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2024年11月11日

【マネジメント】『最後は言い方―これだけでチームが活きる究極のスキル』L.デビッド・マルケ


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最後は言い方―これだけでチームが活きる究極のスキル


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle (電子書籍) ポイントキャンペーン」の中でも人気の高いコミュニケーション本。

表紙にもあるように、あの『7つの習慣』のスティーブン・R・コヴィー博士が絶賛したというメソッドを収録した1冊です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
チームをただ作業をこなすだけの装置にしないためにはどうすればよいのか?
組織の可能性は、決定する人と実行する人を分断し、部下にたったひとつの方法を強いるやり方では生まれない。
誰もが考え、意見し、行動できる組織づくりの鍵はリーダーの「言い方」にある。
最低のチームをたった1年で最強のチームに成長させたリーダーの手法を1冊に凝縮。
言い方を変えるだけで、組織の力はここまで引き出せる!

中古があまり値下がりしていませんから、このKindle版が700円弱お買い得です!







【ポイント】

■1.考える仕事は青ワーク、実行する仕事は赤ワーク
 意思決定(考えること)と実行(行動すること)は種類が異なる仕事であり、バリエーションのとらえ方も正反対になる。
 よって、意思決定と実行ではまったく異なる頭の使い方が必要になり、使う言葉の種類も変わる。自分がどちらの仕事をしているかを判別する呼び名があると便利だ。
 そこで、バリエーションを歓迎する、考える仕事や意思決定を行う仕事を「青ワーク」と呼ぶことにしよう。
 一方、バリエーションを抑える必要のある、実行する仕事を「赤ワーク」と呼ぶことにしよう。
 実行に「赤ワーク」と名づけたのは、赤が活力や決意を表す色だからで、思考に「青ワーク」と名づけたのは、青が冷静さや創造性を表す色だからだ。
 仕事を進めるには、赤ワーク、青ワークのどちらかだけでは不十分だ。どちらも適切な量を行う必要がある。そのバランスを見つけて、両方を効果的に行うために、チームとして意図的に仕事のやり方を変える必要がある。


■2.中断するタイミングを事前に決めておく
 人は赤ワークに夢中になる傾向があるので、 次の中断を事前に決めておくことが予防策となる。
 たとえば、「45分のタイマーをセットして休憩を忘れないようにする」という単純なことでもいいし、もっと正式に、プロジェクトを中断する日を2週間おきに設定してもいい。戦略の再検討を年に一度行う、という具合に、頻度を抑えて中断の機会を組み込むのもひとつの手だ。
 心理学に「メタ認知」という概念がある。これは、自分の思考について考えることを指す。次に中断するタイミングを事前に決めておけば、過程の観察という認知行為のためのリソースを保存する必要がなくなり、すべてのリソースを自由に使えるようになる。


■3.二択ではなく程度を尋ねる
 次に、二択ではなく程度を尋ねるという方法もある。「それは安全か?」や「それでうまくいくのか?」など「はい/いいえ」でしか答えられない質問ではなく、「どのくらい安全だ?」や「どの程度うまくいくと思っている?」という尋ね方をするのだ。
 そうすれば、尋ねられたほうは、「はい/いいえ」の二択ではなく、その先に起こることについてさまざまな想定を巡らせる。
 つまり、尋ねるときは「どのくらい」という言葉を使うということだ。感情や評価に関する質問はもちろん、何かを描写させたいときなど、ほぼどんな質問にも適用しようと思えばできる。
 たとえば、「あの映画はよかったか」や「スペイン語を話せるか」と尋ねたいときでも、「あの映画はどのくらいよかった?」や「スペイン語をどのくらい話せる?」という尋ね方ができないかと考えるのだ。


■4.指示ではなく情報を与える
 何かをやれと命じる行為は、連携を生むのにほとんど役に立たない。ここまで読み進めたなら、それは産業革命期に誕生した「強要」だとお気づきだろう。
 では、代わりに何をすればいいのか? 情報を提供すればいい。行動がもたらす結果を伝えて、どうするかは本人に選ばせるのだ。(中略)
 指示ではなく情報を与えるとはどういうことか。いくつか具体例をあげよう。
◆「そこに停めて」→「そこに駐車場があるよ」
◆「その案のまま提出して」→「私ならもう変えるところはないかな」
◆「ここにあるユーザー体験談を付け加えて」→「製品のユーザーが新たに体験談をアップしたね」


■5.後退ではなく前進に意識を向ける
「自分は成長できる」と信じる気持ちと、自分の行動のコントロールには、強いつながりがある。そしてこのつながりが、「もっとよくなりたい自分」を呼び覚ますカギとなる。改善で前進することに意識を集中させるのはそのためだ。
 前に進むことに意識を向けていると、次のような疑問を投げかけられるようになる。
◆「次はどこを変えるといい?」
◆「次の赤ワークの工程は、どのように変えるべきだろうか?」
◆「今回うまくいって、変えないほうがいい部分はどこ?」
◆「あのときに戻れるとしたら、自分に何を伝えたい?」
◆「次回の教訓にしたいことは何?」


