2025年09月08日
【スキルアップ】『SENSE FULNESS どんなスキルでも最速で磨く「マスタリーの法則」』スコット・H・ヤング

SENSE FULNESS どんなスキルでも最速で磨く「マスタリーの法則」
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本(電子書籍) ポイントキャンペーン」の中でも気になっていた、スキルアップ本。と言っても版元の朝日新聞出版さん分の記事をまだ書いていないため、いきなり初登場となります。
アマゾンの内容紹介から。
「勉学」、「仕事のスキル」、「スポーツ」、「語学」、「芸術」etc……
何でもすぐにこなすセンスのいい人は、圧倒的密度の「観察・行動・フィードバック」を実行している!
あらゆる分野に適用できる、上達における「共通のメソッド」を紹介。
「上達」というものは、ある種つかみどころがない。10年もテニスをやっているのに、強い球が打てないのはなぜか。どうして転職先でいつまでも仕事がスムーズにこなせないのか……。
本書では様々な研究結果をもとに、模倣や難易度の調整、悪い癖を直すアンラーニングなど、上達を促すための最適解を考察していく。
中古がやや値下がりしていますが、こちらのKindle版の方が400円弱お買い得です!

【ポイント】
■1.上達するための3つの要素上達をもたらすのは才能や粘り強さといった要素だけではない。私たちがどれだけ学びを得られるかを左右する、3つの要素がある。1 観察:知識の大部分は、他の人々から得られる。他人から学びやすいかどうかが、どれだけ早く上達できるかを大きく左右する。他の人々の例から学び、自分自身でさまざまな練習を行って、それに対して信頼できるフィードバックを得られるとき、私たちは急速に上達することができる。しかしこれらの要素が一つでも阻害されると、上達は困難なものになりがちだ。
2 実践:熟達には練習が必要だ。しかしどんな練習でも良いわけではない。私たちの脳は素晴らしい労力節約マシンであり、それは大きな利点にも、そして足かせにもなり得る。
3 フィードバック:進歩するには何度も繰り返して、得られた結果に基づいて調整することが欠かせない。教師の赤ペンによる添削だけでなく、学び取りたい物事や現実と接触し、フィードバックを得ることが必要になる。
■2.初期の成功で好循環をつくる
読解力に関する研究は、ある重要な原則を示している。初期の経験は、単にスキルを実行するための基礎を築くだけでなく、長期的な取り組みにつながる興味を持続させるためにも重要であるという点だ。
残念なことに、多くの教室では、最初に苦戦した生徒がそのまま取り残されてしまう。前提となる教材をマスターできないことで、その後の授業についていけなくなり、宿題はイライラするほど難しくなり、実生活でそのスキルを応用する機会はますます少なくなっていく。それが続けば、こうした初期の経験が否定的な自己概念、つまり「私は数学ができない」「私は芸術的ではない」「私は語学が苦手だ」などに固定化してしまうことは容易に想像できる。そうではなく、何かを習得するという初期の経験が、学習と練習へのさらなる努力の投資を促すような、肯定的なフィードバックループを作ることが望ましい。
■3.スキルは簡単には転移しない
ジョバンニ・サラとフェルナンド・ゴベは、チェスと音楽の指導が一般的な認知能力に及ぼす影響についてメタ分析を行った。すると数学的推論能力や学力の向上には、わずかな効果しか認められなかった。実験が厳密に行われた研究だけを考慮すると、「全体的な効果の大きさはごくわずかか、ゼロだった」。同様に、プログラミングも問題解決能力を向上させることはないようだ。ある研究の著者は、「コンピュータープログラミングを教える根拠として、批判的思考、問題解決、意思決定のスキルを養うのに役立つというのが挙げられることがあるが、この主張は、実証データによって裏付けられていない」と説明している。脳トレであれ、チェスであれ、プログラミングであれ、結果は同じようだ。つまり、訓練は直接練習したタスクを上達させるが、他の分野に大幅な改善をもたらす証拠はほとんどないのである。
■4.オンラインポーカーにおけるフィードバック
ポーカーの結果に内在するランダム性も、良い戦略を練るための慎重な調整も、オンラインでプレイすることで学習が容易になる。昔ながらのカジノプレイヤーは、後で分析するために重要な手を書き留めていたかもしれないが、新世代のプレイヤーは、自分がプレイしたすべての手をダウンロードし、ソフトウェア分析にかけることができる。これは、確率の計算における間違いを指摘するのに役立つだけでなく、他のプレイヤーに利用される可能性のある、自分のプレイスタイルのパターンを発見するのにも役立つ。
分析ツールの台頭は、すでにポーカーの次の進化を加速させている。プレイヤーたちはゲーム理論(隠された情報が存在するゲームにおける戦略的選択を扱う数学の一分野) から、ますます洗練された計算手法を活用している。プレイヤーがより洗練された理論を開発し、常に詳細なフィードバックから学んでゲームを向上させる以上、その進化が止まらないことは明らかだ。
■5.コーチや個別指導からフィードバックを得る
自己流で改善に取り組むことの弱点は、スキルを使いながら自分のパフォーマンスを監視するというのが、不可能である場合が多いという点だ。(中略)
たとえばパターを握っているプレイヤーは、自分では軽く握っていると思っているかもしれないが、実際には強く握りしめているかもしれない。またティーショットを打つゴルファーは、自分では十分に回転しているつもりでも、実際にはクラブを必要な位置の半分までしか振っていないことがある。そうした歪んだ自己認識が、改善を困難にしているのである。
