【リーダーシップ】『信頼されるリーダーになるための37の「やめる」』荻阪哲雄:マインドマップ的読書感想文

2025年04月06日

【リーダーシップ】『信頼されるリーダーになるための37の「やめる」』荻阪哲雄

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、一番お求めいただいている1冊。

部下を持たれている方にとっては、要注目の作品だと思います。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

本書では、組織開発のプロフェッショナルが、リーダーがやりがちな37の悪習慣を「やめる」ことを提案しています。
部下から信頼されるリーダーとなり、チームの力を最大限に引き出すための必読書です。
今回、「やめる」にフォーカスしたのは、信頼されるリーダーは、「やること」の前に「やめること」を決めているからです。
あなたがマネジメントを通して「やめること」を自己決定すると、組織の優先基準が示され、部下が「やること」に速く集中できるようになります。
つまり、信頼されるリーダーは、先に「やめること」を決め、部下と一緒により良い道を築いているのです。
あなたの「アクション（やめる）」を通じて、部下が自発的に動くという「リアクション（反応）」の芽が生まれてきます。
ぜひあなたも「やめる」戦略を使って、ご自身と部下とのあり方を見つめていただければと思います。そして、あなたが幸せに働けることを願っています。

当初はKindle版の値引はなかったのですが、現在は気持ちお求めやすくなっています。

【ポイント】

■1.「部下育成を後回しにする」のをやめる

　信頼を築くリーダーは、部下育成（成長支援）を後回しにするのをやめて、人を育てながら、業績向上を目指していきます。
　昨今、上司の方からよく聞く言葉に、「部下のタスク管理は徹底して行っていますが、部下の育成はうまく進んでいません」というものがあります。
　管理業務のウエイトが高くなり、部下育成の優先順位が低くなっているケースが伺えるのです。
　今までは、管理職の仕事は管理業務の一辺倒で成り立ちましたが、時代の潮目は変わってきています。
　部下育成を後回しにすればするほど、業績は低迷し、職場の魅力はなくなり、離職者は増えていきます。
　今、この現実に備えるか否かが、リーダーに問われることになります。

■2.「あわてる」ことをやめる

　日々の職場において部下は、常にリーダーが頼りになる人なのかを観察しています。
　その中で「上司のあわてる姿」は、部下を不安にさせてしまいます。(中略)
　不信を招くリーダーは、トラブルが起こった際、とっさに次のような態度を部下に見せてしまいます。
　それは、【① 怒る】【② 愚痴る】【③ 逃げる】という「トラブル対応の三毒」です。
　①「これはいったい、どういうことなのだ！」と感情的に怒る。
　②「なんで、こんな事態になるまで知らせなかったのだ！」と愚痴る。
　③「この欠品クレームは、うちのチームには関係ないだろう！」と問題から逃げる。
　こうした態度を見せてしまう上司には、部下が安全（楽）に話すことはできません。

■3.「忙しくしている姿」をやめる

　あなたの働くチームでは、お互いに声をかけやすいですか？
　確かに、昨今の職場では日々の業務量が増加しているので、声をかけづらい、わからないことがあっても聞きづらいという現実があります。
　そんな状況を少しでも良くしていくために、信頼を築くリーダーは、部下から声をかけやすくする、質問をしやすくする日常の工夫をしています。
　それは、リーダーである自分自身から、「忙しくしている姿」を、やめること。
　部下に対する、上司の「映り方の戦略」です。
　このようなリーダーの工夫は、リーダー自身が部下の立場でいるときに、上司に「声をかけたいけど、聞きづらかった」という経験に基づくものです。
　自らの経験を原体験に変えて、部下から声をかけやすいように、自分自身の「働く姿」、つまり、部下から見える「映り方」を意識しているのです。

■4.「否定的な発言」をやめる

　組織マネジメントにおいて、上司が「どうせやっても無駄だよ」という態度を示すと、それは即、部下に連鎖します。
　そして、「うちの上司にはどうせ言ってもムダだよ」という、上下の関係に起こる「ムダ病症候群」に陥ります。
　注意点としては、これら「ムダ病症候群」は、上司が部下によかれと思って無自覚で取ってしまっている言動から起こることです。
「ムダ病症候群」が多い企業では、新たな発案量は確実に減って、改善の提案を出す人の声が消えていきます。
　結果として、離職者を増加させることに繋がります。(中略)
　このような「組織の病」に陥らないためにも、信頼を築くリーダーは、「否定的な発言」をやめていきます。
　例えば、上司の「どうせやっても無駄だよ」。部下の「どうせ言ってもムダだな」。
　この否定的な発言を、素早くやめていくのです。

