【時間術】『神時間力』星渉:マインドマップ的読書感想文

2025年02月10日

【時間術】『神時間力』星渉

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、本日が最終日（なので投稿も早めに）となる「飛鳥新社 WEEK ～飛鳥新社の電子書籍すべて最大70％OFFキャンペーン～」の中でも、個人的に読んでみたかった作品。

当ブログで今までレビューしてきた、翻訳系の時間術本のエッセンスが詰まった良書でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

ストーリー仕立てでよくわかる「上手な時間の使い方」
「やる事が多すぎて時間が足りない」
「限られた時間で最大の成果を出したい」
「仕事とプライベートな時間のバランスを取りたい」
「なんとなくスマートフォンをダラダラ見てしまう」
など、現代人の時間に関する悩みを解決する1冊です。

もとから「70％OFF」なのに加えて、「30％ポイント還元」も加わり、実質321円でお求めいただけるのですから「買い」だと思われ！

【ポイント】

■1.「時間の使い方3原則」を意識する

黒野　「難しく考える必要はないのですよ。今日お話しした『時間の使い方3原則』を忘れずに、人生の残り時間を使えばいいのです。
　3原則の1つ目は、『ゴール（得たい結果）が決まっていないと、時間は、その時の流れや、重要でない急ぎのものなどに使われてしまう』ということ。
　2つ目は、『ゴールは常に変わるもの』だということ。
　一度ゴールを決めたからと満足していると、ゴールがなくなっていることに気づかないまま日々を過ごして、1つ目の原則に戻ってしまいますから気をつけてくださいね。
　そのためにも3つ目の原則、『ゴールを決める時間を常に持つこと』が、最も大事ですよ」

■2.『やらないといけないこと』に時間をかけすぎない

黒野　「いいですか。『やらないといけないこと』に時間をかけて完璧なクオリティでやったとしても、人生で得たい結果につながることなんて、ほとんどありません。それなら、問題にならない程度のクオリティにすることで時間をかけすぎず、そこで浮いた時間を全部得たい結果につながることに投資したほうがいいに決まっています」
　黒野は部屋全体をぐるっと見渡した。
黒野　「たとえば今回なら部屋を片づけること。これの問題にならないギリギリのラインは、『人が部屋に入れればいい』です。だから、ほんの少しだけ片づけて、あとは別の得たい結果につながることに集中投資していました」

■3.『気になったメモ』で時間が増える

黒野　「『気になったメモ』とは、名前の通り、何かをしている時に気になったことが頭をよぎったら、よぎった内容をメモするだけのことです」
春香　「それって、たとえば会社でデスクワークをしている時に、『明日、課長に有給の話をしなきゃ』と思ったら、『課長に有給の話をする』とメモするだけでいいんですか？」
黒野　「そうです。なんなら、ご自宅で本を読んでいる時に、『洗剤買いに行かなきゃ！』と思ったら、それをメモするだけでOKですよ(中略)
　人間の脳はすでに完了したタスクよりも、未完了や中断されたタスクに意識が向いてしまう性質があるんです。だから、未完了のタスクをメモすることで、脳に『これは完了』と思わせて、注意力が散漫にならないようにするという仕組みなんです」

■4.『障害プランニング』で生産性低下を防ぐ

黒野　「『障害プランニング』は仕事やプロジェクトなど、何かをはじめる前に、『どんな問題が起きるだろうか？』と事前に考えて、その対策をリストアップしておくという方法です。(中略)
　たとえば、子育て中の人なら、『子育て中のトラブル・イラッとしてしまうこと』を事前に想定しておくんです。たとえば、『忙しい時に子どもに話しかけられると、イラッとしてしまう』としましょう。その場合はキッチンなどに、『子どもに話しかけられたら、笑顔で答える』とメモを貼っておけばいいということですね」
春香　「なるほど。トラブルが起きていない時に、『こんなことが起きたらこうしよう』というルールを決めるなら、冷静に考えられますね。いざ問題が発生したとしても、行動レベルが下がらなさそうです」

