【仕事術】『無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた』元山文菜:マインドマップ的読書感想文

2024年10月06日

【仕事術】『無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた』元山文菜

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本(電子書籍) 読書の秋セール」の対象である仕事術本。

以前未読本記事にて取り上げたものの、Kindle版がなかったためか放置していたのを、今般読んでみた次第です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

当たり前になっているけれど、多くの人が気づいていないムダ作業。
複雑なシステムを入れなくても「Excel」「スプレッドシート」「ドキュメント」のような一般的なツールを使いこなせれば、簡単に解決できます。
いやそもそも、その作業、必要ありますか？
本書は、企業・自治体・病院などの業務改善を推進する著者が、DXやAI導入の前に、個人やチームで始められる「ムダ作業の解決策」を7つの切り口と100個の事例をもとに紹介します。
「高いデジタルスキルがなくても、作業は効率化させたい！」という潜在需要に応える、間口の広い書籍です。

送料を足した中古よりも、こちらのKindle版が400円以上お買い得です！

【ポイント】

■1.ほぼ意味なしPPAP

　そもそも、このムダ業務はセキュリティ対策のために実施されていましたが、実のところ大した対策になっていません。本来メールボックスに届いたメールは、メールゲートウェイ等で不正なプログラムが含まれていないのかチェックされているはずなのですが、ZIPファイルはそのまま通過しています。つまりファイルの中にマルチウェアが入っていても、ZIPの場合はそのまま私たちのメールボックスに届いてしまうのです。実際、被害事例の多いマルチウェアはZIPファイルで送られてきます。
　また、2通目でパスワードを送っても１通目のメールを盗み見られている状況では、次に送ったメールの盗み見も難しくないと考えられます。それどころか２通目のメールを違う相手に送ってしまったり、両方とも本来の相手ではない人に送ってしまうなど手違いがある可能性も否定できません。労力がかかるわりに、セキュリティ対策としても不十分なムダ作業です。

■2.メールは1日3回チェックし、二度見しない

　一般社団法人日本ビジネスメール協会による「ビジネスメール実態調査2020」では、返信がこないと遅いと感じるのは、送信後「1日（24時間）以内」（44.59%）が最も多く、「2日（48時間）以内」（22.42%）と続きます。朝にメールをチェックして返信。昼前後の手が空いたとき。そして夕方に返信。このように1日3回返信にしても、3から4時間程度で対応できることになります。これで、重要な仕事に集中できる土壌が整います。(中略)
　その上で実際にメールを処理する場合には「二度触らないルール」を徹底すると良いでしょう。(中略)
メールを開いたら何かしらのアクションを取ってください。たとえば2分以内で返信可能なものはその場で処理する。もし、その場でこなせないのであれば「スター」を付けておく。「未読」に戻しておくなどのルール作りが大切です。

■3.電話とメールを使い分ける

　たとえば、急ぎの問い合わせやトラブル報告など、即座の対応が求められる場合には電話が適しています。
　電話は双方向のコミュニケーションが可能であり、リアルタイムでの対話が行えます。プロジェクトの進捗状況の確認や、双方向の意見交換が必要な場合も電話が適しています。
　また、電話では声のトーンや表情が伝わるため、感情やニュアンスの伝達が容易です。交渉や相談、クレーム対応のような感情やニュアンスが重要な場面も同じです。なので、メールで「ニュアンスは伝わっているのかな？」と悩むこと自体が本質とかけ離れています。
　一方、メールは書面として残るので必要な情報を確認するための履歴になります。進行状況の報告や指示の確認など、将来的な参照や追跡が必要な場合にはメールが適しています。
　基本的に「Yes／No」で答えられるものはメール。「What／Why」の理解が必要なものは電話と使い分けるとわかりやすいです。

■4.質問箱(FAQ一覧)を作って知識を蓄える

　まずは簡単な質問一覧表を作成し、初めのうちは自分でそれを埋めていくのも良いでしょう。頼める人がいれば、「今の質問は今後も役立つから質問箱（FAQ一覧）に書いておいてほしい」とお願いするのも一つの手です。これにより質問箱（FAQ一覧）へのアクセスが増え、わからないことがあると自ら調べる習慣がつくはずです。
　情報が少しずつ溜まってきたら、似た内容をまとめてマニュアルを作成したり、部会などで周知するのも良いでしょう。(中略)
【運用方法の例】
①質問者の方は「質問者」に名前を書いて「更新日」「質問内容」を入力してください。
②「更新日」は質問者・回答者・担当者の全員が列を更新したら、常に最新に上書きしてください。
③更新日を簡単に入力する方法は、ぜひショートカットキーを試してください！
【Windows】Ctrl + :
【Mac】Cmd + ;
④月曜と水曜にチェックして回答いたします。

■5.ふりかえりのフレームワーク「KPT」を使う(例:ダイエット)

