2026年01月09日
【お金】『相続税調査でわかった 富裕層が大事にしている「お金の基本」』小林義崇

相続税調査でわかった 富裕層が大事にしている「お金の基本」 (講談社+α新書 900-1C)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かったお金本。著者の小林さんは「元国税専門官」という経歴なだけあって、富裕層の実態もよくご存じでした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
お金の不安がスッと消える!
実は日本に150万世帯もいる「純金融資産1億円以上5億円未満」の大半は、普通に働く、ごく「普通の人」――ミリオネアの預金通帳を調べ上げてきた相続税担当の元国税専門官だから書けた、「普通の人」でも億単位のお金を手にする仕組み。
ベストセラー『すみません、金利ってなんですか?』『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』の著者、最新刊!
まだ出たばかりで中古が値下がりしていませんから、「10%OFF」のKindle版をご検討ください!

【ポイント】
■1.預金通帳にびっしり書かれたメモ亡くなる際に億単位の資産を残した「普通の富裕層」たちは、決して特殊な投資手法を駆使していたわけではありません。配当の良い大企業の株を何十年も持ち続ける、給料日に投資信託を買い続けるといったシンプルな方法を、生活の一部として淡々と長期間にわたって継続していただけなのです。
一方で、投資で損をした人も私は数多く見てきました。(中略)
両者の差はどこにあるのか。それは、投資を始める以前の、より土台となる部分にありました。つまり、お金に対する正しい考え方(マインド) と、それに基づいた「支出」の習慣です。
「はじめに」でも触れた通り、私が相続税調査で見た富裕層の多くは、意外にも質素な暮らしを送っていました。彼らの預金通帳を遡ると、日々の生活費がいかに抑えられているかが一目瞭然でした。
私がとくに驚かされたのは、富裕層の通帳にしばしば見られた、びっしりとしたメモ書きです。「○○さんと夕食」「△△(孫) へのお祝い」といったように、一件一件の支出目的が克明に記録されていたのです。
彼らは、資産がいくらあろうとも、自分のお金がどこに消えているかを正確に把握する習慣を身につけていました。これは、ムダな支出、つまり「死に金」を絶対に許さないという強い意志の表れです。
■2.子どもの高校入学時から奨学金を借りる
私は息子が3人いるのですが、長男が高校に入るとき、迷いながらも埼玉県が設けている貸与型(無利子) の奨学金を申請することにしました。その時点では長男の授業料を払えるだけの収入の見込みはあったのですが、それでも奨学金を借りておくことが「保険」になると考えたからです。
もし奨学金を利用せずに自己資金で学費をまかない、その後家計が逼迫した場合、金利負担のある教育ローンに頼らざるを得なくなります。そのリスクを避けるための先手として、無利子奨学金を選びました。また我が家のように子どもが多いと、兄弟間でバランスを取る必要が出てきます。長男に自己資金を使い過ぎると次男や三男のときに困る恐れがありますが、奨学金を借りることで自己資金が減るのを防ぐことができます。
奨学金を活用する最大の利点は、自己資金を投資に回せる点です。学費を現金で支払うと、積立投資の額を減らしたり、積み立てた金融商品を解約したりして複利効果を失う恐れがあります。無利子奨学金で学費を払いながら投資を続ければ、長期リターンを取り逃がさずに済みます。
■3.「価値が高まるもの」にお金を使う
この章では富裕層が自分の価値観に沿ったお金の使い方をしているとお伝えしましたが、私が相続税調査で見てきた富裕層のお金の使い道には、「何かを育てるための支出」という共通点がありました。具体的には、次の5つのパターンが目立ちました。1 事業投資(将来性のある企業への出資)富裕層のお金の使い道を分析すると、「投資」という観点があることがわかります。事業への投資は金銭的な「リターン」を、健康への支出は生産性を高める「リターン」を、教育への投資は将来の一族の収益力を高める「リターン」を、それぞれ生み出します。旅行や美食、趣味への支出であっても、単なる娯楽ではなく、人生を豊かにし、ビジネスにつながる人脈形成の機会になり得ます。
2 資産投資(株式や不動産など)
3 教育投資(子や孫の学費や留学費用)
4 寄付(地域や母校への寄付)
5 健康(高度医療や健康サービス)
■4.不動産はインフレに強く急落しにくい
私がインタビューした不動産投資家が「不動産は急激に上がることもないが、急激に下がることもない。その安定性が最大の魅力だ」と語っていたように、不動産は暴落リスクが低いのです。
インフレ時には資産価値の上昇(キャピタルゲイン) で攻め、デフレ時には安定した家賃収入(インカムゲイン) で守る。このように経済状況に応じて使い分けられることが、富裕層が不動産に魅力を感じる理由です。
とはいえ、「持ち家は簡単に引っ越せないのが難点」「近所の環境が合うかわからない」といった不安もあるでしょう。こうした問題は、ある程度の収入や資産のある富裕層にとっては気にならないようです。
私が税理士の方から聞いた話ですが、住みたいマンションを次々と購入し、住み替えながら以前の住まいを賃貸に出したり、売却したりして収益を上げる富裕層もいるそうです。彼らにとってマンションは「終の棲家」というわけではなく、ライフスタイルに合わせて組み替えるBS上の資産ポートフォリオの一部なのです。
■5.資産運用は社会保険対策にもなる
