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2025年08月07日

【疲労?】『疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた』近藤一博


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疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた (ブルーバックス)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「ブルーバックスで科学入門フェア」からの健康本。

「疲労」も当ブログでは鉄板のテーマだけに、読んでおかねば、と思っていたところでした。

アマゾンの内容紹介から。
疲労することが恥とされてきた欧米では、疲労の研究はタブーとされ、結果として、日本が世界の疲労研究をリードしてきた。しかしいま、うつ病や新型コロナ後遺症によって、疲労は世界共通の大問題となってきた! どうすれば科学的なアプローチができるのかもわからなかった疲労研究において、疲労の度合いを正確に測定する方法などを開発して世界のトップランナーとなっている著者が、そもそも疲労とはなにか、ヒトはなぜ疲労するのか、疲労を起こすメカニズムはどのようなものかを説く、かつてなかった疲労を科学する本!

中古があまり値下がりしておらず、かつ「70%ポイント還元」のおかげで、Kindle版が700円弱お買い得です!






【ポイント】

■1.「疲労」と「疲労感」は違う
 一般的に使用される用語である「疲労」には、2つの意味が含まれています。疲れたという感覚である「疲労感」と、疲労感の原因となる「体の障害や機能低下」です。
 このうち、科学の対象としやすいのは、後者のほうです。なぜなら現在の科学はまだ、前者の「感覚」を扱えるほどには発展していないからです。(中略)
 ちなみに日本の研究者の多くは、「疲労感」と「疲労」をしっかりと区別しています。テレビで栄養ドリンクの宣伝を見ていても、誠実な製薬会社のCMは、「疲労感を減少させる」ときちんと言っています。「疲労を減少させる」と言うと、誇大広告になるということがわかっているからです。
 これに対し、英語で疲労を表す「fatigue」という単語は、ほとんど「疲労感」の意味しかなく、欧米の研究者は「疲労感」と「疲労」を区別しているようには見えません。
 この点を見ても、日本の疲労研究は世界を一歩リードしているように思われます。


■2.疲労回復には軽い運動が効果的?
 ところで、疲労回復には軽い運動が効果的、といった話をよく聞きます。これは本当なのでしょうか?
 本当だとして、運動すると、疲労そのものが減少するのでしょうか? それとも「疲労感」が減少しているだけなのでしょうか?
 われわれは被験者に軽い運動を1ヵ月から3ヵ月ほど続けてもらって、そのあと「疲労回復指数」を測定してみました。その結果、軽い運動をしたグループでは、疲労回復指数が上昇していました。これは、軽い運動によって適度な生理的疲労がもたらされたことにより、疲労回復力が増強されたためであると考えられます。つまり、軽い運動は疲労感を減少させるのではなく、疲労回復力を高めることで生理的疲労そのものを減少させるのです。


■3.ビタミンB1不足は疲労回復力を低下させる
 脚気はひどい倦怠感を伴いますので、ビタミンB1と疲労との関係は早い時期から注目されていました。ビタミンB1が多くのビタミン剤や栄養ドリンクに疲労回復効果をうたって配合されていることも、ご存じの方は多いかと思います。ビタミンB1というよりも「アリナミン」と言ったほうがピンとくるかもしれません。あの有名な製品は、吸収力を高めたビタミンB1のことなのです。
 われわれはこのビタミンB1に、本当に疲労回復効果があるのかどうか、調べてみました。
 ビタミンは通常、不足していることが問題となるので、ビタミンB1を含まない食事をマウスに4週間与えて、疲労回復指数がどのようになるかを観察しました。
 その結果、ビタミンB1不足の状態が4週間続いたことによって、マウスの疲労回復指数は著しく減少したのです。これにより、ビタミンB1が不足すると、疲労回復力が大きく低下することがわかりました。(中略)
 製薬会社の片棒を担ぐつもりはないのですが、ビタミンB1が不足すると本当に疲労回復力を低下させてしまうので、継続的に摂取することを心がけたほうがよいと思います


■4.新型コロナウィルス後遺症の治療薬
 ところで、われわれがS1マウスに用いた、脳内のアセチルコリン不足を解消することで脳内炎症やうつ症状、倦怠感を抑制したドネペジルという薬は、商品名を「アリセプト」といって、認知症治療薬として使用されています。高齢者が毎日、何年間も服用できる薬ですから、安全性には問題はないと考えられます。
 これらのことから、新型コロナウイルス感染後に倦怠感を訴える患者に、比較的早い時期にドネペジルを投与すれば、新型コロナ後遺症にならずにすむのではないかと期待されています。また、すでに新型コロナ後遺症になっていても、早期であれば治療効果が見込めるのではないかという期待もかけられています。


■5.生理的疲労が病的疲労に変わるとき
 皆さんは、スポーツ選手にうつ病が多いという話を聞いたことがありますか。何か意外に思われるかもしれませんが、過剰なトレーニングをすると、うつ病のような症状が現れることがあるのです。それが「オーバートレーニング症候群」と呼ばれる疾患です。
 その原因は、これまで本書で述べてきたことから導き出すことができます。
 運動による生理的疲労は、eIF2αのリン酸化を亢進させてHHV‐6を再活性化するので、唾液中のHHV‐6が増加します。その結果、SITH‐1が発現しやすくなり、嗅球が障害されて脳のコリン作動性抗炎症の作用が低下する可能性が高まります。これに、生理的疲労による炎症性サイトカインという火種が重なると、脳内炎症、すなわち病的疲労が生じるのです。


