【過去問重視】『最短で最高の結果が出る逆算式勉強法』越水遥:マインドマップ的読書感想文

2025年02月24日

【過去問重視】『最短で最高の結果が出る逆算式勉強法』越水遥

最短で最高の結果が出る逆算式勉強法

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 (電子書籍) 新生活セール」でも、人気の高い勉強本。

著者は、東大＆司法試験に現役一発合格を実現した越水遥さんです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

ムダを完全排除し、ピンポイントで完全攻略！
あらゆる試験に使える、絶対合格から逆算した最強の勉強法

先月9日に出たばかりで、中古に送料を足すと定価を超えますから、「61％OFF」のこのKindle版の方が1200円弱お得です！

【ポイント】

■1.参考書＆問題集は「半逆算式」で

　私の考えとしては、参考書と問題集の使い方においては「半逆算式」が最も効率的で理解が進みやすいと思います。
「半逆算式」といわれてもピンとこない人も多いかもしれません。「半逆算式」がどういうものかというと、具体的には、最初に参考書を軽く1周し、それから問題集に進んで、再び参考書をやるという順番のことです。
　なぜ「半逆算式」と名付けたかというと、過去問の場合と異なり、問題集から入るのではなく、一度は軽く参考書に目を通してほしいからです。ここでのポイントは、目を通すのは「軽く」でいいということです。(中略)
　問題集を先に見ても、まったく知識がない状態だと到底解けるはずがありませんし、どのような知識が出てくる可能性があるのかもわからないので、あまり意味をなしません。
　ですが、まず参考書を1周しておけば、その科目の全体の幅がわかってきますし、基本的な知識も身につきますから、問題集をやったときの効率が大きく変わってきます。全体像が見えてくれば、今後の見通しも立ちやすくなるでしょう。

■2.過去問をいつ始めて、どれくらいやるか？

　私が考える目安としては、試験勉強を始める前に1年分、試験勉強がある程度進んだら3年分の過去問をやるべきだと思っています。
　ここでいう「試験勉強を始める前」というのは、本当にいつでもいいと思っています。例えば、高校1年生のときにやろうと思ったら、その段階で1年分の過去問をやってしまってもまったく構いません。
　過去問を始めることにおいては、遅すぎることはあったとしても、早すぎることは決してないのです。
　高校3年生になってから過去問を始めようと思った場合でも、まずスタートの段階では「とりあえず1年分をやってみる」ということが重要です。
　1年分の過去問をやるのは、とにかく試験の出題傾向をつかむためです。傾向がわからないと勉強の方向性が定まりません。ですから、勉強を始めることになったら、まずは1年分やってみましょう。

■3.過去問をまとめたノートをつくる

①過去問を印刷して問題の部分だけをはさみで切り取り、ノートに貼り付ける。
②その下に問題の解き方を書き込む。
③間違えたときに、自分では気づけなかったポイントなどをメモし、マーカーを引く。
　気になったポイントなどをどんどん書き込んでいくものなので、ノートはA4サイズなどのできるだけ大きなサイズを選んでください。
　問題集の場合は、そのままメモを問題集に書き込むと先述しましたが、過去問は別にノートをつくったほうが効果的です。
　なぜかというと、過去問は、大学受験でいえば大学の教授たちが会議などを重ねてつくっているものなので、大学側の「こういうポイントをわかってほしい」「こういう能力のある学生がほしい」といった狙いが明確に出ています。
　要するに、出題者側から受験者へのメッセージなのです。

■4.「何もやりたくない日」は模擬試験一択

　何もやりたくない日というのは、疲れが原因の集中できない日とは異なり、基本的に気持ちの問題です。そういうときは、強制的に「やらなければいけない」という状況に自分を追い込むしかありません。(中略)
　私は、何もしたくない日にやるべきことは「模擬試験一択」くらいに思っています。模擬試験をやれば最低でも勉強時間は3～4時間くらいになります。そうなると、何もしたくない日でも「1日を無駄にした」ということにはなりません。
　集中できる日に模擬試験をするのは時間がもったいなく、それより暗記などに充てたほうが効率的です。
　なんとなく調子の出ない日は暗記などの勉強をしてもうまくいかないので、模擬試験をするのにぴったりですから、何もしたくない日がきても「ラッキー、模擬試験ができる！」くらいの気持ちでいいと思います。

