2024年12月18日
【経営】『黒字で増収増益するための社長のルール 現役「経営者」「投資家」「コンサルタント」の3つの視点で見る、儲かる会社のつくり方』経営太郎
黒字で増収増益するための社長のルール 現役「経営者」「投資家」「コンサルタント」の3つの視点で見る、儲かる会社のつくり方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 (電子書籍) クリスマスセール」の中でも人気の高い経営本。といっても内容的には、資金調達からマネジメント、メディア戦略等々まで多岐に渡っており、非常に勉強になりました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
社長が「知っているだけ」で会社も従業員も助かる41のルール!
7社の経営、4社の売却、100億円以上を起業家に投資、1,000社以上のコンサル……経営の全てを熟知した著者が「ついに」見つけた、どんな時でも利益を出し続けて危機を生き抜く原理原則とは?
あえてペンネームにしたからこそ書けた「社長が本来持つべきマインド」「資金調達方法」「人材マネジメント」「メディア戦略」「アライアンス」「黒字の仕組化」のリアルな話!
中古が値下がりしていますが、送料を考えるとこのKindle版の方がお買い得です!
【ポイント】
■1.会社を永続させるための3つの社長の仕事1つ目は人材をどう使うのかを決断することです。
前述しましたが、ベンチャー企業には優れた人材が最初から集まることはめったにありません。
今いる人材の中で、誰をどこに配置するのか、「適材適所」の人材配置を行うことが社長の重要な仕事の1つとなります。(中略)
2つ目の仕事は、会社のお金をどう使うのかを決断することです。
中小零細企業の場合、予算を前もって計画している会社はあまり多くない印象があります。大企業では、年間予算を決算後すぐに確定させて一年間のお金の使い方を決めますが、中小零細企業は、まだまだその場の判断で決まることも多いのではないでしょうか。(中略)
最後の社長の仕事は、経営者人脈をつくり、役立つビジネス情報を取得することです。
「経営者は孤独」とよく言われますが、それはある意味その通りで役員や社員には話せないことも社長には多くあります。
■2.どのくらい「資金調達」すべきなのか?
銀行融資を考えたときにどのくらいの融資を受ければよいのでしょうか?
最近、経営者の間でよく言われているのが「月商の3カ月分は融資を引っ張る」です。(中略)
ただ、この数字は経営にギリギリのラインで、実際は最初の融資を銀行から断られることも考えると、さらに時間がかかるため、「月商の6カ月分の融資」があれば安全ラインかと思います。
これが現在の一般的な経営者の考え方ですが、会社を成長させてきた社長はこのようには考えていません。
彼らはほぼ例外なく、銀行からは借りられるだけ借りるということをモットーにしています。
銀行から最大限にお金を借りておけば、何が起こってもそれなりに対応できますし、いざ勝負を仕掛けたいと思ったときにも現金をすぐに使うことが可能だからです。
■3.マーケットサイズに注意する
社員を巻き込んだ施策でモチベーションを上げるのはかなり有効な手段なのですが、元々のマーケットサイズには気をつけなければなりません。
例えば、店舗型のビジネスの場合、出世をモチベーションとするといずれ破綻することになります。
店舗での出世は、例えば支店長、マネージャー、サブマネージャー、一般職といった段階があります。
店舗ビジネスの場合、その店舗でのお客の対応人数は町の人口と店舗ターゲット層によって決まります。(中略)
店舗を数店舗出しているうちは、社員をどんどん採用して、仕事のレベルによって役職にあてはめていけばよいのですが、店舗が数十店舗以上展開すると頭を悩ませる事態になることがあります。
それは、社員のモチベーションを上げるための出世システムが破綻するからです。
例えば、支店長が優秀で、すぐ下のマネージャーも優秀な場合、マネージャーを支店長に上げることができません。
支店長に不備がなければ降格はさせられず、仮に降格させてしまうとマネージャーとの軋轢をうんでしまいます。
■4.メディアへのアプローチは活字系から
いきなり全国放送のキー局テレビにアプローチしても相手にされることは稀です。
そもそもキー局は認知度が0のものを100にしようとは微塵も考えておらず、今まさに一部の人や地域で人気が出てきた「認知度1」のものを100にするのが得意なメディアなのです。
ですからまずは「認知度1」にするためのメディアへのアプローチが最初になります。そのメディアとは「活字系のメディア」になります。
0から1にする戦略として活字メディアにアプローチすることが認知度アップの登竜門となります。
ここでは便宜上「活字メディア」とは、新聞や雑誌やネットニュースのことを指すことにします。
これらにアプローチして記事になれば、自分たちが制作した記事ではなく「第三者が書いた記事」でニュースになりますので、メディア実績となります。
自分たちがつくったホームページやSNSは自分たちで好き勝手に書くことができるためニュースとしての価値はありません。
第三者が書いた記事こそが「ニュース価値がある」と認められるのです。
■5.ライセンスを利用する
日本には様々な企業がありますが、売上100億〜200億円程度の企業で強いブランディングを持っている企業もそれなりにあります。(中略)
