2025年03月25日
【生産性向上】『Google流 生産性がみるみる上がる「働く時間」の使い方』ローラ・メイ・マーティン

Google流 生産性がみるみる上がる「働く時間」の使い方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 (電子書籍) 新生活セール」からの働き方本。版元のハーパーコリンズ・ジャパンさんの対象作品数が少なく、セールとしてのご紹介は難しいので、レビューだけしてみました。
アマゾンの内容紹介から。
早出も残業もしないで結果を出し続ける人は何が違うのか?
「キリの"よくない"ところで切り上げる」「これは5分で終わると先に見積もる」「予定表に毎日1hの余白を入れる」etc.
Googleの生産性エキスパートが教える、時間×仕事の最強メソッド!
中古があまり値下がりしてませんから、今回のセールではこのKindle版が900円以上お買い得となります!

【ポイント】
■1.「アップタイム」とは何か?私は、アップタイムを「フロー状態」と同義に考えている。何かをするための環境をすでにととのえていて、何がしたいのかを決めたら簡単に達成できる状態のことだ。たんに物事を成し遂げるにとどまらない。明確さと集中力を伴ったエネルギーであり、その日やその週を心地よく進んでいるという感覚でもある。仕事でもプライベートでも、自分がベストの状態にあり、成果をあげていると感じる状態だ。アップタイムとは、いまが生産的で、 かつ、エネルギーに満ちているという感覚を意味する。
忙しく、ひっきりなしに仕事に追われ、つねに「オン」であることを「高い生産性」と結びつけるのはやめよう。時代遅れのこの考え方を「アップタイム」で置き換えよう。混乱から穏やかな達成感へ。慌ただしさからバランスへ。生産性の古い考えを捨て、「アップタイム」という新しい状態を手に入れよう。
■2.定例会議の仕分けの例
1.参加している定例会議、または定期的な約束をすべてスプレッドシートに列挙する。
カレンダーにある「毎週」「隔週」「毎月」「四半期ごと」などの単語を検索すると簡単に見つかる。
2.スプレッドシートに、その会議や約束に費やした時間や回数を示す列を追加する。
週1回2時間の会議と週1回30分の会議とでは、総時間や週平均時間が大きく異なる。どちらも頻度は「毎週」だが、総時間や週平均と結びつけると、本当の時間の使い方がわかる。
3.期間を定め、そのあいだに出席した会議や約束の情報を入力する。
私は四半期ごとにしているが、年単位でも機能する。
4.総時間の降順で並べ替え、何にいちばん多くの時間を費やしているか、その順位がどうなっているかを確認する。
5.総時間の多いほうから順に内容を精査し、負担を軽くするための変更を提案できないか検討する。
■3.具体的な時間を計測する
時間を認識し、定量化し、コントロールするうえで役立つのは、定期的におこなう課題(できれば避けたいようなこと) にかかる時間を正確に計り、その時間を比較の単位として使うことだ。私のとくに嫌いな家事は、食洗機を空にすることと、キッチンの床の掃除だ。私はいつもその家事を脅威に感じたり、避けたりし、どうにも逃げられなくなると、波に逆らっていやいや向かっている気分になった。そこである日、食洗機を空にする時間をタイマーで計ってみた。4分だった。たったそれだけ。おそらく私は毎日、その家事から逃げる理由を探すのに4分以上かけていた。所要時間という新しい知識を得て、私は朝のルーチンを変えた。以前より4分早く1階に下りるようにした。まず食洗機の中身を空ける。朝のルーチンが4分増えただけだが、数値化したことで私のストレスは完全に解消された。
■4.「設定」の調整に20分かければ、ツールは強力になる
どのプロダクトやツールにも「設定」が存在する理由は、能力をできるだけ発揮させるためだ。カスタマイズしたり、ワークフローを改善したり、ツールを 自分仕様 にするためにある。だが残念なことに、「設定」の内容を把握する時間を惜しんだばかりに、こうした機能を見過ごしている人は多い。テレビや洗濯機、メールやメッセージングのプログラムなど、週に1回以上使うプロダクトはどれも、最初に20分ほどかけて「設定」を調べ、何ができるのかを把握するべきなのだ。(中略)
メールやメッセージアプリ、カレンダーなど、仕事で使うすべてのツールで同じように実行したら、どうなるだろうか。モバイル端末の通知のカスタマイズ方法を把握し、必要な通知だけを必要なタイミングで受け取れるように設定したり、色分けやタグづけを通して、必要な情報をすばやく見つけたりできるようになるだろう。ほとんどの人は、何ができるのかをよく知らないままこれらのツールに突進し、本当の実力を発揮させる方法を学ぶことなく、ただ使い慣れてしまう。
■5.受信メールの4つのラベル
1.要返信(Respond)
自分から回答する必要があり、そのために時間と労力を要する。
例:重要なプロジェクトの進捗状況を尋ねる上席者からのメール
2.読むだけ(Read)
読みたい内容だが、返信は不要。
