2025年07月01日
【文章術】『ハーバードの人生を変えるライティング』ソン・スッキ

ハーバードの人生を変えるライティング
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも人気の高かった文章術本。本書で展開される「オレオ公式(O.R.E.O.)」は、「ハーバード大生が学ぶロジカル・ライティングに、世界的なコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーが誇る、論理的思考力のフォーマットを合体させたフレームワーク」なのだそうです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェット…
なぜ、世界の一流は「書く」ことにこだわるのか?
AI・ChatGPT時代に差がつく、ハーバード大学で150年伝わる世界最高のライティング授業。
当初はなかったKindle版の値引も、現在は「10%OFF」とお求めやすくなっています!

【ポイント】
■1.ハーバード大学の学生が文章を書くことで身につける7つの力ハーバード大学のライティング授業は、学生が自信をもって「伝えたいこと」にアプローチできるように尽力している。そのため教授陣は、議論の余地があるテーマを選ぶように学生を導く。さらに、アイデアをもとにしてテーマを構成するときに効果的な戦略や、自分の考えを伝える方法やスキルを伝授する。
学生がハーバード大学を卒業するころには、次の7つの力が身につく。1.議論のきっかけとなる、分析的な質問をする力
2.論理的な意見を述べる力
3.信頼できる証拠を使い、主張を裏づける力
4.責任をもって他人のデータを引用し、盗用に抗う力
5.相手がすぐ理解できるように表現し、伝える力
6主張に対する反対意見を事前に予想し、対応する力
7.説得力のあるエッセイや論文を書く力
■2.オレオ公式の4つのステップ
オレオ公式はライティングの4ステップの頭文字からつけた名前だ。
ステップ1:Opinion(意見を主張する)
自分の考えをロジカルにまとめるために、要点をはっきりさせる過程。
ステップ2:Reason(理由や根拠を出す)
ステップ1で主張した意見を、妥当な理由や根拠を用いて証明する。このステップで客観的な数値を示せば、読み手をいち早く説得できる。
ステップ3:Example(具体例を示す)
具体例を出して信頼度を高める。ステップ2が理性に訴えるやり方なら、ステップ3は読者の心に訴えかけるやり方だ。
ステップ4:Opinion(意見を強調する)
読み手に期待することを明記する。これによりすばやく要点を伝えることができる。
この順番どおりに考えと資料を並べるだけで、おのずと理路整然とした流れができあがる。
■3. ハーバード大生がエッセイを書くときに守る5つの条件
1.1つのテーマを扱う
1つのエッセイで扱うテーマは1つに絞る。すると文章が説得力をもち、いち早く要点を伝えられる。
2.論理的で信頼性のある文章を書く
事実、数値、具体例、証言などを使い、読み手を説得する。
3.文の成分を意識する
文の成分がしっかりしていないと、書き手の意見をきちんと伝えることができない。
4.5段落で組み立てる
一般的なエッセイは、「序論、本論、結論」で構成される。ハーバード式エッセイもこの構成がもとになっている。序論と結論がそれぞれ1段落ずつ、本論は3段落で構成する。
5.1500字以内で書く
エッセイ1編は、ひと呼吸で読めるくらいの長さがちょうどいい。3分以内に読めるように、1500字以内で構成すると、集中力が落ちているといわれる昨今の読み手にも読んでもらえる可能性が高まる。
■4.ひとまず書く
ライティングがつらく、難しい理由を挙げろと言ったら、いくらでも挙がるだろう。要するに、あなたがどんな理由を挙げて言い訳しようと、うまく書けない理由はただ1つ、「書かないから」、これに尽きるのだ。
ふつうの人は、文章をうまく書くためにはまず考えるだろう。あれこれ思案し、創造的なアイデアをひねり出そうとするはずだ。ところが、うまく書く人は違う。彼らはひとまず書く。書けばいいアイデアが思いつき、最高のアイデアは書きはじめてから降りてくることを知っているのだ。
ハーバード大生も書いて学び、経験を積んでいく。
■5.他人の文章を読み、同僚から意見を聞く
ロボット工学者のデニス・ホン教授のエッセイに、興味深い話が載っていた。彼が初めて教授に任用されたとき、最も力を入れたのが研究費を得るために提案書を作成することだったという。ところが提案書を埋めるために徹夜で勉強し、提案書を書いて提出しても、なかなか結果が出なかったそうだ。
