2024年07月14日
【自己啓発】『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』山崎元
経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Gakkenグループ 大感謝フェア」でも注目の1冊。今年の2月に未読本記事でも取り上げていただけに、こうしてお求めやすくなってくれたのはありがたいです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
息子にも、これからを生きるすべての若者にも、『明るい人生のマニュアル』であってほしい。
「銀行でお金の相談をするのは、カモがねぎを背負って来るようなもの」――金融機関にだまされるな、マーケティングにだまされるな、「おいしい投資話」にだまされるなと、つねに辛口かつユーモラスに語り、人気を博してきた経済評論家・山崎元さん。彼が、これからを生きる息子へ、そして、すべての読者に向け、自身が長年追究してきた、お金と人生、幸せについて、いちばん大事なことを、渾身の力を込めて書き下ろした最後の一冊です。
送料を足した中古よりは、このKindle版が300円弱お買い得となります!
【ポイント】
■1.「株式性の報酬」を求める例えばストックオプションでの儲けを目指してベンチャー企業で働き、クビになった場合のコストを詳しく見ると以下のようなものだ。
転職先が決まるまでの生活コストと手間、「クビ」という精神的ショック(気の持ちようだが)、ベンチャーで働いていた期間により給与のいい会社で働けばもらえたであろう給与との差額の機会費用、他の職場なら得られたかもしれない仕事のスキルや経験などだ。
かき集めると小さなコストではないかもしれないが、働いている期間は給料を貰って生活しているし、本人の働き方にもよるがベンチャーでの勤務は今後のキャリアとして悪くない経験のはずだ。
総合的に見て「失敗しても、コストは小さい」。小さなダウンサイドの可能性と引き換えに、大きなアップサイドが狙える点で、株式性の報酬を目指す働き方は、個人が安全に使えるレバレッジ( 梃子)として、現在最も有利なものだろう。繰り返すが、「失敗しても借金が残らない」。 例えば、学生時代から起業に関わるチャンスを模索してもいいし、就職の際には株式性の報酬についてよく考えるべきだ。
■2.お金の運用について必要な「基本」はこれだけ
さて、君が稼いだお金の増やし方だ。手短に結論から述べよう。お金を効率良く増やすには、次のようにするといい。(1)生活費の3〜6カ月分を銀行の普通預金に取り分ける。残りを「運用資金」とする投資する金額の決め方、投資対象の選択、「買い」と「売り」のタイミングについて説明したので、お金の運用について必要な「基本」はこれですべて説明したことになる。簡単だろう?
(2)運用資金は全額「全世界株式のインデックスファンド」に投資する
(3)運用資金に回せるお金が増えたら同じものに追加投資する。お金が必要な事態が生じたら、必要なだけ部分解約してお金を使う
「父ちゃんは、長年お金の運用を専門にしてきて、本もたくさん書いているのに、これだけかよ?」と君は言いたいかもしれない。だが、本当にこれでいいのだ。この運用法を上回ることは、運用の専門家にとっても簡単なことではない。
■3.保険とは「損な賭け」のこと
ちなみに、父は最近癌にかかったが、健康保険に加入していれば、民間のがん保険は不要だと改めて確認した。治療に掛かった費用は健康保険を利用すると普通の貯金で十分に賄える金額だった。つまり、保険を使う必要はなかったということだ。
「事後的には」がん保険に入っていれば入院費や交通費などが保険から出て、その方が得だった可能性はあるが、癌になるかどうかが分からない意思決定段階の「事前の問題としては」、がん保険は加入者側が損で保険会社側が儲かる賭けなのだから(確率は保険会社が考えて計算してくれている)、がん保険には入らないことが正解なのだ。
この「事前」と「事後」の区別が分からない人は、おそらく保険以外にも多くの分野で「カモ」になり続けるにちがいない。
■4.キャリアプランニングで意識する「28歳」「35歳」「45歳」
新しい仕事を覚えるには「集中的な努力で2年」と考えると、自分の「職」となる専門分野を決めるタイムリミットは30歳−2年=28歳だ。また、28歳くらいから全く新しいことへの適応能力が目立って衰えることが多い。
就職後にも「職」選びに試行錯誤をしていいが、28歳くらいまでを目処と考えておきたい。(中略)
30代になると、能力上も実績上も個人差が大きく開く。そして、組織内でも、業界内でも、「この人物はできる(できない)」、「大物である(小物である)」といった個人の人材価値に対する評価が定まるのは、ほぼ35歳だ。大組織の場合、出世などで目に見える差がつくのはもう少し後だが、人材評価は35歳くらいの時点でほぼ固まっている。
35歳までに人材としての価値を完成させることを意識したい。(中略)
45歳くらいから、高齢期の働き方を見据えた「セカンドキャリア」の準備が必要だ。準備が遅れると、できることの範囲やスケールが小さくなる。
準備として必要なのは、仕事に必要な「能力」と、自分の仕事を買ってくれる「顧客」の2つだ。いずれも獲得には時間が必要だ。準備は早くから始める方がいい。
■5.モテない男は幸せそうに見えない
幸せについて、いくつかの「基準」の組み合わせを試して考えてみた。
すると、一点「モテ具合」という項目が異質で、どうやら妙に重要らしいことが分かった。
