【プレゼンス】『「存在感」はつくれる』大塚ちづる:マインドマップ的読書感想文

2024年08月29日

【プレゼンス】『「存在感」はつくれる』大塚ちづる

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本(電子書籍) ビジネス本セール」における注目作。

タイトルからは予想がつかなかったのですが、「存在感」を醸し出すテクニックが多数収録されていました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

本来備わっている能力を発揮できずにくすぶっている〝もったいない人材〟でいるか？
誰からも一目置かれ、つねに選ばれ続ける〝輝く逸材〟になるか？
誰しもが後者のような存在になりたいと思うでしょう。
そんな存在になるためには、本書でお伝えする「プレゼンス」を高めることが重要です。

中古があまり値下がりしていませんから、このKindle版が700円以上お買い得となります！

【ポイント】

■1.服装の足し算引き算

　大川は、女性のアクセサリーを例に足し算と引き算のコツについて説明しましたが、もちろん男性にもあります。たとえば、男性は若いときには襟付きの長袖シャツを着るのがベターです。そのほうが誠実に見えますし、腕まくりをすることでやる気をまわりに印象づけることができます。ここで、スマートウォッチとセンスの良いベルトを身につけるのも若い人の権威づけには良いですね。これは足し算です。
　一方、シニア年代になって若い人に威圧感を与えたくない場面では、ジャケットを脱いで、シャツだけになると良いでしょう。私も部下から難しい話を聞かないといけないときは絶対ジャケットは着ません。相手が話しやすいように、たとえばカーディガンを羽織ったりするだけに留めます。これが引き算です。
　また、私は仕事で柄ものの服を着ません。それは、相手の目が柄のほうに向いてしまうからです。オンライン会議中の背景にはいつも白黒の絵をかけた壁にしていますが、それも皆の気が背景にいかないようにするためです。私と対面しているときは、つねに私の言うことだけに全神経を集中させてほしいからです。

■2.武器として戦略的に用意しておくべきもの

　たとえばジャケットです。私は会社勤めのときは、黒色のジャケットを一着必ず会社に置いていました。いつ経営陣クラスの人に呼ばれるかわからないからです。とくに私は人事部だったので、そういう場合はだいたい社員に解雇を告げなければいけないなどの難しい話のときでした。
　解雇を告げる人がペラペラのTシャツ1枚だったら相手はどう思うでしょうか？　通常の業務や打ち合わせでそこまでする必要はないと思うかもしれませんが、些細なことだからこそ、それで相手の気を逸らすわけにはいかないという思いは大切です。服や小物に自分のキャリアを邪魔されても良いと思う人はいないでしょう。
　もう1つ用意しておくと良いのは替えのシャツです。とくに日本の夏は湿気が多く、普通に外を歩いているだけで大量の汗をかきますね。汗でビショビショのシャツのまま商談を始めたら、きっと相手は気が散ってしまうと思います。日本人は汗をかいている姿を一生懸命さだと捉えがちですが、欧米人は嘘つきだと捉えます。あんなに汗をかいて大げさだ、嘘をついているんじゃないかと、信頼度が思い切り下がってしまいます。

■3.エネルギーレベルを高める表情

　重要なコミュニケーションツールでありながら、とくに日本人がないがしろにしがちなのが「ボディランゲージ」です。日本人からしてみると外国人は身振り手振りが大袈裟だと感じますが、それだけコミュニケーションに重要な要素だと認識している証拠です。私はむしろ日本人のボディランゲージは小さすぎると思います。
　とはいえ、オーバーなリアクションをしろというのではありません。もっと意識を向けるべきだという意味です。たとえば、目線も立派なボディーランゲージの1つです。プレゼンの最後に「ぜひ弊社（私）にお任せください」と俯きながら言うのと、相手の目をしっかり見て言うのとでは相手の印象は大きく変わります。それはさりげないくらいがちょうど良いのです。ぜひ鏡を見ながらやってみてください。
　また、目線と同じくらい口元も重要です。とくに口角が上がっているかどうかです。口角が下がっていると不機嫌そうな顔になります。これでは、本書の冒頭でもお伝えした「エネルギーレベル」が低く見られてしまいます。

■4.好感度を下げないポーカーフェイス

「私が理想としているのは『ポーカーフェイス』よ」
「ポーカーフェイスって無表情な顔ってことですよ？　何を考えているかわからない、ネガティブな印象を持ちますけど」
「私が言っているのは、好感度を下げないポーカーフェイスのこと。アスリートが集中しているときの顔と言ったら伝わるかしら」
「アスリートが集中しているとき……。最近ではゾーンに入るとか言いますよね。そういうときの顔って、あ、確かに無表情だ。でも嫌な感じはしないですね」
「そう、その顔のときってとてもニュートラルな状態なの。それって表情としてはすごく安定感がある。この人は怒っているのかな？　それとも悪だくみをしているのかな？　とも思わせない。つまり違和感を抱かせないという点では究極の表情と言えるわね」

