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2025年02月03日

【エイジング】『老いる技術』石田雅男


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老いる技術 (幻冬舎単行本)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「幻冬舎 電本フェス 前夜祭」において、個人的に気になっていた1冊。

私自身や、一部の読者の皆様にとっても、タイムリーなテーマの作品だと思います。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
今まではすべて準備期間。これからが人生の黄金期だ!
人は誰でも、年齢を重ねるごとに身体は確実に衰えていきます。アンチエイジングなどと抵抗しても無駄なことです。その時あなたを支えてくれるのは、熟成された経験と知識です。加齢を真正面から受け止め、いずれ訪れる人生の円熟期に向けて、今から準備しておきましょう。本書では、人生を謳歌するためのとっておきのノウハウを解説します。

中古は値崩れしていますが、送料を足せばKindle版の方がお買い得となります!







【ポイント】

■1.嫌な記憶は抽象化することで消去できる
 精神科医で老人医学を専攻する国際医療福祉大学大学院教授の和田秀樹博士は、記憶の持続について、何かのエピソードとつながっている記憶は、単なる言葉のようなものと比べて、なかなか忘れることができないと言います。
 これを利用するのです。つまり、どうしても覚えておきたいような事柄は、その場面を、その時言ったセリフ、言われたセリフを含めてまるごと当時の情感とともに記憶しておけばよいのですが、逆に忘れたほうが精神的にも身体的にもよいようなものは、その記憶から概念だけを抽出し、言葉に置き換えて抽象化してしまいます。そうすることによって記憶を早く消去することができますし、また、そのようにして置き換えた言葉が、あなたの今後の生き方を方向づける材料となるのです。


■2.老化防止には歩くことがよい
 さて、今お話しした寿命をつかさどる遺伝子サーツーですが、前出の白澤教授によれば、極端なカロリー制限をしなくても、まめに歩くなどの軽い運動を生活の中に取り入れれば活性化し、心身の老化を防いでくれるといいます。また、その前の項では、リズミカルな運動がセロトニンを活性化させるという報告があることを紹介しました。この二つのことを考え合わせると、やはり、老化防止には歩くことがよいようです。
 この裏づけを取れないものかと白澤教授の著書で探してみたところ、65歳以上で週に1回くらいしか外出しない「閉じこもり」の人は、閉じこもりでない人に比べて約2倍の死亡率であるという調査結果が、東京都老人総合研究所から挙がっていることが分かりました。


■3.不安と寂しさからくる心身症
 心身症とは、すでに患っている病気が、心理的な影響により必要以上に悪くなる症状をいいます。たとえば、医師や周囲の人に対してさまざまな症状を訴え、自分がこの病気(症状)のためにいかに困っているかを大変強調する人がいますが、これが心身症を患っている人に見られる顕著な傾向です。
 このように、同じ病気にかかっている他の人に比べて、訴える症状が多種多様にわたり、過剰なまでに悲観的になってしまうのは、他人にすがりたいという気持ちがあるからです。つまり、不安であるという自分の感情を病気の症状の中に繰り入れて、その症状を悪化させてしまうのです。殊に高齢者は、家庭内で自分の存在感が薄れ、疎外されているように感じると、その不安で淋しいという感情を率直に告げることができないようです。それが、結果として身体の不調を必要以上に強く訴え、家族の注意を引こうとすることにつながるのです。


■4.孤独な人ほど認知症になりやすい
 斎藤茂太博士の引用によれば、スウェーデンで行われた疫学的研究に、認知症の発生率と人との交流の頻度との間に関連があるとの報告があります。
 それによると、一人暮らしで友人や縁者が訪問してくる頻度がそれぞれ週に1度未満という条件の高齢者では、認知症の年間発症率は1000人中160人。これに対して同居する家族がいるか、あるいは友人や縁者がそれぞれ訪問してくる頻度が週に1度以上という条件では、1000人中20人に留まったということです。
 この認知症が発症する確率の差は、社会や生活環境が違うので、そのまま日本に当てはまるとは思いませんが、他人との交渉が少なくなればなるほど脳を働かせる機会が減るため、認知症にかかる危険性が高まることは事実でしょう。


■5.言ってはいけない「昔はよかった」
「昔はよかった」と口癖のように言う人がいますが、これは特に若い人の前では禁句です。「昔はよかった」とついつい言ってしまうのは、現状に不満があるからでしょうが、それならば、「昔はよかった」という言葉の後に、「だから将来はこうなるべきであった」という話が続くはず。それが一切見えてこないのは妙なことで、ひょっとすると、今の時代に順応できないことや、自己の足らざる部分を隠そうとしているだけなのかも知れません。(中略)
 過去の話をするのであれば、「昔はこのような良い点があったが悪い点もあった」、「昔と今ではこのように環境も違っているけれど」といったことを盛り込み、広い見地から過去と現在を比較するべきです。その上で、過去の良かった点とそれを現在につなげるための方法や問題点などを指摘しなければ、説得力のある話になりませんし、過去について語るメリットは何もありません。


