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2025年01月10日

【マネジメント】『リーダー1年目のマネジメント大全』木部智之


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リーダー1年目のマネジメント大全 (三笠書房 電子書籍)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも、もっともお求めいただいている1冊。

マネジメントの初心者に向けた、内容豊富な大全本です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
優れたリーダーが実践している仕事術を大解剖!
初めてリーダーになったあなたは、今、不安でいっぱいかもしれません。
「マネジメントって何をどうすること?」
「私にリーダーが務まるだろうか?」
大丈夫です。リーダーの仕事は、複雑で難しく思えますが、全体像をつかんでしまえば、何とかなるもの。
それには知識とスキル、わずかな勇気が必要です。
そのため本書では、リーダーの仕事の全貌を
マインドセット/メンバー/チーム/ビジネス/サイクル/セルフ/メンタル
の7分野に分けて、イラスト図解で解説します。

中古に送料を加えると定価を超えますから、このKindle版が900円弱お買い得です!






【ポイント】

■1.仕事の説明は「Why」から始める
「来週の水曜日までに、商品Aの市場評価と売上ランキングを調べておいてくれないかな。よろしく頼むね」
 と、メンバーに依頼したとします。そのメンバーは、着実に依頼事項をこなしますが、おそらくそれ以上のことはやらないでしょう。なぜなら、Whatのみを伝える仕事の任せ方だからです。
 では、次のように伝えたらどうでしょう。
「来週の金曜日に、クライアントにうちの会社の商品のプレゼンをする予定なんだけど、今年一番の大きな契約につながるかもしれない重要な提案なんだ。クライアントにとっても絶対に役に立つ商品だと思うから、ここでしっかり商品のよさを伝えておきたい。
 商品Aをアピールするために、市場での評価やランキングなど、お客様に訴求するデータを集めておいてくれないかな。よろしく頼むね」
 こう依頼すると、何のため(Why)の仕事かがわかるので、メンバーはその目的を達成できるWhatを考えるようになります。
 どのようなデータをどのように整理して、どのような資料に加工すればクライアントに刺さるだろうか……。こう考える過程で、おのずとHowも自分で考えるようになるのです。


■2.オフィスの座席配置がチームの生産性を決める
 会社が固定席の環境であれば、チーム内の席はリーダーであるあなた自身の裁量で決められるでしょう。配置検討の観点の1つは、メンバー同士の距離感です。例えば、密にコミュニケーションを取らないといけないメンバーは、隣や向かい側など近くにいたほうがコミュニケーション効率はよくなります。
 もう1つの観点は、リーダーである自分の席です。私は自分の席は、「景色」と「動線」で決めています。「景色」とは、チーム全体が視界に入るかどうかです。チームメンバーが自分の視界に入る席に座っていれば、仕事をしながらメンバーの動きを見ることができるので、チーム状況をよく把握することができます。
「動線」は、メンバーがよく通る場所の近くに座る、ということです。オフィスの入口の近くや、プリンターの近く、メインの会議室の近くなど、自分のチームメンバーが移動をする動線に、自分の席を置きます。そうすると、自分の近くをメンバーがよく通るので、ちょっと声をかけてコミュニケーションが取りやすくなり、チームの活性化につなげられます。リーダーだから奥まった席をキープする、というのはまったくのナンセンスです。


■3.メンバーを会議で育成する
 会議で必要なことをブレークダウンしてみましょう。
 まず、【事前準備】は欠かせません。議題や参加者を決めて会議室やインビテーションのセットアップをする。これらには、構成力や段取り力が必要となります。資料作成のスキルも求められます。
【会議中】はファシリテーションスキルが必要です。さらに、論理思考や交渉力、プレゼンテーション力も求められます。
【会議後】は議事録の作成があるので、ロジカルライティングが求められます。会議で発生した課題やToDoの管理も必要です。
 これ以外にも、洗い出せばもっとあると思います。
 いうなれば、会議はビジネススキルの総合力が試される場です。
 そこで、この会議という場を使ってメンバーを育成するのです。
「事前準備」「資料作成」「プレゼンテーション」「会議の運営」「議事録作成」などの役割をメンバーに割り振りましょう。
 そういうのはすでにやってるよ、と思う人もいるかもしれませんが、ポイントは、育成目的であることを伝える、ということです。