■5.信頼を築くプロフェッショナルリーダーの「10の特徴」

第1の特徴……常に前向きに行動している
第2の特徴……部下に笑顔と明るい姿を自然体で見せ続けられる
第3の特徴……チームや組織の全体を良くしようとする考えを持っている
第4の特徴……1人ひとりが可能性を拓き、人間成長できることを信じている
第5の特徴……リーダー自らが、先に変わっていく姿を見せている
第6の特徴……ビジョンの達成に向けて、決断することを心がけている
第7の特徴……厳しい局面が続く中でも、部下と希望を育てている
第8の特徴……人の話を学びながら聞く姿勢を、崩さないでいる
第9の特徴……部下にとって、信じて頼れる心強い存在でいる
第10の特徴……部下と共に、目標実現へ約束を果たす信念がある

【感想】

◆この手のリーダーシップ本や、マネジメント本を読むたびに、自分が新卒時に入社した会社にそのまま残っていたら、どうなっていたかを考えてしまうワタクシ。

自分で言うのはアレですが、確かに私は「自分の仕事」は普通にできていました。

ただし、階級が上がって係長（私がいた会社では「主任」が相当していました）になれたとして、果たして部下の育成までできたのか否か。

なにせ自分が大学生の頃、アルバイトで家庭教師をやった際に、教えるのが下手だと実感したくらいですから。

今でこそ、こうしてビジネス書を読んだりしていますが、私が会社員だった頃は、本を読むにしても文芸やノンフィクションがいいところであり、そもそも書店のビジネス書のコーナーすら覗いたことがありませんでした。

それだけに、あのまま私が会社に残っていて、本書のような本を読まなかったら、かなりヤバい上司になっていたと思います。

◆さて、上記ポイントの1番目では、さっそくその部下育成についての言及が。

ぶっちゃけ私も、あまり育成してもらった、という意識はありませんでしたし（分からぬよう育成されていた可能性はアリ）、上司と部下として仕事をアサインされたり一緒に仕事をしていたら、勝手にスキルが身につくモノだと思っていました。

それでも部下の「タスク管理」より、「育成」が大事、というのは、今なら分かります。

そして部下が成長を実感できないと、離職につながってしまう……というのは、昨今の常識でしょうね。

でも本当に、昔は離職に関係するのは、「仕事が面白い（やりがいがある等）か否か」とか「お給料の額」だった気がするんですが、それは私が居た会社固有の事情だったのか……。

◆また、上記ポイントの2番目の「あわてる」辺りは、人の上に立つ肩書のなら、気をつけておきたいモノ。

こちらは本書の第2章（本書では「第2の柱」のように表現されています）からなのですが、ここでは他にも、上司として避けたい所作が挙げられています。

たとえば表紙の帯部分にある「両腕を組む」もその1つ。

この章では、部下が「楽に話せる」ために気をつけたいことがテーマなのですが、普通にコミュニケーションスキルとしても、身につけておきたいTIPSが多かったです。

続く第3章も「遠慮なく聞ける」ためのTIPSであり、上記ポイントの3番目の「忙しくしている姿」は、まさにそうでした。

実際私も、会社員時代はガチで忙しかった（残業月100時間とか）ので、余計な仕事を振られないよう、意図的に忙しく見えるよう振舞ってましたし（ダメじゃん）。

これ、上司にやられたら、部下は確かに聞きにくいでしょうねー。

◆一方、第4章から引用した上記ポイントの4番目の「否定的な発言」は、自分が部下であっても気をつけたいところ。

たまたま私は入社5年弱で退職してしまったので、色々な仕事が「やっても無駄か」どうかもよく分かっていませんでした。

と言いますか、当時の忙しさの根源が「消費税の導入」だったので（年バレ）、「できません」という選択肢はなくて、「どうやるのがベストか」の次元で悩んだり、他部門とぶつかったりしていたワケで。

ちなみに昨年テンポラリーにあった「定額減税」も、ロジック的には「クソ」ですが、「目的」と「ゴール」がある中で、仕方なくあのような形になったんだと理解しています。

◆なお最後のポイントの5番目は、第5章から抜き出したもの。

ここだけ小見出しが「やめる」になっていませんが、本書内では「『自分本位』をやめる」という節でした。

つまり自分本位をやめることは、相手と信頼を築くことにつながる、という流れで、上記の「10の特徴」が出てくるわけです。

これら特徴は、いずれも納得ですし、紙に書いて壁に貼りたいくらい。

さらに、この特徴を持つ上司のもとで働く部下には、具体的な3つの声があるのだそうです。