2024年11月27日
【時間術】『このプリン、いま食べるか? ガマンするか?』柿内尚文
このプリン、いま食べるか? ガマンするか?
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「ブラックフライデー Kindle本 (電子書籍) セール」における注目作。……すいません、版元の飛鳥新社さんを現状取り上げていないのですが、本だけ売れているので先に読んでしまいました。
アマゾンの内容紹介から。
人生は
「幸福の時間」
「投資の時間」
「役割の時間」
「浪費の時間」
の4つの時間でできています。
あなたが増やしたいのはどの時間ですか?
時間を大切に思っているのに、時間をなかなか大切にできていない。
時間はまるで呼吸をするかのように、当たり前に過ぎていきます。
あまりにも自然なことなので、時間を常に意識して生きることはできないし、逆に意識しすぎると今度は時間に縛られて、息苦しさを感じてしまうこともあります。
時間は、なかなかやっかいな存在です。
そんなやっかいな時間を自分の手に取り戻し、人生を豊かにするためにどうしたらいいか。
それがこの本のテーマです
中古は値下がりしていますが、送料を加味すればKindle版が400円ほどお得です!
【ポイント】
■1.時間の選択力を向上させる「今」の幸福の時間を選ぶか、「将来」のための投資の時間を選ぶか。
時間の選択で迷ったときは、4つの時間を考えてみます。
「最近は役割の時間ばかりで、幸福の時間が思うようにとれてなかった」
「このところ、資格をとるための勉強時間を増やしたので、投資の時間ばかりで、幸福の時間が少なかった」
そう思ったら、ここでは幸福の時間を選択するのはありですよね。
つまり、プリンを食べる。
「役割の時間」や「投資の時間」ばかりだと、息が詰まることもあります。
人生をもっと幸福で満たしたいという思いもあると思います。
一方、こんな時はプリンをガマンしたほうがいいかもしれません。
「最近、幸福の時間がたくさんとれていて、満足感の高い日々を過ごしている」
4つの時間の配分を考えながら、自分が求める理想の時間のポートフォリオに近づけていく。そのための行動をとる。そうすることで時間の選択力が向上していきます。
■2.目的の変換をすると時間の価値も変化する
僕も目的を変換することで、小さな変化を起こして苦手を克服できたことがあります。
以前は、仕事での会食が苦手でした。理由は会食を「仕事の手段」と考えていたからです。
仕事のためにその人と近づきたい。そのために食事に行く。
こういう考えでいた時は、会食は楽しめない時間でした。いくらおいしい料理を食べても、味をあまり感じませんでした。
そんな状況を変えたいと思い、ある時から会食の目的を変えました。
会食は仕事の手段(投資の時間) ではなく、相手と仲良くなるための「幸福の時間」にすることにしたのです。
仲良くなる、おいしく食べる、楽しい時間にする。そう決断しました。
すると、少しずつではありますが、会食の時間価値が変化していきました。つらいな、大変だなと感じてばかりいたのが、だんだんと「この部分は楽しかった」「ここは勉強になった」と思えるようになり、そして今では楽しくて、幸福な時間に生まれ変わったのです。相手が変わったのではなく、自分が考えを変えただけで、時間の価値が大きく変化しました。
■3.時間のエピローグ化をする
刑事ドラマのエンディングで欠かせないシーンがあります。
それは、 犯人がなぜそんな犯罪をしたかを、主役の刑事がドラマの後半で説明(謎解き) をするシーンです。(中略)
過ごした時間に対してこの「意味付け」を行うことを、僕は「時間のエピローグ化」 と呼んでいます。
自分がしたことを振り返り、そこに意味付けして、自己納得をするための行為です。エピローグ化は時間磨きのひとつです。
エピローグ化のイメージは「振り返り・復習」です。
あとでその時間を振り返り、復習することで、時間価値を高めます。
エピローグ化は仕事の価値も高めてくれます。
日々の仕事に追われていると、忙しくて「自分が何のために仕事をしているのか」を見失うことがあります。
そんな時こそエピローグ化です。
たとえば1日の終わりに今日の仕事を振り返り、その日の仕事にどんな意味があったかを考えます。
また、週の終わりや月の終わり、プロジェクトの終わりなど、切りがいいところで振り返って、そのプロジェクトにどういう価値があったのか考えます。
■4.時間の選択基準を決める7つの視点
では、自分なりの選択基準を決めるには、具体的にどうしたらいいのでしょうか。基準を決めるには「後悔しないかどうか」という選択基準を含めて、7つの視点があります。視点1 後悔しないかどうか時間の選択で迷った時は、この7つの視点をベースに考えてみてください。
視点2 体験価値が高いかどうか
視点3 体と心の声に従っているか
視点4 幸福度が高いかどうか
視点5 投資価値があるかどうか
視点6 人に喜んでもらえるかどうか
視点7 心地よいかどうか
■5.「時間簿」をつけて時間を可視化する
「時間簿」のつけ方は簡単です。
1日の終わり(もしくは翌日の朝) に、その日1日の復習をかねて、細かく何時に何をしたかを書いていくだけです。(中略)●時間簿をつけるメリット人はどんどん忘れる生き物です。
1 自分がどこにどれだけ時間をかけているかが見える化する。
