【人生戦略】『どう生きる？人生戦略としての「場所取り」の教科書』藤原和博:マインドマップ的読書感想文

2024年11月08日

【人生戦略】『どう生きる？人生戦略としての「場所取り」の教科書』藤原和博

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「祥伝社小説・実用書ポイント還元セール」でも人気の高かった自己啓発書。

当ブログでもおなじみの藤原和博さんの手による、キャリアデザイン本です。

アマゾンの内容紹介から。

組織を離れてもメシが食えるために
大手企業の倒産や事業の吸収合併が示すように、会社寿命は社員の仕事寿命（在職期間）より短くなりました。
会社に身を任せて生きていくのは危険です。「でも、才能も実績もない……」。
ご心配なく。成功するのに、才能は要りません。
必要なのは、自分に合った「場所取り」です。
勝てそうな場所を探して、陣地を作るのです。
そのためにスキルを磨き、「キャリアの大三角形」を築きましょう。
本書は、その方法を実例と共にわかりやすく説明。
運の?み方、60歳以降のお金についても言及します。
さあ、人生戦略としての「場所取り」を始めましょう。
組織を離れてもメシが食えるために。

送料を加味した中古よりも、このKindle版が300円弱お得です！

【ポイント】

■1.才能よりも、どの場所をとるか

　社会で成功している人は、なぜ成功しているのでしょうか。　
　その秘密は、生まれ持っての「才能」や「資質」ではなく、その人に合った「場所取り（ポジショニング）」と「タイミング」にあります。
「場所取り」とは、どの会社・役所で、どのセクションのどの役職で、といった組織上の位置ではありません。自分をどの場所・陣地に置き、キャリアとしてどんなスキルを活かし、個人としてどう生きていくか、です。(中略)
　その場所が社会や人々の意識の流れに乗っているかが、「タイミング」です。
　ただし意図的にタイミングを創り出したり、絶好のタイニングに乗ったりするのは難しい。(中略)
　それでも、私たちは「場所取り」＝自分が陣取る場所をマネジメントすることはできます。
　それは、組織内でも可能です。会社で、主体的にイニシアティブを取って仕事をしたり、自分に合った形で組織をリードしたりしている人がいませんか。組織のなかで個人としてふるまえる「組織内個人」とも言える存在で、場所取りがうまい人の典型例です。

■2.SSKで身を滅ぼしてはいけない

①接待や部下との同行営業、これには社内接待の時間も含まれる
②部下の査定や人事、これには部下との飲み会の時間も含まれる
③会議とその根回し、これには関連部署との社内調整の時間も含まれる
　私はこれを称して、「接待（Settai）」「査定（Satei）」「会議（Kaigi）」の頭文字を取って「SSK比率」と呼んでいました。実際、役員のスケジュール表を見れば一目瞭然です。「SSK比率」が9割に達する人もいるのです。
　会議に出れば出るほど、自分本来の仕事をする時間が奪われます。仕事ができる人ほど偉くなり、偉くなるほど仕事をする時間が減る。これが昇進のジレンマです。
　会議の進め方はうまくなっても、どんどん仕事のできない人になる。そして、自分が偉いという幻想に酔っているうちに、現実が襲ってきます。外の社会で通用しなくなっていることに気づかされるのです。
　だから、可能な限り、SSKに費やす時間を極小にしましょう。

■3.信用される人の10カ条

①挨拶ができる
②約束を守る
③古いものを大事に使う
④人の話が聴ける
⑤筋が通っている
⑥先を読んで行動する
⑦他人の身になって考える
⑧気持ちや考えを表現できる
⑨潔さがある
⑩感謝と畏れの感覚がある

（詳細は本書を）

■4.運を引き寄せる秘訣

　運がいい人、運を引き寄せる人には共通の習慣があります。
　それは、すばやく行動を起こし無限に修正していくこと。　
　1日に1回の行動しかしない人と、100回行動（修正行動を含む）する人を比べてみましょう。もし、幸運がみんな平等に100回に1回配分されるとしたら、前者は幸運が巡ってくるのに最大100日かかりますが、後者は1日目にして幸運が訪れることになります。
　つまり、運を引き寄せる人は運が回ってくるのをじっと待っているのではなく、積極的に行動しているからこそ運が巡ってくるのです。
　十分に分析してから一発で当てようというのは「正解主義」。そうではなく、まずやってみて（1歩踏み出してから）、どんどん修正していく「修正主義」が必要です。

■5.私が注目する5＋3分野

　希少性をアピールするには、すでに「プロ」としてのスキルを獲得している能力・技術が最適ですが、これから1万時間を投じて獲得しようとしているなら、私が注目している分野を挙げておきますので、参考にしてください。
　5つの技術と、3つの課題です。
①情報技術
②環境技術
③エネルギー技術
④遺伝子（DNA）技術
⑤食料自給技術

