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2025年06月12日

【メンタル】『一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』ジュリー・スミス


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一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも一番人気のメンタル本。

本来複数の作品で扱うような広範囲のテーマが詰め込まれており、さすが「大全」を名乗るだけのことはあるな、と思った次第です。

アマゾンの内容紹介から。
世界37か国刊行のベストセラー!全英で大人気の心理学者・臨床心理士によるセルフケアガイド。気分の上下、不安、ストレス、やる気……日々のメンタルを整える簡単で実用的な方法を全網羅。

中古があまり値下がりしていませんから、このKindle版が800円以上お買い得となります!






【ポイント】

■1.調子が悪い日はより良い決断を目指す
 落ち込んでいると、自分をさらに落ち込ませるとわかっていることをしなければいけない気分になる。一方で、自分のプラスになるとわかっていることをする気になれない。最善の決定は何だろうと思い悩み、それができない自分を責める。そうなるのは完璧主義のせいだ。完璧主義は、意思決定のプロセスを働かなくさせる。なぜなら、どのような決定にも、不確実な部分があり、何を選択しても、いくらかマイナス面があるからだ。
 したがって、落ち込んでいるときには、完璧な決断ではなく、より良い決断を下すことを目指そう。より良い決断は、わたしたちを望む方向に進ませてくれる。もっとも、その歩みはゆっくりでいい。
 どれほど小さくてもいいから、決断し続けることが肝心だ。危機的な状況にあっても、決断し、動かなければならない。闇に包まれた深い水の底にいて、どちらへ行けば助かるのかがわからなくても、とにかく方向を決めて動き出さなければ、いつまでたっても水面から顔を出すことはできない。落ち込んだ気分は、わたしたちが何もしないことを望む。だから、小さくても何か前向きなことをすれば、望む方向に向かう健全な一歩になる。


■2.小さな報酬を用意する
 また、大きな目標に取り組むときには、小さな報酬を用意しよう。大きなタスクを小さなタスクに分解して、それぞれの節目に到達したら自分にご褒美を与えると、そのたびにドーパミンが分泌される。ドーパミンはやりがいを感じさせるだけでなく、モチベーションを高めて、次の節目に向かって頑張ろうという気にさせる。直面する困難を乗り越えたらどんな感じがするか、その予測を可能にし、欲望と熱意を引き起こす。つまり、途中に小さな報酬を設けることは、最終的な目標に対する熱意と、やり抜く力を強めるのに役立つのだ。
 たとえば、ランニングをする人が、走る距離を伸ばそうとしているとしよう。疲れを感じ始めたら、「とにかく、この道の終わりまで頑張ろう」と自分に語りかける。そして、道の終わりまで行ったら、心の中で自分を褒める。そうすれば、自分は正しい方向へ進んでいると思える。この内発的報酬はドーパミンを分泌させ、諦めをもたらすノルアドレナリンを抑制する。その結果、もう少し頑張ろうという気になれる。これは、ポジティブな自己暗示(セルフトーク)とは違う。小さく具体的な目標を設定し、それを成し遂げることで、最終的な目標へ向かっているのだ。


■3.ポジティブなアファメーションに頼らない
 ソーシャルメディアのサイトを開くと、毎日のようにアファーメーション(ポジティブな自己暗示の言葉)に出会う。背景にあるのは、「肯定的な言葉を何度も自分に言い聞かせると、それを信じられるようになり、実現できる」という考え方だ。だが実際には、そう簡単にはいかない。もともと自尊心が高く、自信がある人は、アファーメーションを繰り返すと、多少、気分が良くなるだろう。しかし、自尊心の低い人は、自分が信じていないアファーメーション(たとえば、「わたしは強い人間だ、わたしは魅力的だ」など) を繰り返したり、それが事実だという根拠を探したりすると、かえって気分が落ち込むことが、研究によってわかっている。(中略)
 では、どうすればいいのだろうか。前述の研究では、自尊心の低い人はネガティブなことを考えてもいいと言われると、気分が落ち着くことがわかった。信じられないことを信じようとして葛藤する必要がなくなるからだ。 自分が強い人間だと思えない日には、そう思う必要はない。自分は弱い人間だと時折感じるのは、人間であることの一部だ。 それには思いやりと励ましで対処するといい。そうすれば自信を感じられるものに、再び目を向けられるようになる。なりたい自分になれるよう、すべてのツールを活用して辛い時期を乗り越えよう。自分をポジティブに捉えたければ、行動によってその証拠を増やすといい。


■4.不安なときにはゆっくりと呼吸する
 ゆっくりとした呼吸法を練習するのは、素晴らしい投資だ。それは即効性のある不安解消法で、いつでもどこでも、誰にも知られることなく実行できる。わたしのお気に入りの1つは、スクエア・ブリージングだ。やり方は簡単だ。
ツール:スクエア・ブリージング
1.近くの窓、ドア、額縁、コンピュータのスクリーンなど、四角い物を見る。
2.左下の角を注視し、4秒かけて息を吸いながら、視線を左上の角まで上げる。
3.4秒間、息を止めたまま、視線を右上の角まで動かす。
4.4秒かけて息を吐きながら、視線を右下の角まで下げる。
5.4秒間、息を止めたまま、視線を左下の角まで動かす。
6.以上を繰り返す。
 つまり、4秒かけて息を吸い、4秒間息を止め、4秒かけて息を吐き、4秒間息を止めるのだ。四角い物を注視すると、気が散るのを防ぎ、呼吸に意識を集中させられる。数分間試して効果がないように思えても、続けよう。体が反応するまでには多少時間がかかるものだ。