【感想】

◆今回の記事における上記ポイントは、すべて本書から引用したものに間違いはありません。

また、実際私が「なるほど!」「ホントに?」「知らんだ!」等々、気になってハイライトを引いた部分であることも確かです。

ただし、これらをもって「本書のまとめ」と言ってしまうと、本書の著者である近藤先生にとっては、大いに不満なのではないか、と。

もしくは、本書を読んだ方にとっても「肝心なことが多々抜けてるじゃん!」と思われるかもしれません。

なぜなら、近藤先生が解明した、疲労とうつ、さらには新型コロナ後遺症との関係や、そのロジックが丸ごと割愛されているから。


◆とはいえ、そもそもスペースの制限がある中で引用した文章を、当ブログを読んでもらった方に理解してもらえるようなレベルのお話ではない気がします。

たとえば、上記ポイントの5番目では「過剰なトレーニングをすると、うつ病のような症状が現れる」理由について述べられているのですが、後半に出てくる用語自体から説明しないと厳密には理解できません。

「eIF2α」「HHV‐6」「SITH‐1」等々、もちろん本書では説明がされているのですが、ハイライトを引いた他の部分でも、一般的でない用語のオンパレード。

もしくは、用語の説明をしなくてよくても、説明量がそれなりに必要な場合が多く、そうなるとどうしてもポイントとして抜き出すのが難しくなります。

さらには本書では理解を促すために、かなりの図を用いているものの、これまた引用はできません。

そこで今回は割り切って、抜き出せる中でも、特に記事としてお伝えしたかったものに限定した次第です。


◆たとえば上記ポイントの1番目の「疲労」と「疲労感」を区別しているか否か、というのは何気に大きなことではないか、と。

というのも、現在の栄養ドリンク等は、「疲労感」に効き目があるものを目指しているから。

そしていわゆるエナジードリンクは、まさにその「疲労感」を抑えるため、脳は「疲れてない」と判断し、体を休ませるシグナルを出しません。

その結果、無理に体の組織を使って、組織の障害や、ひいては突然死を招いてしまう可能性がある、とのこと。

……実際にはもうちょっと細かく学術的な用語で解説されているのですが、割愛しております。


◆逆に、「疲労感」ではなく「疲労」に効果があるTIPSが、上記ポイントの2番目と3番目。

「軽い運動」とは具体的には、「エアロバイクを無理のないペースで1時間ほど漕ぐなど(運動的には結構やってませんかw?)」なんですが、これを1〜3ヵ月続けたところ、疲労回復力が増強される傾向がみられたのだそう。

ただし、上記でも触れたように、やりすぎると逆効果なのでご留意ください。

また、上記ポイントの3番目では、まさかのアリナミンにお墨付きが!?

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【第3類医薬品】アリナミンA 120錠

正直、こういうビタミン剤は気休め程度だと思っていたのですが、そうまで言われてしまうと、引き続き飲み続けるしかありませんね(実は飲んでました)。


◆そして上記ポイントの4番目では、認知症の薬に意外な効果があるかもしれない、というお話が出てきました。

これも上記では結論部分だけ抜き出しているのですが、「なんで効果があるのかもしれないのか?」というロジックは、本書を読むと理解できるハズ。

もしかしたら私の母が飲んでいる薬にも、この「アリセプト」が含まれているかもしれません。

ただし、本書が発売されたのが2023年の12月なので、その後の研究の成果がないかググってみたところ、残念ながら「現時点では『コロナ後の疲労やブレインフォグに対してドネペジルが有効』とは言えないというのが科学的結論」らしいです。

ブレインフォグや慢性疲労にアリセプト(ドネペジル)は効く?日本の最新研究と医師の見解 | ひろつ内科クリニック

いずれにせよ本書は、「疲労」に対して多角的に言及しており、ロジカルなアプローチがお好きな方には、オススメできそうな。

……もっとも私には、その内容を噛み砕いて簡単に(間違いなく)説明できるスキルはありませんでしたが(すいません)。


お疲れ気味の方なら、一読の価値アリ!

B0CPXQD9R6
疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた (ブルーバックス)
序 章 疲労を科学するには
第1章 生理的疲労とはなにか
第2章 慢性疲労症候群 病的疲労の代表格
第3章 うつ病 究極の病的疲労
第4章 新型コロナ後遺症 見えてきた病的疲労の正体
第5章 ついにすべてがつながった
第6章 人類にとって疲労とはなにか


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【健康】『世界一カンタンな疲れのとり方』植森美緒(2013年11月07日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践

当ブログではあまりご紹介してこなかったBtoBマーケティング本は、Kindle版が600円以上お買い得。

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職業、お金持ち。

内容紹介によると「お金持ち小説」である本書は、Kindle版が300円弱お得な計算です!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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