【資格】『「地味な資格」だけで人生は豊かになる: 資格で人生を激変させた「資格芸人」が教える処世術』女と男市川義一:マインドマップ的読書感想文

2024年09月02日

【資格】『「地味な資格」だけで人生は豊かになる: 資格で人生を激変させた「資格芸人」が教える処世術』女と男市川義一

「地味な資格」だけで人生は豊かになる: 資格で人生を激変させた「資格芸人」が教える処世術

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気が高かった資格取得本。

今までも保有資格の多さを誇った勉強本の著者はいらっしゃいましたが、本書の著者である市川さんは、ひと味違うアプローチをされていました。

アマゾンの内容紹介から。

資格は稼ぐだけのツールではない。自信がつき、人脈と家族も豊かにする!
1人で47の資格を取得した芸人が教える、資格を取ることで、人生を豊かに過ごせるようにできる指南書。
47の資格を全部1人で取ったことから、ジャンルをまたいで「収入アップ度」「人脈広がり度」「難易度」「習得時間」「費用」まで、各5段階で比較しているのは、本書だけ。
ジャンルよりも、収入なのか難易度なのか、どれを優先させるかという使い方もできます。
稼ぐという面だけ考えても、「簡単なバイトや小さい起業で稼ぐ」という話題がすぐ上がる中、資格の意外な効果をフル活用する方法を説くのは、本書ならではの特徴と言えます。

中古が値下がりしていない一方、Kindle版は当初よりも若干お求めやすくなっています！

【ポイント】

■1.勉強しなくても絶対に取れる「カッパ捕獲許可証」

　勉強せずにネットでワンクリックして取得できる資格があります。僕が取った資格の中で、その代表的な1つを紹介しましょう。それは「カッパ捕獲許可証」。
「えっ、何それ??」って思いますよね。カッパって、そうです。あの未確認生物のカッパのこと。自分で取っておきながら言うのも何ですが、なかなか斬新な資格です（笑）。
　この資格は、岩手県遠野市の観光協会が発行しています。
　ネットで誰でも申請ができて、試験は不要。交付のための220円と、許可証の郵送代を含む、たった300円ほどを払って僕はこの資格を取りました。
　手元にある許可証の裏には「カッパ捕獲7カ条」が書かれています。この資格を持っていれば、カッパを捕獲した際に1000万円の賞金がもらえるんです。(中略)
　資格の話に興味がない人でも、年齢問わずこの資格には食いついてくれます。話題のとっかかりには最適だと気づきました。
　僕は資格マスターとして、今ではさまざまな属性の方の前で話をする機会が増えました。そこでカッパ捕獲許可証は、話す入り口の「つかみ」としてかなり重宝しています。

■2.しっかり話を聞いたら取れる「食品衛生責任者」

　食品衛生責任者なんて、いかにも「勉強しました」っていうふうに見える資格ですよね？　ところがこちら、意外にもあっさり取れてしまいます。
　食品衛生責任者は、飲食店の営業や食品製造に携わる際に必要な資格で、厚生労働省が管轄するれっきとした国家資格です。(中略)
　朝9時くらいに集まって2、3時間講習を受けて、お昼休憩を挟んだあとに午後も2、3時間の講習を受けます。そのあと、1時間くらいのテストを受けて夕方前には帰れました。
　講習中に居眠りでもしていなければ、テストに落ちる人はいないと思います。後日、郵送で合格証が送られてきました。
　申請の際に1万円くらいの費用を払って、当日は会場に行き、こうした流れで資格を簡単に取得できました。事前の勉強はいっさい不要です。
　食品衛生責任者の資格は地域別に認可されますが、効力は全国共通です。僕は京都府で資格を取得しました。

■3.W杯で月収が3倍に!! 「ラグビーC級レフリー」

　2年後の2019年、日本ではW杯が開催。日本人選手の大活躍で、日本中がラグビー一色に染まります。
　ラグビーの難しいルールを解説できるようになっていた僕には、「ラグビーのルールをみんなに楽しく教えてほしい」という仕事がどんどん入ってきます。芸人と子どもたちがラグビーをするエキシビジョン（公式記録としない模範試合など）では、レフリーも務めさせてもらいました。
　次々と仕事をこなしているうちに、なんと、 僕の月収は今までの3倍に膨れ上がっていました。これぞまさに、資格の先行投資が大成功した瞬間。
　月収が上がったのも嬉しかったけど、やっぱり何より嬉しかったのは、たくさんの方に僕を知ってもらえたことや、ラグビーを通して選手や金光藤蔭高校の人たちとの絆ができたことです。
　また、大阪府ラグビー協会とのつながりができて、その後も高校ラグビーのレフリーの仕事を依頼してもらえるようになりました。

■4.「家電製品総合アドバイザー」ゆえに得た知識

　ここで家電を買う際に、役に立つ豆知識をお教えしましょう。
　冷蔵庫をお得に買いたいなら、2月に買うのがお勧めです。冷蔵庫の新製品は通常、4月に発売されます。各社フルモデルチェンジした発売後すぐは、最も値段が高い時期です。価格が40万円くらいするものもあるので、新商品になかなか手を出せない人もいると思います。
　そこで狙い目となるのが、型落ちの中でも比較的新しいモデル。各社のフルモデルチェンジは4年から長くて10年毎に行われています。このフルモデルチェンジした翌年の2月に、同じメーカーの1つ前の旧型の値段が安くなります。
　型落ちと言ってもマイナーチェンジが繰り返されているので、そこまで劣ってはいません。これを踏まえれば、良質な製品を安く購入できる賢い買い方ということになります。
　僕が選んだ三菱の冷蔵庫は、ちょうどそのタイミングの製品でした。普通に買ったら定価40万円くらいの製品を、半額に近い20万円代で購入できました。これはかなりお得です。