各種の経験や豪邸の所有のような自由はお金で買える。名声も買えないことはない。ある種の人間関係までもお金で買えないことはない。しかし、ナチュラルにモテるという状態をお金で買うことは、難しい。そして、「ナチュラルに」モテているのでないと、本人はかえって精神的に屈折してしまう。
父の観察はどうしても男性に偏るが、有名人や世間的には成功者でも、「この男はモテなくて性格がひねくれた」、「この男は若い時にモテなかったので、こじれた性格になった」と思わせる人物が実に多い。実名は挙げないが、あの人も、この人も、モテなかったおかげで性格が歪んでしまったことが手に取るように分かる。(中略)
さまざまな動物の生態が紹介されるテレビ番組をよく見るのだが、生まれて、厳しい環境をくぐり抜けて運のいい個体が成長し、ほぼ生殖の相手を得るためにだけ競争して死んでいく。特に雄はそうだ。人間もこれに近いのではないか。
モテない男は幸せそうに見えない。
【感想】
◆非常にユニークな自己啓発系のお金本でした。「お金本」と呼んでしまうのは、山崎さんに対しても失礼かもしれませんが、ご専門の分野的にはそう考えるのが一番自然かな、と。
ただし、本書が類書と異なるのは、上記ポイントの1番目にもあるように「株式性の報酬」にフォーカスしていること。
これは株式運用でお金を増やすことではなくて、株式ないし株式に連動する形で報酬を得ることであり、具体的には自分で起業したり、創業時に出資したり、報酬を自社株やストックオプションでもらうことを指します。
そのためにベンチャーで働いた場合のデメリットとメリットを比べた場合に、メリットの方が大きい、と山崎さんは指摘。
もちろん起業や出資は、自分の向き不向きや、人との縁の問題もあるので、自力で何とかできるとは限りませんが、そういう視点から社会に出てどうするかを考えたことは、私自身ありませんでした。
◆もちろん、通常の資産運用についても本書では触れられており、まとめてしまうと、上記ポイントの2番目にもあるとおりです。
本書では具体的に何に投資すれば良いかまでも言及されているのですが、ネタバレというほどでもないので触れてしまうと、「全額『全世界株式のインデックスファンド』でOKとのこと。
まぁ、山崎さんご自身も、こういうご本を共著で出されていますから、当然と言えば当然ですけど。
全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 (朝日新書)
参考記事:【投資】『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』山崎 元,水瀬ケンイチ(2022年03月18日)
また、お金をつぎ込んでダメなものも列挙されており、その中の1つが、上記ポイントの3番目の「保険」。
こちらは、色々な本でもNGの代表例として挙がってますが、特に注目したいのは後半部分の「『事前』と『事後』の区別」のお話です。
本書の別の部分でも山崎さんは「お金の問題は感情を排して理屈と計算で考える」と言われており、自分自身、肝に銘じておきたい、と思う次第……。
◆一方、お金の話だけでなく、本書はキャリアについても言及しています。
たとえば上記ポイントの4番目にある、節目の年については、意識しておいて損はないでしょう(私はすべて通過済みですが)。
また、12回も転職を経験された山崎さんらしく、割愛した「転職を正当化できる3つの理由」も興味深いものでした。
……私が新卒で入った会社で転職した同期の多くが、「お給料が安いから」という、この3つの理由以外のモノだった記憶がありますが。
ちなみに、新卒の方以外には使いようがないので、やはり割愛した「最初の仕事」の条件は、「興味が持てて」「倫理観に反しない」ものだそうです。
◆なお、最後の終章では、今までとはちょっと路線が違って、「幸福とはなんぞや」みたいなお話が展開されており、少々面食らいました。
ただし本書が、山崎さんが死を意識してから息子さんに書かれたものであることを考えると、それも理解できるかと。
山崎さんによると、「人の幸福感はほとんど100%が『自分が承認されているという感覚』」だそうなのですが、ここは自己啓発書好きの方のご意見もお伺いしたいところ。
さらにここで登場しているのが、上記ポイントの5番目の「モテ」のお話で、なるほど自分の遺伝子を後世に残すためには、モテる必要もあるのかもしれません。
そして本書では、具体的に「唯一のモテの秘訣」が挙げられているのですが、一応ネタバレ自重しておきます(サンプル数が少ないとご自身で言われてますし)。
私も自分のムスコにも読ませてやりたい良書でした!
経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて
第1章 働き方・稼ぎ方
第2章 お金の増やし方と資本主義経済の仕組み
第3章 もう少し話しておきたいこと
終 章 小さな幸福論
付 記 大人になった息子へ――息子への手紙全文
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。インテグラル理論 多様で複雑な世界を読み解く新次元の成長モデル
単行本だと400ページ超の作品は、中古が値下がりしていない一方、値引率が「83%OFF」と極めて高いため、Kindle版が2200円以上お得。
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【編集後記2】
◆一昨日の「Prime Day Kindle本セール」の徳間書店分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。ブレイン・マッピング 最新科学が導く正しい脳の使い方
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