【脱欲望】『欲ばらない練習』石川勇一:マインドマップ的読書感想文

2025年02月17日

【脱欲望】『欲ばらない練習』石川勇一

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「ビジネス・実用・写真集★スペシャルキャンペーン」にて個人的に読みたかった1冊。

煩悩が多い自分には、色々と得るところが多い作品でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

皆さんは欲ばりすぎて失敗したことはありませんか。
あるいは意欲が湧かなくて困ったことはありませんか。
あるいは他人の欲望や執着に悩まされたことはありませんか。
この本は、人間なら誰でももっている「欲望」についてよく考え、「欲望」と賢くつき合えるようになるための書です。

送料を加味した中古よりは、Kindle版が500円弱お買い得となっています！

【ポイント】

■1.他者迎合すると尊敬されない

　自尊心が低く、自己肯定感がなく、ビクビクおどおどしている人は、支配的な人物のいじめのターゲットになりやすい傾向があります。自尊心が低い人は、不当な圧力をかけられても反撃することができないので、それを見透かされて、いつも見下され、都合がよいように扱われてしまうのです。支配欲の強い人は、やり返してこない獲物を独特の嗅覚で見分けます。承認欲求が強く、自尊心が低い人は、このような獲物としてロックオンされてしまうのです。簡単にいえば、なめられ、都合よく利用されるということです。
　他人に認められたいと思って他者に過剰に合わせているのに、そうすればするほど、実は尊重されないのです。便利屋として利用されたり、支配されたり、暴力のターゲットになりやすいのです。他者迎合する人は、自分で自分自身を認め、尊重し、肯定することができていないので、皮肉なことに、そのように自分を扱う他人を引き寄せてしまうのです。

■2.怒りや悲しみの原因は自分の中にある執着

　お気に入りの袋詰めのクッキーを買いに行ったのに、スーパーで売り切れていたら、残念に思うでしょう。クッキー依存症になっている人ならば、売り切れを放置しているスーパーに苦情を言いたくなるかもしれません。欲望は満たされないと怒りになるのです。満たされるとそれが当然となり、さらに強い欲へとエスカレートしていく傾向があります。もっと美味しいお菓子はないのかと探し回るのです。
　達成されるのが当たり前と思っていた欲が、満たされない状況になると、失望や怒りが生じます。欲望が強ければ強いほど、それが満たされないときに、強い怒りや悲しみになります。欲望が弱く、とらわれていなければ、それが満たされなかったとしても、強い失望や怒りが生じることはありません。怒りが生じたとしても、短時間で消えていくでしょう。怒りや悲しみの原因は、スーパーのように自分の外側にあるように見えるのですが、一番の原因は自分の中にある執着なのです。

■3.自分の欲に気づき、意識化する

　意識的な欲もあれば、無意識的な欲もあります。たとえば、「お腹が空いた」と多くの人は感じることができますが、ダイエットに固執している人は、「お腹が空いている」という欲を否認したり、感じないように抑圧しているので、食欲は無意識に閉じこめられています。摂食障害の特に拒食症の患者さんは、空腹の欲を感じられないことが多いのです。
　たとえば、「人は死んだら無になる」という見解を意識的に支持し、執着している人がいます。一方で、「人は死んだら無になる」と思っているのですが、そう思っていることが無意識な場合があります。意識化できていない人は、「人は死んでも終わらない」という見解に出会うと、驚きあきれたり、馬鹿にしたり、頭ごなしに否定するなどの過度な反応をすることがあります。無意識的な見解への執着は、他者への差別意識の温床になるなど、トラブルを引き起こす可能性があります。ですので、自分の欲に気づき、意識化することが大切なのです。

■4.毎日1分間掃除をする

　掃除というのは、はじめるのがおっくうであることが多いものです。怠け者の私は、生活が忙しくなるとついつい掃除をさぼりがちです。
　ですので、忙しい人にもできるように、簡単な目標をたてるとよいと思います。
「1日1分以上掃除をする」と決めるとよいでしょう。
　1分であれば、すでにやっている方も多いと思いますし、忙しくても、私のような怠け者でもできると思います。目標は簡単なものに設定して、達成感を味わいやすくすることが、習慣化するコツです。
　床に散らばっているものがあったら片付けるのもよいでしょう。用を足した後に1分だけトイレを掃除するのもよいでしょう。お皿を洗った後にシンク周りを磨いてみるのもよいでしょう。床に埃があったら掃除機をかけたり拭いてみるのもよいでしょう。窓が汚れていたら、布で拭いてもよいでしょう。1分だったら簡単ですね。