■4.仕事を型にする
 何度も繰り返す仕事や、多くのメンバーに共通する仕事は、パターン化や、テンプレート化を試みることをおすすめします。
「型」にする目的は、効率化と均質化です。全員が同じような資料を作るときにテンプレートがあれば、ゼロから作るよりもはるかに効率的で、一定基準の品質の資料を作ることができます。
 逆にテンプレートがないと、メンバーは毎回悩むところから始まるので時間がかかります。レビューもその都度、同じような修正が発生します。テンプレートがあれば、これを最少化できるわけです。
 資料だけでなく、営業活動やプロジェクトの作業をパターン化することもできます。聞くと当たり前のように思えますが、これを実際にできている組織やチームはほとんどありません。
 なぜなら、「型化」にはそれなりの作業工数がかかるため、日々忙しい業務に追われる中で時間を割けない、というわけです。しかし、「型化」が実現できればチームメンバーはもちろん、リーダーであるあなた自身にとっても、将来の仕事が格段に楽になるので、何とかチャレンジしたいところです。
「型化」はリターンの大きい先行投資です。


■5.ネガティブなリーダーは百害あって一利なし
 リーダーがネガティブだと、チームの雰囲気もどんよりとして停滞気味になります。
 あからさまなネガティブでなくても、
「そのタスクは、ちょっと難しいんじゃない?」
「リスクが多いから、やるのは危険だろう」
 といった、軽いネガティブ発言もあります。
 この程度なら、あなたもつい言ってしまっていませんか。しかし、リーダーは軽い気持ちで言ったつもりでも、メンバーの受け取り方は違います。「リーダーがそう言うなら、このタスクはやめたほうがよさそうだ」と、挑戦に尻込みするようになるのです。
 つまり、ネガティブなリーダーは百害あって一利なしなのです。メンバーの立場になって、ポジティブなリーダーとネガティブなリーダーのどちらと仕事をしたいか、考えてみれば明らかでしょう。
 重要なのは、あなたがどちらのリーダーになるかは、自分で選ぶことができる、ということです。


【感想】

◆それほど私はマネジメント本を読破している方ではないのですが、本書はバランスの取れたニュートラルな良書だと思います。

ここで言う「ニュートラル」とは、単に「あまり特定のジャンルに特化しているわけではない」という意味で、しいて言うなら「教科書的」といったところ。

下記の目次にあるように、序章を含めた8つの章で、テーマごとに「新人リーダー」の心得や注意点について指南してくれているのがありがたいです。

なお、著者の木部さんは、大昔にこちらの著作をレビューしたことがありまして。

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仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?

参考記事:ビジネスの達人がこっそり教えてくれる『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(2016年05月25日)

この本、その年の年間売上7位になるほどお求めいただいたので、ビジネススキル本がお好きな方はよかったらご検討ください。


◆さて、第1章から抜き出した上記ポイントの1番目の「『Why』から始める」お話は、なかなかレベルが高いかと。

これはサイモン・シネックが提唱した「ゴールデンサークル理論」(「WHY(なぜ)→HOW(どうやって)→WHAT(何が)」の順番で伝えることで共感を得られる、という理論)によるもの。

私は読んでいないのですが、こちらの本がそうですね。

B0BGXG5G1Q
WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う (日本経済新聞出版)

なるほど、ただ仕事をアサインするのではなく、理由を付すのがミソのよう。
 このように、「Why」から伝えると、メンバーのアウトプットとモチベーションの両方を押し上げることができます。
 伝え方をちょっと変えるだけで、メンバーとチームのパフォーマンスが大きく変わりますので、ぜひ、今日から試してみてください。
チームのメンバーがいる方はぜひ!


