【視力維持?】『視力防衛生活』綾木雅彦:マインドマップ的読書感想文

2024年07月22日

【視力維持?】『視力防衛生活』綾木雅彦

視力防衛生活

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中であるKindle本スポーツ・ホビー関連書セール」の中でも注目の健康本。

昨日取り上げたばかりなのに、既に何冊もお求めいただいているという人気ぶりです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

生きてるだけで目がよくなる方法、集めました！
２４時間、目が回復する超簡単・目守り術！

中古が値崩れしていますが、送料を加味するとKindle版に軍配が上がります！

【ポイント】

■1.まばたきせずに両目を10秒開けられるか？

　自分の涙の質の良し悪しは、じつは簡単に判定できます。
　まばたきせずに両目を10秒間、あけつづけてください。
　10秒未満であけているのがつらくなった人は、涙の質が低下していたり、涙の量が不十分な可能性があります。自覚なくドライアイになっている可能性もあります。
　2018年に順天堂大学が292人に実施した実験では、ドライアイの人が目をあけていられる時間は平均10秒、健常者が24秒で、計算の結果ドライアイと健常者の境界線は「12秒」と算出されました。
　多くの人は、10秒あけているのがつらかったのではないでしょうか？
　じつは現代人は、まばたきの回数が減って涙が不十分になりやすい状況に置かれています。
　この状況を引き起こしているのが「ストレス」、そして「スクリーン（デジタル画面）」の凝視です。

■2.まばたきは視力を回復させる

　2022年に私が実施した実験では、「まばたきにより、安定してよりよく見える視力（実用視力）を維持できる」という結果が出ました。
　被験者にやってもらったのは、60秒間、「なるべくまばたきを我慢してもらう（耐えられなくなったらまばたきをしてよい）」という実験です。
　まばたきをしたタイミングを記録し、2秒間に1度という高頻度で視力検査をおこないます。
　結果、「1.0の実用視力が、まばたきを我慢することで0.1に下がり、その後のまばたきで0.6に回復した」というデータが出ました。なかでも顕著だったのは、Aさん（女性・78歳）の実験結果です。
　実験開始直後、1.0だったAさんの右目の実用視力は、25秒までの間に0.1まで下がりつづけます。この急激な実用視力低下の原因は、まばたきの回数を抑えたから。Aさんは初回のまばたきをおこなうまで、13秒以上も我慢しています。
　10秒程度でも、まばたきをしないと目の表面の涙の膜はデコボコになり、見えづらくなるのです。
　そして、26秒から60秒までの間に16回のまばたきを繰り返し、実用視力は約0.6まで回復。
　つまり約30秒あれば、0.1から0.6にまで、まばたきによって視力を改善できるのです。

■3.まばたきは、たくさんより「しっかり」と

　まばたきは、まぶたの上げ下ろしの回数よりも、「きっちり深く」が大事です。ぐいっと1回、まぶたをしっかり下ろしきることです。
　1回あたりのまばたきにかける時間が短いと、角膜の表面に十分に涙を塗り広げられません。
　また、上下のまぶたがしっかり当たることによって生じる圧力で、上下まぶたの輪郭沿いにあるマイボーム腺に刺激を与え、油分の分泌をうながせます。
　すると油を安定して供給できるため、3層構造の涙の質を高く保て、涙の蒸発を防げます。
　この原則は、年齢を重ねた人にも当てはまります。
　涙は、目尻側にある涙腺でつくられたあと、目をうるおし、目頭にある涙点から鼻の奥へ排出されます。
　目の表面を、涙は一方通行で流れているわけです。
　この涙液交換もまばたきの役割の1つ。しっかりまぶたをとじきることで、涙液交換も進みます。
　完全まばたきを続けることで、つねに質のよい新鮮な涙で目の表面を覆えるのです。