コーチや個別指導は、たとえ依頼した人物が自分より優れていなくても、大きな効果を生むことがある。タイガー・ウッズは、ゴルファーとしては彼よりもはるかに才能が劣るコーチと、広範囲にわたって練習を行った。コーチがいれば、スキルを実行する際に精神的な負担を増やすことなく、自分がどのような行動を取っているかを観察できるため、客観的なパフォーマンスに対する洞察を得ることができるのである。
【感想】
◆実際に本書を読み始めてから気がついたのですが、本書の著者であるスコット・H・ヤングは、以前こんな本を出していまして。
ULTRA LEARNING 超・自習法――どんなスキルでも最速で習得できる9つのメソッド
参考記事:【オススメ!】『ULTRA LEARNING 超・自習法 どんなスキルでも最速で習得できる9つのメソッド』スコット・H・ヤング(2020年03月06日)
ご覧のように、当ブログでも出版当時である5年以上前にレビューしておりました。
実際、記事タイトルに「オススメ!」と付けているように、この本はスキルアップに関してかなり掘り下げており(かれこれ20年以上とのこと)、本書の巻末の「結論」によると、ヤングもこのネタはもう切り上げて、次のテーマに向かう予定だったのだとか。
ところが本書を書くに至ることとなった理由が生じたそうで、その1つが、本書の「序論」に収録されている、テトリスのテクニック向上のお話。
これはテトリスの記録が、昨今急激に伸びるようになったのは、YouTubeによってプレイの過程を公開するようになったから、というものです。
何でもテトリスで記録を出すと、それを何らかの形でそれを証明しなければならないのですが、昔はプレイヤーがプレイを記録しきれず、往々にして結果を提出できなかったのだそう。
一方で、ハナからYouTubeに上げてしまえば、記録は簡単ですが、結果としてそのテクニックが広く共有されることになり、それがプレイヤー全体の技術向上に貢献したのだとか。
◆さて、本書は下記目次にあるように、3つのパートに分かれており、そのテーマは「観察」「実践」「フィードバック」というもの。
実はこれ、「上達するための3つの要素」であり、上記ポイントの1番目の見出しと同じ。
詳細については、この上記ポイントの1番目の引用内にあるとおりです。
実際、この3つで練習のループをつくる、という話もあるのですが、いずれにせよ、やみくもにただ頑張るのではなく、この3つを意識して学ぶ必要があるとのこと。
そしてこの3つのパートの下に、各章がそれぞれ4つずつ並んでおり、例えば上記ポイントの2番目の「初期の成功で好循環をつくる」というお話は、本書の第3章の「成功こそが最高の教師である」から引用しています。
ただ、実際にはここにあるように、初期の段階で苦戦すると、そのまま授業についていけなくなるので要注意。
これは教える方も教わる方も、さらには独学する人も注意すべきことだと思います。
◆一方、上記ポイントの3番目は、第6章の「スキルは簡単には転移しない」の章題どおりのお話でした。
これに関連して、以前、脳トレをやっても頭はよくならない、ゲームをやっても上達するのは、そのゲームだけ、というお話を何かの本で読みました(タイトル失念)が、全方位的に同じだった模様。
ウチのムスコも、小学生のときにロボット教室(簡易プログラミングを教わる)に通ったのですが、それによってロジカルシンキングや問題解決能力が伸びるわけではなかったのですね。
……とはいえ本人が楽しそうだったので、受験が忙しくなるまで行かせてましたが。
それと同じで、転移を期待せずに、そのスキルを学習する分には、何も問題ないでしょう。
◆そして上記ポイントの4番目のオンラインポーカーのお話は、第9章から抜き出したもの。
前述のテトリス同様、技術革新によって、最近のプレイヤーは簡単にフィードバックが得られます。
それは結局場数も踏めるということですし、短期間で技術を磨けるということ。
さらにオンラインだと、複数のテーブルでプレイできるため、1度に12ゲームこなしているプレイヤーもいるのだそうです。
また、上記ポイントの「コーチや個別指導」によるフィードバックのお話は、第11章から引用しました。
こちらは思いっきり人力ですけど、結局スポーツのようにパフォーマンス中の自分を客観的に見れない場合は、他人の力を借りるべき。
さらには自分で自分を意識し過ぎると、俗に言う「イップス」にもなりかねません。
ただ必ずしも自分より優れている必要はない、というのは、タイガー・ウッズやその他一流プロのお話でしょうね。
スキルを最速で磨きたいなら読むべし!

SENSE FULNESS どんなスキルでも最速で磨く「マスタリーの法則」
序論 学習の仕組み
パート1 観察:他者から学ぶ
第1章 問題解決は探索からはじまる
第2章 模倣で認知の負荷を下げる
第3章 成功こそが最高の教師である
第4章 知識は経験と共に見えなくなる
パート2 実践:練習から学ぶ
第5章 適度な難しさのスイートスポット
第6章 スキルは簡単には転移しない
第7章 反復の上の多様性
第8章 反復の上の多様性
パート3 フィードバック:経験から学ぶ
第9章 経験は専門性を保証しない
第10章 実践で現実と向き合わなければならない
第11章 上達は直線的ではない
第12章 不安や恐怖は接触で薄れる
結論 熟練までの道のり
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【編集後記】
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【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本(電子書籍) ポイントキャンペーン」東洋経済さんの記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
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