例:業界ニュースレター、参考情報、事例研究など
3.あとで確認(Revisit)
特定のタイミングまたは誰かの返信を待っているため、いますぐには対応できないもの。しばらく待機するか、フォローアップの必要があるが、自分のToDoリストには入れない。
例:機器使用の承認が先方都合で下りず待機
4.リラックス!(Relax)
これで完了! メールに適切な処理をし終えた状態だ。アクション項目が完了し、アーカイブに保存(あとで検索できる)、なんらかの参照フォルダーに移動、または削除がなされている。
例:チームメンバーからのプロジェクトの完了報告
【感想】
◆仕事術、しかもニーズの高い生産性がテーマの作品、ということで、ハイライトを引きまくりました。一方で、下記目次をご覧いただければお分かりのように、20もの章にまたがっていますから、必然的に割愛しまくり。
とてもじゃないですが、各章から引用するどころの騒ぎではありません。
結局、上記で抜き出した5つのポイントも、あくまで私個人にとってのプライオリティで選びましたので、他の方が読んだら、また違う箇所を抜き出す可能性も大。
しかも、リスト等の画像で解説されている部分は、その画像が使えないためパスしたのですが、実は結構キモだったりしております。
いずれにせよ、著者のローラ・メイ・マーティンは、「グーグルで10年以上にわたってエグゼクティブ(上級管理職)のコーチングにかかわり、同僚に向けた研修プログラムを開発」しているだけあって、「グーグル流の生産性の高い働き方」を体現しているのではないか、と。
◆そこでまずは、本書の大きな概念の1つである「アップタイム」について、上記ポイントの1番目にて言及を。
こちら冒頭の序章から抜き出したのですが、要は公私ともに「自分が何らかの活動をしていて生産的な状態にある時間」を指します。
そして後半部分にあるように、ひっきりなしに仕事に追われている状態は「アップタイム」にはなりません。
また、偶然に生まれるものではなく、意識してつくり出す必要があります。
つまり、その活動を、「いつどこでどのように行うべきか?」等々が、続く第1章以降で述べられている次第。
◆たとえば「いつ」に関しては、下記目次のPART2が該当するのですが、上記ポイントの2番目のお話は、そのPART2の第6章「あなたの時間を仕分けする」から引用しました。
こちら、カレンダーからデータを収集する方法の一例として、紹介されていたもの。
……本来は実際のスプレッドシートも掲載されているのですが、画像なので泣く泣く割愛。
実際にこのように、各会議について分析を加えると、時間を短縮したり、会議自体をカットできますから、月単位、年単位レベルですと、かなりの時間が削減できるわけです。
もちろん、こんなに会議をされてない方におかれましては、他のテーマ(ルーチンワーク等)にて分析していただけたら、と。
◆また、会議のように時間が決まっているものではなく、漠然と活動をしているものについては、実際に計測すると可視化できます。
それを行っているのが、第7章から抜き出した上記ポイントの3番目。
ここでは「家事」を例に挙げていますが、もちろん定期的に行うものであれば、同様の効果が期待できます。
実はこちら、「先延ばしをすばやく克服する5つの戦術」の中の1つであり、他の4つの戦術もうなずけるものばかりでした。
特に取り入れたい、とおもったのが、「何かをする準備」と「実際の行動」を切り離す、というもので、具体的にはたとえば、前の日のうちに翌日の準備を「アシスタントのように」行うのだとか。
つまり、「上司としての自分(すなわち「未来の自分」) が仕事をしやすい環境をととのえるわけですね。
◆一方、本書で注目したいのが、生産性向上のための具体的なTIPS。
たとえば第14章から抜き出した、上記ポイントの4番目は、私自身がおろそかにしているものなので、改めて反省しました。
いわゆる「何となく動くので、マニュアルを読まない」のに近いと言いますか。
実は本書に「仕事で12年間Gmailを使っていた人が、ラベルの色が変えられると知って喜んだ」という事例があるのですが、私も今まで知りませんでした。
いや〜、色分けできると視覚的にパッと把握できていいですよね!(今さら)。
◆同じくメールをテーマにした第16章から引用したのが、上記ポイントの5番目。
私は今は、基本的に受信トレーはメールゼロにしているのですが、この区分けでどんどん整理すれば、その作業もはかどるというものです。
なお、こういう処理の仕方をしていると、著者はメールを溜めておくタイプのように思えたのですが、「すべてのメールを24時間以内に(少なくともなんらかの)返信をする」ことを推奨していました。
とはいえ「ただし、すべてのメールを24時間以内に完了させる必要はない」そうで、
・メールを受け取ったことを伝えるのだそうです。
・これからどうするのか
・いつ完了の連絡をする予定なのか
なるほど、これなら「対応の早い人」として評価してもらえそうですね。
Google流の生産性向上テクニックをご覧アレ!

