【コミュニケーション】『会話の達人が大切にしていること』津田紘彰:マインドマップ的読書感想文

2024年10月13日

【コミュニケーション】『会話の達人が大切にしていること』津田紘彰

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本ストア12周年キャンペーン」からのコミュニケーション本。

版元であるフォレスト出版さんは、まだ当ブログでは取り上げていませんが、ひと足先に読ませてもらいました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

本書では、「相手が主役」という意識がなぜ重要なのかを解説するのを入口に、タイプ別の「学び方」や、「相手が主役」にした会話テクニックやコツを、会話事例を交えながらわかりやすく解説しています。
事例・テンプレートが豊富で、実用性も兼ね備えた１冊です。

送料を足した中古よりも、Kindle版が700円ほどお買い得です！

【ポイント】

■1.会話の極意は「相手が主役」

　会話が真に上手な人たちが身につけている極意とは、
「相手が主役」
　ということです。(中略)
　相手が主役の会話と聞くと、「自分の主導権を相手に渡さなければいけないの？」と不安になる方がいますが、そうではありません。
　自分の人生のハンドルは、自分で握ってください。
　誰かの人生や誰かのような人生を生きる必要はありません。あなたはあなたらしく、自分の人生の主役でいるというつもりで生きてください。
　ですが、会話においては、話を聴くなど「相手を主役にする」ことを心がけるだけで、あなたがたとえ物静かな人であっても、相手にとって居心地のいい時間になったり、たとえ間が空いたりしても気まずくならなくなります。
「相手が主役」という考えを意識するだけで、相手に好かれる存在になることができます。

■2.受け止め方に余裕ができるキラーフレーズ

　自分自身のつながる力が分厚ければ、相手がどんなにあなたに嫌味を言ってきたとしても、「ああ、そうでしたか。あなたにはそう見えるのですね。貴重な意見をありがとうございます」と受け止めることができます。
　そうすると、相手に対してもいい影響を与えることになって、どんなタイプであれ、あなたときちんとつながれるようになるからです。
　相手を受け止める言葉として、この他にも「あなたはそういうお考えなのですね」「そういう考えもありますよね」「参考になります」「勉強になります」「視野が広がりました」「おもしろいです！」などがあります。
　相手との関係性によって表現は異なりますが、使い分けて「受け止め上手」になっていきましょう。

■3.あいさつの効果を最大化する方法

　あいさつをするだけで、相手の存在を認め、承認する（その人の価値を認める）ことができます。
　ですから、あいさつを究めると、自己肯定感も他者肯定感も高めることができ、なおかつ、相手への尊敬や感謝を自然に表現することができるようになっていきます。
　あいさつの効果を最大化するには、
①「自分から」
②「笑顔で」
③「さわやかな大きな声で」
④「相手の目を見て」
⑤「心を込めて」
＋ α「相手の名前を呼んで」
　というポイントを意識してみてください。
　あなたも、あなたのまわりの世界もだんだんと変わっていくのがわかると思います。

■4.ほめマスター初級編

① 人と違うところ、こだわりを見つけてほめる。　
② 魔法の言葉「素敵」を使う。　
③「素敵」を別の言葉で言い換える。
　まず、一番目ですが、相手のファッション、趣味、知識、経験、住まい、特技などを見て、人と違うところや、その人がこだわっているところなどが見つかったら、そこをほめます。これは、かなり簡単にできますので、積極的に実践してみてください。
　次に、ほめるときに「素敵」という言葉を使ってほめてみます。素敵という言葉は、魔法の言葉で、男女共に言われると「うれしく」なるものです。
　ただし、素敵という言葉を多用していると、「この人は素敵としか言わないな」と思って相手が冷めてしまいますから、それを別の言葉に言い換えてみましょう。
　例えば、「おしゃれ」「かっこいい」「上品」「センスがいい」「きれい（容姿には使わない）」「貴重」「感動的」「感激」などなど。