●Keep（キープ）
　まずは、この1週間でうまくいったこと、続けていきたいと思う良い習慣や工夫を挙げます。
・毎朝の軽いストレッチが気持ち良く、体も軽く感じるので、これを続けたい
●Problem（プロブレム）
　次に、ダイエット中に遭遇した問題やうまくいかなかったことを挙げます。
・飲み会が多くて、つい飲み物や食べ物の量が多くなってしまった
●Try（トライ）
　最後に、次の1ヶ月間で試してみたい新しい取り組みや、Keep（キープ）を更に強化するようなアクションや、Problem（プロブレム）で挙げた問題を解決するためのアクションを考えます。
・毎朝の軽いストレッチに追加してスクワットもしてみる

【感想】

◆タイトルからして、よくあるTIPSを100個列挙する作品を想像していたのですが、それはちょっと違いました。

まずテーマについては下記目次にあるとおりで、その中において、関連性のある「ムダ」を小見出しベースでまとめて、その中において複数の改善策を提示する、といった感じ。

たとえば第1章の「業務」のムダ関係の問題として、「何するにしても出社」という小見出しがあったとします。

その中でまず、「レシートをPDF化するために出社する」というムダを省くために「Microsoft Lens」を導入すべし、と。

Microsoft Lens - PDF Scanner - Google Play のアプリ

「Microsoft Lens: PDF Scanner」をApp Storeで

また、議事録作成もITツールを使うべし、とあるのですが、こちらは具体的なツール名が挙がってなかったので、ググってみたところ、このようなものがありました。

AI議事録自動作成ツール16選。タイプ別の選び方や無料ツールを紹介｜アスピック

こんな調子で、小見出しが48個ほどあって、それらに含まれるTIPSが100個ある、という仕様なわけです。

◆それで上記ポイントの1番目も、この第1章から抜き出したもの。

私は「PPAP」といえば、ピコ太郎の方しか知りませんでしたが、実際に命名者の大泰司章さんも、上記リンク先のWikipediaを読むと、ピコ太郎版からヒントを得たようです。

そういえば私の顧問先でも、この「PPAP」を使っていたところが1社だけありました。

多分、親会社が大企業なゆえ、子会社も必然的に強いられていたのでしょうけど、確かにメール1通読むのにも手間がかっていたという。

これもセキュリティのためなら、しょうがないかな、と思っていたのに、本書によるとほぼ意味がなかったのですね。

そういえば、その顧問先でも去年の5月くらいで「PPAP」は使わなくなっていましたが。

◆続く「『管理』のムダ」がテーマの第2章から引用したのが、上記ポイントの2番目。

メールの扱い方については、それこそさまざまな本でも言及されていて、「即レス派」と「1日何回か派」に分かれますが、本書は後者のようです。

私の場合、まれに一刻も早く処理すべき案件がありうる（申告ミス等）ので、メールは基本的に常時チェックせざるを得ません。

ただし、ちょくちょく「二度見」しているのは、改善の余地アリ。

一応私のGmailの受信箱は、通常カラにしており（返信すればアーカイブされます）、未返信のものはトレイに残ったままになっていますが、返信の考えがまとまらないのに、何度もメールを開いてしまうという……。

◆使い分けといえば、第3章の「『共有』のムダ」からは、上記ポイントの3番目の電話とメールのお話を抜き出してみました。

これは私にとっても切実な問題であり、特に顧問先からの質問のメールが来ると、どちらで対応すべきか迷うことが多々あります。

もちろん、メールで質問されている以上、メールで返すのが基本なのですが、質問メールに前提条件の漏れがあると、複数のケースについてそれぞれの回答をしなくてはならないわけでして。

また、口頭で説明した場合、相手が一発で理解できればいいのですが、分かったふりをされると、後で再度質問されたり、もしくは同じ問題を別の人から質問されたり、ということもあるので、後に残す、という意味でもメールの方が重要度が高いかと（私にとっては）。

ちなみに、私が電話を活用するケースとしては、あまり大きな声では言えませんが、立場上「建前」を述べた上で、グレーな「本音」を伝えるケースが多いです。

◆なお、第4章は「『処理のムダ」ということで、ショートカットや辞書登録の話だったので、こちらは類書に任せて割愛。

続く第5章の「『コミュニケーション』のムダ」から、上記ポイントの4番目の「質問箱」を引用しました。

私の場合は顧問先間でのQ&Aの共有はできないので、個別に回答しているのですが、よく使う事例や法律のページをChromeのブックマークバーのフォルダに保存して、必要に応じて使いまわしています。

その際、フォルダ内にもフォルダを作って、テーマごとに整理するようになってから、多少なりとも生産性が上がりました。

そして最後のポイントの5番目は、1つ飛んだ第7章からのもの。

事例がダイエットで恐縮ですが、仕事も「やったらやりっぱなし」ではなく、このようにフレームワークを使ってふりかえりたいものです。

効率化を目指す方なら、一読の価値アリ！