2024年07月26日
【プレゼン】『世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること 口下手な人が伝わる人に変わる心理メソッド43』矢野 香
世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること 口下手な人が伝わる人に変わる心理メソッド43
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも注目を集めていたプレゼン本。既に土井英司さんがメルマガでプッシュされていたので、お読みの方も多いかもしれません。
アマゾンの内容紹介から。
人前で話すときは、緊張して実力を発揮できないもの。
心理学専門の学者であり、政治家や経営者などのエグゼクティブをクライアントに持つスピーチコンサルタントでもある著者が、人前で実力以上のプレゼンができるようになる心理テクニックを解説する!
ここぞという本番で「自分の場」を作るため、話すことが決まったその日から本番後までを順を追って説明。
「一生が決まる瞬間」を必ず成功させるあなたに生まれ変わります
なお、Kindle版は「14%OFF」と、大変お求めやすくなっています!
【ポイント】
■1.メインメッセージの目安は「13文字」日本語の場合、メインメッセージの目安は13文字(漢字かな交じり文)です。
私がかつて務めていたNHKでは、原則としてひとつのニュースのタイトルは13文字以内でした。その他の放送や映像、新聞やインターネットメディアもタイトルは全角12文字から15文字設定が多くなっています。これらは表示される画面の横幅による制限でもあります。心理学的な理由としては、一度にそれだけしか相手の頭に残らないという長さの限界でもあります。(中略)
さらに、話し方の観点では、「13文字」は一息の長さでもあります。
メインメッセージは一息で話すことが原則です。言葉の途中で息継ぎをしてはいけません。メッセージの力が弱まるからです。
■2.なりたいリーダー像を「セルフ・パペット」に設定する
「セルフ・パペット」を設定する利点は大きく2つあります。
1つ目は、「自信がなくてもリーダーになれる」ということ。
本当の自分は、リーダーという役割を果たせる自信がないという方も大丈夫。セルフ・パペットに自信があるようにふるまわせることによって、本物の自信は後からついてきます。(中略)
2つ目は、「自分の心を守る」ということ。
政治家や企業のリーダー、起業家などのトップリーダーは、会社や組織、地域を代表する公人です。公的な立場上どうしてもその一挙手一投足に注目が集まり、賛否両論が分かれてしまいます。どんなにキャリアを積んでも年齢を重ねても、他人からの批判や誹謗中傷に慣れる人はいません。大なり小なり心にダメージを受けストレスを感じます。
しかし「リーダーとしての自分」であるセルフ・パペットと「それを操る自分」を切り離せば、「批判されているのはパペットだ。自分が批判されているわけではない」と捉えることができます。人格否定されたのではないと思えることが、心を守ることにつながります。
■3.「身体化認知」を活用する
身体感覚は、聞き手の認知情報処理に無意識のうちに影響を及ぼします。つまり相手があなたの話を聞いている際、五感で感じる物理的環境をコントロールすることで話の内容に対する感情や印象、その後の行動を操作することができるのです。(中略)
話し手に対して「温かい人物、寛大で思いやりがある人物」という印象を持ってもらいたいときは、聞き手に温かいコーヒーやお茶などを配りましょう。
また、ボランティアや募金への協力要請など聞き手に温かい行動を促したい場合にも有効です。
夏場だから、相手は喉が渇いていそうだからといって冷たい飲み物を配るばかりが正解ではないということです。
さらに、温度だけでなく味覚も関係します。
苦い飲み物を出すと話の内容がまずいことを印象づけることができます。現状の課題や問題点を報告し、それに対する支援要請や支援のための予算増額などを交渉したい場合は、温かくて苦みのある濃いコーヒーを出すとよいかもしれません。
■4.感謝を伝える
世界のトップリーダーの最初の一言は、「感謝」から始まることが多いのが特徴です。(中略)
なぜ最初に感謝の言葉を口にするのでしょうか。
その効果を心理学的に分析すると、社会心理学者のアルヴィン・グールドナーが提唱した「互恵規範」の効果です。試食をしてしまったあと、つい買ってしまうのもこの効果によるものです。このように、最初に話し手から「感謝」という好意を受け取った聞き手は、「同じ量の好意を返さなければ」と感じながら話を聞くことになります。結果、話の最終的な目的として行動変容や依頼をする場合は、その内容を受け入れてもらいやすくなります。
「感謝申し上げます。ありがとうございます」
「いつもありがとうございます」
聞き手に行動を促す伝え方をするために、まずはこのような感謝の言葉から話し始めましょう。
■5.「親近効果」を使えば、最後の最後でも挽回できる
たとえ最初(冒頭) で失敗していても、途中で緊張してしまってその後も挽回できないままだったとしても、まだ諦めてはいけません。
「最後」さえビシッと決めれば、それまでの失敗は挽回できます。最終的に望む結果を手にすることは可能です。
では、最後に挽回するために締めとして語るべきことは何か。
それはPassion(情熱)とLet's(誘い)とPlease(お願い)です。