たとえば会社員の場合、毎年4月から6月に支給される給与などをベースとした「標準報酬月額」を元に社会保険料が算定され、その金額が原則として1年間、毎月支払われる給与から差し引かれます。つまり、昇給したり、残業を多くしたりすると、収入増加に合わせて自動的に社会保険料が増えていきます。これでは手取りを思うほど増やせません。
このワナから抜け出すには、「残業ではなく、投資で収入を増やす」という方法が効果的です。
というのも、あなたが会社員なら、株式投資でいくら利益を得ても、社会保険料は1円も増えません。さきほど説明したように、会社員の社会保険料は、あくまでも会社から支払われる給与を元に計算されるからです。
残業で1万円多く稼げば、そこから税金に加えて約15%もの社会保険料が引かれます。しかし、NISA口座での投資で1万円の利益が出れば、それは全額があなたのものです。
この、「実際は利益を得ていても、社会保険料の計算上はカウントされない」という特殊性が、株式投資にしかない大きなメリットなのです。この差は、資産形成のスピードを確実に左右します。
【感想】
◆本書はいわゆるお金本なのですが、一般的なこの手の作品と比較すると、いくつかユニークな点がありました。中でも特筆すべきは、著者の小林さんが「元国税専門官」であるがゆえ、調査対象となる富裕層の懐具合について、合法的に掘り下げられる立場にいたこと。
この辺はFPやコンサルタントの方が対象としている「お客さん(クライアント)」とは、立場的に真逆でもあります。
ですから、知りえた情報というのは、おおむね本音ベース(脱税覚悟でウソを言わなければ)であり、実際に真実なんでしょう。
それが垣間見られたのが、第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目の「メモ」のお話です。
「しばしば見られた」というくらいですから、全員ではないにせよ、それなりに存在していたはず。
もっとも、メモを残せばお金が貯まるというよりも、お金の出を可視化することで、無駄な出費を抑えていたことが伺い知れます。
◆また、これは「元国税専門官」とは関係ないのですが、あまり類書でも見た記憶がないのが、借金がテーマの第2章から引用した、上記ポイントの2番目。
なるほど、無利子であれば貸与型奨学金を借りるのも、返せる目途がある限りは「アリ」かもしれません。
ただ、それが「家計が逼迫した場合、金利負担のある教育ローンに頼らざるを得なく」なるためだけではなくて、「自己資金を投資に回せる」からというのが目からウロコ。
私みたいに「借金は悪」的に考えている人間とは次元が違います。
ただし、本書にもあるように、この奨学金の債務者は子どもになるため、基本的には贈与税の免税点以下である年間110万円を、毎年子どもに贈与すべきでしょうね。
さすがに高校の学費を子どもに出させるというのは、あまり聞いたことがないですし。
◆続く第3章からは、上記ポイントの3番目の「お金の使い方」のお話をセレクト。
4の寄付以外は、いずれも「投資」的性格が強いのが特徴です。
特に教育は、子どもに与えても税金が取られないのが魅力的。
さすがユダヤ人が重視するのも当然ですね。
さらに第4章では、不動産のお話が登場するのですが、相変わらず賃貸派の私は、今、涙目ですよ。
なんたって、来月今住んでいるマンションの契約更新があるのですが、金額は言えないものの、何と4割弱の値上げという悲劇(定期借家契約なので交渉の余地はないです)。
なまじ認知症の母を同じマンションの別の部屋に住まわせた関係で、自分たちだけ出ていくわけにもいかず、泣く泣く契約更新する予定です。
◆なお、最後のポイントの5番目の社会保険料のお話は、第6章からのもの。
皆さん税金ばかりに注目しがちですが、社会保険料節約も資産形成には見逃せません。
さらにここでは触れませんでしたが、個人事業主でもiDeCoやNISAを利用すれば、社会保険料を抑えられます。
通常、個人事業主などの場合は、前年の所得をもとに社会保険料(国民健康保険料) が計算されます。しかし、NISAで投資をしておけば、そもそも非課税なので確定申告が不要となります。iDeCoの掛金を将来一括で受け取るときも、これは国民健康保険料に影響しないルールになっています。NISAやiDeCoを使わない場合も、「特定口座(源泉徴収あり)」を選択しておけば、確定申告が不要となり、株式の売却益などが社会保険料を算定する際に本人の所得としてカウントされずに済みます。もしまだ初めていない方がいらっしゃいましたら、今年こそiDeCoやNISA元年にしてみてはどうでしょう?
「普通に」投資して、資産形成を実現すべし!

相続税調査でわかった 富裕層が大事にしている「お金の基本」 (講談社+α新書 900-1C)
はじめに 「普通の人」が億単位の資産を築く仕組み
序 章 「いつの間にか富裕層」が増えている
第1章 ムダな支出を許さない強い意志がある お金の使い方
第2章 人生を破壊する借金と豊かにする借金を切り分ける お金の借り方
第3章 「世間が考える豊かさ」に心を奪われない お金の価値
第4章 持ち家は資産を増やす土台と考える 家の買い方
第5章 得する節税とお金が減る節税を峻別する 税金との付き合い方
第6章 投資こそ税金を減らし収入を増やすことを知っている 投資の考え方
おわりに 「投資の天才」の奇抜な投資法
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【お金】『銀行・保険会社では教えてくれない 一生役立つお金の知識』塚原 哲(2018年10月21日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から、注目作をご紹介。
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