2024年09月30日
【オススメ!】『拒絶される恐怖を克服するための100日計画』ジア・ジアン
拒絶される恐怖を克服するための100日計画
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本(電子書籍) 読書の秋セール」における人気作。出た当時に読もうか迷って結局パスしたのですが、とっとと読んでおけば良かったと後悔しました。
アマゾンの内容紹介から。
・ビルの警備員に借金を申し込む。
・見知らぬ人の家で「庭にバラを植えさせて」と頼む。
・CAに機内アナウンスを代行させてほしいと頼む。
・高級ホテルで無料宿泊をお願いする。
「NO!」と言われるための依頼実験を100回繰り返し、「お願いごとの達人」になった著者が見つけた人生の鉄則とは?
絶版で中古が結構な高値となっているため、このKindle版が1800円以上お買い得となります!
【ポイント】
■1.拒絶は絶対ではなく、コミュニケーションが結果に直結するジェイソン・カムリーの「拒絶セラピー」は、拒絶された痛みを軽減するのが目的だ。しかし僕の100日拒絶計画はそれとはかなり違うもの──人生とビジネスを学ぶ速成コース──へと急速に内容を転じつつあった。
つまり、「相手とのコミュニケーションが結果に直結する」ということだ。こちらが自信をもち、友好的で率直であれば、相手もこちらの願いを聞いてくれる傾向があるらしい。
たとえ返事が「ノー」である場合でも、相手はすくなくとも僕に質問をし、時間を割いてくれた。状況に応じた適切なコミュニケーションがとれるようになれば、それだけで結果は好転するかもしれない。そしてマイナス思考による恐怖を減らせるかもしれない。
どうやら拒絶とは「白か黒か」という問題ではなさそうだ。望むものを手にできるかできないかは、状況やタイミングの問題ではなかった。
一口に「拒絶」といっても、そこには誰が、どんな相手に、どんな場面で何を頼むかといった要素がある。おそらくは、これらの要素のどれかが変われば、結果はまったく異なってくるのだ。
■2.拒絶には上限の回数がある
僕は拒絶実験を通じて、相手にきちんと話をすればオーケーしてもらえる可能性が高まることを知った。もちろん、すべてに「イエス」と言ってもらえるわけではない。ただ、僕の粘りが報われることが多いのは驚きだった。
そして、ある疑問が湧いた。拒絶には 限度 があるのだろうか。その数字まで粘って回数をこなしたら、「ノー」が「イエス」になるのだろうか。(中略)
J・K・ローリングのケースはひときわ注目に値する。1995年、彼女は最初のハリー・ポッターの原稿を12社にもちこみ、すべて断られた。その後、ブルームズベリー社の会長が、受けとった原稿を自分の孫娘に渡したところ、孫娘は最後まで一気に読み通した。1年後、ブルームズベリー社はついにゴーサインを出した。
もしこの孫娘が原稿を手にしなかったら、ハリー・ポッターはシュレッダー行きに終わっていただろうし、ハリーと例の登場人物との壮大な闘いも世に出ることはなかっただろう。
■3.「ノー」の理由を尋ねる
「なぜ」と尋ねるのは、相手の返事を正しく理解するためだ。過去、何かを断られると、自分は間違いを犯したのだと短絡的に解釈していた。
だが、あの白髪の男性が「ノー」と言ったのは、僕の提案がたんに彼の状況に合わなかっただけなのだ。僕個人がどうこうではなかった。彼は誰からもバラをもらうつもりはなかった。しかも僕を追い払うために噓をついたとは思えない。さもなければ花好きのご近所さんを勧めたりしない。
順序立てて考えたうえでの決断であれ、感情に流されての決断であれ、人の決断の背後には何がしかの理由がある。拒絶の理由を知ることができれば、知らないままだと感じたはずの心の痛みを切り離すことができる。ときには痛みを消してさえくれる。
僕に「ノー」と言った人々の多くは、僕という人間が原因で頼みごとを断ったのではなく、まったく別の理由があったのだ。
すでに断られているにもかかわらず、「なぜ」と尋ねることの利点。それは、拒絶を受容へと逆転させるツールにできるということだ。
■4.断るときには次善の策を提案する
