【気の力】『心と体が自在に使える「気の呼吸」』藤平信一:マインドマップ的読書感想文

2024年08月14日

【気の力】『心と体が自在に使える「気の呼吸」』藤平信一

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、明日で終了となる「サンマーク出版話題のビジネス・実用書 50％還元フェア」でも人気の1冊。

当ブログでもコンスタントな人気を誇る「呼吸」と「気」をテーマにした作品です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

スポーツの試合や各種の試験、発表会やプレゼンテーション、スピーチや交渉ごとなど、大事な場面になると緊張して本来の力を発揮できないことは多いもの。
それらはすべて、この呼吸法と意識の置き方を知らないからです。
多くの一流アスリートや経営者が効果を実感している「気の呼吸」を実践するだけで、全身の余分な力が抜け、意識が一点に定まり、心が自然に静まって、最高のパフォーマンスが発揮できるようになります。
人前に出ると上がってしまう、緊張して体に力が入ってしまう、気合が入りすぎて冷静さを失ってしまう、体の震えが止まらなくなってしまう……そんなあなたの悩みを解決する本がついに登場です。

中古が値崩れしていますが、今回のセールではこのKindle版が300円弱お買い得となります！

【ポイント】

■1.正しい姿勢は、なぜ自然に安定するのか？

　つま先立ちをして姿勢を安定させ、かかとを静かに下ろす。たったこれだけのことで、なぜ姿勢が安定したのでしょう？　
　なぜ余分な力を抜くことができたのでしょうか？
　その秘密は、足先にあります。
　つま先立ちで体が揺れたとき、姿勢が安定するために、足先に自然に注意が向いたはずです。その状態で静かにかかとを下ろしました。
　つまり、つま先立ちをすることで、しっかりと足先に気が通ったのです。
　いっぽう、気をつけの姿勢のときは、足先に注意は向いていませんでした。「背中を伸ばそう」とか「指先を伸ばして」などと、注意が上半身に向いていて、意識が上がってしまったわけです。このため、気が足先に通っておらず、上半身には余分な力が入っていました。だから、簡単にバランスが崩れてしまったのです。

■2.全身リラックス運動で、全身の力を一度に抜く

・立ち上がり、手は下に下げたままにします。手の先についた水を払うような感じで、「ぶらぶらぶらぶらぶら」と、心地よく指先を上下に振ります。
たったこれだけです。念のため、そのときの注意点も書いておきます。
＊速く、気持ちよく、ラクに。力は入れません。指先を振った振動が全身で感じられるのが良いときです。
＊手を振りながら、体のいろいろな部分をほどくように手を振ります。力は不要です。
＊心地よく振るには、肩やひじがほどけていたほうがいいですね。「ぶらぶら」。
＊胸のあたりに力が入っていませんか？「ぶらぶら」と、ほどきましょう。
＊お腹も、背中も、お尻も足も、「ぶらぶら」とほどきます。
＊「全身がほどけてきたな」と思ったら、静かに止まります。
＊ピタッと止まると、また力が入るので、スーと止まるのがコツです。

■3.気の呼吸法・息の吸い方と吐き方

●口を開けて「はー」と息を吐きます。目の前に息を吐くのではなく、遠くまで息が届くようなイメージで真っすぐに吐くと、力みなく吐けます。
●吐く息が充分に静まったら、今度は吸います。口を閉じて、鼻から吸います。鼻先で花のにおいを嗅ぐようなイメージで、静かに、力まずに吸うとよいでしょう。
●吸う息が充分に静まったら、また吐きます。そして、吐く息が充分に小さくなったら、また吸います。このように「吐いて、吸う」をくり返します。一切の力みなくおこなうのが気の呼吸法です。
　吐くときも吸うときも、息は少しずつ小さくなり、やがて微細になり、最後は無限小に静まります。充分に静まってから、次の「吐く」「吸う」を始めます。

■4.小さな気の滞りを解消する「息吹の法」

　気の呼吸法を実践し、体がそれを覚えると、「はー」とひと息吐くだけで、すぐに心が静まるようになります。先代の藤平光一は、その応用とも言える「息吹きの法」を教えていました。
　それは、「フッと力強く息を吐く」という方法です。
　小さな気の滞りを感じたときには、この「フッ」でリセットできるのです。(中略)
　王貞治さんは、現役時代、この「フッ」を実践し、効果を実感されたひとりです。
　現役時代の後半になると、さすがの王さんも、体力やフィジカルの低下を感じ始めたようです。大事な場面で三振をしてしまったときなどには、「自分の選手生命もここまでか」と、つい弱気になることもあったそうです。
　そんな王さんに、先代の藤平光一は、こんなアドバイスをしました。
「王さん、そんなときには吹くといいんだよ。ひと息『フッ』とね」(中略)
　王さんは、それを実直に実践され、「ホントに消える」と感動したそうです。