■5.他者を思いやると、回復力が高まる
 子どもを持つ人の大半は、ベッドに横たわって、家が火事になったらどうしようと考えたら、子どもたちの手をとってできるだけ早く逃げる方法をあれこれ想像するはずだ。(中略)
 また、研究により、ストレスの多いときに他者を気遣うことに心を集中させると、脳内の化学物質が変化し、希望と勇気が生じることがわかっている。それは長期的なストレスやトラウマの有害な影響からわたしたちを守ってくれる。つまり、他者を思いやると、 回復力(レジリエンス)が高まるのだ。この「思いやり−絆−ストレス反応」は、子孫を守るために進化したのかもしれないが、一般的なものであり、そうすることで得られる勇気は、わたしたちが出会うどのシナリオにも適用できる。他者とのつながりはストレスからの回復を助けるのだ。
 社会的孤立は心身を多大なストレスにさらす。愛する人々にじかに会って挨拶を交わしたり、人間関係を充実させたりすることは、短期的にも長期的にもストレスを緩和する。


【感想】

◆冒頭でも触れたように、メンタルに関係した広範囲のテーマを扱っている作品でした。

実際、下記目次をご覧いただければお分かりのように、気分の落ち込みからモチベーション、自信喪失、ストレス等々、いずれも当ブログでも取り上げてきた作品のテーマが満載で、かつ、中身も濃いという。

おかげで、ご紹介もしきれないのにハイライトを引きまくりましたし、さすが著者であるジュリー・スミスは、「300万以上のSNSフォロワーを持つ」だけのことはあります。

もちろん、全部が全部「大ネタ」というわけではありません。

たとえば第1章から引用した、上記ポイントの1番目の「完璧な決断ではなく、より良い決断」というTIPSも、それをもってすべてが解決するタイプのものではないでしょう。

それでもここにあるように「小さな決断」を「ゆっくり」と積み重ねることで、「望む方向に向かう」ワケです。


◆また上記ポイントの2番目の「小さな報酬」のお話も、一見、「細かく分けよ」風ではありますが、キモとなるのは「やり抜く力」を強めるためのもの。

こちらはモチベーションをテーマとした第2章からのものであり、細かく「報酬」を与えることで、心が折れるのを防いでいます。

実際、その細かいゴールごとに「心の中で自分を褒める」ことで、「もう少し頑張ろうという気になれる」のですから!

さらに少しとんだ第5章から抜き出したのが、上記ポイントの3番目。

ここでは、「自尊心の低い人はネガティブなことを考えてもいいと言われると、気分が落ち着く」という、目からウロコのお話がありました。

確かにやたらと、ポジティブなアファメーションを主張するサイトやSNSがありますが、効果があるかは「人によりけり」なんですね。

……ここで「そんな馬鹿な」と思われた自尊心の高い方は、スルー推奨で。


◆続く第6章のテーマは「不安」ということで、その回避法がいくつも紹介されています。

上記ポイントの4番目の「スクエア・ブリージング」もその1つ。

当ブログでは過去何種類もの呼吸法をご紹介してきましたが、こちらは初めてでした。

息を吸って、溜めて、吐く、という呼吸自体は、よくあるものなのですが、四角いものを注視することで、「気が散るのを防ぎ、呼吸に意識を集中させられる」効果があるのだとは!?

また同じく、この章で不安解消の回避法として挙げられていたのが「運動」でした。

単に気がまぎれるからかと思いきや、
不安反応は闘争・逃走の準備をするためのものなので、それが起きると、筋肉は酸素とアドレナリンで満たされ、すぐ動ける状態になる
ので、ある意味「準備万端」なのだそう。

しかも適度に疲れれば、寝入りもよくなり一石二鳥ですね。


◆そして上記ポイントの5番目の「他者への思いやり」のお話は、第7章からのもの。

「他者への思いやり」がレジリエンスを高める、という仕組みは、「利他の精神」にもマッチしており、心がけておきたいところです。

また、割愛しましたが、この章では瞑想やマインドフルネスについても言及がありました。

確かにストレス対策としては、かなり効果がある模様。

もちろん、先日のこの本でも言われていたように、ストレスにはメリットもありますし、本書でもその活用法に触れられていましたから、ご安心を。

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なぜストレスフルな人がいつまでも若いのか ストレスを使いこなす!6つの金のメソッド

参考記事:【ストレス?】『なぜストレスフルな人がいつまでも若いのか ストレスを使いこなす!6つの金のメソッド』伊藤裕(2025年06月08日)

……こちらの本も、6月17日まではセール価格ですから、あわせてご検討ください。


日々のメンタルを整えるために読むべし!

B0BWRVH6NF
一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全
第1章 気分が落ち込むとき
第2章 やる気が出ないとき
第3章 辛い感情にとらわれているとき
第4章 大切なものを失ったとき
第5章 自信をなくしているとき
第6章 不安を感じているとき
第7章 ストレスを感じているとき
第8章 心が満たされないとき


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【メンタル】『超メンタルアップ10秒習慣〜心がどんどん強くなる』飯山晄朗(2021年08月15日)

【メンタル】『悩み・不安・怒りを小さくするレッスン 「認知行動療法」入門』中島美鈴(2016年12月23)

【ストレス?】『なぜストレスフルな人がいつまでも若いのか ストレスを使いこなす!6つの金のメソッド』伊藤裕(2025年06月08日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B0DP84Y1Q2
金利を見れば投資はうまくいく 日本編

今最も注目すべきファクターである「金利」を扱った本書は、Kindle版が1300円弱お買い得。

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徹底攻略データサイエンティスト検定問題集[リテラシーレベル]対応 第2版 徹底攻略シリーズ

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