【感想】

◆最初、タイトルを見た際には、いわゆる「言い換え辞典」のような「コミュニケーション本」を予想していたワタクシ。

ところが読んでみたところまったく違い、むしろ、「プロジェクトマネジメント本」や「失敗本」に近いものでした。

なんでも著者のL.デビッド・マルケは、米海軍の原子力潜水艦「サンタフェ」の元艦長という肩書を持つ人物。

そしてこの「サンタフェ」の乗務員は、彼が艦長になった時点では「知識の面でも、操作の面でも、士気の面でも、潜水艦部隊の底辺にいた」のだそうです。

そこで彼は、この職場に「委ねるリーダーシップ」を持ち込み、劇的に改善。

その成果は、冒頭にあるようにコヴィー博士が絶賛したことからも明らかです。


◆一方、同じ「船」でも、艦長の古いリーダーシップのもとに、悪天候が予想される中、強引に渡航計画を遂行しようとして沈没したのが、貨物船「エルファロ」。

バハマ沖の米国船不明、現場海域で遺体発見 当局「沈没した」 (1/2) - CNN.co.jp

本書の第1章では、このエルファロの出航から最後までを、時間の経過とともに描いています。

部下が上の機嫌を伺いながら、ハッキリものを言わず、上も下の意見をろくすっぽ聞いてなくて、悲劇が起きたケースは、この本の他、いくつもの書籍で目にしましたっけ。

4799320238
失敗の科学

参考記事:【失敗?】『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』マシュー・サイド(2016年12月28日)

そして本書では、エルファロの教訓をもとに、どうすれば良いのかがレクチャーされる次第。

なお、その前提として本書内では「赤ワーク」と「青ワーク」という言葉が頻繁に出てくるので、上記ポイントの1番目でその定義を明記しておきました。

そもそも本書のテーマである「言い方」以前に、このワーク自体の切り分けも行わず、部下は上司のいいなりになっているプロジェクトや組織はいくらでもあるのですが。


◆逆に、上が頭ごなしに銘じるのではなく、「青ワーク」を全員でしっかり行う(「みんなはどう思うか?」等)というのが、本書の主張。

やみくもに突き進むのではなく、適切なタイミングで中断をし、必要があれば方向転換等も行います。

その際、あらかじめタイミングを決めておくべき、というTIPSが上記ポイントの1番目。

実は、上記のエルファロも、1か所だけ進路を安全な方(ただし遠回り)に変更できる地点があったのですが、そこで再検討する、という計画(青ワーク)は立てられませんでした。

もちろん、他にもいくつもの改善ポイントもあり、それらを踏まえて「エルファロが沈まなかった」パラレルワールドを記したのが、最終章である第9章です。

ここを読むと、「世が世なら……」と思わざるを得ず。


◆また、本書では「指示」を出す代わりに、情報を与えることも推奨しています。

具体的には、上記ポイントの4番目にてご確認を。

ただし、私自身はこちらはかなり抵抗があると言いますか、相手の真意を測りかねない気がするのですが……。

もっとも、日頃からこういう訓練をし続けることで「青ワーク」の練度が高まるのでしょうね。

反対に、積極的に取り入れたい、と思ったのが、上記ポイントの5番目にある言葉の数々です。

過去にしがみつく「優秀であろうとする自分」を抑え込んで、「もっとよくなりたい自分」を解き放つためには、こうした言葉を口にしていかなければなりません。


組織を変えて、プロジェクトを遂行するために!

B0CQZFVWCV
最後は言い方―これだけでチームが活きる究極のスキル
序章 優秀なプレイヤーが優秀なリーダーに変わるとき
1章 古いリーダーシップで使われる言葉
2章 上からの圧力と忖度の空気を壊すには
3章 時間に追われて進路を間違えそうになったら
4章 誰もが異論を言いやすい環境を作るためには
5章 メンバーの他人事感を感じたときは
6章 思考と行動のバランスがよくないと思ったら
7章 アウトプットをもう一段改善したいと感じたら
8章 チームに心理的安全性が足りないと思ったら
9章 言葉で行動がどう変わるかを知りたいなら


【関連記事】

【失敗?】『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』マシュー・サイド(2016年12月28日)

【仕事術?】『参謀の教科書 才能はいらない。あなたにもできる会社も上司も動かす仕事術』伊藤俊幸(2024年09月09日)

【リーダーシップ】『組織を動かす無敵のチカラ〜ミッションリーダーシップ〜』岩本 仁(2017年08月27日)

【リーダーシップ?】『「自分の殻」を打ち破る ハーバードのリーダーシップ講義』ロバート・スティーヴン・ カプラン(2017年07月31日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B0CZL35VH3
センスいい人がしている80のこと (扶桑社BOOKS)

著者の有川さんはお名前だけ知ってましたが、「50種類の仕事、約50カ国を旅してきた」方だとは存じませんでした。

中古もあまり値下がりしていませんから、Kindle版が800円強お買い得です!


【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle (電子書籍) ポイントキャンペーン」の東洋経済さんの記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

B0CQZFVWCV
最後は言い方―これだけでチームが活きる究極のスキル

B0D98431N6
BtoB製造業のコミュニケーション革命―顧客接点のデジタル化がもたらす未来

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ハーフタイム―「成功」から「意義」へ人生をシフトする

B0D34YDBBL
「おふたりさまの老後」は準備が10割―元気なうちに読んでおきたい!68の疑問と答え

よろしければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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