P・L・P を順番に伝えて話を締めくくることで、相手から望ましい行動を促すことができます。大切な目的である「行動変容」を促すことができるのです。
お勧めする話の構成は、Point(結論)、Reason(理由)、Example(例)、Passion(情熱)、Let's(誘い)、Please(お願い) の順番です。私はこれを「PREP・LP法」と名付け推奨しています。(中略)Passion(情熱)……「私はずっと〜だと思ってきた」
Let's(誘い)……「〜しましょう」
Please(お願い)……「どうぞ〜してください」
【感想】
◆久しぶりの矢野さんの作品でしたが、相変わらずTIPS多めのお役立ち本だと思います。たとえば上記ポイントの1番目のメインメッセージの文字数ですが、私はよくある見出しの文字数とごっちゃになっていました。
ところがどっこい、話す立場からの「一息の長さ」でもあると知って、思わず納得。
特にこのメインメッセージを印象付けるには、連続で繰り返すことが必要であり、その点からも短めが妥当です。
実際、あのキング牧師の有名なスピーチでも、最後の部分で「I have a dream」とまとめて5回繰り返されているのだとか。
◆また本書で特徴的だったのが、上記ポイントの2番目の「セルフ・パペット」という概念です。
「なりたいリーダーとしての自分」をセルフ・パペットとして設定する。一見、自分と距離を置いているようで違和感があったのですが、そのメリットは上記ポイントの2番目にもあるとおり。
それを俯瞰しながら、操り人形を操るように動かしていく。
これが本書が提案する大勢の人前に立つときの話し方です。
なるほど、まだ自信がない段階でも「セルフ・パペット」にふるまわせることは可能(自分ではないから)ですし、また、昨今のようにSNSが全盛の現代には、自らの心を守る必要もあるでしょうね。
もちろん、批判されないのが一番なのは当たり前ですが。
◆さらに本書でユニークなのが、第3章の「自分をサポートする環境づくり」です。
ここでは「可能な限り周囲のサポート」を得るための方策を列挙。
「観衆に身内を置いて、笑顔で話を聞いてもらう」……なんてのは可愛いものですが、上記ポイントの3番目の「身体化認知」(という言葉も初めて知りました)をプレゼンでやるとは目からウロコ。
一応テクニック的には、以前レビューしたこちらの本にも詳しいです。
赤を身につけるとなぜもてるのか?
参考記事:【スゴ本】『赤を身につけるとなぜもてるのか?』タルマ・ローベル(2015年08月11日)
さすがに引用部分にある「温かくて苦みのある濃いコーヒー」にどれほどの効果があるかは分かりませんが、虎屋の羊羹はやたらと重いので、謝罪時に効果がある、というのは広く知られたところかと。
◆そして、上記ポイントの4番目にある「感謝を伝える」というのは、比較的容易にできる割には、しっかりメリットがありそうです。
実際、感謝を伝えられて、反感を持つ人はまずいませんし、どういう状況であれ、感謝の言葉を紡ぐことはそれほど難しくありません。
……そもそもプレゼンなりスピーチをさせてもらってること自体、感謝の対象になりますものね。
これは本書の第4章から引用したのですが、同じ第4章では逆に「やってはいけない話し癖」が紹介されています。
その1つが、いわゆる「フィラー」(「えー」「あのー」等々)。
これに関して本書では、自分の発言をAI文字認識による「文字起こし」をして、まず確認することが推奨されているのですが、この辺も昨今の技術の進歩の恩恵に預かってるな、と感じました。
◆なお、最後のポイントの5番目は、第7章の「トップリーダーの詰めは甘くない」からのもの。
失敗しかかった状態から、持ち直すための秘策が伝授されています。
ちなみにここにある「PREP・LP法」の「PREP」は、通常の「PREP法」とは後ろの「P」が異なるのでご留意を(通常の「PREP」だと再度「結論」)。
確かに最後に来て、情熱に訴えかけられて、行動を促されて、お願いされたら、気持ち的には動くのも無理ないでしょう。
最後の最後まで、粘り強く最善を尽くす、ということができるのも、トップリーダーたるゆえんかもしれません。
上に立つために身に付けたいテクニックがここに!
世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること 口下手な人が伝わる人に変わる心理メソッド43
Prologue トップリーダーは、話す前に何をしているのか
第1章 トップリーダーは半年以上前から準備をする
第2章 話し方は準備が9割
第3章 自分をサポートする環境づくり
第4章 最初ですべてが決まる
第5章 緊張の呪縛から解放される鍵は、本番中の立て直し
第6章 トップリーダーの話し方は、なぜ引き込まれるのか?
第7章 トップリーダーの詰めは甘くない
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【スゴ本】『赤を身につけるとなぜもてるのか?』タルマ・ローベル(2015年08月11日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。なぜ、Onを履くと心にポッと火が灯るのか? (幻冬舎単行本)
スイスのOn(オン)という靴ブランドの日本法人を立ち上げた駒田博紀さんの奮闘記。
中古がほぼ定価並みですから、このKindle版が1100円以上お買い得です!
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