【マネーリテラシー】『FP１級取得！サバンナ八木流　お金のガチを教えます』サバンナ八木真澄, ほんださん（本多遼太朗）:マインドマップ的読書感想文

2025年10月15日

【マネーリテラシー】『FP１級取得！サバンナ八木流　お金のガチを教えます』サバンナ八木真澄, ほんださん（本多遼太朗）

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「ニコニコカドカワ祭り2025第2弾」の中でも一番人気のお金本。

八木さんが合格されたというFP(ファイナンシャルプランナー）1級の試験は、「合格率10％」とのことで、なるほど芸人さんとは思えない込み入ったお話も出てきていました。

アマゾンの内容紹介から。

FP１級を持つサバンナ八木とほんださんが語る忖度なしのガチ金融知識
「ブラジルの人聞こえますか～！」のギャグでおなじみ、FP1級にも合格したサバンナ・八木真澄が、登録者数25万人超のYouTubeチャンネル「ほんださん/東大式FPチャンネル」のほんださんとともに、忖度なしの為になるガチ金融知識をお届け！
「老後を考えるなら持ち家が有利」「住宅ローンはインフレに強い固定金利で」「団信は最強の生命保険」など、八木氏が導き出した「お金のガチ情報」を提示し、それについてほんださんが解説するスタイルで全100項目ご紹介！

中古がまだ値下がりしていませんから、このKindle版が800円以上お買い得です！

【ポイント】

■1.安易な繰上げ返済は気をつけよう

　お金に余裕が生まれた場合、繰上げ返済したほうが良いかどうかはよく聞かれる質問です。このときに安易な繰上げ返済をするのには気をつけたほうがいいです。
　住宅ローンを借りている人は、死亡時に残債が保障される団体信用生命保険に加入します。例えば3000万円のローンを組んでいる人が、1000万円の余剰資金ができたので、1000万円繰上げ返済したとします。そのタイミングで旦那さんに不慮の事故が起きた場合、残債は保障されるので、家族には家だけが残ることになります。
　逆に1000万円の余剰資金を繰上げ返済に使わなかった場合。同じタイミングで旦那さんが亡くなってしまったとしても、3000万円のマンションが団体信用生命保険でローンがなくなって、家と1000万円の現金が残ります。現金がある分、もしものときに生活にゆとりを残せるのです。

■2.投資は自分自身を見つめ直してから

　現状に余裕がない場合、無理に投資を始める必要はありません。まずは収入を上げることが大切です。家計に余裕がないのに無理して積立投資を始めると失敗します。理由は2つあります。
　1つ目は、金融資産の運用は短期で結果が出るものではないということがあります。結果がわかりづらく、ゴールが見えないためモチベーションを保てません。
　2つ目は、生活を切り詰めた無理な投資は「絶対に失敗できない」と精神的にプレッシャーが発生する点にあります。相場は下がりっぱなしということはなく、一度下がっても必ず上昇に転じます。しかし、心の余裕がないと、一時的な下落相場でもパニックを起こして、損失を抱えたまま投資をやめてしまいます。

■3.高島屋のお買い物を18％OFFに

　髙島屋で圧倒的割引を叶えるテクニックを教えましょう。「タカシマヤ友の会」というおトクな会員サービスがあります。毎月一定額を12カ月間積み立てると、1年後の満期に1カ月分の積立金額が上乗せされた金額がお買い物で使えるんです。例えば、月1万円積み立てると、12カ月で12万円。ボーナス1万円が上乗せされて、満期受取額は13万円に。利回りでいうと約8％です。
　また、これもココだけの話ですが、髙島屋の株式を100株保有していると、株主優待で総額15万円のお買い物まで10％オフになるんですよ。友の会と合わせると、実質18％の割引です。これはめっちゃ大きい。
　髙島屋の株主優待は、持っている株数が増えるほどおトクになります。200株持っていると30万円まで10％オフ、1000株以上だと限度額がなくなります。
　企業の社長さんなどで付き合いも多く、お中元やお歳暮を贈る頻度が多い人にとっては魅力の高い優待といえるかもしれません。

■4.保険金のトラブルは金融ADRで解決

　お金に関するトラブルの相談先というとまずは弁護士が思い浮かぶでしょう。とはいえ、個人でお願いするのはちょっと尻込みしちゃいますよね。そんなとき、裁判よりも安価かつスピーディーに解決するための制度が「ADR」です。なかでも、金融機関とのトラブルを解消する制度のことを「金融ADR」と呼びます。
　金融機関とのトラブルでいえば、身近なところでは保険会社との折衝が考えられます。提示された保険金額に納得できない。でも、裁判を起こすとなると訴訟費用がかかるし、1～2年ぐらい時間がかかってしまう……。そんなときに、行政庁が指定する金融ADR機関に申し立てれば、公正な立場から和解案を提示してくれます。
　通信費や交通費以外には費用がかからないことが多いので、裁判ほど費用もかかりません。金融ADR機関には金融分野のプロが所属しているので、銀行やクレジットカード会社などと揉めたときの、最初の相談相手として覚えておくといいでしょう。

