2025年02月06日
【歩行】『歩く マジで人生が変わる習慣』池田光史

歩く マジで人生が変わる習慣
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、非常に人気の高かった1冊。これはもう、当ブログでも繰り返し「歩く」ことの重要性を強調してきたからかもしれませんね。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
ウォーキングを単なるエクササイズととらえるなかれ。
本書を読み終えるころには、きっと確信するだろう。「歩く」という人間の本質的な行為こそが、脳と身体を鍛え抜き、生産性やクリエイティビティを高め、つまりは現代人の抱えるあらゆる問題を解決する鍵なのだと。
中古が値下がりしていない一方、Kindle版は「10%OFF」と、お買い得になっています!

【ポイント】
■1.ウォーキングミーティングは創造性を高めるところで、米ハーバード・ビジネス・レビューもまた、「正しいウォーキングミーティングの方法」(How to Do Walking Meetings Right)
という記事を公開している。これも2015年のことだ。その中には、メタがなぜトレイルを新本社の屋上に作ったのかについての、僕の仮説に近しいことが書かれていた。
いわく、米国の社会人約150人を対象に、ウォーキングミーティングと仕事の習慣についてアンケート調査を実施したところ、ウォーキングミーティングに参加している人は、そうではない人に比べて、クリエイティブな仕事ができていると回答する率が5.25%高いことがわかったという。また、ウォーキングミーティングに参加している人は、8.5%も高い水準のエンゲージメントを報告する傾向もあったそうだ。
同記事は、医学博士の指摘も引用しながら、「創造性とエンゲージメントを適度に高めるには、ウォーキングミーティングほど安上がりな方法はない」と結論付けている。メタもここに投資した、という仮説は立てうるのだ。
■2.座り続けることの危険性
なによりショッキングな事実は、長時間の座位が続くと、どんなに運動を増やそうとも、そのリスクを相殺するのは難しいということだ。繰り返すが、「どんなに運動を増やそうとも」である。
たとえば、1時間以上連続して座っていると、脂肪を燃焼させる酵素の生成が減少する。身体の代謝は遅くなり、体内の善玉コレステロールレベルに悪影響をおよぼす可能性がある。また、長時間の座位が続くと、心臓病のリスクが6%、2型糖尿病が7%、そして乳がんや大腸がんのリスクが10%増加する可能性があることが示されている。長時間座ったままになると、こうした身体の変化を食い止めることができなくなる、というのである。(中略)
そういうわけで、2014年のアップルウォッチ登場も相まって、一定時間座り続けたら立ち上がることや、近年ではスタンディングデスクを使うことも珍しくなくなった。僕はこのアップルウォッチのスタンド機能を無視し続けてきたわけだが、この機能だけでもアップルウォッチを身に着けている価値があるということだ。
■3.歩ける街の価値が上がる
先のWEFの2019年のレポートによると、歩きやすい都市の賃貸価格は、オフィスや分譲住宅において、実に 35〜45%のプレミアムが付いているという。商業用不動産の賃料に至っては、75%も高いというデータもある。
これには3つの重要な要因がある、と都市プランナーのスペックは言う。
1つは、特に若い、クリエイティブな人たちにとって魅力的であること。2つ目は、そういった都市部を好む住民が人口動態上の多数を占めつつあること。そして最後に、歩いて生活できるライフスタイルは、かなりの節約効果があり、その節約部分の多くが地元での消費に回される、ということだ。
この「歩きやすい街」の需要が高まっていることを示すのは、何も不動産価格の上昇だけじゃない。「 ウォークスコア」(Walk Score) と呼ばれる指標が大ヒットしているのだ。
■4.素足で歩くということ
2024年の夏、僕は東京・高尾を訪れた。こうした裸足のことを科学して、啓蒙しているイギリスのシューズブランド「Vivobarefoot」(ビボベアフット) を日本に持ち込んだ人たちと、裸足で山の中を歩くためだ。
「現代の靴には『機能性』というものが備わっているという大前提を、まずは人々にもっと知ってほしい」
Vivobarefootディレクターの小峯秀行はそう語る。
機能性とは、たとえば前に進む推進力を高めてくれるもの──流行りの厚底クッションもそうだ──もあれば、地面からの「冷たい」といった情報を遮断する機能もある。
実際に裸足で地面に触れた瞬間、違和感に襲われた。目で得ていた情報と、足の裏で感じた情報が合致しなかったからだ。というのは、前日に雨が降っていたとはいえ、水たまりはなく、少し湿っている程度だろうと思っていた土の上に素足を乗せると、足裏が告げる感覚は、視覚がもたらすイメージよりもずっと濡れていたのだ。
ハーバード大学の医学准教授ジョン・J・レイティに言わせれば、僕も野生の身体感覚を長らく失っていた、ということなのだろう。
■5.ランナーの怪我は現代のシューズに原因がある
それだけではない。厚底クッションは快適だし、推進力が出て確かに歩くのが楽だ。が、靴において「歩くのが楽」というのは、実は本来の身体機能を使っていないことの裏返しでもある、というのはこれまで述べてきた通りだ。事実、これが足本来のバネ機能を低下させている、という研究もある。
人類学者のジェレミー・デシルヴァもまた、先述の『直立二足歩行の人類史』の中で、このことを強調している。足の裏には、10個の筋肉が4層重なってついている。そのいくつかは、足のアーチを維持する働きをしている。その他は、足を踏み出すのに不可欠な筋肉だ。しかし、大半の靴は(いかにも健康によさそうな、「アーチを支える」と称する靴でさえも) これらの筋肉を脆弱にする恐れがある。こうした疑念──「ランナーの怪我が絶えない」という厳然たる事実と、その原因は現代のシューズにあるのではないか──を抱いた2人の青年が、アメリカの自然豊かなユタ州の片田舎で小さなシューズブランドを立ち上げたのは、リーバーマンの論文が公表される1年前の、2009年だった。
そう、アルトラである。
【感想】
◆今まで、さまざまな作品で「歩くべき」「歩くと健康にいい」「あの●●も散歩が日課だった」等々の記述があって、私も当ブログで何度か触れたことがありました。たとえば本書でも言及されていますが、ジョブズの散歩好きは広く知られるところ。
ビジネスミーティングだけでなく、あの有名なこの本について著者のアイザックソンは
パロアルトの自宅の居間で本格的におこなったインタビューもあれば、えんえんと散歩しながら、あるいは車中、電話でおこなったものもある。と述べています。

