【ロジカル思考】『仕事ができる人は4つのことだけを考える』富沢裕司:マインドマップ的読書感想文

2025年06月23日

【ロジカル思考】『仕事ができる人は4つのことだけを考える』富沢裕司

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本（電子書籍）プライムデーセール」の中でも人気の仕事術本。

タイトルにはないものの、下記内容紹介にあるようにロジカルシンキングを仕事に活用した内容ということで、当ブログ向きの1冊だと思います。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

トヨタ、イオン、楽天、メルカリ、日本製鉄…
大手企業で研修登壇する著者が伝えている、明日から「話がわかりやすくて仕事が早い人」になる方法
本書は「話がわかりやすくて仕事が早い人」になるための方法を解説する。
その方法とは、「ロジカル思考のスキルやコツ」だ。

中古がまったく値下がりしていませんから、このKindle版が1100円弱お得な計算です！

【ポイント】

■1.相手の反応で分かるロジカル思考の漏れ

「それじゃないよ」： 目的に合っていない（合目的でない）
「何が言いたいの？」「長いな」： 全体の構造が明確でない（構造化されていない）
「本当？」「理由は？」： 答えの理由が適切でない（論拠がつながっていない）
「それだけ？」「ほかには？」： 情報に漏れや重複がある（網羅されていない）
　合目的でなければ、相手からは「それじゃないよ」と思われてしまいます。構造化ができていないと、「何が言いたいの？」「長いな」と思われます。そして、論拠が明確でないと、「本当？」「理由は？」と返されます。網羅ができていないときは、「それだけ？」「ほかには？」と突っ込まれるでしょう。
　こういう反応をされないように、コミュニケーションの前にチェックしてみてください。打ち合わせやメールを送るとき、電話をかけるとき、会議で発言するときには、右記のような「ダメな反応」をされないように事前に自分の考えを4つの要素で整理しておくのです。

■2.答えに対して論点が整っているか、理由は適切か

「来月、東京駅近くの八重洲口で、友だちと2人で夜に会って近況を話す」という目的があったとします。論点は、「東京駅の八重洲口近辺で、気軽に行ける飲食店はどこか」です。結論・論拠・根拠・証拠を考えてみましょう。(中略)
　あなたは、八重洲口にある居酒屋をインターネットで検索してみます。そのなかに「居酒屋Y」がありました。居酒屋Yは「生ビール1杯が290円」です。他店と比べてみると、「通常は生ビール1杯が安くても380円」なので、居酒屋Yが格段に安かったのです。そこであなたは友だちに「居酒屋Y」で会うことを提案しました。
　結論・論拠・根拠・証拠で説明すると、結論は「居酒屋Yがおすすめ」。その論拠は「安いから」。根拠は「生ビール1杯が通常は安くても380円のところ、Yでは290円」だから。証拠は「お店のWEBページの表示」です。

■3.漏れを防ぐための5つの方法

① タスクの可視化
　すべての作業をリスト化し、抜けや漏れがないか確認します。
② ダブルチェック体制を構築する
　作業完了後に別の担当者が確認する仕組みを導入します。
③ テンプレートを利用する
　必要な項目が網羅されたフォーマットやテンプレートを用意します。
④ 関係者全員での情報共有
　チーム内で定期的に情報共有ミーティングを行います。また、共有ドキュメント（Microsoft TeamsやGoogle Docsなど）を活用し、つねに最新情報を確認可能な状態にします。
⑤ プロセスを標準化する
　作業の流れを標準化し、どの段階で何を行うべきかを明確にします。

■4.ロジカルな議事録

合目的：何のため、誰のための議事録なのかを意識する。
構造化：項目、情報ごとに分けて整理する。
論拠：結論に至った理由や事実を明確にする。
網羅：情報の漏れを防ぐため、関係者に確認したり、職場で使用しているフォーマットを活用する。
　構造化は、先に説明した「ロジカルなメールの書き方」と共通します。
　議事録を書くときには、ロジカルを意識し、書き終わって送信をする前に、内容がロジカル思考に適っているかを、この4つの要素で確認します。
　議事録でもっとも大切なポイントの１つは、「決定事項がどうして決まったか、理由を明確にすること」です。どういう論拠でそれが決まったのか、あるいは否定されたのか、結論に至った理由を明確にしておくことが重要です。

