2026年05月22日
【認知症対応】『認知症の人の「かたくなな気持ち」が驚くほどすーっと穏やかになる接し方』藤原るか,坂本孝輔

認知症の人の「かたくなな気持ち」が驚くほどすーっと穏やかになる接し方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも、個人的に気になっていた1冊。このブログでも何度か触れていますように、私の母も認知症ゆえ、色々と学びが多かったです。
アマゾンの内容紹介から。
家族が認知症だとわかり、いざ介護が始まったとき。悩まされるのが、認知症の人の「かたくなさ」。何かと「したくない」としぶる。妙なことにこだわり、聞く耳をもたない。一度機嫌を損ねるとなかなか直らない……。頑固になる、怒りっぽくなる、「介護拒否」をする。
「もっと素直になってくれたら、ずっと介護がラクになるのに」──けれども、当人には当人なりの理由や道理がある。それを理解し受けとめると、驚くほどすーっと穏やかになってくれる。反対に、こちらの接し方で、かたくなにさせてしまっていることも。
かたや訪問介護ヘルパーとして、かたやデイサービスの経営者として、「認知症対応の手練れ」である2人がタッグを組む本書。どう接すれば、認知症の人の気持ちを逆なでせず、日々穏やかに過ごしてもらえるか。現場に根ざしたノウハウを提供する。すぐに使えて、介護がラクになる!現役のデイサービス介護士による「認知症介護あるある」マンガも掲載。
お値段ワンコイン以下の月替わりセールの中では数少ない単行本ゆえ、このKindle版が1000円以上お求めやすくなっています!