■5.「臍下の一点」で心が静まる

　心が静まるには、意識が定まる場所が必要です。何事もそうですが、定位置があることで安心できます。(中略)
　そのピンポイントの場所こそが、「臍下の一点」です。
「臍の下の一点」と書くくらいですから、それは臍の下のほうにあります。しかも、かなり下のほうにある一点です。
　じつは、お腹に力を入れたときに、ほとんど力が入らない部分があります。この場所こそが臍下の一点です。
　別の言い方をすると、臍下の一点は、力を入れようにも力が入らない場所、つまり、力みの及ばない場所です。だからこそ、意識は、その場所で安定し、落ち着くことができるわけです。力みの及ばない、安定した場所に収まることで、心は静まっていくのです。

【感想】

◆本書は、冒頭のプロローグで、著者の藤平さんが、野球評論家の広岡達朗さんからの電話を受けたところから始まります。

実は広岡さんは、藤平さんのお父さんから心身統一合氣道を学び、それを野球に取り入れてきた方なのだとか（知りませんでした）。

その広岡さんいわく、ロサンゼルス・ドジャースが「気を学びたい」と言っているので、指導して欲しいとのこと。

そこで藤平さんは、ロスに飛ぶのですが、そこで球団幹部に言われたのは、「15分のデモンストレーションをやって、それで翌日も人が集まるようなら引き続きやってもらう」という通告でした。

　えっ、ちょっと待って！　私は、恐る恐る聞き返しました。
「もし、選手が集まらなかったら？」
「ああ、そのときはロサンゼルスで観光でもして、日本にお帰りください」

……ここまで無料サンプルで読んだのですが、思わず本書を買ってしまったのは、言うまでもありませぬ。

◆ということで本書は、ドジャースの選手お墨付きの（？）、「気」のテクニックがいくつも収録されています。

順を追って説明すると、まずもっとも基礎となるのが、上記ポイントの1番目の「正しい姿勢」。

こちら本書では、イラスト入りで分かりやすく解説されているのですが、テキストだとイマイチ分かりにくいですよね。

そこで何かないかと動画を探したら、まさにこんなのがありました。

この姿勢は、以降の呼吸の部分でも最初に行いますので、習得必須で。

◆また、気の呼吸法と併せて覚えておくと良いのが、上記ポイントの2番目の「全身リラックス運動」です。

こちら、運動自体はシンプルなので（ただし本書ではしっかりイラストが付されています）、特に動画等拾ってきませんでしたが、手っ取り早く不要な力を抜くための「裏技」なのだとか。

そういえば、出番を待つスポーツ選手が、手（腕）をブラブラさせているのを見た記憶がありますが、この運動だったのかもしれません。

なお、寝付けない方は、寝る前にこの「全身リラックス運動」をしてから横になると良いのだそう。

ただし、今回は割愛しましたが、後半の5章に収録されている「寝ながら行う気の呼吸法」も効果大なので、併せてお試しください。

◆そして、本丸とも言える「気の呼吸法」は、上記ポイントの3番目にて、一部取り上げさせてもらいました。

こちら、本当はもっと手順が長くて、「息の吸い方と吐き方」の前に実は「姿勢」という項目があります。

そこで、上記ポイントの1番目の「正しい姿勢」を実施する次第。

さらには、そこから正座の姿勢に移って余分な力を抜くのですが、詳しくは本書のイラストをご参照ください。

ちなみに「息のすい方と吐き方」にも、上記ポイントの2番目にあったような「コツ」が付されていますから、こちらも要チェックで。

また、同様に実用性が高そうなのが、上記ポイントの4番目の「息吹の法」です。

こちらは、あの王選手も御用達だったそうですから、ぜひマスターしたいな、と。

◆なお、私自身が今ひとつ自信がないのが、上記ポイントの5番目の「臍下の一点」でした。

……何かどこ押しても、力が入ってしまう気がするのですが。

また、よく「下腹に力を入れて」と言いますが、「臍下の一点」と「臍下丹田」は、まったくの別物なのだそう（詳細は本書を）。

いずれにせよ本書は、「臍下何㎝」ですとか、「何秒吐いて何秒吸う」みたいな表記が無いのが特徴と言えると思います。

特に呼吸法については、何秒、みたいに自分に命令する呼吸をしないのが、「気の呼吸法」の本質らしく。

うーん、奥が深い……。

より良いパフォーマンスを目指す方なら一読の価値アリ！