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2026年06月05日

【W杯】『最高の景色 森保ジャパン集大成の挑戦』小宮良之


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最高の景色 森保ジャパン集大成の挑戦 (リベラル新書 014)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、個人的に読んでおきたかったサッカー本。

編集後記でこっそり取り上げていたのですが、結局読んでしまいました。

アマゾンの内容紹介から。
これまで何度もサッカー日本代表を取材し、世界のサッカーにも精通している気鋭のスポーツライター小宮良之氏が、日本代表の現在地と森保ジャパンが掲げる目標、W杯優勝=「最高の景色」の可能性について徹底検証。W杯で日本が勝つためのベストな戦い方を考察します。

中古が値下がりしていませんから、若干でもお得なKindle版をご検討ください!







【ポイント】

■1.合理的な4バックを推奨する
 あらためて、筆者は3バックよりも合理的な4バックを推奨したい。
 森保監督の3バック+ウィングバックは、多くの選手が本職ではないポジションを務めている。これは理にかなっていない。そもそも欧州の有力クラブで、このフォーメーションを使うチームは少数派。不可避な結果として、慣れないポジションを担当する歪みがある。今回のW杯、優勝候補国で3バックをメインに採用しているチームは1つもないのだ。
 森保監督としては、「日本人は(センターバックが) 3枚でないと守りきれない」というのが、3バックを選択する理由かもしれない。単純に3枚いたら1人はあまり、数的優位で対応できる。日本人はディフェンスとしてサイズ、パワーでやや劣るだけに、3人で守る方がカバーし合える理屈だろう。(中略)
 しかし、根本的に3バックの外側へのクロスを狙われると弱さが出るし、そこに本来アタッカーの選手が下がっても役に立たない。三笘や堂安がバックラインに下がるのが前程だったら、それが攻撃的編成になるなど、幻と言わざるを得ない。


■2.戦い方をアジャストさせる森保監督
 森保監督は35歳で現役を引退すると同時に、広島でコーチに転身している。それが2004年で、以降はチームの育成コーチ、U─20コーチ、トップチームのコーチ、アルビレックス新潟のコーチを歴任。10年近くもコーチを続け、2012年に広島へ戻ってペトロヴィッチの後任監督になっている。
 そこで、森保監督はコーチ畑をずっと歩んできた人特有のアレンジ力を見せた。コーチは監督に従いながら、フラットな目線で問題点を見つめ、必要なら修正を加えるのが仕事である。強いカリスマ性を発動するのではなく、合議の中で議題を収斂させ、最後は監督の決断を仰ぐわけだが、そのプロセスで赤ペン先生のように修正のプロになったのではないか。
 たとえば3バック+ウィングバックも、赤ペンを入れた結果と言えるかもしれない。「日本人は3人センターバックがいないと守り切れない」という用心と「ウィングは使いたいが、サイドを蓋したい」という打算の着地点を見出したのだ。結果的に攻撃的になることはあっても発想は「転ばぬ先の杖」なのだが……。


■3.オランダ代表監督・クーマンについて
 そんな調子なので、オランダ代表を率いるようになってからも斬新さは1つもない。そのプレーモデルはあまりに平凡。強度を保ちながら、効率を重視したチームである。オランダ伝統の4─3─3に有力選手を当て込んでいるが、ボールを持ったときのアイデアはほとんどなく、無理をせず守備を重んじたところの「負けにくさ」が、クーマンらしいと言えばクーマンらしい。
 W杯欧州予選では、ポーランドに2度引き分けた以外、全勝で勝ち上がっている。ポーランドがフィンランドに取りこぼしたことで、プレーオフに回ることになった。好意的な見方をすれば、オランダは平均的に、波がなく力を発揮できるチームと言える。(中略)
 ひょっとすると、クーマンは「石橋を叩いて渡る」森保一監督とどこか似ている。「いい守りがいい攻めを作り出す」という定石を守ることはできるし、その点でチームを大崩れさせるところは少ない。しかしスペクタクルはハナから捨て、堅い戦いを守っての「相手の良さを消す」じりじりした展開を得意としているのだ。
 そう考えると、戦力的にやや劣る日本がオランダに勝つシナリオは見つけにくい。


■4.チュニジア戦のキーマン・鎌田
 鎌田は過去の日本代表の選手たちと比べても傑出している。技術、体力、戦術に恵まれたコンプリートな選手と言える。華々しいファンタジスタとも言えるし、効率的なリンクマンとも言える。(中略)
「歩くように走る」
 そう言われる自然体が、鎌田の本性だろう(そこにふてぶてしい表情もあいまって、やる気がなさそうに見える)。現役ではクロアチア代表のルカ・モドリッチに近いかもしれない。時間を操り、空間を作る、という一流のボールプレーヤーだけが持つ戦術眼と創造性に恵まれている。ボールの置き所をわずかに変えるだけでプレーの選択肢を増やし、最善の判断ができるから受け手に余裕を与えられる。