【感想】

◆当ブログでは今まで、アンチエイジング本を何冊かご紹介してきました。

もちろん、見た目も若々しければ、中身も健康らしい、ということもありますし、それはそれで否定しませんが、いいかげん加齢を受け入れるべきではないか、と。

私自身、白髪が増えたり、老眼がきつくなったり、手足が細くなったり(でも腹回りは出てる)、と立派に老人の仲間入りをしていますし。

かといって、自分が若かった頃、職場や身の回りにたまにいた「"こういう風にはなりたくない"老人」だけは避けたいところ。

そういう意味では、「人生を謳歌」とまではいかないまでも、ほどほどに幸せな老後を送りたい方にとっては、参考になるお話がいくつもありました。


◆さて、上記ポイントの1番目は第1章の「人生を上手に折り返すために」から抜き出したのですが、ここだけ読んでも何のことやら分からないかと。

そこで具体例を挙げて補足しておくと、本書には「忘れたい記憶」が3つ上がっており、その中の1つが「あらかじめ慎重に考えて行動していれば、あんなに笑われることはなかった」というものです。

これをできるだけ短い言葉で表現すると
「落ち着き不足・集中力不足」
である、と。

そしてこれが上記でいうところの「記憶から概念だけを抽出し、言葉に置き換えて抽象化する」という作業になり、これを忘れないようにノート等に記録します。
言葉を残して、記憶は消し去る。ここまでしたら、あとは心のリセットボタンを押して、その記憶に付随する具体的なエピソードや抱いた感情は、一斉に破棄してしまいます。
これで本当に嫌な記憶を忘れられるのか、まだ試したことがないので分かりませんが、何かしら嫌な記憶がある方は、ぜひ試してみてください。


◆続く第2章は「脳と身体の関係」ということで、章題どおり、脳や身体のお話が中心になります。

ここから引用した上記ポイントの2番目の冒頭に、説明なく「寿命をつかさどる遺伝子サーツー」なるものがいきなり出てきて、分かりにくくて申し訳ございませんでした。

この「サーツー」、引用部分の前段で詳しく解説されているのですが、アメリカで発見された長寿遺伝子で、表記的には「Sir2」と表されるようです。
この遺伝子が身体の老化を制御し、細胞を修復するタンパク質を活性化させて、生命維持に必要なエネルギー量の調節をつかさどっている
そうですから、活性化させるためには、やはり歩くべし!

と言いますか、どの健康本を読んでも「歩け歩け」の号令ですから、私も極力毎日歩くようにしております。


◆一方、第3章は「心と病とその対処法」という章題で「心」の問題に言及。

上記ポイントの3番目で触れている「心身症」という言葉は、見たことはありましたが、どういうものかは今般初めて知りました。

幸い、私よりさらに30歳ほど上の母も、認知症は患っていますが、まだ自分の症状にこだわるということはありません。

ただ、身内が「身体の不調を必要以上に強く訴える」ようでしたら、この可能性を検討していただきたく。

さらに第4章から上記ポイントの4番目の認知症のお話は、我が家でも思い当たる節がありまして。

父の他界後、母と妹と2人で暮らしていたのが、妹が嫁いでからは、母一人にしてしまったことで、その後の認知症の発症と進行につながった可能性は高そうです。

逆に今は、私の自宅のすぐ近所に住まわせて(我が家に入りきれないため)、毎晩夕飯を一緒に摂っているのですが。


◆また、上記ポイントの5番目は、第5章から抜き出したもの。

この章では、老人の立ち振る舞いについて何点か触れられており、その中から自分への戒めとして、この「昔はよかった」を挙げてみました。

しかし実際問題、景気やらその前提となる出生率やら、昔はよかった(マシだった)のは事実ですし、「何とかできる」策があったのかは疑問。

「現在につなげるための方法や問題点」が挙げられない以上、口にしないことのほかに、選択肢がなさそうです。

もちろん、それ以外にも「話の途中で割り込まない」とか「でしゃばって語る」等々もありましたけど、これは老人以前の問題かと。

いずれにせよ本書を参考にして、「好かれるお年寄り」を目指したいと思います。


幸せな老後生活を送るために読むべし!

B073WV92NJ
老いる技術 (幻冬舎単行本)
第1章:人生を上手に折り返すために
第2章:脳と身体の関係
第3章:心と病とその対処法
第4章:競争社会から共同社会へ
第5章:老人力はさりげなく発揮してこそ価値がある
第6章:死との対峙
第7章:心安らかに人生を送るために


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【生涯現役?】『できる男の老けない習慣』平野敦之(2016年08月22日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記2】

◆一昨日の「幻冬舎 電本フェス 前夜祭」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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すべての不調は呼吸が原因 (幻冬舎新書)

参考記事:【呼吸】『すべての不調は呼吸が原因』本間生夫(2018年12月13日)

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老いる技術 (幻冬舎単行本)

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よろしければご参考まで!


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