたのが大きかったからかもしれません。
◆さらに第4章では「コスト管理」という、やや小難しいテーマが扱われています。
原価率や回転数のような細かい話もある一方、聞き捨てならないのが、上記ポイントの4番目の「カフェNG」のお話。
結構独立したら、喫茶店やカフェをやりたいシニア層は多そうですけど、確かに時間制にでもしないとめちゃくちゃ回転悪そうです。
「ネカフェでもないのに、時間制?」と思われるかもしれませんが、実際に銀座にはこのようなお店もありまして。
“セルフサービス型”最先端時間制カフェ「タイム珈琲店 銀座店」OPEN!朝5:00まで営業 - ライブドアニュース
なお、上記ポイントの5番目の「撤退ライン」のお話も、この第4章からのもの。
23区内だと「新規出店の6割が2年後に、8割が5年後には潰れる」と聞くと、よほど勝算がない限り手をだしたくないような。
もっとも私の職場のある東銀座界隈は、行列店が山ほどあるので、こういうのを見ていると、勝負したくなる気も分からないでもないんですよね……。
飲食店に興味のある方なら、一読をオススメ!

飲食業界 成功する店 失敗する店
第1章 店舗コンセプトで決まる成功と失敗
第2章 メニューで決まる成功と失敗
第3章 人材で決まる成功と失敗
第4章 コスト管理で決まる成功と失敗
終 章 長続きする飲食店をめざして
【関連記事】
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「小さな飲食店 成功のバイブル」鬼頭宏昌(2007年02月06日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から、いつものようにお買い得作品をチェック!
死霊II (講談社文芸文庫)

イザベラ・バードの日本紀行 合本版 (講談社学術文庫)

興亡の世界史 アレクサンドロスの征服と神話 (講談社学術文庫)

維新の夢 ──渡辺京二コレクション1 史論 (ちくま学芸文庫)

社会学的想像力 (ちくま学芸文庫)

熱学思想の史的展開1 ──熱とエントロピー (ちくま学芸文庫)

呪われた部分 ──全般経済学試論・蕩尽 (ちくま学芸文庫)

喧嘩両成敗の誕生 (講談社選書メチエ)

創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで (講談社選書メチエ)

えーえんとくちから (ちくま文庫)

「読まなくてもいい本」の読書案内 ──知の最前線を5日間で探検する (ちくま文庫)

「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学 (講談社選書メチエ)

名作椅子の解体新書:見えない部分にこそ技術がある。名作たる理由が、分解する、剥がす、組み立てる、張り替えることで見えてくる!

「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる (ちくまプリマー新書)

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

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くらべてわかる 岩石

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この中では『「読まなくてもいい本」の読書案内』『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』『生成AIが変える未来』『韓国料理大全』が個人的に気になります!
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