2025年04月14日
【中高年必読?】『死なないノウハウ〜独り身の「金欠」から「散骨」まで〜』雨宮処凛

死なないノウハウ〜独り身の「金欠」から「散骨」まで〜 (光文社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「光文社 40%ポイント還元セール!」の中でも気になっていた1冊。自分自身や親兄弟の老後問題について、有益な情報をたくさん得ることができました。
アマゾンの内容紹介から。
「働けなくなったら」「お金が無くなったら」「親の介護が必要になったら」……。「これから先」を考えると押し寄せる不安。頼る人がいなければ、最悪しぬしかないのか? そして自らの死後、大切なペットは? スマホやサブスクの解約は? この先が不安で仕方ないアラフィフが各界の専門家に取材。社会保障を使いこなすコツや各種困りごとの相談先など、人生の荒波の中で「死なない」ための無敵のサバイバル術を一冊に。
送料を足した中古よりも、Kindle版の方が200円強お買い得です!

【ポイント】
■1.家賃が払えなければ「住宅確保給付金」「このような場合、家賃のサポートが受けられる『住居確保給付金』が使えます。原則3ヶ月、最大9ヶ月まで延長できます。対象となるのは、離職(仕事を辞めた)・廃業(自分で会社などをやっていたけど辞めた) 後、2年以内であること。もしくは個人の責任・都合によらず給与などの収入が少なくなった場合です。また、貯金が各市町村で定める基準額の6ヶ月以内で、100万円を超えない額であることなどが条件です」
窓口は「生活困窮者自立支援」の相談窓口。名称は市区町村によって違うので注意が必要だ。ネットでは「住居確保給付金+住んでいる市区町村名」で検索すればいい。
具体的な額だが、収入がなく、家賃がその地域の生活保護の住宅扶助以下(東京で一人暮らしであれば5万3700円以下) であれば、家賃の全額が支給される。(中略)
これが最大9ヶ月続き、返済の必要はないのだから条件に合致する人は使わない手はないだろう。
■2.業務外での病気や怪我には「傷病手当金」
では、仕事が原因ではない病気や怪我で働けないという場合、どのような制度があるのだろう。
「こういう時に使うのが、健康保険の傷病手当金ですね。自営業など国民健康保険の人は使えないんですが、給与明細で健康保険料が引かれていたら、健康保険組合の傷病手当金が支給されます。
仕事に関係ない、プライベートで遊びに行って骨折したといった場合です。それでお休みしなければいけない時のための制度です(中略)」
「申請書には、休んだ間、給料を払っていないことを会社に記入してもらう欄があります。それを出せば、お金が振り込まれるという流れです。働けない間、給料の3分の2ほどが支払われます」
■3.家族代行業?「LMN」とは
親の介護や施設についての基礎知識が身についたところで、紹介したいサービスがある。
それは「一般社団法人LMN」。
私がLMNを知ったのは、『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(菅野久美子、角川新書、2020年) という本でのことだった。
「一種の家族代行業」として、親の最期の「後始末」を手がけている数少ない民間の終活団体として同書に登場する。
「高齢になった親の介護施設をどうするのか、終末期になった時に延命はどこまでするのか、葬儀はどんな形で執り行うのか、お骨はどうするのか」
それだけではない。いわゆる「毒親」と一切関わりたくない、複雑な家庭環境ゆえ、今さら親に頼られても困るなどの要望にも応えるサービスを提供している。(中略)
そんなLMNのサービスの中でも特に歓迎されているのが、施設からの第一連絡人になってくれること。施設に入ると家族に頻繁に連絡が来ることがあるそうだが、それを一手に引き受けてくれるのだ。
■4.がん保険には入っておくべし
「がん保険、おひとりさまなら一口でも、安いものでもいいので入っておいた方がいいと思います。特に女性はがんになる年齢が早いので。55歳までだと、女性のがん患者さんは男性の2倍いるんです」
それは知らなかった……。ちなみにどんながん保険がいいのかというと、「あくまでも私の個人体験ですが、がんと診断された時にお金が出たり、通院をサポートしてくれるものだと助かる」とのこと。
「少なくとも一口、外来に対応できるようなものは入っておいた方がいいですね。放射線治療とかは毎日通院しなくちゃいけないので、交通費だけでバカにならないこともあります。がん保険だと『亡くなった時にいくら入ってくる』とかもありますけど、治療を続けるには、まずは通院をサポートしてくれると助かるなぁと」
■5.遠方の親には「日常生活自立支援事業」
「日常生活自立支援事業というものがあります。
高齢や障害などの理由で、一人では日常生活に不安のある方を支援する制度で、地域の社会福祉協議会と契約すれば利用できます。
例えば日常的な金銭管理が不安、お金を使いすぎてしまう、行政からの書類が届いてもどうすればいいのかわからない、福祉サービスを利用したいけれどやり方がよくわからない、預金通帳や印鑑などをなくしてしまいそうなので預かってほしい、などなど多岐にわたります。
社会福祉協議会のスタッフが生活の援助をしてくれるサービスなので、希望者が多くて順番待ちになることもありますが、まずは地元の社会福祉協議会に相談してみてください」