そんな折、彼を不憫に思ったある財団の代表が、財団に提出されたほかの研究提案書を見せてくれたという。それをきっかけに、彼はどのようにして提案書を書くか、どんな提案書が受け入れられているか実感したという。そうして自分の書いた提案書の問題点を認識し、それ以降、研究費を勝ち取れるようになったそうだ。他人の文章を読み、同僚から意見を聞くのは、ライティングの本を10冊読むより効果的だ。
【感想】
◆そもそもハーバード大が、そこまでライティングに力を入れているとは、知らなかったワタクシ。本書にある「ハーバード大生が卒業するまでに書く文章の重さは50キログラム」ですとか、「ハーバードを卒業した40代の男女約1600人に『最も役に立った授業は何か』を尋ねたら、回答者の90%以上が『ライティングの授業』と答えた」といった記述を読むにつけ、これは結構ガチで取り組んでいるな、と理解しました。
そしてその結果が、第1章から引用した上記ポイントの1番目の「文章を書くことで身につける7つの力」です。
まさにロジカルシンキングそのものですし、さらには説得力や対応力も身につけられるらしく。
そしてその、「ハーバード大学が学生に4年間かけてたたき込むライティングの授業」を、「1時間で身につけるハーバード式ロジカル・ライティングのメソッド」に集約したものが、本書の主たるテーマである「オレオ公式(O.R.E.O.)」です。
◆というわけで、第2章ではオレオ公式についての解説が登場。
上記ポイントの2番目がその概要になります。
……って、これって見た感じ、おなじみのPREP法に似てません??
PREP法 - Wikipedia
なるほど、真ん中の「Reason(理由)」と「Example(具体例)」は、同じと言っていいでしょう。
では両端の「O」と「P」はどう違うのか?
「P」が「Point(結論)」であるのに対して、「O」は「Opinion(意見)」ということで、おそらくですけど、PREP法があくまで「結論」というある種の客観的なものにたいして、オレオ公式はより自分の意見や主張になるのではないか、と。
なお、本書にはPREP法の「P」の字も出てきませんので、あくまで私の憶測ですが。
あと、用途なんですが、PREP法はプレゼンや会議で用いられることが多い(当ブログでレビューした作品においては)のに対して、初登場であるOREO公式は、文章術、というのもあるのかもしれません
◆さて、続く第3章では、そのオレオ公式のステップそれぞれについての解説なので割愛。
次の第4章からは、上記ポイントの3番目を引用しました。
なお、ここで(と言いますか本書で)いう「エッセイ」とは、日本でイメージするエッセイとはちょっと違うので、一応ご留意を。
エッセイはハーバード大学だけではなく、欧米社会において自分のメッセージを伝えるロジカル・ライティングの典型だ。発表したり、共有したりする目的で書いた普遍的な文章なので、読み手に要点を伝えるためには読みやすく組み立てる必要がある。そして、ハーバード大生は、この5つの条件を守って書きまくるようです。
論文、報告書、フィクションの文章をのぞいたほとんどすべての文章が、エッセイ形式に含まれる。
ちなみにこの第4章では、ヘッドラインや書き出しについても触れられているのですが、これは特にハーバードメソッドというわけではなさげなので、カットしました。
◆「じゃあ、実際にどうやって鍛えたらいいの?」というお話が載っているのが、1つ飛んだ本書の第6章です。
上記ポイントの4番目にあるように、「まずは書く」「とりあえず書く」のがお約束。
ハーバード大学で長年ライティングを教えてきたナンシー・サマーズ教授も、文章をうまく書くには短い文章でも毎日書くことを推奨しているのだそうです。
さらにはただ書くだけではなく、上記ポイントの5番目で抜き出したように、他人の文章を読んだり、他人のフィードバックを受けることも大事らしく。
いずれにせよ、本書にはさまざまな具体例が掲載されていますから、そちらもぜひ、ご参考になさってください。
文章のチカラでチャンスを手にするために!

ハーバードの人生を変えるライティング
はじめに ハーバード大学20万ドルの秘密
第1章 なぜハーバード大学はライティングにこだわるのか
第2章 どうやって読まれる文章を書くか
第3章 どうやって論理的な文章を書くか
第4章 どうやって心を動かす文章を書くか
第5章 どうやってライティングを人生の武器にするか
第6章 どうやってライティング力を鍛えるのか
おわりに ライティングがあなたの足を引っ張らないように
付録 オレオ公式 練習ワークシート
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