【ポイント】
■1.認知症の人にとって「いい人」になる方法ではどうしたら、認知症の人にとって「いい人」になれるのか。私が観察した結果、達人は下記のような「しない」ことがあるのに気づきました。・本人に欠点を指摘しないこれらの逆、つまり「本人に欠点を指摘する」「否定的な態度をとる」といったことをしてしまうと、認知症の人に「いやな人」という印象を与えることになります。
・否定的な態度をとらない
・求められていないのに助言やアドバイスをしない
・本人の前で悲観的な態度をとらない(もうだめ、無理など)
・議論して相手を言い負かそうとしない
・手柄を主張しない(それは私がしてあげたということを言わない)
・相手を見下ろして話さない(目線を合わせて話しかける)
■2.認知症を正しく理解するとイライラが減る
ゴミは決まった日に出す、洋服はたたむ、夜は寝る、時間は守る、約束を忘れない、世話になったらお礼を言う、間違えたら謝る……。こうしたことを、認知症でない私たちは日々、当たり前のようにこなしています。当たり前すぎて、それができないことの想像がつきません。
けれども、決して「当たり前」ではありません。脳の認知機能が正常に働いてくれているおかげで、適切に判断・行動できているのです。ほんの少し認知機能に不具合が生じるだけで、今まで当たり前にできていたことができなくなってしまいます。
認知症の人は「非常識になった」わけではなく、今まで正常に働いていた認知機能が、今まで通りの働きをできなくなっただけ。本人にとってはやむを得ないふるまいなのだ──。
これがわかれば、「なんでこんなことするの」というのがなくなり、カッカせずに穏やかに接することができるのではないでしょうか。
■3.繰り返しの話の対応法
同じ話でもご本人がご機嫌で繰り返すお話なら、「すごいね〜」「楽しかったのね〜」といったんは受けとめ、あとは適当な頃合いで切り上げてしまっても大丈夫です。
「さて、そろそろ〇〇手伝ってくれる?」とか「あら、大変もうこんな時間」と言いながら、「2階に洗濯物を干してくるから、待っていてくれる?」等、できるだけ具体的にイメージできる提案を持ちかけるといいでしょう。(中略)
しかし、マイナスな話の場合は、なかなかタイミングを計ることが難しく、下手な切り上げ方をすると、「ないがしろにされている」とか「話してもわかってもらえない」といった感情から、不信感やうつ症状につながる危険性があります。
この際には、「大変だったのね」「今は○○だから大丈夫よ」と、まずは相手のつらい気持ちをねぎらう言葉をかけます。そして、相手に許可を取るような気持ちで、「申し訳ないんだけど、〇〇に行かないと」とか「ごめんね、〇〇しないといけないのよ」と、やはり具体的なことをあげて話を切り替えてみると、角が立たないようです。
■4.便利なもの、安全なものより「使い慣れたもの」
生活に新しいもの、便利と言われているものを取り入れたとき、逆に「覚えられない」「使えない」「できない」ことが表面化して、ご本人が自信を失うきっかけになりかねません。たった「電化製品の交換」が、です。
ポット以外にも電子レンジ、炊飯器や洗濯機などがあります。新しいものを購入する際に、ご家族から相談があった場合は、「できるだけ、これまでと同じものを購入してください」とお伝えしています。(中略)
実は君江さんの場合、ポットのスイッチの位置が違っただけで、「お湯が沸かない→お茶などの水分が取れない→脱水症・熱中症→入院」となりました。
入院まで行くのは、実際はポットだけの問題ではないものの、認知症の症状のある方は、少しの変化にも対応できない傾向が見られます。現場では「使い慣れているものを」が、合い言葉です。
■5.「自分の物を盗んだ」と疑われる
坂本 被害妄想は認知症介護でとくに困る症状のひとつです。その大きな原因には「心がヒマな状態である」ことがあります。
何の役割も先の予定もなく、刺激のない日常を過ごしている人は、他に考えることがなく、先の心配事や過去のいやなことばかり思い出します。ただでさえ不安を抱えやすい、認知症の人の頭の中は心配事100%になる……。これが被害妄想のもとです。
逆に、カレンダーに予定が書き込まれ、いつも誰かに頼られる役割を持つようになると、被害妄想は減っていきます。「頼られてばかりで困っちゃうわ♪」と、本人にとって心地良い忙しさをつくることは、被害妄想の防止に効果的です。(中略)
藤原 深い猜疑心がある方は、「あった!」と探し物を先に見つけても、「あなたが隠したのだから探せるはず」などと言われかねないので、あくまでご本人が見つけたという形をヘルパーは演出しています。
ご家族にこれをお願いするのは大変なこととわかってはいますが、ご本人のプライドを傷つけない対応が大事なのです。
【感想】
◆最初から最後まで私にとって「あるある」の連続でした。ただ逆に、家族や身の回りに認知症の人がいないと、何もピンと来ないのかもしれません。
そういう私も5年ほど前までは、言葉として「認知症」なるものは知っていても、それは漠然とした知識であり、今になって思えば何も分かってはいませんでした。
また、私の母の場合、元から「おっちょこちょい」「ボケ」キャラだったため、なおさら異変に気が付くのに遅れた感が無きにしもあらず。
そもそも最初におかしいと思ったのは、母と待ち合わせをして、非常に待たされたときのことでした。
当時の母の自宅(現在は私と同じマンションの別の部屋に住まわせてます)の最寄り駅から。同じ路線の私の事務所の最寄り駅で待ち合わせをしたのに、「今から出るね」と電話をもらった直後に、まさかの反対方向の地下鉄に乗った上に、ぐるっと迂回して、以前待ち合わせしたことのある、銀座三越で待っていたとは……。
しかも本人は、私に言われるまで「三越で待ち合わせした」と固く信じており、しかたなく私が三越まで出向いた際も、まったく悪びれた様子はありませんでした。
◆この時は、「母さんがまたボケかました」と思いつつも、さすがにこれは変だな、と。
実は後になって私の妹から聞いたのですが、この件の前まで、母は仲のいい友人たちと毎年海外旅行に行っていたのですが、旅先で自分のアクセサリーが見当たらなくなり、お友達の1人に「あなたが取ったんでしょう」と責めたため、「もう一緒に旅行に行けない」と絶交されていたのでした。
さすがにこれは「ボケ」とは違うものの、旅先で友人にそんなことを言うなんて、普通の人がすることではありません。
ただ、それもこれも「典型的な症状だから」のひと言で、すべて説明がついてしまうのが、認知症の怖いところ。
しかも現在もデイサービス先で、母は別の利用者さんに「時計を盗られた」と信じているらしく、その人と同じテーブルにならないよう、職員さんが気を遣っているそうです(すいません)。
◆そしてこんな「絵にかいたような認知症患者」である母に対して、私は上記ポイントの1番目の「『しない』こと」が守れておらず。
「議論」というほどのものではないですが、相手がむちゃくちゃなことを言ってくるのに対して、「はい、そうですね」と事実を曲げて受け入れられるほど人間ができてないので、つい正論を言って言い合いになってしまいます。
たとえば一週間前に届いた宅配弁当の食べ残しは、たとえ「冷蔵庫に入ってるから大丈夫」と言われても、捨てなきゃダメじゃないですか……。
しかし、こんな「当たり前」なことも分からないのが認知症である、と私自身が理解して受け入れれば、イライラが減る、と諭しているのが、上記ポイントの2番目。
ただ、色んなできないことは別にいいんですけど、「これこれだから、こうしようね」ということに対して、素直に受け入れずに反論したり従わないので、疲れてしまうんですよね。
しまいには逆ギレして「ハイハイ、分かりました!」と大声で言われてしまうと、子としても情けなくなってしまいます。
◆また、ほかにも疲れてしまう理由の1つが、上記ポイントの3番目にある「繰り返しの話」。
普段自宅に母を呼んで夕飯を一緒にとっているときは、あまりしないのですが、たまに母と二人の夕食の時は、同じ昔話の連続です。
ただ昔話を何度もするのは、まだ実害がないですが、昔の知り合いに何人も電話して、3年前の自分の怪我の「お見舞いに来てもらう」というのは、単に呼びつけているに過ぎません。
母の中では「来てもらって当然」となってますし、相手も「顔出さないのも悪いから」で、結局ご足労頂いた方が何人もいらっしゃいました。
一方、上記ポイントの4番目の「使い慣れたもの」は、母で言うならスマホがそう。
いい加減電池が劣化気味なので買い換えたいのですが、どうもまったく同じ機種はもうないようで、かといってもっと症状が悪化してから、新しい機種で使えるのかが疑問です。
また、耳が遠い母のために、こういうテレビ用手元スピーカーを買った(前の自宅では、テレビの音でお隣さんから何度もクレームが管理人室にありました)のですが、しょっちゅう「音がしなくなった」と言われます。

