【天才?】『誰でも”天才になる”方法』東大AI博士カリス:マインドマップ的読書感想文

2025年06月30日

【天才?】『誰でも”天才になる”方法』東大AI博士カリス

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本（電子書籍）プライムデーセール」の中でも注目の1冊。

林修さんが「凡人のために、『天才』が新たな成功の道筋を教えてくれた。」と称する作品ですが、確かにハイライトを引きまくりました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

16歳で東大に合格した
元引きこもりの僕が教える逆転の思考法
仕事、勉強、人間関係、自己改造、未来……すべてにおいて自分は変えられる！

中古が値下がりしていますが、送料を加味すればKindle版が300円以上お得です！

【ポイント】

■1.好きな仕事ではなく、勝てる仕事をする

　自分では「これがやりたい」と思っていても、期待される以上の価値が提供できないなら、それは単なる「趣味」に過ぎない。そんなのは、暇なときに勝手にやればいいだけ。
「やりたいことが見つからない」と思い悩む人は多いが、前提が間違っていると、僕は思う。むしろ、自分の現状を受け入れたうえで、「やりたいこと」ではなく、勝ち筋のある「やるべきこと」を見つけて全力投球すべきだろう。
　僕はAI研究者だが、別にやりたい研究をしているわけではない。2～3年後に世に大きなインパクトを与えるような研究を、時代を先取りしてやっているだけ。僕は、100回引用される論文は100点で、10回引用される論文は10点で、1回も引用されない論文は0点だと捉えている。だから、毎回100回引用されるために必要な全てのことをやりきって、その結果として100回以上引用されている。
　別にやりたい研究をしているわけではないけど、研究と論文執筆はいつも早く終わるし、毎回高い評価を得て起業にも繫がったから、僕は得意な仕事をして幸せだ。

■2.「作業」をやめて「勉強」をする

「システム1とシステム2」理論によれば、人間の脳には、2つの思考システムがある。
①作業に使われる、直観的で「怠惰」なシステム
②勉強に使われる、逆算的で「勤勉」なシステム(中略)
「怠惰」なシステムを使って、簡単なことを無意識的にこなすときは、脳内で化学信号の伝達を伴う「短期記憶」しか生じないので、学びは得られない。
　一方で、「勤勉」なシステムを使って、難しいことに意識的に繰り返し挑戦するときは、脳内で化学的変化が生じるだけでなく、ニューロン構造（例：新しい神経突起とシナプスの成長）や遺伝子発現レベルで変化が起こる。その結果、「短期記憶」が徐々に「長期記憶」に移行していくので、人は学びを得て成長できるのだ。
　だから、作業ではなく勉強だけやって結果を出したければ、「勤勉」なシステムを使う割合を高めればいい。

■3.質問形式でメモする

　授業や自習中に大事だと思った箇所を質問形式でメモすると、効率の良い想起学習ができる。テスト直前などにメモを読み返し、解答できるか試せば、弱点を埋められるからだ。たとえば、「縄文時代の人の平均身長は？」というクイズを作って、後で「男：158㎝、女：149㎝」と答えられなかったら、覚え直せばいい。

■4.意志力をすぐ回復させる方法

①グルコースの摂取： やる気が出ないときはグルコース（ブドウ糖）を摂取すると、前頭前野が活性化するので、意志力が回復する。ポーションを飲んでHPを回復させるイメージ
②タスクの切り替え： 約50分ごとに休憩を挟んでタスクを切り替えると、前頭前野が活性化するので意志力が回復するし、偏桃体が抑制されるので気持ちが落ち着く。腕の筋トレをして腕が疲れても、足の筋トレなら頑張れるイメージ
③終わりの可視化： 事前に設定した目標や終わりを浮かべると、前頭前野と帯状回が活性化するので、意志力と注意力が回復する。終わりなきトンネルはくぐり抜ける気がしないが、光の見えるトンネルならまだ走れるイメージ

