2025年05月06日
【健康食品の真実】『健康食品で死んではいけない』長村洋一

健康食品で死んではいけない (講談社+α新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、本日が最終日となる「講談社Kindle本ポイント50%還元セール」の中でも意外に人気の高かった健康本。昨日の前日ランキングで見かけて、駆け込みで読破しました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
著者の長村洋一さんは長年、大学で教鞭をとりながら健康食品管理士の育成も担ってきました。一方で、市民向けの講演会でも啓発を行っています。すると参加者から長村さんに要望されたのが、健康食品の危険性と、賢く取り入れるための方法をまとめた本を書いてほしいということでした。
本書では「悩み」別、健康食品の賢い活用法も紹介しています。
自分や自分のセルフケアの基本として、身近な健康食品の常識をアップデートするのに欠かせない1冊です。
中古よりもこのKindle版が300円お得ということで、セール期限に間に合うよう、いつもより早めに投稿しております!

【ポイント】
■1.適量なら良くても大量摂取で健康被害続出アマメシバは、今も昔もインドネシア、マレーシアなどでは栄養のある野菜として食べられている。そんな野菜で死者を出す健康被害が発生している。アマメシバが台湾に輸入されるようになってから、ある程度の量を食べるとダイエットに効果があることが見つかり、その名も「減肥菜」という名称で売られ始めた。
そこでも確かに効果が認められたことで、野菜のままではなく粉末にしたほうが手っ取り早く大量にとれると、乾燥アマメシバの粉末が出回りだした。野菜のなかには 95%くらいが水分というようなものもあり、100gの野菜でも乾燥させれば5〜6gぐらいになってしまうので、大量摂取が容易となる。
この粉末の形での大量摂取を可能にしたことが、非常に深刻な問題を引き起こした。厚労省が把握しているだけで、アマメシバの摂取により台湾で発生した患者数は計278人で、うち9人が死亡し、8人が肺移植手術を受けた。
日本でも同じような健康被害が出始めたときに厚労省が即座に対応したが、3人の死亡者が出てしまった。
■2.男性機能改善をめざしたら腹上死
医薬品として確かに効果があるこのバイアグラを、健康食品に混入させて摘発を受ける悪徳業者が全世界で後を絶たない。勃起不全を改善する製品は比較的高く売れるから、健康食品の世界でも重要な位置を占めている。
日本国内で現在市場に出ている医薬品には、バイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)の3種類がある。健康食品に混入されているのも大体この三つのうちのどれかである。
そこで問題となるのは前述のように、心血管系に問題のある人や、そのためにニトログリセリンを使用している人は、下手をすると突然死するかもしれないということ。また突然、心停止やその一歩手前の状態になったとき、その原因がもし健康食品に入っていたバイアグラだったとしたら、それを知らないまま救急処置を行う医師によってニトログリセリンが投与されれば、本当に心停止が起こってしまう可能性がある。したがって、勃起不全に効果があるとうたっている健康食品には十分注意が必要である。
■3.がんを治す健康食品はない
現在、医学の一分野として補完代替医療という名称の分野がある。これはいわば西洋医学の代わりとしてや西洋医学にない部分を補完する医療を指す。具体的には東洋医学の鍼灸や薬膳、漢方など、西欧でのハーブによる治療、アロマセラピー、音楽療法などがある。これらはいわゆる保険診療の対象とならない医療行為である。がんを健康食品で治療するのもこの補完代替医療に属する。