スティーブ・ジョブズ I
参考記事:【速報】『スティーブ・ジョブズ I』が想像以上に濃厚だった件(2011年10月25日)
何でも本書によると
アイザックソンによる伝記『スティーブ・ジョブズ』において、「散歩」というキーワードは、1巻で12回、2巻では15回も出てくるそうで、ジョブズ歩きすぎワロタ。
◆もちろん、他の著名人の逸話もいくつか出てくるものの、私が全然知らなかったのが、第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目に出てくるメタの本社屋上のトレイルです。
2015年3月に完成したメタの新しい本社MPK20は、9エーカーにもおよぶ屋上トレイルを備えている。そこには350本以上の樹木が立ち並び、何百羽もの地元の鳥たちの生息地となっているという。本書内では、実際に画像がいくつか収録されているのですが、引用できないのでこちらのサイトをご覧ください(最後の方にトレイルが載っています)。
さらに2018年、その隣に連結する形で完成したMPK21の屋上にも3.6エーカーのトレイルが続き、200本以上の樹木が生い茂っているというからすごい。
見た目は地味?!中身を覗けばアートだらけだったFacebook新オフィス!!|みんなのオフィス
もちろん、ただ緑を植えただけでなくて、「ウォーキングトレイル」まで整備したのがミソ。
実際にザッカーバーグもここで歩きながら会議をしているのを、たびたび目撃されているのだそうです。
◆続く第2章は、お約束(?)の健康への影響のお話。
「歩くと長生きする」なんてのは序の口で、「がんや心疾患リスクが下がる」「不眠が改善し、ストレスも減る」「脳卒中のリスクが下がる」といった効果が、「論文タイトル」「掲載ジャーナル」「著者」「掲載日」「実験場所」「研究内容」といった項目付きでまとめられています。
逆に問題があるのが、章題にもある「座る」こと。
上記ポイントの2番目にあるように、各種悪影響が報告されています。
確かにデスクワークをしている人の場合、睡眠時間以上に座り続けているわけですから、アップルウォッチがあれば定期的に立ち上がるべき。
それよりも、上記ポイントの1番目に立ち返って、ウォーキングミーティングを取り入れれば、一石二鳥なワケなのですが。
◆また、今回まったくの初耳だったのが、上記ポイントの3番目に登場する「ウォークスコア」です。
これは、シアトルに拠点を置くソフトウェアカンパニーが2007年に開発したツールで、特定の住所の「歩きやすさ」を 0〜100のスコアで評価する、というものだ。評価は、近隣の施設や公共交通機関、商業施設、学校、公園などへのアクセスのしやすさに基づいて行われる。ここは「街」がテーマの第3章から引用したのですが、都市圏以外だとスコアが稼げそうもありません。
実際にURLも掲載されていたので、ご紹介しておきますが。
Find Apartments for Rent and Rentals - Get Your Walk Score
これは、アメリカとカナダのみカバーされているそうなのですが、一応サポート外とはいえ、日本の住所でもスコアが出ます。
以前住んでいた勝どきでやってみたら、91点となかなかの高得点でした。

今後家を買ったり、借りたりするにも、こういう基準で考えるのもアリかもしれませんね。
◆ここらあたりまでは、まだ「ふんふん」と読めたのですが、第4章からはだんだんマニアック(?)になります。
その第4章では、「足」の構造からスタート。
人類は「直立二足歩行」を選んだことで、類人猿とは足の構造からして違ってきます(チンパンジーは歩くのに、人の2倍のエネルギーを消費するとのこと)。
ただし、そんな精密機械のような人の足も、靴によって鈍くなっているらしく。
それに触れているのが上記ポイントの4番目であり、なるほど素足で生活している民族の足は、私たちの足とは大きく異なっているそうです。
確かに掲載されている写真を見ると、指が広がっており幅も広いんですよね。
◆それを踏まえて、第5章では「靴」についてのお話が。
一般的な底の厚いランニングシューズでは、かかとで着地するため、足に痛みや不快感がほとんどない反面、膝や腰に衝撃があるのだとか(詳細は本書を)。
そこから生まれたのが、上記ポイントの5番目の最後に登場する、アルトラという靴ブランドです。
このアルトラは、著者の池田さんが愛用しているブランドであり、この第5章ではその歴史についても詳しく言及。
たまたま来日した共同創業者にも、話を聞かれています。

ALTRA(アルトラ) ローンピーク8男性用 AL0A85NC Yellow 8H
なるほど、これはちょっと気になりますね……。
"分かっちゃいる"のに歩いてない方は、この機会に読むべし!

歩く マジで人生が変わる習慣
Step1 脳のこと
Step2 身体のこと
Step3 街のこと
Step4 足のこと
Step5 靴のこと
Step6 自然のこと
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【靴と健康】『健康長寿は靴で決まる』かじやま すみこ(2018年11月04日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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参考記事:【科学的自己啓発書】『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』堀田秀吾(2020年08月12日)

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