【働き方】『定年いたしません！』梅森浩一:マインドマップ的読書感想文

2024年08月23日

【働き方】『定年いたしません！』梅森浩一

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて注目されていた働き方本。

著者の梅森さんは人事の専門家なのは存じていましたが、ご自身も非常に多く転職されており、本書もその経験をベースに書かれています。

アマゾンの内容紹介から。

2003年、ベストセラー『「クビ！」論。』で1000人以上をクビにした経験を綴った著者。
その後、自らも幾度もの「クビ！」と転職を経験し、ついに定年に……そして66歳、たどりついた境地とは!?
理想とはほど遠い年金支給額。人は定年を迎えた日から無価値になるのか!?
冷酷な現実を前に達した結論が、「いっそ定年なんかしなければいいのだ。この先ずっと価値を提供し、対価をもらい続ければいい、それも高く。でもどうしたら？」。
30代、40代のサラリーパーソンが今後否応なく直面する「ジョブ型」雇用において、考えておきたい「ジョブ型定年」と前後のライフプラン。
それまでに直面するであろう転職や給与、そして「クビ！」まで、人事のプロである著者が余すところなく解説。
「ジョブ型」キャリアを「○金（まるきん）」で終わらせるための一冊。

Kindle版には付されているサブタイトルの「『ジョブ型』時代の生き方・稼ぎ方」がしっくりくる1冊でした！

【ポイント】

■1.実際の年齢に平均余命の半分を足す

　さて、私のこの先の人生は、絶えず「平均余命」のどちら側に転ぶのか（つまり平均以上に生きるのか、反対にそれ以下で終わるのか）、となります。私の「定年」である65歳に、その年齢での「平均余命」である19.44歳をプラスすることで、「約85歳というのが私にとっての予定」であることが分かります。（資料1）
　これも、自分の「予定」を想定する際の1つの目安となりますし、それと同時に、「人生100年」といった文句は、この先の私にとって非現実的であることも分かります。
　前述した池内先生の場合を考えてみても、男性の70歳時点における「平均余命」は15.56歳ですから、先生自らが定めた「予定」である77歳と比べてみると、結果として「予定される日は、平均余命のおよそ半分ぐらい」だったことが分かります。
　私の場合も、実際の年齢に対する「平均余命の半数」を自らの「寿命」と想定した上で、その日を「予定」と考えてみるのも、1つのやり方かもしれません。

■2.40歳を超えてからの「メンバーシップ型」企業からの転身はリスキー

　いずれにしても、長くそこに身を置いたあなたなら、「メンバーシップ型」からの離脱には一大決心が必要となります。目先の「割り増し退職金」や「減収提案」に惑わされることなく、慎重に検討する必要があるのは、いうまでもありません。
　ここであえて私見を申し添えるならば、40歳を超えてからの「メンバーシップ型」企業からの転身は、リスクが高いのであまりお勧めいたしません。
　そうはいっても、この先に待ち構えるリアル「定年」を見据えた場合に、「今のうちに少しでも、より有利な職場に自分の身を置きたい」、そう悩みに悩み、考えに考え抜いた上での結論なら、もちろん私も心から応援いたします。
　ただし繰り返しになりますが、「そんなリスクを取りたくない」と思い、「取らないできた」からこそ、今のあなたが「メンバーシップ型」企業で活躍できてきたわけですから、その「大事な事実」を熟慮した上で判断すべきです。

■3.起業は手段であって目的ではない

「過ぎ去りし日」をいくら懐しんだところで、もはや意味を持ちませんから、それならばいっそのこと「定年起業」するのも1つの方法ですよ、と謳う人も多いようです。
　とはいうものの、ここで1つ注意しておきたいのは、「起業はあくまでも結果を手にするための手段であって、決してそれ自体が目的ではない」ということです。
　そこで守るべき鉄則とは、虎の子の「退職金」や「貯金」を、できるだけ減らさないようにすることです。
　たとえその「定年起業」が、意図せず失敗に終わったとしても、なんとか年金プラスαの手持ちの金融資産で、その先の長い定年後の生活を維持できるよう、その「虎の子」は絶対確保しておくことが大切です。
　言い換えれば、それが担保できないような「定年起業」には、絶対に手を出してはいけません。投資でもなんでも「1つのカゴにすべて盛る」ことだけは、絶対に避けなくてはなりません。