■5.産休・育休中の厚生年金保険料は無料

　産休、育休中は厚生年金と社会保険の負担が免除されます。さらに、ボーナス月に産休・育休を取ると、所定の条件はありますが、ボーナスの社会保険料も免除になるんですよ。産休や育休をとるなら、ボーナス月の月末を休暇期間に入れられるといいですね。(中略)
　僕が悔しいと思ったのは、「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」。第1号被保険者が出産する場合に、出産の前2カ月と後2カ月（予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間）、国民年金の保険料が免除される制度があるんです。子どもが産まれたとき、この制度を知らずに奥さんの保険料を普通に払っていたので、あとから知ってめっちゃ後悔したんです。結果6万円の損。しかも、子ども2人でトータル12万円ですよ。

【感想】

◆冒頭の内容紹介にもあるように、「全100項目」もTIPSがあるこの作品。

芸人さんが書かれた本だと思って、軽い気持ちで読み始めると、結構歯応えがあって驚かれるかもしれません。

……さすがFP1級に合格されただけのことはあるな、と。

しかも共著者として名を連ねるほんださんが、折りに触れて「補足メモ」という形で解説を載せています。

ほんださん / 東大式FPチャンネル - YouTube

実は上記ポイントの2番目は、丸々ほんださんのパートから引用しており、こんな感じでそれなりのボリュームを持って補足しているという。

さらには、論点によっては「両論併記」的に、八木さんのTIPSに異なる見解を述べていたりします。

この辺は「おわりに」でほんださんが言われているのですが、「さまざまな要因によってベストな選択は人それぞれ異なる」というスタンスからなのだそう。

◆さて本書はもちろん、株式投資についてもページを割いているのですが、その辺は類書でも読めますから、今回はあえてそれ以外の部分からセレクトしました。

まずは第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目の「繰上げ返済」の件。

利息がもったいないからと、お金に余裕ができたら、早めに返済したいところですが、こういう落とし穴もあることは、一応留意すべきでしょう。

そもそも家を買ったことのない私は、「団体信用生命保険」ほぼ必須であることも知らなかったのですが。

また、第2章からは、前述の上記ポイントの2番目の「心構え」のお話を。

よく「ほったらかし投資」とか言いますが、それができるようになるためには、やはりある程度の余裕は必要だと思います。

株価で一喜一憂するくらいなら、仕事に専念して投資しない方がいい、という考え方も、あるにはありますし（今は旗色悪いですが）。

◆一方第3章からは、上記ポイントの3番目の高島屋のお話が登場。

実はうちの母も以前、東武デパートの似たような友の会に入っており、「毎月1万円ずつ積み立てると13万円の買い物カードになる」という同じ仕組みでした。

ただし、この項の直後におけるほんださんの「補足メモ」では、「どのお店でも同一価格で提供するブランド品などは別にして、一般的にはお店ごとに価格が異なり、その差は18％では済まないケースも多いと思います」とバッサリ。

やはり出口戦略というか、実際に髙島屋で買うものがないと、「幻の利回り」になりかねません。

引用部分の最後にもあるように、「お中元やお歳暮を贈る頻度が多い人」でないと、実際にはお得ではないでしょうね。

実際に母の東武カードも、ヨメやムスメのデパコスくらいしか、使い道がないような……。

◆また、私が全然知らなかったのが、上記ポイントの4番目の「ADR」という手続きでした。

こちら本書の第4章からのものなのですが、「Alternative Dispute Resolution」の略であり、日本語だと「裁判外紛争解決手続」というらしく。

ADRとは何ですか。 | よくある相談 | 法テラス

私はたまたま身内に弁護士がいるので、今後もお世話にならないかもしれませんが、こういう方法もある、と覚えておくと良いと思います。

そして最後の第5章は、実は税金ネタがわんさかで、こちらは私の本業でもあるため、なかなか選べませんでした。

というか、「FPってここまで知ってないといけないの？」というのが素直な感想でして。

逆に、上記ポイントの5番目の社会保険関連については、私も本業ではなく、場合によっては手続きも行えない（社労士さんの独占業務があります）ため、あまり詳しくありませんでした。

この「産休・育休中」の免除規定は、結構大きいのでぜひとも覚えておいてください。

お金の知識がワンランクアップする1冊です！