■5.タメ語の独り言で相手との心の距離を縮める

　例えば、目上の人、あなたの尊敬する人、憧れている人と初対面で話をしているときに、通常時は当然ながら敬語で礼儀正しく話をしていて、相手の発言から何らかの気づきを得たり、感動・感激させられたり、感銘を受けたりしたときにだけ、そのリアクションを「タメ語」で独り言としてつぶやいてみるのです。(中略)
B　実はね、あまりインタビューでもお話ししたことはないんですが、こう見えて【家族第一】なんですよ。時間を見つけて家族と一緒に過ごす、そんなひとときを一番大事にしています。
A　そうなんですね！　やっぱりそこなんだ……（小声でボソッと）。
　このように、自分が感動したり、感激したり、感銘を受けたときの感想だけを「タメ語」にして、ボソッとつぶやいてみましょう。
「え、そんなことで効果があるの？」と思うかもしれません。
　実は、これには抜群の効果があるんです。
　相手といつまでも敬語で話しているままでは、関係性・距離感はずっと縮まらないのですが、2人の会話の中に失礼がない範囲で「タメ語」を紛れ込ませることで、知らず知らずのうちに相手との心の距離が少しずつ縮まっていきます。

【感想】

◆「会話」と入っているタイトルから予想していたものとは、少々異なる内容の作品でした。

ただ、確かにタイトルは「会話の達人が"大切にしていること"」であって、「会話」自体ではありません。

ようは「会話の達人」が会話する際に先立つものだったり、会話の場におけるインフラのようなもの、ということかと。

結局のところ、会話がうまかったり、「会話の達人」と言われるような人は、話す内容（コンテンツ）以前の部分で勝負をつけちゃっているんですよね。

それを広い意味で言うと「コミュニケーションスキル」となるのでしょうが。

逆に考えて「コミュニケーションスキルが高い人」というのは、メールやチャットでもそうですけど、リアルで会話するときに一番そのスキルが表出するのだと思います。

……なるほど、だから本書の真のテーマが、コミュニケーションスキルだと感じたのか（独り言）。

◆それはさておき、第1章から引用した、上記ポイントの1番目は、実は冒頭の内容紹介でも触れられていること。

ただしこの考え方が、一貫して本書の根底にありますので、そこはやはり触れておかねば、と。

つまり、どんなに口ベタだったり、あがり症であったとしても、相手の話にしっかり耳と心を傾けていれば、相手にとっては「心地よい＝会話上手」となるわけです。

一方、相手の話に同意できない場合の作法を示したのが、第2章から抜き出した上記ポイントの2番目。

これは、本書の後の部分でも再度解説されているのですが、「相手に『賛同』する」ことは「受け入れる」のであって、「相手に『共感』する」ことが「受け止める」になります。

たとえ意見が異なっていても、このように相手に寄り添うことができるのも、また会話の達人たるゆえんでしょうね。

◆続く第3章では、「セルフイメージを高める10の提案」なるものが登場するのですが、詳しくは本書にてご確認を。

一方、著者の津田さんが「何より重要な会話力」と言われているのが「あいさつ」です。

　人間の好感度や第一印象は、最初の30秒で決まると言われています。
　そして、この時間はその後の会話に大きな影響を及ぼすのです。
　もし、あなたが誰かにあいさつをしなかったり、適当なあいさつをしたりしたら、相手はどう感じると思いますか？

確かにごもっとも。

というわけで、上記ポイントの3番目の「あいさつの効果を最大化する方法」は、肝に銘じていただきたいと思います。

なお、津田さんがおすすめする、あいさつの練習場所は「お店」なのだとか。

店員さんのあいさつに、笑顔であいさつを返すことで、ブラッシュアップしてみてください。

◆そして第4章では「聞き方」をレクチャー。

類書でも登場したペーシングや、相づち、リアクションのための「は行五段活用」といったテクニックが解説されています。

また、聞き方とは異なるものの、人間関係向上に効果があるのが「ほめる」こと。

上記ポイントの4番目の3つの方法は、あくまで「初級編」であって、本書では「中級編」「上級編」と続きます。

さらには、相手に話してもらうために必要なのが「質問力」。

本書では「質問マスターになるための3つのポイント」や「5つのNGな質問の仕方」といったお話もありますから、こちらもご確認ください。

◆なお、上記ポイントの5番目は、第5章から引用しました。

私も色々なコミュニケーション本を読んできましたけど、ここにある「タメ語の独り言」というのは、初耳かと。

ただし「タメ語」は一歩間違ったら、相手に「失礼なヤツ」という印象を与えかねないのでご留意ください。

具体的に気になったのが「小声で」という部分で、小声であるがゆえ、相手が聞き間違えたり、自分に対して言ってると勘違いされたら、シャレになりません。

もちろん、その分効果もあるのでしょうし、本書には津田さんの「タメ語」エピソードも収録されていましたので、そちらも要チェックで。

コミュニケーションスキルがアップこと必至の作品です！