2025年06月17日
【英語学習】『1億人の英語習得法 日本人が最短ルートで英語をマスターする方法』斉藤淳
1億人の英語習得法 日本人が最短ルートで英語をマスターする方法 (SB新書 694)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先月末の未読本記事の中で人気の高かった英語学習本。著者の斉藤さんは、以前教養本（現在何かのセールで半額!?）をご紹介したことがあったのですが、実は「英語塾 J PREP代表」ということで、こちらが本職でした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
英語が苦手なのは、あなたのせいではない
こんな英語の授業を受けたかった！
日本人はなぜ英語ができないのか。
それは、「ネイティブが当たり前にやっている英語の学び方」を知らないから。
日本人は英語習得の勘所を外したまま、不要な苦労をしているのです。
本書では、イェール大学元助教授で英語塾を主宰する著者が、日本人の知らない英語習得法を伝授します。
当初は値引がなかったKindle版も、現在は「10％OFF」とお求めやすくなっています！
【ポイント】
■1.大人の学び直しは「楽しんだ人」から上達するいずれにせよ明確に言えるのは、決まったカリキュラムや、出題範囲が定められた定期テストのない大人の学び直しでは、「自分が楽しめる教材・学習法」で学んでいくのが一番であるということです。
しかも今は、かつてないくらい「楽しく学べる環境」が整っています。それを生かさない手はありません。(中略)
YouTubeで少し検索すれば、あらゆるジャンルの動画コンテンツを無料で視聴できます。Netflixなどのサブスクリプションサービスに加入すれば、月々1000円程度の定額で多種多様なドラマ、映画、ドキュメンタリー作品を視聴できます。
しかも、これらのサービスは、たいてい英語字幕に対応しています。自分の好きなジャンルの動画コンテンツを英語字幕付きで視聴し、英語のリスニング力を鍛える。そんなことも自在にできるのです。
■2.音読用練習教材のおすすめ
特に念頭に置いているものがなければ、あるいは音源を確保するのが面倒だと考える方は、現代の高校生が使っている受験用の教材を使ってみましょう。「え、今更、受験英語？」と抵抗を感じる方もおられるかもしれませんが、次の理由から、安河内哲也「大学入試 英語長文ハイパートレーニング」シリーズ（桐原書店）をおすすめします。�．譽戰詈�けされ、簡単なものから徐々に難しくなるよう練習段階が管理されている特に、語学学習から長年遠ざかっている方については、細かいことは気にせずに音読の習慣を身につけるところから入っていくことをおすすめします。
��音読練習を前提に、間の取り方も含めて解説がある
■3.単語の暗記に使えるスマホアプリ
●mikan英単語学習のベストセラーアプリで、利用者も多く、ランキングで競争するなど、モチベーションの維持に用いるといいでしょう。カードを覚えたか、覚えていないかで自分で振り分けるモードのほかに、4択で理解を確認する形式も用意されています。●Anki
日本国内ではベストセラーですが、その分、画面に日本語が多すぎる印象です。自分でデータを作成し練習するためには、このアプリがおすすめです。元々は日本語を学習していたプログラマーが作ったもので、間隔反復のアルゴリズムを用いているところが、広範に使われるようになった理由です。自分専用の単語帳を作成する機能が早くから搭載されているなど、カスタマイズする柔軟性が高かったため、当初から熱心な学習者に支持されてきたアプリです。
■4.文法の基礎知識を復習するためには「大学入試用問題集」
まずは英検準1級程度までの基礎知識を復習するためには、中高生向け問題集、続いて大学入試用問題集を使うことをおすすめします。書店に行けば、左側に問題、右側に解説という形式の問題集が数種類並んでいます。それぞれにカバーする範囲が微妙に異なるため、会話表現や語源、発音問題など、必要な分野を収録しているかどうかを基準に選ぶか、1つひとつの解説が分かりやすいかどうかで決めればいいでしょう。著者や各出版社とも工夫していますので、品質に大きな優劣はないと思います。
また最近の大学入試は、出題者側も工夫を凝らしています。大学に入学した学生たちは、就職に備えて在学中にTOEICを受けたりするわけですから、出題する入試問題もこれに似てきたりします。入試用問題集も、こうした傾向を反映するようになっていますので、なおさら基礎を固めたい人はここから始めたらいいと思います。
■5.精読と多読の比率
分からない単語にぶつかるたびに辞書を引きつつ、一言一句、隅々まで理解するのが「精読」なら、「多読」は、分からない単語があろうと構わず読み進め、ざっくり全体像を把握するという読み方です。私自身の経験では、テキストの分量で比べたら多読9割、精読1割ぐらいが理想だと思います。英語に触れる時間で比べたら、多読2に対して精読1ぐらいでしょうか。精読には、辞書だけでなく生成AIも使っていけばいいと思います。