使えるのは「福祉サービス利用援助」「金銭管理」「重要書類の管理」「見守り訪問」の4つだ。費用は安く、だいたい月に数千円程度。
【感想】
◆冒頭で申し上げたように、有益な情報が多々収録された作品でした。もちろん、知っている人は知っているのでしょうけど、普段普通に生活していても、知るすべがないというか。
ピンチにならないと必要がない分、そういう状況に陥って、初めて自分が何も知らなかったことに気づく感じです。
実際、ググればいいや、と思っていても、実は具体的な単語(用語)を知っていると手っ取り早いものの、逆に単語を知らないと、漠然と調べるしかないワケで。
……この辺はAIが得意とするところなのかもしれませんが。
◆さて本書は、下記目次にもあるように、全部で7つの章から構成されています。
最初の序章は、著者の雨宮さんのご経験と、その時の世間の状況が中心で、いかに雨宮さんが「生活困窮」に関する知識を得てこられてきたかが良く分かる次第。
しかしそれ以外のテーマについては、情報が足りない、ということで、各分野のプロフェッショナルにそれぞれお話を聞かれています。
なお、上記の各ポイント内でカッコ書きになっているのは、そのプロフェッショナルの方々の発言。
具体的には、
第1章 社会福祉士・横山北斗さんになります。
第2章 プレカリアートユニオン執行委員長・清水直子さん
第3章 「みんなの介護」編集部/一般社団法人LMN・遠藤英樹さん
第4章 CSRプロジェクト・桜井なおみさん
第5章 相談室ぱどる・原昌平さん
第6章 一般社団法人LMN・遠藤英樹さん/相談室ぱどる・原昌平さん
◆そしてさすがプロは詳しいと言いますか、たとえば第1章の「お金」から抜き出した、上記ポイントの1番目の「住宅確保給付金」は、私は初めて聞いた言葉でした。
もちろん今の私は対象外ではあるものの、コロナ禍の頃など、当てはまった方は結構いたのではないでしょうか?
なお、割愛した部分で「計算式が複雑」と書かれていたのですが、確かにこれを見る限り、すぐには分からなさげですね(ゆえに窓口で聞くのがベストとのこと)。
厚生労働省|厚生労働省生活支援特設ウェブサイト | 住居確保給付金:制度概要
また、上記ポイントの2番目もお金のお話ではありますが、実は第2章の「仕事」からのもの。
「労災」のことなら、知っている方は多いでしょうけど、まさか業務外の怪我でもお金がもらえるとは知りませんでした。
ちなみに、本当の仕事絡みの知識で興味深かったのが、外資系の企業の即時解雇のお話。
会社と本人のどちらかが労働契約の解除を申し出たら、つまり「会社が即解雇できるという文言が入っている」ことがありますが、それは 日本の労働基準法をまったく無視したものなので、日本では無効なのだそうです。
◆また、第3章では「親の介護」をテーマに、各種施設についての解説が。
何となく「老人ホーム」という言葉でしか知らない方が多いでしょうけど、実は民間と公的に分かれていて、
民間施設は、「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「グループホーム」。と、それぞれ4つずつあるのだそうです。
公的施設は「ケアハウス」「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院(介護療養型医療施設)」
料金等も含めた一覧表に続いて、それぞれの解説も掲載されているので、そろそろ我が家も、とお考えの方は、ご一読のほどを。
ただ、それとは別に、この章で初めて知ったのが、上記ポイントの3番目に出てくる「LMN」の存在です。
一般社団法人LMN
特にご両親と離れて暮らす方にとっては、ありがたいサービスを提供しているので、ぜひこちらも要チェックで。
◆続く第4章では「健康」がテーマということで、上記ポイントの4番目のがん保険のお話を抜き出してみました。
なお、がん保険は、入るときが厳しいので、できれば若くて健康なうちに、安くていいから一口でも入っておくと良いのだとか。
確かに私も、大昔に左足の静脈瘤の手術をしたことを、結構細かく突っ込まれた記憶があります。
最後のポイントの5番目は、第5章の「トラブル」からなのですが、こちらもご両親ではなくて一人暮らしの親御さんがいらっしゃる方には耳よりの情報かと。
私はたまたま、母親が同じ都内で一人暮らしをしていたものの、特殊詐欺や認知症のこともあって、今は同じマンションに住まわせていますが、地方ご出身の方は、そうはいかないでしょうし。
いずれにせよ、こうした情報は、国の方から積極的にアナウンスするものでもないですから、ぜひ本書にて知識武装してくださいませ。
「知識は力なり」を実感する1冊!

死なないノウハウ〜独り身の「金欠」から「散骨」まで〜 (光文社新書)
序 章 私の経験
第1章 お金
第2章 仕事
第3章 親の介護
第4章 健康
第5章 トラブル
第6章 死
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【編集後記】
◆一昨日の「Kindle本 (電子書籍) ゴールデンウィークセール 第一弾」KADOKAWA分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
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