■4.自分の略歴をLinkedInに掲載する

①日本語の履歴書だけでなく、英語のCV（履歴書）を必ず用意しましょう。テンプレートはネットですぐに手に入ります。まずあなたの手持ちの日本語の履歴書をグーグル翻訳でひとまず英語にします。その後にChatGPTに〝Check my English CV〝と入力、するとすぐにAIが診断して、より見栄えのする英文にしてくれます。あとはそれをコピーしてPDFにすればいいだけのことです。
②海外でもある程度展開しているグローバル企業で勤務してきたあなたなら、関心を持った企業やリクルーターから「直接・間接を問わずコンタクトがある」ことでしょう。実際彼らの業務上のKPI（数値目標）には、〝SNS（LinkedIn）を通じたダイレクト・ソーシング〟が必ず含まれています。つまり可能な限り「直接アプローチをする」のが大前提なのです。
③そうすることで、これまで日本人および日本語だけのジョブボードだった世界が、一気に世界中に広がる可能性が着実に増えます。もちろん日本語が達者な外国人リクルーターも、あなたに直接コンタクトしてくるでしょう。
④その準備が、前述したようにあなたの履歴書を、たとえそれが完全なものでないにしても、AIや自動翻訳を駆使して「バイリンガル」な履歴書（CV）にしておくことなのです。

■5.年齢差別に対抗する

　ここ日本でも近年「雇用対策法」が改正され、平成19年10月からは「事業主は労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならない」として、年齢制限の禁止が義務化されたのはご存知の通りです。
　それにもかかわらず、実際の企業の募集広告をよくよく注意して見てみると、日本企業のみならず外資系企業においても、時として「年齢」だけ省いて募集しているケースを散見します。
　よもや採用担当者の単なる「見落とし」のせいだとも思えず、そのような「年齢差別の意図」を少しでも感じた場合には、私は最初から応募を控えてきました。
　なぜなら企業担当者と話ができる段になると、私は決まって、次にご紹介するような「念押し」をしてきたので、それができない会社への応募は時間のムダだからです。その「念押し」とは、具体的に次のようなものです。
「御社が今回の募集を通じて候補者に伝えている『わが社が大切にしている価値観ならびに行動規範（前述した、例の「多様性」から始まる一連のものです）』の中には、きちんと『年齢による差別はしない』と謳ってあるのを拝見して、応募させていただいております」

【感想】

◆本書を読んで、かなりのハイライトを引いたのですが、その部分がかなり偏っていたため、レビューをどうするべきか悩んだワタクシ。

1つには著者の梅森さんが、かなり変わった経歴の持ち主であり、どこまで私たちが参考にできるかが微妙だったこともあります。

というのも、とにかく転職（転社）が多くて、いわゆる「定年」までに合計14回の転職を行い、しかも50歳を過ぎてからの転職回数が11回とのこと。

この辺、第1章で経緯等をある程度述べられているので、なるほど、と思う反面、それをポイントとして抜き出すワケにもいかず、上記でもスルーしています。

また、ご自身が高額所得であった結果、社会保険料をかなり納めてらっしゃることもあって、年金問題についてもお考え等述べているのですが、これもTIPSとも違いますしパスしました。

結果、上記ポイントの3番目以降は、第6章の定年以降の転職（起業）の部分のお話からごっそり引用しているという……。

◆一方で、今後の人生を考える上で、その前提となるのが自分の寿命であり、上記ポイントの1番目の計算方法は、考え方としてアリだと思いました。

上記でリンクを張った「主な年齢の平均余命」の表を、各々ご覧いただきたいのですが。

主な年齢の平均余命

当然ですが、一般的な平均寿命より短くはなります。

なお、この考え方は、森永卓郎さんの『長生き地獄』の中で主張している「65歳の男性が平均余命を全うし、85歳まで到達する確率は53.2％」とする考え方にも、「偶然なことに合致」しているとのこと。

私も残り10年強なので、日々大事に生きなくては……。

◆また、上記ポイントの2番目のある「メンバーシップ型」というのは、いわゆる従来の日本型の雇用制度であり、年功序列や終身雇用がその特徴です。

ここから欧米式の「ジョブ型」への転職は、40歳を超えるとリスキー、という説は初耳でした。

人事のプロとして、多くの人を見てきた梅森さんが言うのですから、中高年以上から外資系企業に移るのは、よく考えた方がよさげです（もちろん元からジョブ型ならOK）。

……そうはいいつつも、上記ポイントの4番目ではLinkedInへの略歴の掲載を薦めているのですけどねｗ

もちろん若い方や、すでにジョブ型にお勤めの方なら、このLinkedInのTIPSはぜひ参考にしてみてください。

実際、梅森さんのようなお年の方に求人がくるのは、このLinkedInのおかげのようです（採用されるかは別として）。

◆その年齢については、上記ポイントの5番目のお話も参考になりました。

同じように中高年で転職活動をされている方なら、こちらも見逃せないところかと。

ただし、こうしたTIPSによっていざ採用されたとしても、その会社が「ブラック」なことがあるのは、今まで考えたことがありませんでした。

確かに今まで当ブログでご紹介してきた中高年向けの転職本でも、入るまでのお話が中心で、いざ入ってみたら、という描写はなかったハズ。

実は梅森さんも、入った会社の引き継ぎで、前職者に