Google流 生産性がみるみる上がる「働く時間」の使い方
序章 「アップタイム」とは何か
PART1 WHAT どの仕事にフォーカスするか?
第1章 優先順位トップスリーを選ぶ
第2章 「ノー」を伝えるテクニック
第3章 プロフェッショナルなToDoリスト
PART2 WHEN いつその仕事を実行するか?
第4章 自分の「ゾーン」の見つけ方
第5章 理想のカレンダーを目指して
第6章 あなたの時間を仕分けする
第7章 最大の敵:「先延ばしグセ」
第8章 「ダウンタイム」でタイパを最大化
PART3 WHERE どこでその仕事をするのが最良か?
第9章 ハイブリッドという働き方
第10章 次の時代の仕事場戦略
PART4 HOW どのようにその仕事を遂行するか?
第11章 境界線を引く
第12章 「計画」で結果は変わる
第13章 会議を制する者は仕事を制す
第14章 ツールを味方につける
第15章 邪魔するものに立ち向かえ
第16章 メールの達人
PART5 HOW どうやって未来の自分をかたちづくるか?
第17章 ルーチンでストレスを軽減する
第18章 デジタルデトックスで余裕を生む
第19章 心をととのえるヒント
第20章 「アップタイム」を手に入れた先に
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【生産性?】『なぜ日本の会社は生産性が低いのか?』熊野英生(2019年01月21日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
中世ヨーロッパの社会観 (講談社学術文庫)
中世の人を分析した1冊は、Kindle版が300円弱お得。

人生から逃げない戦い方 メンタルダウンから生き延びた元幹部自衛官が語るユル賢い生存戦略 (扶桑社BOOKS)
元幹部自衛官の著者によるメンタル本は、Kindle版が700円以上お買い得。

「40歳の壁」を越える人生戦略 一生「お金・つながり・健康」を維持できるキャリアデザイン (ディスカヴァー携書)
ワーママはるさんの人生戦略本は、Kindle版が700円強、お得な計算です!
【編集後記2】
◆一昨日の「文藝春秋 文春ウルトラ電読フェア!」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか (文春e-book)

トッド人類史入門 西洋の没落 (文春新書)

後悔の経済学 世界を変えた苦い友情 (文春文庫)
参考記事:【行動経済学の誕生】『かくて行動経済学は生まれり』マイケル・ルイス(2017年07月30日)

マインド・コントロール 増補改訂版 (文春新書)
よろしければ、ご参考まで!
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