2026年05月01日
【認知科学×時間学】『ぼくら大切なことに使える時間はもう、あまりないから』一川 誠

ぼくら大切なことに使える時間はもう、あまりないから
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 ゴールデンウィークセール」の中でも、意外とお求め頂いていた1冊。パッと見、ラノベかエッセイのような装丁ですが、巻末にエビデンスがしっかり載っているタイプの自己啓発本でした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
筆者はこれまで科学的な研究と自分自身の生活実感の両面から、「時間の使い方が人の幸福にどう影響するか」を探求してきました。
そこで一つの真実に辿り着きました。
それは、「タイパ(タイムパフォーマンス)」ばかり追い求めている人ほど、充実した時間を過ごした感覚が得にくい、ということです。
本書では、認知科学と時間学の観点から、限りある人生を充実させて幸福になる時間の使い方を紹介し、それを身につける方法までお届けします。
中古は値崩れ気味ですが、送料を加算すればKindle版の方がお買い得となります!

【ポイント】
■1.「タイパの追求」と「充実感」の関係たとえば、1日のスケジュールをぎっしり埋めてしまうと、一つひとつの出来事が 分節化(「区切り」を挟んだ出来事として認識すること)されず、体験がすべてひとまとめのものとして認識されてしまいます。
その結果、具体的なエピソードが記憶に残らなくなり、「いろいろなことがあったけれど、思い出せるのは2つくらいだった」「忙しく過ごしたけれど、思い出せることのない、虚しく過ぎた時間だった」という振り返りになってしまいます。(中略)
つまり、短い時間に多くのことを詰め込むと、
体験が分節化されない→体験がひとつにまとめられてしまう→具体的なエピソードが思い出せない→長期記憶に残らない→幸福感・充実感を得づらい
という流れになり、「忙しく過ごしたけれど、何をやったのか覚えていない、あっという間に過ぎた1日だった」という感想が残されるというわけです。
■2.「やらないより、やったほうがまし」なことはすべて捨てる
自分にとって大切な時間を選び、詰め込みすぎを解消するには、自分がやることの優先順位をつけることが必要です。(中略)
ピックアップする分野や順番はバラバラでも構いません。仕事・家庭・個人の趣味等、思いつくままに書いてみます。たとえば10個書き出してみると、自分が今どんなことに関心をもち、何を課題と考えているのかが少し見えてくると思います。
それに対して、今の時点の優先順位をつけていきます。(中略)
大切なのは「やらないより、やったほうがまし」という程度のことは、自分の時間を使ってまでやらなくていいことであると意識することです。このあとお話ししますが、私たちは、つい「自分がやらなくてもいいこと」をやってしまいます。
ですから、他の人でも十分に対応できることや、なんとなくでやっていることは自分でやる必要はないと意識し、この判断を自分自身に定着させていってください。
■3.デジタルは「体験の厚み」をフラットにする
たとえば漫画を描く作業は、ひと昔前までは多様な作業をしていました。漫画家は紙の原稿に何種類かのペンや筆、カッター、ホワイトなどのいろいろな道具を使い、線を描いたり、カラーインクで着色したり、スクリーントーンを切って貼ったりしていました。コピー機を使ったり、FAXを送ったり、バイク便を使ったりするなど、机に座る以外の動作もあったはずです。
しかし今では、それらすべてがひとつの画面上で完結するようになりました。
デザインや建築図面の作成、税務作業なども同じことがいえます。(中略)
デジタルは、「体験の厚み」をフラットにするのです。
だからこそ、小さな目標を立てて、それをひとつずつ達成していくことが重要になってきます。それぞれの作業が「ひとつのタスク」として分節化されることで、のちのち振り返ったときにも記憶として残っていきやすくなるのです。
■4.自分自身が主体性をもって関わる
ある物事に対して、自分が行った事柄のほうが、誰かが行ったことよりも記憶に残りやすいのです。先ほどの休暇の期間の決め方の例がそれです。自分が「こんなスケジュールにしよう」と考えて決めた休暇期間やスケジュールのほうが、会社や学校が決めたスケジュールよりも記憶に残りやすいでしょう。
自分で決めたスケジュールであれば、スケジュール帳を見なくても、すぐに思い出せるかもしれません。
さらに、いろいろな出来事に関して積極的に、能動的に取り組むことは、経験を長期記憶に残しやすい効果があります。
ですから、何でも主体的にやったほうがいいのです。観察者として関わるのをやめ、主体性をもっていたほうが、特別な体験にも出会うことが増えることでしょう。
そのような体験は、「自分はこうしてきた」という実感となって積み重なり、幸福感や自己肯定感の土台になっていくのです。
■5.一緒に過ごした人と感じたことを共有する
過去の体験に思いを馳せることは、1人で行うことももちろん可能ですが、一緒にその時間や空間を過ごした人と共有するのも意味のあることです。
たとえば、友人や家族と昔の出来事を語り合うと、自分が忘れていた細かい記憶が次々に蘇ってくることがあります。「ああ、そういえばそんなこともあったね」とお互いの記憶を共有し合う瞬間は、かつての記憶に新しい光が当たったような感覚になり、新たな意味が付与されることになるのです。
