2025年05月18日
【脳ネタ】『「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた』平井麻依子

「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「サンマーク出版 話題のビジネス・実用書セール」の中でも、個人的に読んでみたかった脳ネタ本。アマゾンの該当ぺージをパッと見ただけでは分からなかったのですが、本書は医師である著者の平井さんが、自らの脳手術の後遺症に対処すべく行われた実験に基づいているという、レアなものでした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
世界中の脳科学のエビデンスを自分の脳で実験。
医師が実践する脳のコンディションを整える方法。
「昔に比べ、仕事の処理能力が落ちた」
「なんとなく、毎日楽しくない」
「最近、イライラすることが増えた」
その悩みは、仕事のやり方に問題があるせいでも、あなたが落ち込んでいるせいでも、あなたを怒らせる人のせいでも、ありません。
ただ、「脳のコンディションが悪い」だけ。
この本では脳のコンディションを整えて、仕事のパフォーマンスや日々の幸福度を上げる方法をお伝えします。
まだあまり値下がりしていませんから、このKindle版が800円弱お買い得です!

【ポイント】
■1.興奮するだけで満足感のないストレス解消法ストレスを感じると、脳は、短期的に気が晴れるようなことをしたくなります。
ここで気をつけなくてはいけないのが、「興奮」と「満足感」の違いです。
短期的に気が晴れることというのは、ドーパミンの大量分泌を促し「興奮」をもたらすものであることが多いのです。
たとえば、アルコール依存症の人は、家族とのケンカなどストレスがあると、脳がドーパミン神経細胞の興奮を高め、アルコールが猛烈に欲しくなります。
ストレスによりドーパミン神経細胞が興奮した状態では、どんな誘惑もやたら魅力的に感じてしまうのです。
ストレスを感じたときは、買い物で憂さ晴らし、大量に甘いものを食べたり、ゲームを一晩中したりしてストレス発散などよくいわれること。
しかし、これらは「興奮」はもたらしますが、「満足感」をもたらさないことが多いのです。
脳科学的にはよいストレス解消法とはいえません。
ただ、ドーパミン神経細胞の興奮に従って本能的に行動をしているだけです。
■2.若々しいシニア「スーパーエイジャー」は何をしているのか
スーパーエイジャーとは、80歳以上のシニアの中でも同世代と比較すると、圧倒的に高い認知能力をもつ人のことを指します。
その研究では、若さの秘訣のひとつとして、「新しい刺激を脳に与えつづけること」が挙げられています。(中略)
たとえば、「楽器を習う」「外国語を身に付ける」「ダンスで新しい動きをする」「カードゲームをする」「新しい料理を作る」など、いままで経験したことのない精神的・身体的なスキルであればなんでもよいのです。
認知機能を刺激する活動によって、神経可塑性が高くなり、脳の神経回路網のシナプスが増え、右脳と左脳の情報交換が活発になり、脳の老化を減速させるのです。
特に、心理学的に「複雑介入」と呼ばれる、複数の脳の活動を統合する必要のある経験だと、より効果的とされています。
これは、注意力、判断力、記憶力、空間把握能力などを同時に使う活動です。
つまりは、ひとつのことを行うよりも、複数の要素が絡まりあった「新しいこと」を行う方が脳にはいいのです。
■3.仕事の隙間時間に運動をする
中強度の運動が脳にもたらす効果は、運動後2時間くらい持続するといわれています。それにもかかわらず、主に仕事の後や週末に運動をするという人がとても多いように思います。
運動の脳への効果がせっかく持続するにもかかわらず、仕事の後や週末に運動を行ったのでは、その効果を最大限に生かすことができません。
どうすれば、仕事中に運動を取り入れられるのかということを考えるべきです。
小学生時代は、45分ごとに5〜20分程度の休憩がありました。
そのときは、ドッジボールをしたり、身体を動かしたりしていたと思います。
それが、脳にとって一番よい運動の仕方なのです。(中略)
いまは、家で仕事をする人も多いと思うので、工夫がしやすいはずです。
たとえば、ミーティングを60分ではなく、50分に設定して、次のミーティングとの間に10分の休憩を設けるのもいい方法です。
その10分の間に、5分間でもストレッチなどで身体を動かすと、一日で、合計30分〜1時間くらい身体が動かせるようになると思います。
■4.人生に目標のある人は死亡率が15%も低い
アメリカ・ワシントン大学にて、6000人を超える20〜75歳の被験者を対象に14年間にわたって行われた、人生の目標と健康に関する研究があります。
これによると、「人生の目標を見つけ、達成したいと思える重要な目標を定めることは、目標を見つけた時期にかかわらず長生きするのに貢献する」という結論が出ています。
具体的には、目標がある人の方が死亡率は15%低かったことに加え、生活習慣病の罹患率も低かったそうです。
また、目的・目標をもった方が長生きできるという予測が、若い人でも年配の人でも同じように成り立つことが証明されました。
普段から目的意識をもつことが、アルツハイマー型認知症のダメージから脳を守るのに役立つという研究も数多くあります。
人生の目的・目標をもっている人の方が、積極的に外に出て、規則正しい生活をする傾向にあることも関係するようです。
■5.孤独は認知症の発症率を8倍にし、死亡率を30%高める
近年、さまざまな孤独とその健康リスクに関する研究が行われています。
スウェーデン・カロリンスカ研究所が、ストックホルム在住の75歳以上の高齢者1000人以上を3年間追跡調査した研究があります。
この研究では家族や友人が多い人に比べ、他者との交流が少ない人は、認知症の発症率がおよそ8倍にもなるという結果が出ました。
また、「ハーバード研究」という脳科学分野で重要な研究があります。
1938年から続けられている大規模な調査です。ハーバード大学卒業生を含め、ボストン近郊の富裕層や貧困層、子供から大人まで、生活状況や健康データを継続的に集め、約10年ごとに幸福度などを調査したもの。
対象者は2024年現在、約2600人に上ります。
この研究からは、多くの発見があり、複数の本も出版されていますが、ひとつ大きな学びとして挙げられているのが、孤独と健康に関する相関です。
よい人間関係は、心臓病や糖尿病、関節炎の発症を抑制し、一方、孤独感は、1年あたりの死亡率を約30%も高める結果になったといいます。
【感想】
◆冒頭で触れたように、本書のアマゾンのページは「続きを読む」をクリックしないと、著者の平井さんが「自身の脳手術による後遺症に立ち向か」ったことが分かりません。実は私もそうとは知らずに買ったクチ。
普通の脳ネタ本のつもりで読み始めたところ、冒頭のプロローグで、若くして脳腫瘍をわずらい、その手術後に大変な後遺症に悩まされたことを知った次第です。
とにかく「スマホの1スクロールで疲労困憊」「シャワーを浴びている最中に立っていられなくなり、1時間くらい浴び続ける」「本を15分読むのが難しい」等々、仕事どころか日常生活も満足におくれない状態になっていたのだとか。
そこで、自身の医学知識や経験、そしてネットワークを駆使して、「バージョンアップした自分になっての仕事復帰」を目指したとのこと。
その過程を記したのが、本書ということです。
◆なお、当ブログでは下記関連記事の他にも、大量の脳ネタ本を扱っている関係上、登場する実験や研究成果も、ある程度知っておりました。
カテゴリー:潜在意識・右脳開発
そこで今回、上記ポイントでは、私が今まで押さえていなかった(もしくは失念していた?)TIPSや情報を中心にしてみようかと。
たとえば第1章から引用した、上記ポイントの1番目のストレス解消法のお話は、間違っている人が多いだけに、特に押さえておきたいところ。
では逆に、どのようなものが効果的かというと、
「散歩をすること」「エクササイズをすること」「読書や音楽を楽しむこと」「家族や友達と過ごすこと」「瞑想をすること」「絵画の制作や鑑賞などクリエイティブな趣味の時間を過ごすこと」等々なのだそうです。
◆また、第2章からの上記ポイントの2番目の「スーパーエイジャー」は、単語自体が当ブログでは初登場でした。
……以前、セールでこの本をご紹介しているので、厳密にはそこで書名として1度出ていますが。