■5.成功は「アイデア」と「人」と「お金」から来る

　そう、実は運が訪れる回数は完全にランダムではなく、この3つの努力次第で増やせるのだ。だから本筋以外のことは荒立てず、穏便に済ませつつ、成功に向けた努力だけを続けよう。
　普段から読書と体験を重ねて多角的な視座を育み、それを活かした創造的なアイデアを数多く構想しておく。常日頃、自分の成功に少しでも寄与しそうな人と関係構築して種を蒔いておく。最も優先順位は低いが、できれば何かを開始するためのお金も確保しておく。そうすれば、迷信的ではなく、科学的に運は引き寄せられる。
　運を活かし成功を摑むための方法は、以上である。報われる努力をするか否かはあなた次第。
　結果で後悔はしても、生き様で後悔はするな！

【感想】

◆冒頭で申し上げたように、ハイライトを引きまくりました。

もちろん中身が濃い、というのは当然なのですが、その要因として、ネタがつまりまくっていることがあるかな、と。

というのも、下記目次をご覧いただくとお分かりのように、本来複数の本として取り扱うようなテーマが1冊に詰め込まれているんですよね。

私はタイトルをチラ見した時点では、てっきり勉強本だと思ったのですが、アマゾンの内容紹介にも付されている章題を見ても、明らかにただの勉強本ではありませぬ（その内容もありますが）。

もっとも、勉強の章でも、それ以外の章でも、なかなか鋭い発言が多くて、大いに勉強になりました。

◆たとえば「仕事」がテーマの第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目。

ここでは、一部の作品で言われている「好きなことを仕事に」という考えを、ある意味バッサリ否定しています。

逆に「勝ち筋のある『やるべきこと』を見つけて全力投球すべき」という主張は、身も蓋もありませんが、ごもっとも。

加えて

　なのに日本のほとんどの研究者は「やりたい研究をする」と甘っちょろいことを言って、誰も読まないような「低レベルな論文」を「大幅に遅延」して書いているから、「おかしい」と僕は常々思っている。

と言われてしまうと、一部の研究者さんは、立つ瀬がありません罠。

◆続く第2章では、「勉強」がテーマということなのですが、「16歳で東大に合格」という肩書からして、説得力大！

そこから引用した上記ポイントの2番目でも、「作業」と「勉強」の違いについて、辛辣な指摘がされています。

具体的に「作業」とは、脳に負担をかけない、再読やノート作成等のこと。

実際に間違った勉強法として

1.テキストをひたすら何度も読む
2.下線を引いたりハイライトする
3.ノートを取る

の3つが挙げられています（詳細は本書を）。

◆逆に「勤勉」なシステムを使う、科学的な勉強法として挙げられているのが、以下の3つ。

1.勉強する「前」に模擬試験を行う
2.間隔を空けて練習と模擬試験を繰り返す
3.質問形式でメモする

このうち3番目の「質問形式でメモする」が、今までの勉強本では紹介されていたことがなかったと思うので、上記ポイントの3番目として抜き出してみました。

確かに、せっかくのメモも、「大事」とか「重要」等、記したとしても多分、それで終わりでしょう。

ところが質問形式で書いてあると、脳が答えを探すという形で動き出しますから、想起学習になる、というのも、なるほど分かります。

また、1番目の模擬試験についても、問題の傾向や問われ方が身につくだけでなく、人間の脳は間違えた事柄を強く記憶するので、過去問でしんどい思いをするのは、理にかなっているのだとか。

◆正直、この2つの章だけでもお腹いっぱいでしたが、1つ飛んだ第4章の「自己改造」から引用したのが、上記ポイントの4番目。

意志力だけでも、テーマになるような大ネタですが、ここでは有益な回復方法が紹介されています。

確かに甘いものたべると、元気が出るような気がしていましたが、錯覚ではなかったのかｗ

さらには割愛したお話でも「意志力の総量を増やす3つの方法」なんてのは、見逃せないところですね（ネタバレ自重）。

そして上記ポイントの5番目は、第5章の「未来」から抜き出しました。

そう、「運」はこの3つに注力することで、引き寄せる可能性を高められるのだとは!?

なお、長くなるので割愛しましたが、仕事における生成AIのプロンプト入力のコツや、生成AIを活用した英語勉強法あたりもお見逃しなく（なんたって「東大AI博士」ですし）。

報われる努力をして成功者になるべし！