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2025年05月20日

【コミュニケーション】『あいては人か 話が通じないときワニかもしれません』レーナ・スコーグホルム


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あいては人か 話が通じないときワニかもしれません


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 (電子書籍) 科学・テクノロジー本セール」の中でも人気の1冊。

そのセールも明後日までということで、急いで読んでみました。

アマゾンの内容紹介から。
人生から「摩擦」をなくす、北欧発・世界的話題書
スウェーデン・大ベストセラー!
あなたのワニ化も防ぐ本。
「言っちゃダメ」わかっているけど言ってしまう。
人へのムラをなくしたい。
そんな人は読んでください。
行動科学者の著者は、太古から人間の脳内にある「爬虫類脳(ワニ脳)」が優位になると、人は建設的にコミュニケーションできないと説きます。
トゲなく動かしあうために、話す前から大切なこと。
ワニ脳を活性化させず、自分と人生から「トゲ」をなくす方法。

中古に送料を足すと定価を超えてしまいますから、Kindle版が800円以上お買い得となります!






【ポイント】

■1.適切な言葉で話すためのチェックリスト
✅相手が問題について客観的な視点で話したがっていたら、その人はヒト脳を使っている──では、ヒト語で話そう。
✅相手が自分の気持ちを話したがっていたら、その人はサル脳を使っている──では、サル語で話そう。
✅相手が攻撃に出たり(腹を立てている、あるいは 苛立っている)、逃げようとしていたり(回避)しているなら、その人はワニ脳を使っている──では、ワニ語で話そう。
✅ワニ脳が求める明快で具体的なメッセージを与えたら、次はサル脳に移行し、サル語に切り替えよう。相手の言葉に注意深く耳を傾けよう。そうすれば、どの部門が脳を支配しているかわかる。
✅サル脳が求めるもの、つまり自分の気持ちを言葉にして理解してもらいたいという欲求を満たしたら、今度はヒト脳に移行して、ヒト語に切り替えよう。


■2.ボディランゲージを読み取る仕組み
 私たちが危険にさらされると、あるいは危険の可能性を察知するだけでも、1章で述べたとおり3つの形の反応が生じる。「凍結」「逃走」「闘争」だ。
 誰かのボディランゲージが、この3つのどれかを想起させるシグナルをほんの少しでも発していたら、用心しなくてはいけない。これは太古の時代から人類の脳に刷り込まれた警告だ。危険が目の前に迫っている。
 じっとしている(凍結)、立ち去る(逃走)、攻撃的になる(闘争)ことを想起させるボディランゲージを見ると、私たちは自動的にネガティブに解釈する。
 たとえば、私があなたに背を向けながら話しかけたら、私の言っていることがどんなにポジティブであろうと関係ない。十中八九、あなたは、私の言葉を心から信じることはできないだろう。なぜなら、あなたのワニ脳は、私のボディランゲージのほうを信じるからだ。
 このときワニ脳は、あなたが意識するよりも速く、私のボディランゲージに「逃走」を思わせるしぐさが表れていることに気づく。つまり「背を向ける」というしぐさが危険と結びつく。その結果、あなたは、私の言葉をネガティブに解釈する。


■3.「聞く」は相手の話を「有効」にする行為
「バリデーション」とは、簡単にいうと、相手の話に耳を傾けて、その話を真剣にとらえ、こちらが理解したことが相手にきちんと伝わるようにすることだ。
 そうしてはじめて、相手の話が「有効」になる。その話を正当なものとして認め、受け入れたことになる。「受け入れる」ことと、「ああ、ちゃんと聞いてるよ」と言うのとではまったく違う。
 そして、相手に「受け入れられた」と感じてもらうには、こちらはあることをする必要がある。少しだけ自分の世界から離れて、「自分の見方を手放す」のだ。自分の考えや、問題の解釈などはすべて手放し、相手に意識を集中しよう。そうすれば相手としっかり向き合うことができて、その人の考えや気持ちに寄り添える。
 それをしないと、次の段階には移れない。
 何もかも理解しなくていい。とにかく話を聞いて、それをその人の真実として尊重しよう。たとえ理解できなくても、ただ受け入れよう。


■4.「否定形」ではなく「肯定形」で伝える
 ようするに、言葉を選ぶことは、相手が思い浮かべるイメージを選ぶことだ。だから、「できない」という言いまわしは使わないようにしよう。そして、うまくいくことや、実行可能なこと、つまり解決策を伝えよう。たとえば質問してきた相手に「その質問にはお答えできません」と返さず、その人が求める答えはどこで得られるかを教えるのだ(あなたが知っていれば)。
「○○しない」は、相手の鼻先でぴしゃりとドアを閉める言いまわしだ。相手は、そのドアをどんどんと叩きたくなる。
 だから「○○しない」と言わずに、解決策や回答、そして相手の求める答えがどこで得られるかを教えよう。ドアを開けて、どうぞこちらへ、と招こう。ドアを開ければ、相手のどんより脳のスイッチは入らない。うまくいけば、お日さま脳のスイッチが入るかもしれない。
 人と話すときは「できない」ことではなく「どうすればいいか」を伝えよう。それによって、相手の頭にはポジティブかつ具体的なイメージが浮かぶ。