Ⓐ 教育
Ⓑ 介護を中心とした医療
Ⓒ 住宅＋地方自治
　これらはいずれも、今後、日本の成熟社会で求められるものばかりです。
　このなかから、自分が興味を感じること、できそうなことを見つけてみてはいかがでしょうか。

【感想】

◆「安定の"藤原節"炸裂」と言ったところでしょうか。

冒頭の内容紹介に「キャリアの大三角形」とあるのを見て、「またかYO!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

これはかねてから藤原さんの著作をお読みの方ならご存知の、「100人に1人レベルのキャリア」を3つ身につければ、「1/100×1/100×1/100＝100万分の1」の希少性が実現するというもの。

今回はさらにこれに高さが加わって、「三角形」ならぬ「三角錐」にバージョンアップされていますので、従来の「三角形」をご存知の方も、ぜひご覧ください。

……今回は前段部分から書かないと、初見の方には分からないと思って、丸ごと割愛しちゃいましたが。

◆実は他にも過去の著作とかぶるネタがいくつかあって、そのいずれもが、本来ならばご紹介しなくてはならないくらいのレベルのTIPSなので、どうすべきか迷いました。

この本にあった「情報編集力」のお話ですとか。

藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方

参考記事：【働き方】『藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方』藤原和博（2015年12月28日）

この本にあった「相手の頭の中にある要素だけで話をする」ですとか。

藤原和博の必ず食える１％の人になる方法

参考記事：【キャリア】『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』（2013年09月01日）

この本にあった「自分の弱みを出す」話ですとか。

もう、その話し方では通じません。 (中経出版)

参考記事：【コミュニケーション】『もう、その話し方では通じません。』藤原和博（2017年11月05日）

結局、他にもネタがあったので、これらも割愛したものの、むしろ本書を読むことで、一気にこれらのTIPSをフォローすることができるかと。

ちなみに藤原さんもネタ被りは自覚されているのか、第5章の「運を味方につけるには？」の冒頭では、過去「運」について著書で触れたり、講演で述べていないことを明言されています。

そしてそこから抜き出したのが、上記ポイントの4番目。

「すばやく（何度も）行動する」というのは、まさに多くの成功本でも強調されていることですね。

◆さて、さかのぼって最初から見ていくと、上記ポイントの1番目は、まさに本書のテーマとも言えるもの。

サブタイトルにある「場所取り」というフレーズの真意は、こういうことでした。

また三角形を形成する各キャリアをマスターする際は、上記ポイントの2番目の「SSK」には、くれぐれもご注意を。

よく、会議のムダ具合については言及されることは多いですが、接待や査定についても、同じように避けるべし、とのことです。

なお、同じ第2章に収録されていた「良い会社、悪い会社を見極める3点」は、これから就職や転職を志す方なら、要チェックだと思われ（ネタバレ自重）。

◆また上記ポイントの3番目の「信用される人の10カ条」は、本書の第4章「人間の器を大きくするには？」からのもの。

最初の8つに関して藤原さんは

　当たり前のことばかりです。
　でも、この当たり前のことができている人はけっこう少ないもの。あるいは、ある時は他人の身になって考えたけど、別の時は考慮しなかった。つまりバラツキがある。こういうムラが大きい人はあまり信用されません。
　逆に言えば、これらをきちんと守れば自ずと信用（クレジット）が醸成されていきます。

と言われていました。

また最後の2つについても、「先の8つよりも難しいかも」「でも、この2つができるようになると、人間の器は大きくなる」とのこと。

さらには章題に「器」という言葉があるだけあって、前述の「三角錐」がここで登場してきますから、気になる方はまずこの第4章からチェックしてください。

◆最後のポイントの5番目は第6章からのものですが、このお話は私は藤原さんの著作で読んだ記憶がありませんでした。

それぞれ1万時間を投入して身につけるに値するものばかりかと。

また、本書は今年4月の作品だけあって、比較的最近のトレンドを踏まえたものだと思います。

いずれにせよ、本書における藤原さんの教えは、ご自身のキャリアを築いていく上では、十分意義のあるものばかり。

とにかく取り入れられるものからどんどん取り入れて、失敗してもそれを受け入れて糧とするのが正解だと思います。

これからの人生を考えるためにも読むべし！

どう生きる？人生戦略としての「場所取り」の教科書 (祥伝社新書)

はじめに――才能よりも、どの場所を取るか
第1章自分の人生を生きられない国・日本
第2章勝てそうな場所を探して、陣地を作る
第3章私は、こうやって「場所取り」をしてきた
第4章人間の器を大きくするには？
第5章運を味方につけるには？
第6章 50歳からの「定年のない生き方」
第7章 60歳からの“本当の”お金の話
おわりに――「死」を想うことで、人生は拓ける