SuperAgers スーパーエイジャー 老化は治療できる
ただ、「新しい刺激を脳に与えつづけること」として挙げられた具体例は、いずれも手先や頭を使うモノであり、言われてみたら納得、というものばかり。
また、もう1つ第2章から抜き出した、上記ポイントの3番目の運動のタイミングのお話は、結構目からウロコでした。
確かに私たちが運動するとしたら、仕事帰りですとか週末がほとんどで、仕事の合間にすることはあまりないかと。
とはいえ、脳への好影響を考えたら、無理やりでも仕事の隙間時間に運動する方が効果的なんですね。
◆一方、第3章から引用したのが、上記ポイントの4番目。
普段から目的意識のない私は、アルツハイマー型認知症になる可能性も高そうです。
しかも、死亡率も高いわけですから、目もあてられまぬ。
……と言ってたら、上記ポイントの5番目いわく、まったく同じ「死亡率」と「認知症」の双方に影響のあるのが「孤独」とのこと。
これは第4章からのものなのですが、まさに私は「孤独」が苦にならない方なんですよ。
数日間、誰とも口をきかなくても何ともないんですが、これって密かに脳には負担になっているのかも。
いずれにせよ、このままだと認知症になって早死にするのも時間の問題なのだと、良く分かりました。
ボケずに長生きしたいなら読むべし!

「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた
プロローグ 36歳の医師が脳腫瘍になってわかった「脳の働き」
1章 上手くいかないのは「あなた」のせいではなく「脳のコンディション」のせいだった
2章 脳の破壊を食い止める!バージョンアップした脳を作る「運動」と「行動」
3章 日々のやる気を劇的に向上させる「自分が主人公」として過ごす方法
4章 脳を守るためにもとにかく「孤独」を脱出しよう
エピローグ 患者になったから見えてきたこと
【関連記事】
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【NLP?】『ストレスや不安に打ち勝つ最強のメンタルをつくる 脳の取扱説明書』井上慎介(2023年02月17日)
【ライフキネティック?】『Life Kinetik(R) 脳が活性化する世界最先端の方法』ホルスト・ルッツ(2020年08月28日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考
当ブログでも人気のテーマである「習慣」を扱った作品。
送料を足した中古よりは、Kindle版が900円弱お得です。
【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本 (電子書籍) 科学・テクノロジー本セール」の続き分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください

1日4分 世界標準の科学的トレーニング 今日から始める「タバタトレーニング」 (ブルーバックス)

ヤマケイ文庫 いきもの人生相談室 動物たちに学ぶ47の生き方哲学

迷走しない!英語論文の書き方 秘密は「構造」作りにあり (KS科学一般書)
よろしければご参考まで!
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