■5.処置思考ではなく対策思考を使う

　仕事は「処置」と「対策」に分かれます。処置は短期での目の前の対応、対策は長期で調べて考えて実施すべきことです。(中略)
　1ついえることは、家電メーカーはどこも処置思考でした。理由は日本の高度成長期を半年ごとのモデルチェンジで乗り切って競争し、発展してきたからです。(中略)
　一方で自動車メーカーはどうだったか。自動車は製品開発を2年、4年、8年と長期の視点で行います。モデルチェンジが数年ごとなのです。また、問題解決がしっかりできないと人命に影響する可能性もあります。したがって、自動車メーカーにはロジカルに問題解決を行う文化があり、処置思考を避けるための人材育成が徹底されているのです。

【感想】

◆本書はタイトルに「4つのこと」とあって、かつ、アマゾンの内容紹介でもその「4つ」が具体的に何か、ということと、かつ、それぞれについても、簡単に説明がされています。

従って、ここを読んだだけで大枠は理解できるでしょうし、本書の大体の構成も予想できるのではないか、と。

実際に第1章から第4章までは、この4つ（「合目的」「構造化」「論拠」「網羅」）の解説がなされ、その後の実践編では、この4つをどのように反映させていくかを、具体的なシーン（メール、プレゼン、議事録等）ごとに当てはめています。

そこで、その話に先立つ序章から抜き出したのが、上記ポイントの1番目。

これらのツッコミが相手から入った時は、それぞれの要素が漏れている、と考えるべきでしょう。

◆さて、いつもなら残りの4つのポイントを、この4要素のお話を順に挙げていくところなのですが、それだと少々芸がないかな、と思ったワタクシ。

とりあえず後半の実践編からも抜き出したくて、第1章の「合目的」と、第2章の「構造化」は割愛しました。

そして第3章の「論拠」から抜き出したのが、上記ポイントの2番目の「居酒屋」のお話です。

分かりやすさの点から、この部分を選んだのですが、実はこの事例の直後に、実際のビジネスシーンでの事例がなんと10個も挙げられているという……。

それぞれにおいても同じように「論拠」「根拠」「証拠」を列挙していますし、そちらを選んでも良かったのですが、こういう変化球の方が記憶に残るんじゃないかと思った次第です。

◆続く第4章の「網羅」からは上記ポイントの3番目のチェックリスト的なものを引用しました。

「漏れ」のようにあってはならないものの場合、こうしたチェック体制を整えておくのが大事かと。

なお、「重複」においても、同じように「防ぐための5つの方法」が紹介されていますので、こちらも本書にてご確認ください。

さらには、後半を占める実践編から抜き出したのが、上記ポイントの4番目の「議事録」。

上記でも触れたように、これはあくまで実例の1つであり、他にも「報連相」や「説明」「情報整理」等々がありました。

◆また、上記ポイントの5番目も、同じく第4章から抜き出したもの。

「ロジカルな問題解決」の検討は、「目的」「問題」「原因」「対策」の4つの流れで進めるものであり、上記ポイントの5番目は、このうち最後の「対策」に該当します。

といいますか、ここで触れられている「処置」と「対策」という考え方は、当ブログでは恐らく初めて出てきたもののはず。

私もかつては家電メーカーにいたので、耳イタイ部分もありますが、確かに現在のトヨタの強さを考えると、否定できませぬ。

そして怖いのが、「対策」のつもりが「処置」になっていることなので、短期と長期を意識しつつ、解決をはかりたいものです。

「ロジカル思考のスキルやコツ」を学ぶために読むべし！

仕事ができる人は4つのことだけを考える

まえがき本当に仕事で使えるロジカル思考
序章　ロジカル思考の4つのステップ
第1章　ロジカル思考の第一歩は目的の明確化合目的
第2章　△□◯のパターンで全体を把握する構造化
第3章　「それ、理由になってないよ」と言われないために論拠
第4章　構造に欠陥を出さないために要素を集める網羅
実践編ロジカル思考を仕事に活かす
あとがき　話がわかりやすくて仕事が早い人へ