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2026年05月19日

【池上流ブックガイド】『知の本棚』池上 彰


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知の本棚 (新潮新書 1123)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて人気の高かったブックガイド。

おなじみ池上 彰さんが、豊富な読書量に基づくオススメ本を紹介下さっています。

アマゾンの内容紹介から。
本を読んだほうがいい。――そう思ってはいても、忙しさから書店に足を運ぶことのできない人、数多並ぶ本の中からどれを読めばよいかわからないという人は多い。ジャーナリストとして多忙を極める日々の中でも長年、読書習慣を続け、「書籍こそ実は“タイパ”がいい」「脳を鍛えることができる」と説く著者が、15年にわたり読んできた本の中から、自身の情報源ともなった「精鋭」たちを紹介する。

まだ中古も値崩れしていませんから、私はいつものようにKindle版にて読了しました!






【ポイント】

■1.米大統領選で「武器」になったデータ
 破天荒な言動が目立つトランプ大統領ですが、熱狂的な支持者が多数います。こうした支持者を獲得できたことが、第一次トランプ政権の成立、すなわち2016年の選挙での勝利にもつながったわけですが、それはどうして可能だったのか。
 2016年の選挙が終わった後、実は多くのアメリカ国民の心がハッキングされていたという衝撃の事実が明らかになりました。イギリスのケンブリッジ・アナリティカという会社(ケンブリッジ大学とは無関係)が、フェイスブック(現メタ)から大量の利用者のデータを買い取り、トランプ陣営の勝利のために使っていたというのです。
 事態が明るみに出た後、フェイスブックのザッカーバーグ会長は利用者のデータを今後は外部に提供しないことを約束しましたが、時すでに遅し。トランプ大統領が誕生してしまったのです。

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マインドハッキング: あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア


■2.大企業の「失敗」に学ぶ
 東芝は、会長と社長が対立するという異常な状態の中で、業績を上げなければならないというプレッシャーが、部下に対して「チャレンジ」を求める結果になりました。
「業績を改善するためにチャレンジしろ」と命じられた部下は困ります。あの手この手で損失を小さく見せるべく奮闘。業績向上のための努力ではなく、業績向上に見せかけるための努力。情けないことです。
 共同通信社とテレビ朝日で経済事件を取材してきた著者は、事件をこう総括します。
「想定外の出来事と個性的な社長のプライドが原因となった、日本を代表する大企業の不正会計問題。「 上司に逆らえない風土」 の組織しかない日本社会では、すべてのサラリーマンにとって明日は我が身の問題だ」

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会社はいつ道を踏み外すのか 経済事件10の深層 (新潮新書)


■3.「多様性ある組織」の実例に見るメリットとは
 多様性が大事だ。最近しきりに言われることです。でも、実際のところ多様性があると、どんなメリットがあるのでしょうか。
 そんな疑問に、豊富な具体例で答えている本です。(中略)
 第二次世界大戦中、イギリスはドイツの暗号「エニグマ」の解読に手を焼いていました。そこで投入されたのが、数学の専門家の男性ばかりでなく、クロスワードパズルの好きな女性など多様な人材でした。女性たちは、ドイツの暗号制作者たちが、キーワードに恋人の名前を使っていたのではないかと仮説を立て、「ローザ」という女性名が使われていることを突き止めます。暗号解読の突破口を見つけたのです。

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多様性の科学


■4.ジェンダーバイアスが経済に与える影響
 なんだか長い題名ですが、これはジェンダーバイアス(性による偏見)が、いかに経済に悪影響を及ぼしてきたかという実証です。
 ジェンダーバイアスはいけないこと。日本はこの面で遅れている。この点に関しては、ようやく社会で認識されるようになりましたが、本書を読むと、無意識の偏見が経済の発展にマイナスになってきた歴史がわかります。
 たとえば、いまや多くの人が使うようになったキャスターつきのスーツケース。重い荷物でも楽に運べますよね。このアイデアがアメリカで特許として認められたのは1972年のことでした。それなのに普及するのに時間がかかったのは、なぜなのか。重いスーツケースは女性が運ぶものではなく、マッチョな男が運ぶもの。女性は男の後からついていけばいいという固定観念があったからです。

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これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話: イノベーションとジェンダー


■5.アメリカ国民四半分の信仰を理解する
 アメリカの国民の約4分の1は、聖書の内容を一字一句真実だと信じている福音派だと聞くと、科学的なものの見方を教育された私たちには信じられないのですが、事実なのですね。
 アメリカでトランプ大統領が誕生したのは、福音派の支持があったからと言われます。あまり敬虔には見えないトランプ氏を、なぜ敬虔な福音派の人たちは応援したのか。そこには「世界が終末を迎え、イエスの再臨も近い」と信じる人たちにとって、LGBTQという性の多様性を認めようとしている人たちは「サタン」であり、それを阻止するためにトランプ氏のもとに結集したことがわかります。
 科学的知識を持った知的エリートたちが、非科学的なことを信じる福音派を上から目線でバカにする。それに猛然と反発する福音派の人たちが、メガチャーチと呼ばれる巨大教会でのミサで信仰心を高める日々。日本にいると理解できない福音派について、その成り立ちから解説してくれる書です。

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福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会 (中公新書 2873)