そこで厚労省は、補完代替医療の実態と効果に関して大きなプロジェクトを企画し、数年間にわたって調査研究を行った。その報告書では、今のところがんの予防や治療、副作用の軽減などに関して、確実に有効性が証明された健康食品はありません、とはっきり述べている。
要するにがんを治す健康食品はない、と研究班は結論づけていて、その後もこの結論を否定する科学的な報告はない。私もこの本を書くにあたり改めて、いくつかのがんに効くと話題になった健康食品の素材を、国際的な文献データベースPubMed R と医中誌Web(日本国内の医学文献情報サイト)を中心に検索してみた。しかし、特記すべき素材は見つからなかった。
■4.健康食品と医薬品の飲み合わせで肝障害が起こることも
まず健康食品と医薬品の成分となる化学物質は、医薬品なら化学合成品だったり、もともとわれわれが体内に持っていなかったり体になじみの薄い物質だったりする。こうしたなじみの薄い外来の化学物質はいわゆる栄養素ではないので、すみやかに体外に排出できるように肝臓で処理している。だがその処理能力を超えて物質が入ってくると肝臓に障害が発生する。
したがって、何らかの疾患で医薬品を服用している人が健康食品を摂取したり、逆に健康食品を摂取している人が医薬品を服用したりすれば、なじみの薄い外来の化学物質が処理能力を超えた量になるのは明らかである。(中略)
ただ身近な医薬品で言えば、風邪薬、解熱鎮痛薬に入っているアセトアミノフェンは比較的発症頻度の高い医薬品に属している。風邪を引いたのは体力が落ちたからと、健康食品も一緒に風邪薬ととってしまうことはよくあるのではないだろうか。でもそれはなおさら危険なことなのである。
■5.品質の分からない健康食品より第3類医薬品や医薬部外品
医薬品の分野では地味だが、健康食品の世界では結構よく目にする効果と同じような効果を標榜する第3類医薬品、または医薬部外品という分類の医薬品が販売されている。
効果が若干怪しい健康食品を摂取している人に私が医薬部外品の製品をすすめると、拒否をされて、「医薬品には副作用があるが、健康食品にはない」とお応えになる人がいる。しかしこれは間違いである。
第3類医薬品とか医薬部外品は少々誤って摂取しても、事故が起きることがないような成分しか含まれていない。摂取量に対する危険性は健康食品よりずっと低い。なぜなら、第3類医薬品も医薬部外品も医薬品GMPに準拠して作られているから、含まれている成分含量にばらつきがあるとか、摂取してもお腹の中で溶解せずに体外へ出てしまう、といった製品は少ないと考えられるからである。そして第3類医薬品、医薬部外品のどちらにも書いてある効果には、一応それなりの科学的根拠が国によって保証されている。効果の根拠がしっかりしていないものは許可されないからである。
【感想】
◆本書は当初、タイトルを見て「何を大げさな」と思ったのですが、読み進めていくうちに、「なるほど、そういうこともありうるのか」と、深く納得しました。要は健康食品を考える上で、いくつか注意しなくてはいけない点があり、それを私たち一般人は知らない、ということ。
実際、私自身の「健康食品」という言葉に対するイメージとしては、「薬ほどではないけど効く(飲まないよりマシ)」とか「副作用はない」というものですけど、皆さんだいたい似たような感じではないでしょうか?
少なくともタイトルにあるような「死ぬ」こととは縁遠いと言いますか。
もちろん、小林製薬の「紅麹」事件(本書の第7章に詳しいです)はありましたけど、あれはレア中のレアだと、私は思っていました。
◆しかし、本書は第1章から、危ないケースの連続!?