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使い慣れる以前に、初めて使うものに対しては、何度教えてもすぐ忘れてしまうんですよね。
◆なお、第3章では、本書の共著者のお二人が、「ケース別接し方」と称して質問に対して回答する仕様。
上記ポイントの5番目がこの第3章からで、引用内にお名前があるように、介護指導者・介護福祉士の坂本さんと、ホームヘルパーの藤原さんが、それぞれ回答されています。
なお、上記で母の話を出しましたが、この「盗られた」系の「被害妄想」は、認知症ではよくある話のようで、以前レビューした介護本でも、「盗ったでしょ」と身内を責めるケースが紹介されていました。

しなくていい介護 「引き算」と「手抜き」で乗り切る (朝日新書)
参考記事:【介護】『しなくていい介護 「引き算」と「手抜き」で乗り切る』旦木瑞穂(2026年03月06日)
対策については、母はエクストラフィーを払って、デイサービスの日程を詰め込んで、それ以外の日に訪問看護に来てもらっているので、これ以上の予定は増やせなさそうです(そもそも今はデイサービスで「盗まれた」と思ってますし)。
ただ、探すときに「本人が見つけた形にする」というのは、なるほど良い手だな、と。
認知症を理解し、正しく対応するために読むべし!

認知症の人の「かたくなな気持ち」が驚くほどすーっと穏やかになる接し方
第1章 認知症の人が「かたくな」になるのには、理由がある
第2章 スーパー介護ヘルパー流!認知症の人が驚くほど穏やかになる接し方
第3章 こんなときどうすればいい?ケース別接し方
【関連記事】
【介護】『しなくていい介護 「引き算」と「手抜き」で乗り切る』旦木瑞穂(2026年03月06日)【中高年必読?】『老後は要領 孤立しないで自立する』和田秀樹(2021年10月31日)
【老後指南?】『不安と折り合いをつけて うまいこと老いる生き方』中村恒子,奥田弘美 (2021年11月11日)
【中高年必読?】『「老年幸福学」研究が教える 60歳から幸せが続く人の共通点』前野隆司,菅原育子(2023年08月11日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から、お買い得本をご紹介!
既婚メス力

ソロ登山の教科書

おひとり ソウルガイド

「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略 やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法

IELTS語彙文法でる500問 Target7.0
今日は昨日とは一転してUnlimited作品が多かった(12/20)のですが、『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略』は当ブログ向きだと思います!
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