2024年12月31日
【サイゼ流?】『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』正垣泰彦
サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「カドカワ祭ニューイヤー 前半」からの注目作。みんな大好きサイゼりヤの創業者である正垣泰彦さんの自身2作目となる作品です。
アマゾンの内容紹介から。
「儲けようとしないほど、成長・発展してしまう」サイゼを一代で築いた法則
ミラノ風ドリア300円、グラスワイン100円(2024年1月現在)…!
みんな大好き! 年間客数2億人超。
サイゼリヤの料理は、高くてまずい!? すべては「7割引き」から始まった。
利他、反省、調和、努力、法則……。
この世界は、あなたを中心に回っているわけではない。「自分中心」から、「人のために」へ――考え方を「逆」にすれば、迷いはなくなり、すべてはうまくいく……!
サイゼリヤ創業者・会長の正垣泰彦氏による、初のビジネス自己啓発書。
中古が値下がりしていますが、送料を加味すると、このKindle版が400円弱お買い得です!
【ポイント】
■1.サイゼリヤの料理は、高くてまずいエントロピー増大の法則とは、大まかに言うと「物事は放置すると、すぐに乱雑で無秩序で複雑な方向に向かい、自発的には元に戻らない」という原理のことです。(中略)
このエントロピー増大の法則と同じで、「これでいい」と現状に満足したところから、人は乱雑で無秩序で複雑な方向に向かい、進歩できなくなってしまうのです。
「サイゼリヤの料理は、高くてまずい」
そう言い続けていると、自然と欠点が見えてきます。問題や課題と言い換えてもいいでしょう。
現状に満足してしまったら、欠点を見つけることもできません。どこに改善、改革の余地があるのかを把握せずして、進化していくことは不可能なのです。
私が「サイゼリヤの料理は、安くておいしい」と満足した瞬間から衰退が始まるのも、同じ理屈です。
ですから、その時点でベストの料理を提供することが大前提ではありますが、より高みを目指し試行錯誤を重ねなければなりません。
■2.創業記念日は誰も祝わない
「より安く、よりおいしい料理を提供し、お客様に喜んでもらうこと」
そう考えて、そこにすべてのリソースを投入してきたのがサイゼリヤです。
反対に言えば、この2つに関係のないことは、どうでもいいと思っています。
サイゼリヤは、埼玉県吉川市と東京都中央区に社屋を構えています。
東証プライム上場企業のわりには質素ですし、さほど広くもありません。(中略)
また、サイゼリヤでは、会社の創業記念日を祝ったりはしません。それがいつだったか、忘れてしまうほど、私たちにとっては「どうでもいいこと」なのです。事実、何人かの社員に聞いてみましたが、答えられない人ばかりでした。
もちろん、創業記念日を盛大に祝っている企業もあることでしょう。それが悪いことだとは思いません。創業時の思いや理念を、全社で再確認し共有するいい機会になることは、間違いないでしょう。
でもそれが、お客様のためになるでしょうか。
■3.反省しているとき、心は最高に穏やかになる
私は、反省をしているときが人生で一番幸せです。
心は最高に穏やかで、「もういつ死が訪れてもいいな」と思ったりします。
なぜなら、反省によって、今この瞬間、自分が正しい方向に向かっていることが、はっきりとわかるから。
間違っている方向に向かっているときは、そうとすら気づかないものです。
逆に言えば、「間違った方向に向かっている」ことがわかれば、あとは軌道修正をすればいいだけ。それは「正しい方向に向かっている」も同然ではないでしょうか。
もちろん、明日は何が起こるか、誰にもわかりません。
それでも、今この瞬間だけなら、正しい方向に進んでいるかどうかがわかります。
「自分が今、確実に正しい方向に進んでいる」
これを確認できる唯一の行いが、反省なのです。
■4.科学的な手法でムリ・ムラ・ムダを省いていく
あなたは、自分の仕事の進め方を「科学」したことはありますか?
数学の問題を解くように、「最短最小の労力」で「最高の価値」を提供できる最適解を、ぜひ探してみてください。
サイゼリヤは、インダストリアル・エンジニアリング(IE)という手法によって、製造業の現場と同じようにあらゆる作業を科学し、合理化しています。
IEとは、工程管理技術の1つです。動作や運搬などの作業工程において、どれくらい時間がかかるのかを測定・分析し、ムリ・ムラ・ムダを省いていくというもの。
サイゼリヤの実験店では、接客や調理など作業の全工程を1つひとつ撮影し、作業を秒刻みの動作に分解・計測して、コンマゼロ秒単位で改善し続けています。
その結果から導き出された手順の最適解、つまり「道具」「具体的な動作」「求める結果」「所要時間」を標準化していくわけです。
■5.モノをなくしたり、やめたりするときは、固定観念にとらわれない
「人のため」という根っこの動機さえブレなければ、何をやってもいいんです。
倉庫をなくしてしまったのが、アメリカ発祥のチェーン・コストコ(会員制倉庫型卸売・小売)です。コストコの始まりは1976年にまでさかのぼります。
元はカリフォルニア州サンディエゴにある飛行機の格納庫を改造してつくられた「プライスクラブ」という名の倉庫店でした。1983年には「コストコ」の最初の倉庫店がワシントン州シアトルにオープンし、今では全世界で800倉庫店以上を展開しています。(中略)
この「倉庫店」という単位からもわかるように、コストコは店と倉庫を一体化させることで単独の倉庫をなくすことに成功しました。
通常は、トラックなどで運ばれてきた商品をいったん倉庫に入れ、それを必要に応じて店頭へ品出ししていきます。しかし倉庫と店頭が一体化してしまえば、倉庫から店頭への品出し工程を省略できるのです。
【感想】
◆相変わらずの「正垣節」が楽しめる作品でした。ただし、私が最初に読んだ正垣さんの作品であるこちらに比べると、比較的マイルドかな、と。
おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ
参考記事:【スゴ本】『おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』正垣泰彦(2011年07月24日)
この本Kindle版がないのが惜しまれますが、とにかく正垣さんが理詰め(東京理科大卒ですし)で経営されていることがよく分かる作品で、目からうろこが何枚も落ちました。
そういえば編集に「日経レストラン」が入っていますから、ある意味レストラン経営に特化した作品だったのかもしれませんね。
それに比べると、本書は「初のビジネス自己啓発書」と銘打っているだけあって、「ビジネスマインド」的なことにも触れてますし、ちょっと文系チックなお話もちらもらありました。
……上記ポイントでは、それらを華麗にスルーして、理詰め話が多いんですがw
◆まず上記ポイントの1番目は、冒頭の内容紹介にもあって、気になる人も多いでしょうから、「ネタバレ」気味ですがご紹介。
個人的には「エントロピー増大の法則」を持ち出す必要は、必ずしもないとは思いつつ、「現状に満足してしまったら、欠点を見つけることもできない」という指摘には納得です。
ただ、「もう少し値下げの余地がある」ことを、あえて「高い」と言い切ってしまうのは、いかがなものかと。
一方、「まずい」については、上記の本で正垣さんは
用途に合っている料理を食べたときにお客様は『おいしい』と感じ、合っていない時に『まずい』と感じていると言われているんですよね。
確かに気合を入れるべき初デートでサイゼリヤだと、撃沈しかねませんが、私は用途関係なく、値段の割には十分に美味しいと思ってます(欠点見つける気ナシ)。
◆また、上記ポイントの2番目の創業記念日のお話も、正垣さんらしいと言いますか。
あまりに理にかなっていて、返す言葉もございません。
「それが悪いことだとは思いません」とフォローしつつも、結局「でもそれが、お客様のためになるでしょうか」とバッサリ斬っているのも、さすが。
……いえ、別に祝わなくてもいいんですけど、創業記念日くらい、一応周知させてもいいんじゃないでしょうかね。
ちなみに、東京都中央区に社屋があるとは知りませんでしたが、ググってみたら、どうも組合の事務所っぽいです。
サイゼリヤユニオン
サイドメニューを覗こうとしたら、パスワードが必要でしたがw
◆なお、今回唯一「自己啓発的」エッセンスがあるのが、上記ポイントの3番目。
これは第2章の「反省」から抜き出したものなのですが、こういうお話は、上記の本では一切出てきませんでした。
もっとも、このポイントの3番目を、どこか別の会社の社長さんが言われたとしても、恐らく違和感はないでしょう。
とはいえ、「反省」という行為自体は、経営する上では大事ですから、どなたが言うにしても留意すべきことには変わりませんが。
また、第3章の「調和」と第5章の「法則」も、自己啓発書色がやや強めなので、正垣さんの文系チックな部分がお好きな方は要チェックで願います。
◆逆に私は、正垣さんの理系チックな部分が好きなので、上記ポイントの4番目を読んだときは「キタコレ!!」と思いましたよ。
長くなるので割愛しましたが、このポイントの4番目の直後に、具体的な「標準化された作業」の描写があります。
たとえば、「テーブルを拭く」という作業は、「布巾をテーブル上で4往復させると、テーブルがムラなくきれいになり、これには3秒かかる」と定めたとしましょう。4往復させると、ちょうど端から端までムダなく拭けるのです。3秒より速いと雑になりますし、遅いと時間をかけすぎています。ここまでやって、マニュアル化しているからこその、生産性の高さや、それに伴う低価格なのだな、と。
同じく第4章の「努力」から引用したのが、上記ポイントの5番目。
これはコストコのお話ですが、いかにも正垣さんがお好きそうなエピソードですよね。
ちなみに、この節のタイトルは「固定観念を疑ったら、レストランから包丁が消えた」というもので、実際、サイゼリヤの各店舗では、包丁を用いていないようです(工場で下ごしらえまでするので)。
とにかくサイゼリヤのムダを省きまくった店舗運営スタイルは、この手のお話が好きな方にはたまらないのではないでしょうか。
昨日のランチもサイゼでいただきました!
サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?
第1章 利他 「人のため」に生きていれば、すべてはあなたに味方する
第2章 反省 「自分は間違っているかもしれない」と思う人ほど、正しい
第3章 調和 「目の前にあるものが最高」と思える人ほど、遠くへ行ける
第4章 努力 努力を怠った途端に、「秩序」は崩壊していく
第5章 法則 「エネルギーの法則」に従えば、ビジネスも人生もうまくいく
【関連記事】
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【サイゼファン歓喜!?】『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』稲田俊輔(2019年11月08日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。1万人の耳の悩みを解決した医師が教える 耳鳴りと難聴のリセット法
ウチも母が突発性難聴になってしまったゆえ、気になる本書はKindle版が900円弱お得。
入門・独学でも英語が話せる3分間パワー音読トレーニング
英語音読のトレーニング本は、中古が定価を上回っていますから、Kindle版が1300円以上お買い得となります!
【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本年末年始セール」のSBクリエイティブ分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。一度読んだら絶対に忘れない中国語の教科書
一度読んだら絶対に忘れない韓国語の教科書
ヒマラヤ大聖者が教える 瞑想のすすめ 心を空っぽにすれば、人生はうまくいく
新版 知ってはいけない現代史の正体 (SB新書)
よろしければご参考まで!
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