コストコでの拒絶実験は、僕のお腹を満たしてくれただけでなく、何かを断る際のすばらしい方法を教えてくれた。次善の策を提示する、ということだ。
ただ断って終わりにすることもできたのに、ロバートは丁寧に拒絶の理由を説明し、ご馳走してくれた。頼まれもしないのに。そんなおもてなしをされたら、ロバートとコストコのファンにならざるをえない。(中略)
人が何かを断るときに次善の策を提案するのは、相手のためだ。つまり、断り手は、「申し訳ないけど、希望に沿えません。でもそれは、あなたを信用できないとか好きではないという意味ではありません」と心から言おうとしているのだ。
とはいえ、誰にとっても拒絶は個人的な経験だ。だから何かを断るときには格別の気遣いが必要だ。何を拒絶しているかを相手にきちんとわからせ、正直に理由を言わなければならない。時間の浪費やトラブル、悲嘆を避けるためには、それが不可欠だ。
■5.ベストをつくして結果にこだわらない
拒絶の旅のあいだ、僕は「自分でコントロールできること」と「自分でコントロールできないこと」を明確に区別できるようになった。最初は自分でコントロールできない事柄、つまり他者の反応や合否の結果などを無駄に心配していた。神経質になり、マイナス思考に陥った。
やがて自分でコントロールできる事柄にのみ意識を向けるようになると、より現実的になり、すべてに自信がもてるようになった。見知らぬ人々に近づくことや未知の領域に踏み込むことが、あまり怖くなくなった。
バスケットボールの伝説的コーチ、ジョン・ウッデンはUCLAのチームを率いて全米選手権を10回も制覇したが、チームの勝ち負けについてはいっさいコメントしなかった。勝利とは何かを知っている者がいるとすれば、それは彼だ。しかし選手の評価基準はあくまでも「努力したか」であり、「結果を出したか」ではなかった。十分な準備をしていたか、ベストを尽くしたかどうかを彼は重視したのだ。
僕の拒絶の旅も同じことを教えてくれた。ベストを尽くしてプレイする、そして結果は心配しない――負ける確率がとんでもなく高いときでさえも。
【感想】
◆タイトルや冒頭の内容紹介(に記された依頼実験の項目)を見て、今で言う「迷惑系YouTuber」のようだ、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実は私も、それに近い印象を持ったがため、下記のように未読本記事でとりあげながらも、今までスルーしていました。
【全20冊】未読本・気になる本(2015年10月23日)(2015年10月23日)
そして今回、セール記事で目にした際に中古価格をチェックしたのですが、異様に高くて興味を持ち、かつ、お求めになった方もいたので、サンプルを読んでそのまま本書も購入。
これがまた内容もさることながら、当ブログで人気の本が登場していたりして、ご紹介しなくては、と思った次第です。
影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか
参考記事:【速報!】『影響力の武器』の[第三版]を[第二版]と比較してみました(2014年07月14日)
ずる 嘘とごまかしの行動経済学
参考記事:【オススメ】『ずる―嘘とごまかしの行動経済学』ダン・アリエリー(2012年12月11日)
ちなみに著者のジア・ジアンは、学生時代にダン・アリエリーの講義を受けており、今回の計画においてもアイデアを授かっているそう。
◆元はといえば、ジアンは起業の夢を持っていたものの、尊敬する義父にその起業のアイデア(ローラーブレード付きテニスシューズ)を相談したところ、こきおろされて断念してしまいます。
ところがその後、似たようなアイデアで成功した会社が現れ、ジアンの心は再び起業に揺れ動くことに。
結局、妻の後押しもあって、別のアイデアで起業したのですが、望んでいた投資家からの返事は「NO」だったため、落ち込んでしまいます。
そこで拒絶への耐性を身につけるために始めたのが、冒頭のような依頼実験を行い、その経緯を録画してブログにアップすることでした。
もちろん、最初の依頼(「見知らぬ人から100ドル借りる」「ハンバーガーの『お代わり』を頼む」)は断られるのですが、徐々に緊張感も取れてきます。