多読は、基本的には辞書を引かずに読める本を選び、徐々に難しいものに挑戦していく学び方です。ただ、自分で楽しむ場合は、辞書は引きたいときに引けばいいでしょう。私の場合は、大学院生だった30年前から、単行本は最初の10ページ程度は辞書を引きながら「精読」し、残りのページを「多読」するようにしてきました。
【感想】
◆本書のタイトルには明記されていないものの、本書は「教養」としての英語学習を基本としています。それは実際に第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目の見出しにもあるとおり。
ただし、具体的な受験を目的としない分、スタートラインもピンキリになります。
この点、本書では同じく第1章に
この本では、主として、英検3級ぐらいの実力から、準1級、1級ぐらいまでのレベルアップを念頭に、練習のコツを説明したいと思います。とありますので、一応ご留意を。
また、最終章である第6章では「大人のための英検・TOEIC対策」と題して、受験ネタも扱っていますから、読んでいく過程において、受験も頭に浮かぶようなら、ぜひご検討ください。
◆さて、続く第2章からは個別の論点が扱われています。
まず第2章では「発音」。
そもそもアルファベット26音を、私自身、正しく発音できているつもりでいたのですが、著者の斉藤さん曰く「『上手に』は発音できない人がほとんど」なのだそうです。
ちなみに、昔からある「ABCソング」ですが、音節に関する感覚の違いから、英語版と日本語版があるのだとか。
L，M，Nを「エル・エム・エヌ」と区切って発音するのではなく、l，m，n，o，pと一気に発音するものですね。 Lは発音記号で表せば/el/で、母音は１つ、１音節です。一方で日本語読みすれば「エル」、あえてローマ字表記すれば「eru」になり、母音が2つ、2拍もしくは2音節です。そんなの知りませんでしたよ……。
なお、上記ポイントの2番目は、第2章から抜き出したのですが、引用内にある安河内先生のシリーズはこちらになります。
Amazon.co.jp : 大学入試 英語長文ハイパートレーニング
◆一方第3章では「語彙」がテーマ。
何でも英単語によって「最適な覚え方・教材は異なる」そうで、実際に本書では「具体的⇔抽象的」「使用頻度高⇔使用頻度低」の2軸でマトリクスが作成されているのですが、ここでは割愛（図なので）。
一応、具体的な単語は「絵入りの辞典」が、抽象的な単語は「語源で覚える辞典」が、記憶に定着しやすいのだそうです。
逆に、どの象限でもつかえるのが、上記ポイントの3番目で挙げたスマホアプリ。
mikan
Anki
こういうアプリを使いこなせるか否かも、英語上達に影響がありそうです。
◆そして第4章のテーマは「文法」。
日本人が唯一（？）英語学習で誇れるのは文法ではないか、と私は思っていて、実際、私も短期語学学習時でも、文法はあまり困りませんでした。
……というか、他が全部ダメだっただけなんですが。
実際、上記ポイントの4番目で引用したように、「中高生向け問題集」や「大学入試用問題集」がオススメのようです。
また、割愛した部分で言われていたのが、助動詞の重要性。
具体例では、「時間的な距離感」（過去⇔現在）と「現実との距離感」（想像⇔明らかな事実）によって6種類の文が紹介されていますから、ぜひニュアンスとともにご確認ください。
◆なお、上記ポイントの5番目は、第5章の「リーディング」からのもの。
「精読」には「音読」「暗唱」「書写」の3つの方法があり、本書ではそれぞれについても説明がなされているので、こちらも本書にて。
また「速読」は、
学び直しの場合は毎分60語程度を目安（1ページ4分）からスタートし、徐々に毎分300語に向けてスピードアップすればいいでしょう。とありましたので、こちらを目指してください。
理詰めの英語学習本がここに！
1億人の英語習得法 日本人が最短ルートで英語をマスターする方法 (SB新書 694)
1章 大人の英語「学び直し」で大事なこと
2章 脱ローマ字英語――なぜ「ABCソング」が英語習得に役立つのか
3章 語彙を増強する――ボキャブラリーこそが英語力の要
4章 「文法」を学び直す――英語の世界を可視化する
5章 「リーディング」を伸ばす――英語を「読める」人は「書ける」「聴ける」「話せる」
6章 大人のための英検・TOEIC対策――「受験英語の延長」ではスコアアップを狙えない
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
普通という異常 健常発達という病 (講談社現代新書)
私たちにも当てはまりそうな「病」の本は、Kindle版が400円弱お得。
おとな六法
身近な出来事に法律を当てはめてるっぽい（？）本書は、Kindle版が600円弱お買い得。
冬の子 ジャック・ケッチャム短篇傑作選 (扶桑社ＢＯＯＫＳミステリー)
当ブログとしては、あまり小説は取り上げてはいないものの、「スティーヴン・キング絶賛」の短編傑作選は、Kindle版が600円強、お得な計算です！
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