■5.伏線で立ち止まらず、前に進め

　司法試験で刑事訴訟法の勉強をしているとき、参考書でわからない部分があって、かなり時間をかけて最終的に自分なりの解釈で理解したつもりになっていたのですが、最後まで進めたら、自分の解釈とまったく違っていたことがありました。
　理解できなくてもそのまま最後まで進めていたら、簡単に答えがわかったわけですが、自分なりの間違った解釈のまま、関連する他のパートも勉強してしまったので、すべてやり直さないといけなくなりました。伏線を拾おうと必死になった結果、時間を無駄にしてしまったのです。
　このとき、私は「勉強って、最後までやって初めて、それまでの伏線がちゃんと理解できるものなんだ」と気づきました。ですから、大学入試や資格取得の勉強をしようとしている人たちには「最初は完璧主義になるな」とお伝えしたいのです。

【感想】

◆本書は端的に言うなら、いわゆる「『東大卒業生』兼『タレント』の方による勉強本」の流れに沿う作品でした。

昔から、東大に合格して勉強本を出された方は多いのですが、かつては本業が弁護士だったり、お医者さんだったりで、そこまでテレビに出演されている方ばかり、というわけではなかったかと。

ところが昨今、クイズ番組等のバラエティで東大卒の方が増えたこともあってか、ある程度一般的な知名度がある方が増えたような気がします。

そして、そういう方が出す「勉強本」というのは、彼らが出演する番組を観ている層（ある程度知的好奇心高め）にとって、一定のニーズがあるのも当然のこと。

もちろん、再現性がない、変わった勉強法だと別ですが、本書のように「過去問重視」という「王道テクニック」を中心に据えるならば、実際に効果も期待できると思います。

◆なお、本書のタイトルにある「逆算式勉強法」とは、

試験に向けたあらゆる勉強を始める前に、従来なら終盤の目標に設定されていた過去問を確認し、過去問から「今やるべきこと」を浮き彫りにしていくというもの

とのこと。

具体的には本書の第2章にて解説されています。

ちなみにポイントが3つあって、

1.過去問をとりあえず１年分解いてみる
2.すごく大雑把な計画を立てる
3.勉強時間を記録する

とのことなのですが、かなり長くなるので、詳細は本書にて。

むしろ、上記ポイントの1番目にあるように、過去問はいきなりやるのに、問題集は「一度は軽く参考書に目を通す」のがユニークでした。

ただ、過去問の範囲をすべて目を通してからだと、時間的な余裕がなくなってしまうのに対して、問題集は範囲が限られていますから、参考書に目を通すのが可能なので、ある意味妥当なのかもしれませんね。

◆さらに、過去問の扱い方を深掘りしているのが、本書の第3章です。

上記ポイントの2番目に引用しましたが、過去問は「試験勉強を始める前に1年分、試験勉強がある程度進んだら3年分」やるのだそう。

ただ、これは試験（中学、高校、大学、資格等々）によっても違うでしょうし、文脈から考えるに大学受験のお話のような気がします。

とはいえ、同じ大学受験でも、やる人（塾）によっては、10年ぐらいは余裕でやるでしょうし、ムスコの中学受験でも5年分くらいは解いてました（小6になってからですが）。

ですから、独学でもない限り、この辺の解く年数や始めるタイミングは、通っている塾や、担任の先生の指導に従った方がいいと思います。

もちろん、本書の「1年分」「3年分」も「1つの正解」ではあるのですが、そうじゃない方もいるでしょうし、本当にケースバイケースですから。

◆一方、同じ第3章から抜き出した、上記ポイントの3番目の「過去問まとめノート」は、汎用性の高いもの。

ただし、過去問を切り貼りしている（①）時点では「作業」に過ぎませんから、その後（②と③）をしっかりやってください。

……私は結構、①の部分で無駄な作業時間を発生させた黒歴史があるのですが。

なお、著者の越水さんは、この「過去問まとめノート」を受験当日にも持っていかれたそうです。

一般的には、間違えた問題をまとめた「間違いノート」を、受験に持参する方が多いような気がしますが、ご自分にあった方で。

◆続く第4章のテーマは時間術なので、本書のテーマとは直接は関係ないような。

ただし、上記ポイントの4番目の模擬試験の活用法は、なるほど、と思いました。

私は受験期間全体を通して、やる気のあるなしがあまり変わらなかったので、受験当日に発熱すること等に備えて、体調が良くないときに、模擬試験等のアウトプットをしていたのですが。

また、上記ポイントの5番目は、第5章からのもの。

ここにある「伏線」という表現は、過去300冊以上勉強本を読んだ私も初めて目にしました（最近はそう言うのですか？）。

ちなみに越水さんは、本書を通じて「理解できなくてもとりあえず暗記せよ」のタイプの方なので、その点は親近感が湧いたワタクシ。

わけもわからず暗記した部分が、後になって腑に落ちた経験がないと、この辺は同意してもらえないかもしれませんが、まさに「分からなくても前に進んで」ください。

過去問の重要性が納得できる1冊！