たとえば第1章から引用した、上記ポイントの1番目の「アマメシバ」は、「少量なら健康的」ですけど「大量に摂るとアウト」な事例です。
ちなみにマレーシアなどでは、炒めたりスープに入れて食べるのが一般的で、1週間に116〜200g程度摂取するのだそう。
ところが、台湾の事例だと、毎日の摂取量が131gとかで、それは多過ぎます罠。
また、このパターンは何もアマメシバだけではなく、カプセル等にして大量に摂取できる健康食品は、気をつけなければならないお話です。
でも、「飲めば飲むほど効く」と思うと、「書かれている容量を守らない」人が出てきても不思議ではありませぬ。
◆もっとも、容量以前に、含まれていることが書かれていないケースが、第2章から抜き出した上記ポイントの2番目。
そもそも「腹上死」なんて、本当にあるのか、と思ったら、心血管系のリスクのある人が、ニトログリセリンを飲んでいる場合、バイアグラと併用してはいけないのだとか。
バイアグラとニトログリセリンなどの硝酸薬を併用すること禁忌
ところが、健康食品に密かにバイアグラが混入されていたら、それは知らずに飲んでしまうこともありえるかと。
そうでなくとも、「強精剤」には怪しいものもあります(特に輸入品等)から、心当たりのある方はご注意ください。
◆また、1つ飛んだ第4章の章題は「がんを治せる健康食品はない」というもの。
そこでいきなり結論的な内容を、上記ポイントの3番目でご紹介させていただきました。
本書では、かつて一世を風靡した「アガリスク」の件を取り上げているのですが、確かに一時期、よく新聞広告に、アガリスクの効能をうたった書籍が掲載されていた記憶が。
そこに出てくる体験談のような効果が期待できればいいが、ある医学部の名誉教授が監修した書籍では、ほとんどの体験談がでっち上げであると判明し、出版社役員と健康食品販売会社の社長が逮捕され、監修者の名誉教授と執筆者が書類送検される事件も起きている。それでも、このバイブル商法によって今も多くの人の頭に、アガリクスはがんに効果があると刷り込まれているのだ。今も手を変え、品を変え、民間療法や健康食品を売り込む業者は多いですから、こちらも気をつけなければ。
いずれにせよ、現状「がんを治せる健康食品はない」という理解で、間違いないとのことです。
◆続く第5章では、薬との組み合わせが問題な健康食品についての言及がありました。
これには2パーンあって、健康食品が薬の効果を打ち消してしまう場合と、逆に薬の効果を後押しして、効きすぎてしまう(上記ポイントの1番目にもあるように過剰摂取は通常良くない)場合がある次第。
上記ポイントの4番目は後者のケースなんですが、確かに風邪薬と健康食品なんて、一緒に摂ってる人は多そうですし、私も今後は気をつけます。
また、飲み合わせとは違いますが、「薬をグレープフルーツジュースで飲んではいけない」というのは広く知られているところ。
同じように、他の柑橘系のジュースもまずいのか、著者の長村さんが市民講座での質問でよく聞かれるのだそうです。
こちら、実はジュースに含まれる果皮に含まれる「フラノクマリン」の量によるので、結論としては、グレープフルーツ、スウィーティー、メロゴールド、ブンタン、サワーポメロ等がNGらしく。
逆に普段よく食べているようなレモン、温州ミカンあたりは大丈夫とのことでした(本書には25個ほど列挙した表アリ)。
◆そして上記ポイントの5番目は最終章である第8章からのもの。
健康食品にこだわらずに、第3類医薬品や医薬部外品を試した方が、安全かつ効果的だったりするそう。
その効果とはたとえば、○○酵素のような酵素がいっぱいの製品、体脂肪を減らす製品、グルコサミンやコンドロイチン硫酸が入った製品、睡眠薬ではない眠りにつける製品、ニンニクの入った滋養強壮製品、プラセンタに似た効果のある製品、アロエの入った便秘に効く製品、ビタミンがバランスよく入っている製品など種々ある。健康食品の世界で需要の多い効果の製品はすべてあると言っていい。しかも、お値段の方も、第3類医薬品や医薬部外品の方が安いこともあるようですから、試さない手はないでしょう。
安全性の面でも、健康食品より規制が厳しい分より安全と言えると思います。
なお、長くなるので割愛しましたが、第7章の「紅麹事件の真の原因と事件発生の深層」もぜひお読みください。
健康食品に関する理解が深まる1冊!

健康食品で死んではいけない (講談社+α新書)
第1章 身近な健康食品の怖い一面
第2章 効果のある健康食品のとんでもない裏側
第3章 栄養素のビタミンやミネラルで知っておきたい危険性
第4章 がんを治せる健康食品はない
第5章 薬との飲み合わせがタブーな健康食品
第6章 「悩み」別、健康食品の賢い活用法
第7章 紅麹事件の真の原因と事件発生の深層
第8章 健康食品で命を落とさないために
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【編集後記】
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【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本 (電子書籍) ゴールデンウィークセール 第2弾 扶桑社分」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
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よろしければご参考まで!
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