■5.タスクを詰め込み過ぎて『トンネリング』にならない

黒野　「『トンネリング』とは、行動経済学などの世界で使われる言葉で『時間がない！』『お金がない！』など欠乏状態になると著しく処理能力が落ちてしまう状態を言います。
　タスクをたくさん詰め込んで『時間がない！』と時間効率ばかり気にしすぎると、判断力が落ちてしまったり、創造性が下がっていくということですね」
春香　「どういうことですか？」
黒野　「時間効率を求めるということは、期限内にたくさんのタスクをこなそうとするわけですから、1日で何度もタスクスイッチングすることになるのです。すると、パフォーマンスが落ちてしまう。
　これは今の青井さんなら、理解できるのではないですか？」
春香　「そうか。期限内にたくさんのタスクをこなそうとすると、タスクスイッチングが増えるんですね。で、パフォーマンスが下がって、結果として生産性が落ちる、と」

【感想】

◆冒頭でも触れたように、洋書の自己啓発書の内容を数多く取り入れた作品でした。

巻末の参考文献に18冊挙がっているうち、著者の星さんの作品（共著を含む）が4冊ですから、残り14冊のうち、日本人著者による作品は3冊のみ。

また、そのうちの1冊は、「科学的自己啓発書」で名高い（？）鈴木祐さんのこの作品ですから、おそらく洋書や英語の論文をエビデンスにしていると思います。

ＹＯＵＲ　ＴＩＭＥ　ユア・タイム　４０６３の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術

なるほど、本書のプロローグの最初の方の後ろに

なお、本文中に出てくる内容にはすべて科学的根拠がある

と記載があったのは、こういうことなのだな、と。

ちなみに鈴木さんの作品は結構読んでいるのに、上記の作品は未読でしたが、894の評価平均が「4.4」と結構高評価です。

送料を足すと中古価格が定価に近い人気ぶりなので、こちらも機会があったら読んでおきたい次第。

◆さて、本書は上記ポイントでもお分かりのように、物語形式で展開します。

主な登場人物は、大学教授に扮した時間の神「黒野」と黒野の研究室の卒業生で会社員の「春香（苗字は「青井」）」の2人。

これに同じく黒野の研究室の卒業生である、「赤坂」と「白川」が、部分的にサポートに加わります。

……なお、赤坂は「東京四菱銀行の創業以来最年少頭取」で、白川は「ノーベル化学賞と物理学賞をW受賞した天才」という触れ込みなんですが、黒野先生はどんな分野の研究室なんでしょうねｗ

また、冒頭から黒野が時間の神だと認識して会話する「謎の影」が、合間合間にちょくちょく登場するのですが、その正体は最終章にて明らかになります（ネタバレ自重）。

昔から成功本で、物語形式をとるケースが多いと思うのですが、本書はオチというか、なぜ黒野が春香を指導したのか、という必然性を含めて、良くできた作品だと感じました。

◆一応具体的なTIPSについても触れておくと、上記ポイントの1番目で「ゴールは常に変わるもの」とありますが、これは具体的には時間の経過等によるものが多そうです。

たとえば学生時代（小中高）と受験するなら、それぞれ合格のゴールは違いますし、社会人になったら、まったく違うジャンルのゴールになるわけで。

また、上記ポイントの2番目の「完璧主義」は、日本人にありがちな問題点でしょう。

本書で黒野は、忙しいときに部屋が荒れているのですが、本人いわく「部屋を片づけることに時間を投資したくない」からとのこと。

逆にここでいうように「ギリギリのライン」を見極めるのが大事なのだそうです。

◆一方、上記ポイントの3番目からは、テクニカルなお話が登場。

その3番目の『気になったメモ』は、過去何冊かの類書でも推奨されていましたが、実際、効果は高そうです。

同じく上記ポイントの4番目の『障害プランニング』も、障害にかぎらなければ、おなじみ「if-thenプランニング」に近いもの。

私が読んでいない自己啓発書で、このような名称で呼ばれていたのかもしれません。

さらに上記ポイントの5番目のお話は、巻末の参考文献にも挙がっている、こちらの作品からのものでしょうね。