さらには、クリスピー・クリームで、「ドーナツ店で五輪ドーナツををつくってもらう」というミッションにダメ元で挑戦したところ、親切な店員さんが五輪風のドーナツを見事につくってくれたのでした。
◆するとこの回のブログがバズり、ジアンはちょっとした有名人に。
上記動画に映っている店員さんや、この実験のベースとなった上記ポイントの1番目に出てくる「拒絶セラピー」の創案者とともに、テレビにまで出演します。
また、もうちょっと後になってからですが、TEDで講演もしていますね。
日本語訳も出せるので、よかったらこちらもご覧ください(今回割愛しまくったエピソードがいくつも登場します)。
かといって、ジアンは実験をやめることなく、さまざまな学びを得ていきます。
最初は断られただけで、逃げるように立ち去っていたのが、上記ポイントの3番目にあるように、断られた理由を問うことで、場合によっては逆転できたりですとか。
◆また逆の立場に立って、断る方の視点からも考察していきます。
上記ポイントの4番目の次善の策を出す、というのは、相手にとっても悪い気はしませんよね。
逆に横柄に断ると、逆恨みにあったりしますし……。
一方で上記のように有名になったジアンは、ブログの読者からの数多くの依頼に悩まされることになります。
上記ポイントの2番目のケースは、さまざまな出版社での回数ですが、ジアンはとある依頼を同じ人物から44回繰り返し受けて、結局それをする羽目に(詳細は本書を)。
こういうのは、セールスやナンパだと一歩間違うと通報ものですから、決して褒められたものではないのですが。
◆なお、最後の章では、ジアンが今まで陰で支えてくれていた奥さんの転職活動を応援することになります。
面接も一種の「拒絶か否か」というお話ですから、まさに今までの経験を活かせるもの。
結局綺麗にまとめるなら、上記ポイントの5番目にあるように、「ベストをつくして結果にこだわらない」というのが、正解なんでしょうね。
ところで本書内では、すべての実験を描いているわけではないのですが、巻末には100個の「拒絶計画」が掲載されていますから、こちらでご確認を。
さらには「拒絶耐性の身につけ方」と題した、本書の完全なまとめも巻末にありますから、後での振り返りにも便利です。
繰り返しになりますが、本書はコミュニケーション本・自己啓発本として秀逸ですし、ネタ本だと思っていた自分が愚かでした(反省)。
セール価格のこの機会にぜひご一読を!
拒絶される恐怖を克服するための100日計画
第1章 拒絶の壁
第2章 拒絶と闘う
第3章 みんなの拒絶
第4章 本能との闘い
第5章 拒絶の限界
第6章 「ノー」を受け入れる
第7章 「イエス」をもらう
第8章 「ノー」と言う
第9章 拒絶を糧にする
第10章 意味を見つける
第11章 自由を見つける
第12章 夢を現実にする
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。がんばりすぎるあなたへ 完璧主義を健全な習慣に変える方法
当ブログでもレビュー済みの自己啓発書は、中古がメチャクチャ高値なので、Kindle版が4000円弱お得。
参考記事:【完璧主義?】『がんばりすぎるあなたへ 完璧主義を健全な習慣に変える方法』ジェフ・シマンスキー(2016年10月25日)
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【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本(電子書籍) 読書の秋セール」の飛鳥新社分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。悪魔の傾聴
拒絶される恐怖を克服するための100日計画
やる気がなさそうなのになぜかうまくいく人がやっていること
新しい戦争の時代の戦略的思考
よろしければご参考まで!
この記事のカテゴリー:「コミュニケーション」へ
この記事のカテゴリー:「自己啓発・気づき」へ
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