◆続く第2章からは、意表をついて(?)、上記ポイントの2番目の座席配置のお話を引用してみました。

これ、私が会社員だった頃は、管理職が部屋の奥(窓際の方)に鎮座していたものですが、今のご時世、勝手に変えられるんでしょうか?

確かに動線を考えて、人通りの多いところに席を置く、というのは合理的とはいえ、目からウロコ。

可能であれば試してみて欲しいものです。

また同じ第2章から引用したのが、上記ポイントの3番目の「会議による育成」のお話。

最近の風潮としては、「出なくていい会議は出ない」「それ以前にそもそも会議を開かない」みたいな意見もあったと思うのですが、「育成の場」と考えたら、これほど適切なところもないかもしれません。

もちろん、いきなり外部の人間がいる会議ではなくて、最初はチーム内の定例会議からでも。

特にファシリテーションが一番成長するそうなので、逆にリーダーから振られたら、受けて立ってください。


◆一方第3章は、章題が「ビジネス・マネジメント」なだけあって、個々人のビジネススキルのお話も他の章よりやや多め。

そこから抜き出した上記ポイントの4番目の「型」は、もちろん個人でも有用なのですが、リーダーにとってはさらにチームの生産性の高さにつながります。

当ブログでも以前、こんな本をご紹介したことがありましたっけ。

B00DH84T9K
テンプレート仕事術―日常業務の75%を自動化する

参考記事:【効率化】「テンプレート仕事術」信太 明(2010年04月21日)

ただし、
「型化」にはそれなりの作業工数がかかるため、日々忙しい業務に追われる中で時間を割けない
という指摘は確かにそうで、一度やってしまえば、後々すごく楽になるのに、その「一度」がなかなかできないんですよね。

私の仕事のように、年間で見た場合に繁忙期と閑散期があるのなら、その閑散期に少しずつでも手掛けるべきなのですが(反省)。


◆そして上記ポイントの5番目の「ネガティブなリーダー」のお話は、最後の第7章からなのですが、実はその前の第5章にあった「ポジティブなリーダーをめざそう」というTIPSにも通じるもの。

リーダーでなければ、ネガティブであっても許されるかもしれませんが、メンバーに対する影響を考えたら、ポジティブ一択しかありえません。

実際、木部さんもネガティブ発言のリーダーの下で仕事をしたときは、モチベーションは下がるし、四六時中ネガティブ発言をされると「頭がおかしくなりそう」だったとか。

しかも引用部分の最後にもあるように、ポジティブとネガティブ、「どちらのリーダーになるかは、自分で選ぶことができる」のもお忘れなく!

ここはもう、リーダーである以上は、ポーズでもなんでもポジティブを心がけてください。


リーダーになったばかりの方なら必読の1冊!

B0D1X4GG46
リーダー1年目のマネジメント大全 (三笠書房 電子書籍)
序 章 リーダーになったあなたへ――マネジメント以前に大切な「心がまえ」の話
第1章 メンバー・マネジメント――一人ひとりの「成長意欲」を刺激する
第2章 チーム・マネジメント――方向性を示し、力を合わせて「ゴール」をめざす
第3章 ビジネス・マネジメント――「成果を最大化する戦略」を実行する
第4章 サイクル・マネジメント――組織の「運営周期」を理解し、先手で仕事を設計する
第5章 メンタル・マネジメント――成果を上げるリーダーの「心」の防衛術
第6章 セルフ・マネジメント――自分自身を磨き続け、キャリアアップする技術
第7章 モデルケース――優秀なリーダー


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【効率化】「テンプレート仕事術」信太 明(2010年04月21日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B07P8L9Z7P
社会学史 (講談社現代新書)

「ほとんどない」という社会学史の新書は、Kindle版が700円弱お買い得。

B07ZJ4T1FJ
年金不安の正体 (ちくま新書)

労働問題にも詳しい海老原嗣生さんの年金本は、Kindle版が400円弱お得な計算です!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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