2 1日の復習になり、その日1日の価値を実感できる。【こちら】 の「時間のエピローグ化」と合わせてやると時間価値をさらに高められる。
3 翌日以降のスケジュールデザインの参考になる。
時間簿を書く習慣をつけることで記憶への定着が高まり、またあとで見返せます。「時間」への意識を高めるためにも、時間簿は有用です。
【感想】
◆いわゆる普通の「時間術本」「時間管理術本」とは、やや趣が異なった作品でした。まず一番異なっていると思われるのが、時間の分け方。
この定義部分を書かずに(すいません)、上記のポイントではいきなり「役割の時間」なんてフレーズが飛び出してきますから、お読みいただいていて「何のことか?」と思われたかもしれません(一応名称だけは冒頭の内容紹介にありますが)。
著者の柿内さんによると、時間は以下の4つに分けられるとのこと。
「幸福の時間」はやりたいこと、喜びを得られることをして幸せを感じる時間。よくあるのが、「消費、浪費、投資」の3区分なのですが、このうち「浪費」と「投資」はかぶっているものの、本書には「消費」は出てきません。
「投資の時間」は目的のために努力している時間。
「役割の時間」はやらなければいけないことをしている時間。
「浪費の時間」は無意識に過ごしてしまうムダだと感じる時間です。
代わりにあるのが、前述の「幸福」と「役割」の2つ。
「役割」は比較的「消費」に近い気もしますが、「幸福」という概念はかなりユニークですし、かつ、本書においては「キーポイント」になっています。
◆たとえば第1章から引用した上記ポイントの1番目では、「プリンを食べる」という「幸福の時間」を取るか、「食べない」でダイエットを頑張る、という「投資の時間」で迷っている、という設定。
従前の本であれば、ここで食べるのは「意志が弱い」として、避けるケースが多かったと思います。
ところが本書では、「最近」の時間の傾向を鑑みて、判断することを推奨。
……普通に「最近」の傾向を判断するなら、体重の増減じゃないかと思うのですが、この考え方は非常にユニークではないでしょうか。
同じく第2章からの上記ポイントの2番目でも、この時間の区分は登場しています。
なるほど、やることは同じであっても、目的を変換することで、時間の区分も変わってくる次第。
実は私も、以前は家から駅まで結構歩くのを苦痛に感じていた(「役割の時間」)のですが、健康のために極力歩くようにしたため、むしろここで歩数を稼げるのがありがたい(「幸福の時間」)と思えるようになりました。
◆一方、第3章から引用したのが、上記ポイントの3番目。
これは「時間を自分のものにする4つの技術」の中の1つです。
私はあまり、終わったことを振り返らない方なのですが、この「エピローグ化」は仕事の価値も高めると聞いては、無視できませぬ。
また、残りの3つの中では、この「エピローグ化」と対をなす、ゴール(目的)を盛り立てるための「プロローグ化」という技術が興味深かったです(詳細は本書にて)。
◆続く第4章では「時間の選択」がテーマということで、上記ポイントの4番目の「時間の選択基準を決める7つの視点」を紹介させてもらいました。
なお、この中のどれが正しいというのではなくて、7つの視点は、行為によっても年齢によっても、優先度は変わってきます。
たとえば柿内さんは、30代では「体験価値が高いこと」「投資価値があること」を優先していたのだとか。
それが40代になると、「後悔しない」の優先価値が上がったのだそうです。
さらに50代になると、今度は「幸福度が高い」「体と心の声に従っている」ことが優位になったとのこと。
いずれにせよ、こうした視点を知っておくと、選択する際に便利だと思います。
◆そして上記ポイントの5番目は、第5章からのもの。
「時間簿」は、類書でも何度か登場しましたし、私も実際にExcelで着けていた時期もありました。
実際それによって、自分の見積もりの誤差具合が分かりましたし、その後の予定の精度が高まったのは事実です。
ただし、結構手間がかかるのと、意外と自分が働いていないことを知って、ショックを受ける可能性がある(私の場合)ことは、ご了承ください。
ちなみに、「そんなの日記でええやん」という方もいるかもしれませんが、本書にて柿内さんが言われたお言葉を最後に。
時間簿の目的は、あくまでも「時間価値を高めること」と「時間を何に使っているかの見える化」です。それによって自分の時間をこの先どう使っていくかの参考にしたり、時間のエピローグ化を行うことです。
日記の目的は主には行動や事実、感情の記録です。
ですから、時間簿と日記は目的が違うのです。
時間を自分の手に取り戻し、人生を豊かにするために!
このプリン、いま食べるか? ガマンするか?
第1章 人生は「4つの時間」で構成されている
第2章 人生の目的は「幸せの時間」を増やすこと
第3章 時間は勝手に分けられるものにする
第4章 時間は選択が9割
第5章 人生は立てた予定でつくられる
第6章 集中力で時間を増やす
第7章 「やりたいことの先送り」はなぜ起きるのか
最終章 もしこれが人生最後だとしたら
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法 (講談社現代新書)
私たち日本人が得意でないアサーションの入門書は、中古が値下がりしていますが、送料を加味すればKindle版がお得。
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