【仕事術】『仕事のできる人がやっている減らす習慣』中村一也:マインドマップ的読書感想文

2024年11月01日

【仕事術】『仕事のできる人がやっている減らす習慣』中村一也

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、一番お買い上げいただいた作品。

これはチェックせねば、とさっそく読ませてもらいました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

日々、今日やること、やらなければいけないこと、やりたいことなどに追われているのだとしたら、
「仕事を速くする」
ではなく
「仕事を減らす」
という思考を身につけてみませんか。
仕事ややるべきことを減らすことで、仕事も速く終わりながら、質を高め時間的な自由を手にすることができます。
仕事をもっとラクに、速く、より成果を出すが可能になる仕事術です。

中古が若干値下がりしていますから、「21％OFF」のKindle版がオススメです！

【ポイント】

■1.思考のゴミの外化によるカタルシス効果

　不安や悩みなどは、頭の中で私たちの集中を妨げる原因になります。そのような私たちの集中力を低下させる「思考のゴミ」については、書き出すことによって頭の中から外に出しておきましょう。
　ほかにも、書き出すことのメリットは指摘されています。　
　頭の中で考えるだけでなく、紙に書いたりパソコンで資料を作ったりすると、「実は私はこんなことを考えていたのか！」と気づくときがあります。
　実は、これに似た現象にも名前がついており、自分が発した言葉によって自分の潜在的な考えに気づくことをオートクライン効果といいます。私も、今こうして執筆をしている最中に、オートクライン効果を自覚しています。
　やるべきことも、やらないことも、不安や悩みも、「書き出す」ことで、思考のムダを減らし、集中力を向上させ、仕事のパフォーマンスを高めることにつながります。

■2.仕事を減らす「頼み返す」技術

　たとえば、あなたは期限に間に合わなそうなAという仕事を抱えているとします。そのとき、上司から追加のBという仕事を頼まれました。
　これは、実はチャンスなのです。この機会を利用して、頼み返します。
「Bの仕事をぜひ引き受けたいのですが、それを引き受けてしまうと、Aという仕事を期限内に終わらせられないので、Aの期限を延長してもらえますか？」
　こうなったとき、上司の対応として次の3つが想定されます。①Aという仕事の期限を延長する
②Bという仕事をあなたに頼むことを諦める
③Aの期限延長を拒否して、再度Bという仕事を引き受けるよう説得してくる
　①と②ならあなたはラッキーです。頼まれたことを利用して自分の利益を得ることができました。③という可能性もありますが、ここで引き下がってはいけません。別の頼みを考え、とにかく少しでも譲歩を引き出しましょう。

■3.「常に自分にボールがない状態」にする

　仕事をキャッチボールでイメージし、「今、誰がボールを持っているか（誰が次にアクションを起こす必要があるか）」に注目すれば、なんと大量の仕事をゼロにする方法がわかります。そんな魔法のような方法があるのかと思われるでしょうが、それがあるのです。
　そのためには、「常に自分にボールがない状態」にするのです。つまり、「常に相手にボールがある状態」、さらに言い換えると「常に相手の確認待ちの状態」にします。具体的には、「確認してください」と持っているボールをすべて投げ返してしまいます。
　そうすれば、大量の仕事を抱えていたとしても、一時的に仕事がゼロの状態を実現できます。抱えているタスクやプロジェクトが多くあったとしても、一時的に仕事がゼロの状態を作り出すことは可能なのです。

■4.メールや電話は一度で終わらす

　よくありがちなのが、一度開いたメールを閉じ、返信を後回しにすることです。
　しかし、これは効率が悪い仕事の仕方です。このやり方では、なんと2回もメール本文を読むことになってしまうからです。
　まず、メールを開いた段階で一回読み、いったん閉じて後でメールを送ろうとする際にも、やはりもう一回メール本文を読み直すことになります。
　大事なのは「一度で終わらす」という意識を持つことです。
　したがって、メールを読んだら閉じずに返信まで終えてしまいましょう。
　このような対応は、メールだけでなく電話でも同じです。返信せずにメールを閉じてはいけないように、電話も切ってはいけません。
　よくあるのが、電話で問い合わせを受けること。その際に重要となるのが、電話を切らずに問い合わせの回答を終えてしまうことです。可能な限り、その場で解決してしまいましょう。

