2026年05月14日
【お金】『増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」』横田健一

増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWA 文芸&実用書フェア 頂 2026」において個人的に気になっていたお金本。私自身がモロに当てはまるお年頃なので、さっそく読んでみました。
アマゾンの内容紹介から。
60歳になったら待ったなし!老後のお金の悩み解決します
「貯蓄から投資へ」の掛け声に乗って投資を始めたばかりの人もいれば、長年投資を続けている自称セミプロ投資家も多いシニア世代。しかし、働いて得られる収入も目減りしていく60代に入れば、これまで同様貯めて増やすことばかり志向するのではなく、蓄えを使うことも考えていかなければならなくなります。貯め方・増やし方を指南する情報はあふれていますが、上手な使い方・取り崩し方はわからないという人が大半ではないでしょうか。そこで、働き盛りを過ぎた60代に向け、これからの運用法、賢い年金の受け取り方や、資産を長生きさせる取り崩し方のベストバランス=「賢いお金の回し方」を、<ライフプランニング>と<投資>の双方に精通する著者が指南します。
中古が全く値下がりしていないため、このKindle版が800円以上お買い得です!

【ポイント】
■1.お金だけでなく金融リテラシーも大事MUFG資産形成研究所が、金融リテラシーと保有資産別の満足度を調査したデータがあります。金融リテラシーとは金融についての知識のことです。この調査でわかったのは、経済的な満足度はお金をたくさん持っているかどうかだけで決まるわけではない、ということです(MUFG資産形成研究所「フィナンシャル・ウェルビーイングと金融リテラシーとの関係」〈2023年9月〉)。
多くの資産を持っている人ほど満足度が高いように思いますが、実はそうでもありません。この調査によると、まず、金融リテラシーが低い人はリテラシーが高い人に比べて現在満足度が低いことがわかりました。たとえば保有資産3000万円以上で金融リテラシーが低い人は、資産1000万円未満で金融リテラシーが高い人と現在満足度が同程度となっています。
つまり、資産の多寡だけでなく、金融リテラシーの高さも、満足度に与える影響が大きいのです。
■2.年金の裏技・繰り上げ受給して運用する
私自身は、繰り上げ受給を有力な選択肢として考えています。前述したようなメリットがあるのに加えて、「運用すれば増やせる」と思っているからです。
65歳から受け取る場合の年金額を100万円とすると、60歳繰り上げ受給では76万円に減り、70歳繰り下げ受給では142万円、75歳受給では184万円に増えます。
その年金額に運用益(運用で得る利益)を加えるとどうなるでしょうか。(中略)
たとえば60歳から繰り上げ受給し、これを全額、年6%で運用した場合、65歳時には年金額(累計)と運用益の合計が530万円、70歳時には1138万円に増えています。
65歳から受給を開始し、同じく全額を年6%で運用すると、70歳には698万円です。
つまり、繰り上げで年金額が少なくなっても、それを運用することで資産を増やすことができるというわけです。それは、早く受け取る分、運用できる期間が得られるためです。
■3.引退後は配偶者や子の健康保険に入れてもらう手も
まずは、公的医療保険制度について押さえておきましょう。
会社員の方は健康保険に加入していますが、退職後は、一般的に前職の健康保険を任意で継続(最長2年)するか、お住まいの自治体の国民健康保険に加入します。いずれも保険料は全額自己負担です。
配偶者が現役の会社員または同居する子どもが会社員の場合には、家族の被扶養者として加入している健康保険に入れてもらうこともできます。
「妻(夫)や子どもの扶養に入るなんてメンツが立たない」と話す方もいますが、せっかくの権利ですし、リタイアして収入がなくなった状況で保険料を払うより、保険料負担なしで被扶養者になった方が断然お得です。
■4.銀行・証券会社の退職金向けプランは要注意
銀行などでは、退職金を受け取った方向けの商品や運用プランを用意している例があります。電話などで勧誘されるケースもありますが、ほとんどの場合は検討に値しません。
よくあるプランは、1000万円を預けると半分の500万円は高金利の定期預金に預けることができ、残り500万円は銀行が選定した数本の投資信託の中からいずれかを購入する、あるいは外貨預金に預けるというものです。
定期預金が1%といわれると魅力を感じてしまいそうですが、実は3カ月または6カ月しか適用されないケースがほとんどです。
また対象となる投資信託は販売手数料が3%、信託報酬2%など、コストが高いものばかり。販売手数料を払ったら、3カ月1%の金利など、すぐに吹き飛んでしまいます。
さらに高金利が適用される期間が終わると、「定期預金が満期を迎えますので500万円で投資信託を追加購入しませんか」、などと提案されることもあります。いうまでもありませんが、そのようなプランや勧誘には絶対に乗ってはいけません。投資をするなら、手数料の安い世界株ファンドを買えばいいのです。そもそも数百万円ものお金を一気に投資するよう勧めてくるのも考えものです。
■5.専業主婦もiDeCo加入にメリットあり
専業主婦や専業主夫の方でもiDeCoに加入でき、毎月5000円以上、最大で年2万3000円まで掛金を拠出できます。所得税を負担していない専業主婦の方は所得控除が利用できないため、iDeCoをやっても意味がないという声もありますが、そうとは限りません。
運用益が非課税になるメリットは受けられますし、いずれ仕事をはじめる方ならほかにも利点があります。iDeCoに加入しておけば、退職所得控除の加入期間として年数が加算されていくことです。
55歳から会社員復帰して65歳まで働く場合、55歳にiDeCoに加入すると10年間の退職所得控除は400万円ですが、45歳から加入しておけば、加入期間は20年となり、退職所得控除額は800万円となります。
退職所得控除を大きくするために、掛金の下限である月額5000円だけでも加入しておくという選択肢もあるでしょう。
【感想】
◆本書はアラ還世代の方にとっては、なかなか有益な情報が紹介されている作品だと思います。もちろん株式投資関係については、「インデックス」「オルカン」と全世代共通の手法が展開されてはいるのですが、上記ポイントでは、あえてそれ以外の「本書ならでは」なTIPSを選んでみた次第。
たとえば序章から引用した上記ポイントの1番目のお話は、私自身「秘孔を突かれた」気分になりました。
何せ今まで、こういった金融リテラシーネタは、私自身学んできませんでしたし、当ブログでも以前は関係書籍をレビューするのを避けていたくらいです。
それが何とまぁ、お金にして2000万円以上の満足度に相当するのだとは……。
つまり今から金融リテラシーを高めて投資して、たとえ2000万円失ったとしても、同じということですよね(違います)。
◆続く第1章では年金と退職金がテーマ。
上記ポイントの2番目では、年金の繰り上げ受給についての意外な指摘がされています。
一般的には、むしろ繰り下げ受給をすることで、年金の総額を増やす(ただし、早く亡くなると総額が減る)という選択肢が検討されることが多いのですが、本書では逆。
それはひとえに「運用した方が増やせる」という本書のスタンスによるもので、たとえ繰り上げても、かつての私のように運用しなかったら損でしょう。
ちなみに引用内の「前述のようなメリット」の1つとして挙げられていたのですが、配偶者がもらえる遺族年金は、本人が生前繰り上げ受給をしていても、減らないのだそうです。
これはちょっと覚えておきたいところ。
◆一方第2章では、支出についての言及がなされいます。
上記ポイントの3番目の健康保険は、確かに「恥を忍んで」でもお得ですしやるべき!
「……私ももしかしてヨメの勤務先ので?」と思って調べたら、所得制限で全然ダメでしたけど(当たり前)。
また、割愛しましたが、住宅ローンを無理に繰り上げ返済する必要がない、と言われている理由の1つが「団体信用生命保険」の存在で、この本でも言われていましたっけ。