その企業のライセンスを借りて自社で販売し、売上の数%をライセンスフィーでお支払いするビジネスがアライアンスを組むスキームとして一番リスクがなくうまくいきやすいです。
例えば、健康のイメージがある企業からライセンスをお借りしてサプリメントを販売したことがあるのですが、年間2億円の売上がアライアンスを結ぶことで3.2億円まで成長しました。
単純に広告を打ってここまで成長させるのにいくらかかるのかを考えれば、数%のライセンスフィーでの効果がどれだけすごいかがわかるかと思います。
中小企業であれば、まずはこの組み方を検討してみてください。
【感想】
◆久しぶりに実践的な経営本を堪能できました。もちろん、当ブログでも経営本は定期的に取り上げてはいるものの、やはり創業者の体験談が多い記憶が。
その点本書の著者である経営太郎さんは、「経営者」「投資家」「コンサルタント」の肩書を持ち、かつ、自分で起業した企業を過去4度も数十億円規模で譲渡しているという方だけに、多角的なモノの見方をされています。
さっそく第1章から抜き出した上記ポイントの1番目では、「本質的な社長の仕事」について言及がありました。
私の顧問先でも、中途採用で苦戦しているところがあり、3つの仕事のうちの、1番目の人材のお話は他人事ではありません。
また、「永続」の絡みで言うと、立ち上げ時に「大家族経営」で成功している会社も、規模が大きくなるにつれていずれは「大企業経営」に転換を図らないといけないとのこと。
2つの経営を試した僕のおすすめは、 売上数億までは大家族経営で忠誠心の強い役員を育て、それ以上の売上を目指す段階で役員以外には大企業経営としてドライなマネジメントをしていくのが良い と考えています。なるほど納得!
◆続く第2章のテーマは資金調達ということで、上記ポイントの2番目をセレクト。
ただし世間的には「無借金経営」を誇っている会社もありますから、こればっかりは経営者の考え方次第なのかもしれません。
なお、エンジェル税制が使える会社なら投資したい、といってくるエンジェル投資家は結構いるそうなのですが。
エンジェル税制 (METI/経済産業省)
この申請が結構大変らしくて……。
そもそもなぜエンジェル税制の申請が難しいかというと、申請パターンが9つもあり、満たすべき要件が異なれば申請パターンや申請書類が異なることや、満たすべき企業要件は11個、さらに個人投資家要件が8個、提出書類は約15種類あるため、複雑かつ多岐にわたることが要因です。まさに昨日ご紹介した、こちらの本にあった「起業を阻む『労力』」ですね(月替わりセール対象)。
このため最初から申請を諦める企業や、申請しても途中で申請を断念する企業も多いのがエンジェル税制の特徴で、申請を考えている企業のうち申請に成功したスタートアップは4割程度と言われています。
「変化を嫌う人」を動かす:魅力的な提案が受け入れられない4つの理由
参考記事:【抵抗勢力?】『「変化を嫌う人」を動かす:魅力的な提案が受け入れられない4つの理由』ロレン・ノードグレン,デイヴィッド・ションタル(2024年12月17日)
◆そしてマネジメントがテーマの第3章からは、上記ポイントの3番目を抜き出してみました。
……なるほど、店舗進出が頭打ちになると、たとえ優秀な人材でも上にあげることはできませんよね。
この状況を打破するためには、新しいビジネスを始めるなり、M&Aで会社を買って、ポジションをつくるなりが考えられますが、そう簡単にはいかないもの。
私のかつての顧問先も、マーケットが縮小したため、飲食店を余剰人員で始めようとしたのですが、さすがに経験ナシで挑戦するのは難しかったようで最終的には断念しました。
◆一方、本書で意外とページを割いているのが、第4章のメディア戦略。
上記ポイントの4番目にあるように、まずは活字から攻めるのが正解なようです。
最終的にはテレビを使えるのが一番なのですが、著者いわく「売るのではなく、知名度を上げよ」とのこと。
実際に、テレビの制作の手順が明かされており、番組の趣旨にあった人を制作会社がネットで探すのだそうです。
新聞の取材の申し込みを拒否する社長さんもいるらしく、何ともったいないことかと。
さらにプレスリリースのアドバイスもありますので、取り上げられたことのない方は、ぜひご確認ください。
◆最後のライセンスのお話は、アライアンスがテーマの第5章からのもの。
アライアンスとは「企業同士が対等な立場で戦略的な提携を結ぶこと」であり、色々な相手と組むケースが紹介されており、ライセンスもその1つになります。
ただし、相手が大企業だと、「こちらが何者なのかわからない状態」だと相手にしてくれないらしく。
それを打破するためにも、第4章のメディア戦略は必読だと思います。
いずれにせよ本書は、すでに経営層にいる方はもちろん、経営層予備軍や、これから起業を志す人にも、一読の価値があると言えるでしょう!
本書の41のルールをマスターすべし!
黒字で増収増益するための社長のルール 現役「経営者」「投資家」「コンサルタント」の3つの視点で見る、儲かる会社のつくり方
第1章 黒字化する社長のルール
第2章 資金調達のルール
第3章 マネジメントと人材活用のルール
第4章 メディア戦略のルール
第5章 アライアンスのルール
第6章 「継続して黒字化する」ために注意すること
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。改訂版 勝つ投資 負けない投資
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