■5.異種防護の多重化でミスを防ぐ

　見直しというと、つい他人を頼りたくなりますが、異種防護の多重化を行えばひとりでも十分な見直しができます。
　また、ダブルチェックという言葉がありますが、実は科学的な定義では「２回チェックすること」であり、必ずしも複数人である必要はありません。そのため、「ひとりでのダブルチェック」というのもありえます。
　したがって、まずは他人に頼らず自分でしっかりと見直しましょう。
　ひとりでも、次のようにすれば、しっかりと見直せます。
①パソコン画面上で確認
②印刷して確認
③音読して確認
④逆から確認（最後から確認）
⑤時間をおいて確認
「④逆から確認（最後から確認）」については、数字や長文資料のチェックの際に行うのがおすすめです。
　ミスが多くて悩んでいる人は、ぜひ異種防護の多重化を行ってみてください。

【感想】

◆「仕事を減らす」ためのノウハウがぎっしり詰まった作品でした。

具体的には下記目次にもあるように、各章ごとにテーマが分かれており、第1章の総論以降、「思考」「作業」「ターン」「メール」「ミス」といったラインナップ。

ぶっちゃけ、各章ごとに本を書いてもおかしくないぐらいのテーマですから、それは濃厚にもなりますわな。

ただし、その分、重要なものを選んでいくと、どうしても類書とかち合ってしまうのは、しょうがないところでしょう。

たとえば第2章から抜き出した、上記ポイントの1番目の「書き出す」ことの有用性は、思考術本や自己啓発書ではおなじみかもしれません。

私も考えがまとまらないうちは、とりあえず極力手を止めないで、紙に書くようにしています。

◆続く第3章から抜き出したのが、上記ポイントの2番目の「頼み返し」。

似たようなやり方を、指示する作品を見たような記憶がありますが、私にはアグレッシブに「頼み返す」という発想はありませんでした。

また、割愛したものの同じ第3章にあった、「先制提案力」というのもやはりアグレッシブです。

要は仕事を頼まれた際に、おおまかなゴールが決まっていて、具体的な仕事の進め方や細部については担当者に委ねられている場合、先方から指示される前に、こちらから先制提案して依頼主に承諾させるというもの。

しかも後になって、依頼主から「こうして欲しい」という要望が出た場合には、上記の「頼み返し」で応じて、有利に運ぶこともできます。

……私は極力相手の希望に沿いたいと思ってましたが、考えが甘かったか。

◆一方、第4章のテーマは「自分のターン」ということで、まさに上記ポイントの3番目にあった「ボールを持たない」状態が正解です。

これは逆に、自分のところでボールを持っていると、どんどんたまっていって、パンクしてしまう次第。

しかもこの状態は、自分が大変なだけでなく、仕事を止めて他の人に迷惑をかけているわけですから、極力避けなければなりません。

ただし、そのボール自体が無意味だったら、それこそやるだけムダですから、それも当然注意すべき。

そういえば当ブログでも、こんな本をご紹介したことがありましたっけ。

ブルシット・ジョブの謎クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか (講談社現代新書 2645)

参考記事：【BSJとは?】『ブルシット・ジョブの謎　クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』酒井隆史（2022年05月05日）

まさにこうした「ブルシット・ジョブ」こそ、減らさなければならないのは当然でしょう。

◆さらに第5章では「メール」がテーマであり、本書でも「いつメールをチェックするか」には言及されています。

前にもお話したように、この対応は本によって「その都度」か「1日何回か」に分かれていて、本書は後者。

具体的には「集中力が低下したタイミング」と言われています。

集中力が高いときは重要度の高い仕事をし、集中力が低下したときにメールをチェックするということです。

なるほど、これは理にかなってますね。

そして気をつけたいのが、上記ポイントの4番目の「一度で終わらす」ということ。

これも私は意識しているのですが、ついつい読むだけ読んで後回しにすることがちらほら。

また、電話こそいい加減なことは言えませんから、「後で確認してお電話します」を未だに頻発しております（ダメじゃん）。

だから真夜中までこうしてブログの下書き書いているんですね……。

◆なお、上記ポイントの5番目は、第6章の「ミスを減らす」からのもの。

ミスについても、当ブログでは関連書籍を色々とご紹介しているものの、そう簡単にはなくなりません。

ここに出てくる「異種防護」という言葉は知りませんでしたが、あらゆる方法でチェックする、というのは、ある意味「王道」と言えるでしょう。

逆に、複数人でのチェックは、「ミス」は減っても「ゼロになる対策ではない」とのこと。

ゆえに、一番の対策は「テクノロジーの導入による自動化」になりますから、これはまた別の専門書にてご確認ください。

仕事を減らしたい方なら一読の価値アリです！