■5.検定の目的を考える

　どんな資格にも検定の目的があります。
　難易度が高い専門職の国家資格は、その職に就くための高度な知識やスキルを証明するためのものなので、そこに到達しない人を〝落とす目的〟があるとも言えます。
　一方で、協会が主催するお好み焼き検定のような資格は、お好み焼きをさらに広めたいことから〝基本的には受かってもらうための資格〟として存在するので、難易度は比較的低く、合格率が高い資格です。
　試験日から逆算して休みベースで探すなら、勉強が少なくて済むこうした検定はうってつけです。カッパ捕獲許可証もそうですが、地域に根付いた独自性のある資格には、こうしたタイプの資格が数多くあります。ネットで「珍しい資格」とか「変わった資格」とかいうキーワードで検索すると、このタイプの資格がポロポロ見つかります。(中略)
[一口メモ]お好み焼き検定の合格ラインは70点以上。でも、合格しなくても、受験すれば試験会場でお土産がもらえる。お土産の内容はお好み焼き粉やソース、鰹節といったお好み焼きをつくる材料。このお土産だけで、受験料の支払いの大部分は元がとれるという噂もある。

【感想】

◆色々な意味で度肝を抜かれた作品でした。

そもそもタイトルの「地味な資格」については、以前このような作品を読んだことがあって。

おじさんは、地味な資格で稼いでく。

参考記事：【資格?】『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』佐藤敦規（2021年02月04日）

呼び名は同じ「地味な資格」ですけど、こちらの本で指しているのは、「法人からのニーズがある資格」のことであり、具体的には社労士や行政書士になります。

これらはもちろん、合格するのも普通に難しいですし、しっかりと勉強をしなくてはなりません。

それに比べて本書で対象としているのは、そこまで勉強等をしなくても取れるものが中心。

……もっともさすがに上記ポイントの1番目の「カッパ捕獲許可証」は別にしても、FP技能検定3級や、実技が伴う上記ポイントの3番目の「ラグビーC級レフリー」のように、著者の市川さんもそれなりに苦労はされていますが。

◆ただ、「資格王」や「資格マイスター」と呼ばれるような方でも、そういった簡単に取れる資格を持ってはいるものの、それは大抵が数増やしのためであり、実利を得ていたことはほぼなかったハズ。

一方、市川さんは、ご職業（お笑い芸人）の有利さはあるにせよ、色々と仕事や生活に活かしてらっしゃいます。

たとえばその「カッパ捕獲許可証」も、上記ポイントの1番目の最後にもあるように、「話題のとっかかりには最適」でしょうし、合コン等でネタにもできそうな。

マスコミ系でしたら、転職の際の履歴書の資格欄に書いても良いかもしれません（ケースバイケースですが）。

逆に、上記ポイントの2番目の「食品衛生責任者」が、そんな簡単に取れるとは知りませんでした。

……よく飲食店の壁に掲げられてるアレですねｗ

飲食店では1店舗に1人、必ず必要なので、飲食店でバイトする際、何かしら有利になるかもしれません（通常は店長が保有しているそう）。

◆また、市川さんがすごいのは、資格を先行投資としてとらえて、取得することもあること。

その代表とも言えるのが、上記ポイントの3番目の「ラグビーC級レフリー」です。

2年後のラグビーW杯に向けて取得した結果、引用部分にもあるように、引っ張りだこになったとのこと。

もっとも、先に触れたように実技もあるので、経験者に混じって奮闘されたのだそうです。

もちろん、この資格で仕事がもらえるのは、吉本の芸人さんだからではあるんですが、時代の流れを読むのは大事ではないか、と。

私たちも、自分のお仕事や環境に照らし合わせて、将来に向けて何かしら挑戦してみてもよいかもしれませんね。

◆一方、市川さんがご自分が好きなことから派生して、資格を取るに至ったのが、上記ポイントの4番目の小見出しだけ出てくる「家電製品総合アドバイザー」。

家電製品アドバイザーには「AV情報家電」と「生活家電」の2種類の区分があり、両方を取ると「家電製品総合アドバイザー」になれるのだそうです。

ただし、これが結構難しいらしくて、巻末の47資格の比較リストで「難易度」「習得時間」「費用」等々を比べている中で、唯一「難易度」が星5つだったのが、この「家電製品総合アドバイザー」。

まず「AV情報家電」から挑戦してみたものの、3度目でやっと合格（3回も受けたのはこれが唯一とのこと）されたとか。

ちなみに、上記ポイントの4番目の冷蔵庫のお話は、資格とは直接は関係なく、「家電製品総合アドバイザー」であるがゆえに、YouTubeチャンネルを開設し、結果、メーカーさんとのやり取りを通じて得たものらしく。

市川の最新家電チャンネル - YouTube

なるほど、ここまで専門知識があれば、バラエティ番組でも活躍できそうな。

◆なお、最後のポイントの5番目の「目的」のお話は、言われてみたらなるほど納得。

やたら取りやすい資格は、資格というとっかかりで、むしろ宣伝効果を狙っている（「カッパ捕獲許可証」も、岩手県遠野市の観光協会が発行していますし）わけです。

逆に言うと、自分が広めたいものがあれば、それを資格としてパッケージしてしまうのもアリかと。

私も著作をご紹介したことのある西村貴好さんは、「『ほめ達！』検定」なる資格を提供されていますしね（市川さんも資格をお持ちです）。

「ほめ達！」検定とは - 一般社団法人日本ほめる達人協会

正直、本書のカテゴリーを「勉強本」にしていいかは微妙ですが、本当に活用できるかが分からない、難しい資格に挑戦するだけが正解ではないことがよく分かる1冊でした。

資格を活用するために読むべし！