■5.スウェーデンのエース・ヨケレス
 1─3で勝利したウクライナ戦の3点は、すべてヨケレスが絡んでいた。先制点はヨケレスがロングボールを収めた後、左サイドからのクロスを自ら沈めた。2点目もGKからのキックに誰よりも早く反応し、裏に抜け出すと、一人で決めてしまった。3点目は敵のバックパスをかっさらい、自陣から敵陣まで入り、GKに倒されてPK判定で、これも自ら決めた。
 3─2で勝利したポーランド戦も、ヨケレスが縦パスを受けたところ、ディフェンスラインを撹乱し、一度消えてからクロスからの先制点につながった。また、決勝点は劣勢ながら、終了間際に分厚い攻めを見せていたところ、最後はヨケレスが押し込んでいる。ストライカーとしてのパワーやうまさは、アーセナルで見せているように本物だ。


【感想】

◆なかなか読みやすい作品でした。

1つには、著者の小宮さんが、小難しいサッカーの専門用語を極力避けているからかと。

専門用語とは、具体的には「5レーン」「ハーフスペース」「ネガトラ」等々で、小宮さんいわく「本書であえて用いていないのは、知らない人には何のことかわからない言葉の数々だから」とのこと。

これはワールドカップを控えて、予習でもしようか、というライト層には良い心遣いだと思います。

一方で残念だったのが、上記ポイントの1番目でも三笘選手の名前が出てきているように、最終的に選ばれなかったメンバーも登場してしまうこと。

本書を読むと明らかになるのですが、スウェーデンの出場が決まってから、内容を加筆・修正したそうなので、4月中には書きあがっていたのではないでしょうか。

すると当然、5月半ばの代表発表の結果は反映させられず、三笘選手以外にも「いて当然」とばかりにフォーメーション表にも名を連ねている人がいる次第……。


◆そこで上記ポイントでは、基本的に問題がない部分を抜き出しております。

たとえば上記ポイントの1番目のフォーメーション。

こちら森保監督は「3バック+ウィングバック」がトレードマークなのですが、小宮さんはあまり評価していません。

結局ここ数年は、このフォーメーションで通していますが、いざ大会が始まったら、実際に4バックにするかもしれませんし、場合によっては試合の途中で変えてくるかも!?

実際、ウィングバックを担当した三笘選手がいない以上、何が起きても不思議ではないかと。


◆同じく上記ポイントの2番目でも、森保監督についての分析が登場。

その過去の経歴から、相手の出方を受けて、修正する、というスタイルが得意なのでは、と言われています。

これはかつての「俺たちのサッカー」とは一線を画すものですが、それが結果につながっているのが、前回大会でのドイツ戦、スペイン戦等々。

逆に相手が引きこもって、ボールを持たされてしまうと、打つ手がなくなるの問題は、現状解決していません。

個人で打開できる数少ない選手だった、三笘選手を欠いてしまっていますから、何かしらの「秘策」を期待したいところです。


◆一方第4章では、グループリーグ3試合の展望が登場。

初戦であるオランダ戦のパートでは、上記ポイントの3番目のクーマン監督の部分を抜き出してみました。

あのバルサの監督時代に「攻撃こそ防御なり」の継承を否定したくらいですから、かなりの現実主義のよう(知りませんでした)。

なるほど、森保監督と似たタイプとなると、個々の選手の質の差で、日本が不利なのは否めません。

結果、小宮さんはオランダ戦は「引き分けで上々」と言われており、なるほどその通りでしょう。


◆続くチュニジア戦は、勝つ前提で話が進んでおり、そのキーマンの1人が、上記ポイントの4番目の鎌田選手です。

確かに今回、エースの三笘選手がいないのは痛いですが、ある意味使われる側の選手だけに、代わりがいないわけではありません(中村選手とか)。

逆に鎌田選手は使う側の選手であり、いなくなられると戦術ごと修正が必要でしょうから、このまま怪我無く大会を迎えて欲しいところ。

そして最後のスウェーデン戦には、上記ポイントの5番目で触れているヨケレス選手(アーセナルの試合では「ギョケレス」呼びの方が多いような?)が、相手のキーマンでしょう。

日本代表が苦手なゴリゴリ系の肉体派フォワードだけに、日本のDF陣も苦戦しそうです。

……いやー、こうなってくると、スポルディングでチームメイトだった守田選手がいないのが、ますます痛い気が。

グループリーグ以降のお話も載っていますが、とりあえずここを突破しないといけませんから(鼻息)!


ワールドカップ前に一読をオススメ!

4434376985
最高の景色 森保ジャパン集大成の挑戦 (リベラル新書 014)
第1章 森保ジャパンはW杯で優勝できるのか?
第2章 クロアチア戦の検証と仮説
第3章 森保監督のリーダーの資質
第4章 グループステージの戦い方
第5章 決勝トーナメントの秘策


【関連記事】

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【サッカー】『信じよ! 日本が世界一になるために必要なこと』イビチャ・オシム(2014年05月27日)

【対ベルギー戦直前!】『日本代表がW杯で優勝する日』中西哲生(2013年11月19日)


【編集後記】

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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