特に、自分の中ではぼんやりしていた記憶が、相手とのやりとりを通じて輪郭を取り戻すとき、私たちはとても満たされた気持ちになります。それは自分だけでなく、相手にとっても同様です。長い間欠けていたピースがつながって、記憶の地図が復元される。そうした経験は、単なる思い出話以上の意味をもつのです。
【感想】
◆色々と思うところアリ&反省しきりな作品でした。だいたいにおいて、私もそうなのですけど、当ブログの読者さんの多くが、タイパを追求する方ではないか、と。
それが冒頭の内容紹介でも触れたように、「『タイパ』ばかり追い求めている人ほど、充実した時間を過ごした感覚が得にくい」と言われてしまったら、それは気になりますよね。
それがもしかしたら、私もまったく予想しなかった、本書のお求め増につながっているのかもしれません。
確かに私も、「充実した時間を過ごした感覚」が得られているかといったら微妙なので。
◆その理屈が説明されているのが、本書の序章「なぜ『タイパ』重視では幸せになれないのか?」になります。
ここでは、事例を挙げて丁寧に解説されているのですが、まとめて言うと、上記ポイントの1番目のとおりということ。
なるほど、慌ただしく作業を詰め込むと、後から思い出してもまとめて1つになってしまうワケです。
そこで本書では、次の3つのステップで対応。
STEP1 やることを「5割に減らす」そして、この3つのステップがそのまま第1章から第3章までのテーマとなっています。
STEP2 「小さな変化」をつけて取り組む
STEP3 過去の特別な体験に「思いを馳せる」
◆まず第1章では、やることを削減すべく方策を検討。
そのためには、上記ポイントの2番目にあるように、優先順位をつけていくのですが、その上でバッサリと「やらないより、やったほうがまし」レベルのことはカットしてしまいます。
その理由は、優先度の高いことを最初に考えるのは手間や時間がかかるから、とのこと。
逆にとりあえずリストアップさえできていれば、下位の方から削っていく方が取り掛かりやすいのだそうです。
これはもちろん、人それぞれなんでしょうけど、私の場合はサッカー関係の情報を削るか、Xでチェックしているリストを減らすかでしょうか。
ちなみに、やたらRPしまくっている人をリストから外しただけで、結構未読具合が減ったこともありましたっけ。
◆また、同じ第1章から抜き出したのが、上記ポイントの3番目。
こちらは、やることを減らす話ではないのですが、指摘されて「なるほど」と思ったので、取り上げてみました。
私は漫画家ではないものの、確かに税務作業は電子申告の普及によって結構変わった次第。
データを作るところまでは同じなのですが、ホチキス留め等の製本作業が丸々なくなりました(必要に応じて提供していますが)。
場合によっては、出来上がったものを近くの税務署に届けたり、遠い場合は期限までの消印が必要で、夜までやっている郵便局に持ち込んだりとか(遠い目)。
そういう「思い出」が、これからは起こりえず「フラット」になってしまうんですね……。
◆続く第2章では、こうした薄れがちな思い出を、「特別な体験」にするべく行う工夫の数々が登場。
その1つが、上記ポイントの4番目にある「主体性をもって関わる」です。
実は本書では、「場所」が記憶に占める重要性がうたわれており、その意味でも「旅行」はイチオシレベルでした。
ところが私とヨメが旅行に行く場合、ほぼ100%ヨメがアテンドしているという(ダメじゃん)。
もっともヨメは仕事で頻繁に地方出張しており、都道府県で行ったことがないのが残り2つとか3つという達人レベル。
逆に私は、ライブでもない限り都内から出ることはほぼないので、今後もヨメ任せが続きそうですが。
◆そして最後のポイントの5番目は、第3章からのもの。
この章では記憶の「反すう」がテーマになっており、私が避けていた「振り返り」がクローズアップされています。
いや、ホント苦手なんですよ……飲み会で昔話するのとか、親戚のおじさんがいつも同じ思い出話聞かせてくるのとか。
だから以前いた会社の同期の飲み会のメールが、毎年来るのもスルーしてましたし、親戚の集まりも可能なら避けていて。
私自身は過去の話より、皆が今、何をしていて何に興味があるか等々を聞きたいのですが、たまに行く飲み会でもなかなかそういう流れにはならないんですよね。
ただ本書を読んで、こういう思い出を充実させないと、幸福感が得られないらしきことが分かったので、今後は機会があれば顔を出そうと思います(多少は)。
そういう考えに至っただけでも、本書を読んだ価値が私自身にはありました。
人生の満足度を高めるために読むべし!

ぼくら大切なことに使える時間はもう、あまりないから
序章 なぜ「タイパ」重視では幸せになれないのか?
1章 やることを「5割に減らす」
2章 「小さな変化」をつけて取り組む
3章 過去の特別な体験に「思いを馳せる」
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」における、お買い得作品はこちら!
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古代エジプト 失われた世界の解読 (講談社学術文庫)
今日はまたボリューム満点(やや専門書も載せてしまったこともあって)なのですが、もっとも当ブログ向きなのは、初っ端の『ゲーミフィケーション』じゃないでしょうか?
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