■4.2秒の「極深まばたき」で目の疲れをリセットする

　デスクワーカーなどスクリーンを長時間見る人に実践してほしいのが、目の疲れをリセットする「極深まばたき」です。
　極深まばたきの特徴は、完全まばたきより長い時間、まぶたをしっかり下ろすこと。完全まばたきは0.5～1秒ですが、極深まばたきは2秒。
　極深まばたきは、若い人にとくにおすすめです。目の網膜が薄い人（年配の人）より、厚い人（若い人）のほうが目が疲れやすいからです。
　イメージと真逆に思えるかもしれませんが、この事実については私が2019年に発表した論文のなかで言及しています。
　一般的に、全身の筋肉については「若い人ほど筋力に富み、疲れにくい」傾向があります。でも、目の網膜では逆転！　
　若い人は網膜が厚くて感度がよく、目の透明度も高いぶん、光によるまぶしさから痛みや不快感が出やすい傾向があります。　
　また、動画や細かい文字を見る機会も多く、目を酷使しがちです。
「若い人ほど目は疲れやすい」のです。

■5.水で目を洗うと眼球表面の保護層が壊れる

　目を水で洗うと、涙の基礎分泌の層が壊されます。目に一番よいうるおいは、自分の涙です。
　目の表面の層は、油層、水層、ムチン層の3層におのずと整う仕組みになっています。
　そこに水道水を加えると、せっかくの秩序が壊れ、涙の質が落ちることに。ごみを除けたとしても、目に悪影響をおよぼしてしまいます。
　実際、日本眼科医会は2008年から、プール後の洗眼とゴーグル使用について、こんな見解を出しています。
　「プールではゴーグル使用が望ましい。またプール後の水道水による簡単な洗眼はおこなってよいが、積極的に推奨するものではない」
　慶大の実験では、プールの水や水道水に含まれる塩素により目の表面のムチンが有意に減少し、角膜上皮（黒目の最表面）のバリア機能が障害されることが明らかになりました。
　つまり、水で目を洗うと目の表面の保護機能が破壊される危険性が高いのです。
　目にいいのは自分の涙。応急処置的に異物を取り除く以外は、まばたきや市販の目薬をお使いください。

【感想】

◆冒頭でも触れたように、本書は昨日ご紹介したばかりで、すでに何冊もお求めいただいた人気作。

さすが本好きが集まる当ブログだけあって、読者の皆様も、目については気になってる方が多いようです。

確かに面白い本を読み始めると、まばたきの回数が減っている可能性は大。

一方で、上記ポイントの1番目にもあるように、開けていたくても、開けていられない目の方もいらっしゃいそうです。

……私は10秒は余裕で我慢できましたが、お試しいただけましたでしょうか？

◆逆に、まばたきをすると、目に良いどころか、視力まで回復する、というのが上記ポイントの2番目では言われています。

どちらかというと、我慢することで、あっというまに視力が落ちる方がビックリですが。

そしてまばたきをすることで、目の機能は一気に回復する（30秒あれば0.1から0.6まで）ようです。

ただし、ここでしなくてはいけないのが、上記ポイントの3番目にある「完全まばたき」。

パチパチするのではなくて、1回をしっかり深く行うことが重要なのだそうです。

ちなみに割愛しましたが、この完全まばたきを習慣づけると、老眼の進行もおそくなるのだとか（詳細は本書を）。

最近、裸眼でのExcel作業がつらくなった私には、見逃せない情報でした。

◆そして本書の第3章では、本のタイトルにもある「視力防衛」のための習慣を10個収録。

「起きたらすぐに完全まばたきをする」というのは、それまでしっかり目をつぶっていたのに、と意表を突かれましたが、「遠くを見ると目にいい」辺りは「それは当然」と納得しました。

さらに、上記ポイントの4番目の「極深まばたき」も、1時間に1回は行うのが望ましいそう。

私の場合、1日に何度も仮眠をとっているので、それに近い効果は得られてると思うのですが……。

また、睡眠本でよく出てくる「ブルーライト」も、睡眠以前に、やはり目自体に良くないとのことでした。

◆一方、第4章では目に良くないNG習慣を6個列挙。

中でも意外だったのが、上記ポイントの5番目の「水で目を洗う」ことでした。

実は1日に何度も目薬を点すと良くない、と思って、たまに水道水で目を洗ってましたが、今後は自重したいと思います。

……あれ？　私も花粉の時期に使っている「アイボン」とかは、水道水じゃないから、大丈夫ですよね？

さらに巻末にも「目守りQ&A」と題して、目の健康に関する質問と回答が収録されており、こちらも目を通していただきたく。

目を守り、視力を維持・回復させたい方に！