■5.与えることで得たいという欲望を緩和する

　私利私欲に走り、強い欲望をもっているときには、自分が他から得ることばかりを考えています。少しでも快楽を得たい、お金が欲しい、称賛が欲しい、注目を浴びたい、能力を得たい、美しくなりたい、支配力を得たい……と他から得ること、奪うことばかりを考えているのです。
　このような強すぎる欲に支配されず、中道を生きるためには、ダーナを心がけることが効果的です。ダーナとは、パーリ語で「与える」という意味で、仏教では「布施」と訳されます。「……を得たい」という欲望に対して、反対方向の「……を与える」という行為を実践することによって、得たいという欲望が緩和され、欲望の支配から解放されるのです。ダーナはとても効果的な中道の実践方法です。

【感想】

◆今回、上記ポイントでは抜き出さなかったのですが、国のリーダーを初め、私たち日本人全体に広まっている、と著者の石川さんが危惧している考えがありました。

それが「今だけ、金だけ、自分だけ」というもの。

出典は東京大学大学院の鈴木宣弘先生（農業経済学者）で、実際には「現代の日本の政治家、官僚、企業の価値観の特徴を表現した言葉」なのだそうですが、ネットや世間で起きていることを見るにつけ、確かにトップに限らず私たち全体が、こうした傾向があるな、と思わざるを得ません。

そして、「欲まみれ」であることの問題点を論じているのが、本書の第1章「欲ばるとどうなってしまうのか？」。

たとえば上記ポイントの1番目にあるように、承認欲求が強く「他人に認められたい」と迎合すると、かえってなめられたり、都合よく利用されてしまったりします。

逆に承認欲求が少なく、他人を認めてあげたり、助けてあげたり、何かで役立ちたいという思いが強い人は、「結果として他人に承認されることが多くなる」のだそう。

このような人は、自分が承認されないことに対する恐れがないので、必要なときには自分の意見を言うことができますし、他者に無理に合わせることもありません。ですので、他人の前でリラックスしているので、人間関係のストレスが少ないですし、それが人間的魅力になり、近くにいる人もリラックスできるので、ますます他者に好かれ、承認されやすくなります。

なるほど、承認欲求を手放せれば良いわけですね。

◆同じく第1章から、「執着」に関する問題点に触れているのが、上記ポイントの2番目。

「欲望が満たされないと、怒りになる」という指摘は、言われてみれば、確かにそうかもしれません。

それがより悪化すると、いわゆる「カスハラ（カスタマーハラスメント）」になりかねず……。

たとえば、普段職場や家庭でも尊重されていないと、「お店のお客としても尊重されないのか」と、怒りが爆発してしまう可能性もあります。

つまり普段からあった「欲望」が満たされていないがために、1つの出来事がきっかけで、爆発してしまう次第。

　欲にとらわれてしまうと、このような状況を客観的に理解することができなくなります。自分の欲が満たされるかどうかばかりに意識が狭められ、自分中心のものの見方をするようになってしまうのです。

何か「カチン」と来たときは、それが「欲」のせいではないのか、確認したいものですね。

◆また、1つ飛んだ第3章から引用したのが、上記ポイントの3番目の「欲の意識化」のお話です。

これは結構「目からウロコ」だったのですが、自分の「欲」をキチンと意識化していないと、このように「過度な反応」になる可能性大！

私はあまり欲がない方と言いますか、あまり何かに固執しませんし、他人を妬んだりもしない方かと。

ただ、それはガツガツしていることを「あまりカッコよくない」と思っているからかもしれず、本当はここにあるように「欲」が「無意識に閉じこめられている」可能性もあります。

やせ我慢（？）をするのは、自分の勝手ですけど、それで何かのきっかけで「過度な反応」にならないよう、普段から「欲」に対して、意識を向けていこうかな、と。

◆さて、下記目次にもあるように、本書は大きく2つに分かれており、第4章までが「知識編」で以降が「実践編」になります。

というわけで、上記ポイントの4番目は、見てお分かりのように、第5章の「掃除」からのもの。

掃除は「いらないものを捨てる」という行為であり、物理的に不要なものを捨てることは、心の中の不要なものを捨てることと重なるのだそうです。

そして心の執着を捨てるよりも、ものを捨てる方が分かりやすく簡単なので、積極的に掃除をすべし！

さらに掃除は、達成感を得やすく、達成感とは満足の心に他なりません。

つまり欲ばりとは反対の心なので、その意味でも掃除は有効なのだそうです。

◆また、上記ポイントの5番目は、第7章「ダーナ」からのもの。

「ダーナ」とは仏教用語なので、あまりなじみがありませんでしたが、ここで引用しているように「布施」を意味するらしく。

具体的に誰に何をあげたらいいか、というと、