2025年07月18日
【時間術?】『忙しさ幻想』豊留菜瑞

忙しさ幻想
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも人気の高い時間術本。著者の豊留さんが、読書インフルエンサーだからか、最終章に読書術があるという、当ブログ向きの仕様になっています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
タスクが多かろうが、少なかろうが、締め切りが迫っていようが、迫ってなかろうが、パソコンと睨めっこしていようが、ソファに寝転んでいようが、どんな状態だろうが、“心が忙しい”と感じているなら、人はそれを「忙しい」と言い、たくさんのことを諦めていきます。
そして、不思議なことに、暇で退屈な人ほど、「時間がない」と言っているのです。
本書は、今話題の読書インフルエンサーが「世界中に存在する科学データ」や「世界中の本に教えてもらったこと」をもとに、そんな幻想でしかない「忙しさ」から抜け出すための方法を書いた本です。
送料を加算した中古よりも、Kindle版が700円以上お買い得です!

【ポイント】
■1.時間術でパフォーマンスはさほど上がらないなぜ、多くの人が時間を有効に使おうと努力しているのにもかかわらず、いつまでも時間の余裕がないのか?
それは「時間を生み出そうとしている」からです。
矛盾のように聞こえるかもしれませんが、時間を生み出そうとしているから、いつまでたっても時間に追われるのです。
もっと言うと、「タイムパフォーマンス」「タイムマネジメント」など、世の中に溢れるいわゆる「時間術」が、むしろ我々の時間を奪っている。
そんな信じられない話があります。
驚きの真実を教えてくれたのはこの本。
鈴木祐氏の著書『YOUR TIME 4063の科学データで導き出したあなたの人生を変える最後の時間術』(河出書房新社)。
「時間術を駆使しても仕事のパフォーマンスはさほど上がらない」
複数の研究機関が、そう発表したと言うのです。
コンコルディア大学などが2021年に行った調査では、「仕事のパフォーマンス」と「時間術」には「r=0.25」の相関しかないと発表されました。
■2.「クロノス時間」を絶対的なものにしない
現代社会において、私たちは「クロノス時間」、つまり機械的に刻まれる「時計の時間」に支配されています。(中略)
そのせいで「カイロス時間」、つまり質や価値を重視する「意味のある時間」は、どんどん私たちの生活から失われています。(中略)
とはいえ私たちは「クロノス時間」という概念を完全に無視して生きることはできません。
それは、現代社会で生きていく以上、避けられないことです。
しかし、それを絶対的なものとして捉えるのではなく、1つの「目安」として扱うことはできます。・会議の時間は「1時間」と決めるのではなく、「話し合うべき内容が終わるまで」と考えるこのように時間術ではなく、考え方を変えることで、「時間に追われる」という感覚から解放されていきます。
・1日のスケジュールは「時間単位」ではなく、「やるべきこと」「やりたいこと」を中心に組み立てる
・「締切までにできるか」ではなく、「今できることは何か」を考える
■3.「最低限の締切日」と「最高の締切日」を設定する
例えば、「この日までには絶対に終わらせる必要がある」という最低限の日付と、「ここで終わらせたら最高!」という理想的な日付の2つを用意します。
この方法は、締切による過度なプレッシャーを避けると同時に、適切なペース配分を作り出す効果があります。
2つの締切日を設定すると、自然とその中間日時で作業を終えられる傾向があるからです。
これは心理的に「現実的な目標」と「理想的な結果」のバランスが取れるから、とも言えるでしょう。
さらに、会議やミーティングは「テーマが決まったら終わりにする」というルールを導入するだけでも効率が上がります。
先ほど、「パーキンソンの法則」でご紹介した通り、時間で仕事を区切ろうとすると、その分だけ人は、仕事を無理やり満たそうとするからです。
■4.「やりたいこと」は線で見つけず、点で見つける
最近、「やりたいこと」の定義が、少しずつ歪められているように感じます。
「やりたいことで稼がなきゃ」
「インパクトのあることをしなくちゃ」
「すごいことじゃないと」
このように「べき」や「ねばならない」が、いつの間にか「やりたいこと」に紛れ込んでいるのです。(中略)
「やりたいこと」には、2つの種類があります。
1つは「点の挑戦」
これは、小さな好奇心から始まる挑戦です。
新しい趣味を始めてみたり、行ったことのない場所に出かけてみたり。
見つけやすく、始めやすいのが特徴です。
もう1つは「線の挑戦」
大きな目標に向かって、継続的に取り組む挑戦です。
新しいビジネスを始めたり、キャリアを変えたり。
成功すれば大きな変化をもたらしますが、それだけに覚悟も必要になります。
私は、ここで言う「線の挑戦」がそのまま「やりたいこと」になってしまったことが、冒頭の「べき」や「ねばならない」が、紛れ込んだ理由だと考えています。
「線の挑戦」の裏側には、「大きなことをしなければならない」という思い込みが隠れているからです。
■5.読書には「時間を生み出す力」がある
読書の時間は「見つかるもの」ではなく、「作るもの」なのです。
そして、逆説的ですが、時間に追われる人ほど、本を読んだほうがいいし、時間がないと感じる人ほど、本を読む時間を作らなければならないとも考えています。
それは、読書には「時間を生み出す力」があるからです。
例えば、仕事術の本を読んで実践すれば、問題解決力が上がり余裕が生まれるし、心理学の本を読んで実践すれば、無駄な悩みの時間が減ります。
そうすれば、無駄に消費していた時間を取り戻すことができます。
まず意識的に「読書の時間」を作る
→そこで得た知識を実践する
→実践により効率が上がり、新たな時間が生まれる
→その時間でさらに読書ができる
この好循環が、あなたの人生に「時間の余裕」を作り出していくのです。
【感想】
◆記事の小見出しの先頭に【時間術?】と「時間術」に「?」を付けたように、本書は従来の時間術本とは少々異なっていました。というのも、第1章から引用した上記ポイントの2番目にもあるように、「クロノス時間」と「カイロス時間」という概念が本書の根底にはあるから。
……この2つの用語について、簡潔にまとめられた記事があったので、ご紹介しておきます(何やら飲食店さんのブログ記事っぽいのですが)。
クロノス(Chronos)とカイロス(Kairos)という時間の捉え方
もちろん、ポイントの2番目でも触れていますが、「クロノス時間」という概念を完全に無視することはできません。
しかし極力意味合いを下げることは可能なので、本書ではその方法について指南している次第。
◆また、個人的に衝撃だったのが、同じ第1章からの上記ポイントの1番目のお話。
鈴木祐さんの本は、結構買っているつもりでしたが、こちらは未読でした。

YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術
ちなみに
コンコルディア大学などが2021年に行った調査では、「仕事のパフォーマンス」と「時間術」には「r=0.25」の相関しかないと発表されました。とありますが、この相関についてはrが1に近づくほど、両者の関係が深いということ。
0.5以上だと「大きな関係がある」と判断されるのが一般的なのだそうです。
「ビールの販売量」と「気温の関係」を調べると、たいていは「r=0.78」程度のところ、こちらは「r=0.25」なのですから、かなり微妙。
なるほど、時間術に資本投下しても、元が取れない、というのもうなずけます。
◆続く第2章では、「『時間』に振り回されないためにやめたほうがいいこと」と題して、「時計の針に支配される悪習慣」を8つ列挙。
上記ポイントの3番目は、「『締切』がもたらす忙しさ幻想』という小見出しの節から引用しました。
確かに締切は「クロノス時間」の際たるものかも。
そこで本書では、「最低限の締切日」と「最高の締切日」という2つの締切を設定することを勧めています。
……なんだか交渉術でいうところの「ZOPA」みたい、と個人的には感じたのですが、解説読んだらそれほどでもありませんでした。
この章には他にも「完璧へ執着しない」「大きな目標を『小さくとも具体的な一歩』に分解する」といった、節が展開されていますから、ぜひご確認ください。
◆一方第3章は、「意味のある時間を過ごす時、そこに『忙しさ』は存在できない」という章題からも分かるように、「カイロス時間」がテーマになります。
そこから抜き出したのが、上記ポイントの4番目。
結局「やりたいこと」に「べき」や「ねばならない」は、含まれていてはいけません。
そうならないようにするには、ここでも触れられているように「点の挑戦」を目指すべし。
するとその「点」が少しずつつながって、やがて「線」になり、結果的に「やりたいこと」となる。
それが本当の意味での「やりたいこと」の見つけ方なのだそうです。
◆そして最後の上記ポイントの5番目は、「読書術」がテーマの第4章からのもの。
普通の読書術のお話もあったのですが、本書のメインテーマに関係するものとして、この部分を選びました。
ただ、言ってることはわかるのですが、大量に時間術本(時間管理術本)を読んでも、私がブログの下書きをしているのが、いつも夜中の2時3時なのは、やはり「実践」が欠けているのでしょうね。
この章にも「思考は行動に変えないと意味がない」という節がありました。
なんでも大切なのは「24時間以内の実践」なのだとか。
……1日以内に本書の内容を1つでも実践しなくては。
「カイロス時間」を充実させるために読むべし!

忙しさ幻想
第1章 暇で退屈な人ほど、「時間がない」と言っている
第2章 「時間」に振り回されないためにやめたほうがいいこと
第3章 意味のある時間を過ごす時、そこに「忙しさ」は存在できない
第4章 人生をもっと濃厚で、もっと意味のあるものにする読書術
【関連記事】
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【時間術】『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ』尾石晴(2021年01月21日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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【編集後記2】
一昨日の「Kindle 準新作本セール」の初回分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
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