■5.相手に自分で決めさせる
 心理学の教授エドワード・デシは、「自己決定理論」という説を唱えた。これは、自分で決めることが能力や意義を高め、内発的な動機をつくる、という考えだ。
 会話も、望ましい方向にリードしながら相手に自主性を持たせると、相手はそれをポジティブにとらえる。その結果、お日さま脳のスイッチが入る。
 たとえば、発言ではなく問いかけをしてみよう。「私」を主語にして、「私は……だと考えます。あなたはどうでしょうか?」「私には、そのタスクの要点がわかりません。あなたがどう考えているか説明してもらえますか?」というように。
 ぜひ、問いかけの達人になってほしい。それによって相手に自分で考えてもらって、会話を前に進めよう。
 物事を論理的に考えはじめると、お日さま脳のスイッチが入りやすい。論理的思考とお日さま脳は、どちらも左脳の担当だ。だから、論理的に考えれば、右脳にあるどんより脳の視点から抜けだせる。


【感想】

◆脳ネタ経由のコミュニケーション本、という、意外と珍しいテイストの作品でした。

そもそもタイトルにある「ワニ(ワニ脳)」というのは、冒頭の内容紹介でも触れられているように、俗に言う「爬虫類脳」のこと。

その区分けでいうと、本書や上記ポイントで登場する「サル脳」は「哺乳類脳」、「ヒト脳」は「人間脳」を意味しており、従前からある脳の部位とその働きが、大きなテーマになっています。

ただし私が本書で「目からウロコ」だったのは、その考え方をコミュニケーションシーンで活用していること。

たとえば1章から抜き出した、上記ポイントの1番目のチェックリストを読むと、何が何でも理詰めで話せばいいわけではないことが良く分かります。

例を挙げると、大規模事故等が起きたときの家族は「ワニ脳」になっていますから、ダラダラした前置きは不要で、「短い文章」で簡潔に伝える必要があるのだとか(詳細は本書を)。


◆同じく、第2章から引用した上記ポイントの2番目のボディランゲージも、言われてみれば、なるほど納得。

「非言語コミュニケーションが大事」とはよく聞きますが、脳の仕組みと関わっている、というのは腑に落ちます。

このワニ脳で感知するボディランゲージは、使わないように気をつけなければ。

当ブログでもレビューしている下記の作品では、著者のナヴァロが、人間がワニモードのときにどんなボディランゲージを見せるかを詳しく解説しているのだそうです。

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FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

参考記事:【モテ?】『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』ジョー・ナヴァロ,マーヴィン・カーリンズ(2014年02月19日)

この本を読んでいるときは、脳のことなどまったく意識していませんでしたが、今にして思えば、ここに登場するボディランゲージも、ワニ脳ゆえだったんですね。


◆一方、1つ飛んだ第4章から抜き出したのが上記ポイントの3番目の「バリデーション」。

あまり聞きなれない言葉ですけど、いわゆる「傾聴」に近いもののようです。

ただし、ただ「ちゃんと聴く」だけでなく、「こちらが理解したことが相手にきちんと伝わる」までがセット。

要は、実際には理解できていなくとも、「受け入れてくれている」と思われる必要があるワケです。

その際重要なのが、「自分の考えや感情、問題そのもの」については話してはいけないということ。

私は意識して行った経験がないので、いずれ機会があれば実践してみたいと思います。


◆そして上記ポイントの4番目と5番目は、第6章に記された「ポジティブな視点のための9つの伝え方」からのもの。

今まで非言語や、ひたすら聴く話ばかりでしたが、ここでやっと言語コミュニケーションが登場します。

まずポイントの4番目の「否定形」ではなく「肯定形」、というお話は、ご存知の方も多いことかと。

ちなみにここで出てくる「お日さま脳」というのは、簡単に言うと「ポジティブな脳」、とお考えいただいて大丈夫だと思います(その反対は、ネガティブな「どんより脳」)。

さらにポイントの5番目では、自分で決めさせることで「お日さま脳のスイッチが入る」という意外な効果を指摘。

今まで、コミュニケーション本を多々読んできましたが、脳と結びつける本書はユニークかつ、共感できる点が多かったです。


コミュニケーションスキルを高めたい方なら、一読の価値アリ!

B0DQBRM6XW
あいては人か 話が通じないときワニかもしれません
1章 ヒト脳・サル脳・ワニ脳
2章 非言語のパワー
3章 わるい話
4章 やわらかくなる
5章 伝染
6章 対人感情
7章 率直な物言い、おだやかな空気感
8章 フィーリング・グッド


【関連記事】

【実践!】「脳が教える! 1つの習慣」ロバート・マウラー(著),本田直之(監修)(2008年07月06日)

【モテ?】『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』ジョー・ナヴァロ,マーヴィン・カーリンズ(2014年02月19日)

【声かけ】『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ ペップトークで不安を消す・励ます・元気づける』占部正尚(2019年01月31日)

【プレゼン】『非言語表現の威力 パフォーマンス学実践講義』佐藤綾子(2014年07月21日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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貧乏はお金持ち 「雇われない生き方」で格差社会を逆転する (講談社+α文庫)

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はじめてのスピノザ 自由へのエチカ (講談社現代新書)

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グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない (&books)

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