【感想】

◆さすが池上さん、と言わざるを得ないセレクトでした。

一応、下記目次にもあるように、全部で5つの章で構成されており、各章ごとにテーマが定められている仕様。

なお、具体的な作品名については、版元サイトのページに全部列挙されているので、興味のある方はご確認ください(「目次」欄参照のこと)。

『知の本棚』 池上彰 | 新潮社

本書の特徴として挙げられるのが、この手のブックガイドにありがちな、いわゆる「古典」がないこと。

おかげで他のブックガイドとかぶりまくることもないのが、ありがたかったです。

もっとも、表紙のコピーにもあるように「脳をアップデート」するのであれば、比較的新しい作品が中心なのも当然ですか。


◆さて、第1章は「世界」がテーマであり、章ごとで見た場合に最多の20冊が収録されています。

中国に始まり、中東、アメリカ、ロシア、韓国、北朝鮮等々、押さえておくべき国々が多々。

そして上記ポイントの1番目に登場する「ケンブリッジ・アナリティカ」が暗躍したのは、第一次トランプ政権誕生の時でしたか。

それからずいぶん経っていますし、日本でも広告代理店(やその子会社等)が、ビジネスとしていてもおかしくはありません。

……実際に今話題になっているのは、もうちょっとプリミティブな中傷動画だったりしてますけど。

逆に第2章は「社会」がテーマなのですが、7冊しか選ばれていなかったので、割愛しました。


◆一方第3章は、「仕事・組織・リーダー論」という当ブログ向きのテーマです。

上記ポイントの2番目は、ここから抜き出したもので、取り上げられている『会社はいつ道を踏み外すのか』も、発売当時に当ブログでレビューしてもおかしくなかったもの。

ここでは東芝の部分を引用しましたけど、オリンパスの粉飾決算にも触れられていました。

また、同じ第3章からの上記ポイントの3番目の『多様性の科学』も、個人的に面白かったので、この手の作品がお好きな方にはオススメ。

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多様性の科学

参考記事:【多様性?】『多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織』マシュー・サイド(2022年08月06日)

実は「エニグマ」のエピソードも、上記のレビューでも触れていました。

今般、池上さんのお墨付きとなりましたから、まだの方はぜひご検討ください。


◆さらに第4章も「自分の頭でよく考える」という章題ゆえ、思考術好きの当ブログとしては、押さえるべき章でした。

上記ポイントの4番目の『これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話』は、サブタイトルの「イノベーションとジェンダー」の方が、本の内容を表しているらしく。

なるほど、「キャスターつきのスーツケース」がなかなか普及しなかった裏に、そんなジェンダーバイアスがあったとは知りませんでした。

他にもガソリン自動車が普及したのに、電気自動車の発展が遅れたのもジェンダーバイアスのせいとのこと。

かつてガソリン自動車は、エンジンをスタートさせるのに大変な手間と力が必要だったのに対して、電気自動車は排気ガスを出すこともなく快適だったのだとか。

しかし快適であるがゆえ『女性の乗り物』というイメージが付き、かつては女性の社会進出が進んでいなかったため、電気自動車が売れなかったのだそうです。

……てっきり電池ですとか、技術的な問題だと思っていたワタクシ。


◆最後の第5章は「ベストセラー」がテーマということで、今回割愛しましたが、当ブログでもレビューしたこの本も選ばれていました。

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FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

参考記事:【思い込み?】『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロンランド(2019年01月02日)

さすがに洋書でありながら国内でミリオン突破してたら、選ばれてもしかるべきかと。

一方、上記ポイントの5番目で引用した『福音派』は、そこまで売れてはいないでしょうけど、現在のトランプ大統領の立ち位置を考えるに、非常に大事なお話が詰まった作品のようです。

引用内でも言及されているように、「日本にいると理解できない」のが「福音派」とも言えそうな。

いずれにせよ、本書で紹介された作品を、全部は無理でも機会を見て、少しずつ消化していきたいと思いました。


池上さんのオススメ作品をぜひ!

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知の本棚(新潮新書)
第1章 世界の変化を素早くつかむ
第2章 社会を大きく俯瞰でとらえる
第3章 仕事・組織・リーダー論
第4章 自分の頭でよく考える
第5章 ベストセラーには気づきがある


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【良書満載!】『答えはすべて本に書いてある』から選んだ本10冊(2015年04月22日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から、お買い得作品をセレクト!

B0D62BFSS4
おひとりホテルガイド

B0D7V5P84R
もう二度と見ることができない幻の名作レトロ建築 (扶桑社BOOKS)

B0D9JKMCK9
テーマ別だから日本の今がしっかり見える 日本近・現代史

B0D9VGJ4XQ
A22 地球の歩き方 バルセロナ&近郊の町 イビサ島/マヨルカ島 2025〜2026

B0DB474RK8
はじまりの谷

B0DBP3FRL6
日記の練習

B0DC6GJHLV
アニメーション制作技法 -『4701白鯨』を創る- 復刻版

今日もまたUnlimited対象作品が多かったのですが、それに加えて当ブログ向きと言えるものは、残念ながらないような……。


【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle本読書強化週間フェア [趣味・実用]」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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戦略的暇

参考記事:【デジタルデトックス】『戦略的暇』森下彰大(2025年08月01日)

B0FZX25FDT
CHANCE チャンス 文庫版

B0DYNRCZVT
大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!

B0DY1RQ21R
結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ

ご参考になりましたら!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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