■5.オンラインでは足し算より引き算

　オンライン会議においては、リアル会議とは異なるプレゼンスが求められることを念頭においてください。キーワードは引き算です。
　たとえば、身振り手振りです。これはリアルの場面とは違って少ないほうが効果的です。むしろ大きくしたほうが良いとアドバイスする人もいますが、私はおすすめしません。オンライン会議では画面の情報がすべて目に飛び込んでしまうので、誰かの手が画面上で動きすぎると気が散って話に集中しづらくなってしまうからです。
　同じ理由で体が揺れるのも良くありません。最近は立ってデスクワークやオンライン会議に参加する人もいますが、その際もしっかりと足を広げて安定した姿勢を取ることが重要です。
　あいづちも同様でやりすぎは逆効果です。オンライン会議のモニターは全員の顔が並んで映るので、とくに目立ちます。本当に共感したときにだけ、自然にうなずく程度に留めましょう。
　一方、表情は普段より豊かにしてください。豊かな表情は相手の関心を惹きつけ、言葉を補ってくれます。

【感想】

◆今まで当ブログでは、オンタイム用のファッション本を何冊もご紹介してきましたが、それは男性ファッションの場合、基本的なルールを守ればよいというものでした。

一方で本書が目指すのは、「存在感」のある着こなし。

自分がどう見られたいかをまず考え、それに適した服装をすべし、というのは、極めてもっともです。

たとえば上記ポイントの1番目で、襟付きの長袖シャツのお話が出てきますが、私は仕事のある日は、もちろんこのパターンオンリー。

昨今の真夏日であっても、腕まくりをすればいいだけなので、特に問題はありません。

と言いますか、半袖のワイシャツというのは、むしろ仕事で着こなすのが難しいと言うか、確かに私も半袖のワイシャツを着ている人に、大事な仕事をオファーしたいとは思わないような。

ただし、ジャケット（やネクタイ）に関しては、真夏の日本では、ひと声かければ身に付けなくても良いのではないでしょうか。

◆実際私も、8月に入ってから通勤時に1度もジャケットを着たことがないのですが、それでも一応、上記ポイントの2番目にあるように、職場のロッカーにジャケットを用意しています。

というのも、やはりノーアポでいきなりクライアントが来たり、こちらのチョンボで出向かなければならない可能性があるから。

もっとも、ここでは黒色のジャケットと言われていますが、私は着こなしの用途の広さから、濃紺を選んでいますし、男性はその方が無難だと思います。

……いや、若い人はさておき、私が仕事で会うような経営層の世代にとっては、黒のジャケットはオンタイムだと違和感があるんですよね。

また、ワイシャツもやはり職場に用意していますが、これは汗のためというより、コーヒーをこぼしたりしたときのためでした（経験アリ）。

◆一方本書で、服装とともに語られているのが、上記ポイントの3番目のボディランゲージや表情です。

読者さんの中にも目線を合わせるのが苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが、オフタイムはさておき、仕事上では頑張って目線を合わせていただきたく。

また、口角については、中高年層は加齢によって、上がっているどころか不機嫌そうに下がっていますから、これこそ意識すべきものです。

なお著者の大塚さんは、表情筋を鍛えているため、3時間以上口角を上げ続けていても平気なのだとか。

さらには、上記ポイントの4番目の「好感度を下げないポーカーフェイス」のお話は目からウロコでした。

確かに「アスリートが集中しているときの顔」は、非常に凛々しいですし、説得力も高いです。

◆そして最後のポイントの5番目は、オンラインでのTIPSが多数収録された第5章から抜き出しました。

今までもオンライン会議に関するアドバイスはいくつか読んだことがありましたが、身振り手振りやあいづちを控えめにする、という話はなかったような。

さらに、LEDリングライトを2つ買い、違う角度から光を当てることで、影を作らないようにするのだそうです。

なるほど、こういう地道な工夫や努力で、オンラインでも存在感を高めるのだな、と。

このように本書はテクニカルなお話が多いので、自分では仕事ができるつもりでも、今ひとつ大事な仕事が任されなかったり、出世に恵まれなかったりされている方なら、一読の価値はあると思います。

自分の可能性を見せつけたい方なら要チェックの1冊！