FP1級取得!サバンナ八木流 お金のガチを教えます (角川書店単行本)
参考記事:【マネーリテラシー】『FP1級取得!サバンナ八木流 お金のガチを教えます』サバンナ 八木真澄, ほんださん(本多遼太朗)(2025年10月15日)
ちなみにこの本も、同じく「KADOKAWA 文芸&実用書フェア 頂 2026」の対象作品として、「50%OFF」になっていますので、併せてご検討を。
◆さらに第3章と第4章ではいよいよ投資のお話が登場。
第3章から引用した、上記ポイントの4番目の「退職金向けプラン」は、退職金のない自営業の私には無縁ですけど、読者さんの中には、そろそろ勧誘を受けている方がいらっしゃるのではないでしょうか?
もし投資関係の知識がなかったら、「このご時世、預金利息ではインフレに勝てません」等々言われて、つい入っちゃいそうなのがコワいです。
基本的にあちらから勧誘された商品は、全部無視するのが吉かと。
また、上記ポイントの5番目のTIPSは第4章からのもの。
この「iDeCoに加入しておけば、退職所得控除の加入期間として年数が加算」というのは、初耳でした。
もちろん、退職金がもらえる会社に就職するのが大前提ですけど、最低限の掛金でも年数が加算されるというのは一種のバグだと思うので、ダメ元でiDeCoをやっておくのも良いかもしれませんね。
アラ還世代なら必読の1冊!

増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」
序 章 60歳から安心してお金を使えるように
第1章 年金・退職金 賢く受け取る、収入を見通す
第2章 60歳からの支出を見通し、お金を確保する
第3章 なぜ60歳から投資が必要か
第4章 60歳からの賢い投資術
第5章 「増やしながら使う」賢い資産取り崩し法
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【投資】『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』山崎 元,水瀬ケンイチ(2022年03月18日)
【資産運用】『無理なく貯めて賢く増やす パックン式 お金の育て方』パトリック・ハーラン(2023年05月22日)
【お金】『相続税調査でわかった 富裕層が大事にしている「お金の基本」』小林義崇(2026年01月09日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から、お買い得本をセレクト!
ネット右翼になった父 (講談社現代新書)

1日1トレで「声」も「話し方」も感動的に良くなる

NHK「100分de名著」ブックス マルクス・アウレリウス 自省録 他者との共生はいかに可能か

着眼と考え方 現代文解釈の方法〔新訂版〕 (ちくま学芸文庫)

家族が「うつ」になって、不安なときに読む本

おいしい韓国料理のレシピ

高校英文法・語法をひとつひとつわかりやすく。 (高校ひとつひとつわかりやすく)

最適輸送の理論とアルゴリズム (機械学習プロフェッショナルシリーズ)

文章作法事典 (講談社学術文庫)

歴史学の始まり ヘロドトスとトゥキュディデス (講談社学術文庫)

心理学をつくった実験30 (ちくま新書)

新版 日本語使いさばき辞典

人生を豊かにする あたらしい茶道
今日も比較的豊富でしたが、個人的に選ぶとするなら、岸見先生の『他者との共生はいかに可能か』と『心理学をつくった実験30』ですかねー。
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