【コミュニケーション】『世界一わかりやすいコミュニケーションの教科書』渡部建:マインドマップ的読書感想文

2024年07月05日

【コミュニケーション】『世界一わかりやすいコミュニケーションの教科書』渡部建

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Prime Day Kindle本(電子書籍)セール」でも人気の高いコミュニケーション本。

芸人さんの書かれた本だから、と気軽に考えて読み始めてたら、思った以上に深い内容で驚きました。

アマゾンの内容紹介から。

「間が持たない」「指示が伝わらない」「イエスの返事がもらえない」　コミュニケーションに抱える悩みは、案外みんな同じで、そして同時に、その「答え」は、世の中にたくさん提示されています。なのに、どうして悩みがなくならないのでしょうか？　答えの多さが、かえってその難しさを強調することになっているのかもしれません。渡部さんの考えは、「コミュニケーションの問題は、シンプルな方法で解決できる」「基本的なコツさえわかっていれば、十分」というものです。本書は、コミュニケーションのシンプルなあり方を提唱し、誰でも使える基本的なコツから、その極意に至るまで余すところなく伝授します！

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【ポイント】

■1.相手に求めるリアクションを最初に提示しておく

　たとえば、
「ちょっと相談したいんですが……」
「ちょっと○○さんのご意見いただきたいんですが……」
　という見出しをつけてから話を始めれば、聞き手は話を「どんな意見をいうか」を念頭に置きながらあなたの話を聞けますよね。 逆に、
「これは参考程度に聞いていただければいいんですが……」
「これはまあ与太話に近いですが……」
　などと前置きしておけば、そこまで集中して聞いてくれなくてもOKというふうに相手にリラックスしてもらいやすくなります。
　このように、最初に相手に求めるリアクションを提示する「見出し」をつけるだけでも、聞き手のストレスを軽減させ、自分の話を聞いてもらいやすくなるのです。

■2.プレゼンでは強みと恩恵をセットで伝える

　私はかつて、番組のなかで「ホメ渡部」というコーナーを持ち、そこでいろいろな企業の商品をホメまくりながらプレゼンするということをしていました。
　そこで気づいたのが、自分がオススメしたいものの良さをしっかり相手に伝えるためには2つの要素をセットにしないといけない、ということです。
　その2つが
・強み（メリット）
・恩恵（ベネフィット）
　です。
　プレゼンがヘタな人は、このどちらか片方しか伝えられていません。(中略)
　強みと恩恵は大事な要素なのですが、2つをセットにして組み合わせることで、相手の行動を変えるくらい強い意味をもつようになります。

■3.どこをホメるかより「まずホメる」

　いざ相手をホメようと思っても、相手を目の前にするとどこをホメるか困る人は少なくありません。ここで覚えておきたいのは、
「どこをホメるかより、『まずホメる』ことが100倍大事」
　ということです。ずれたポイントをホメたとしても、まったくなんの問題もありません。
　気づいたことを手当たり次第にホメる。まちがったホメ方なんて存在しない、くらいの認識でOKです。
　とくに、日本人の場合は「褒められると謙遜して、それを否定する」という反応をされることが多いでしょう。
　私はこれを「謙遜の壁」とよんでいますが、謙遜の壁にぶち当たっても、ひるむことなく、相手を褒めつづけてください。ホメるポイントが的確かどうかとか、ホメ方がうまいかどうかは、まったく重要ではありません。
　会話のなかで相手を「ホメる」のか「ホメない」のか、それが大事なのです。遠慮せずに、謙遜の壁をぶち破るくらいホメているのか、それがポイントです。

■4.あえて「知らないふり」をする

　たとえば、事前に相手のSNSの投稿から、相手が岩手県に旅行したことを知ったとします。
　その場合、
「そろそろ旅行にでも出かけたいなあと思っているんですけど、京都とか沖縄とか、いわゆる観光地はもうけっこう行ってて、飽きちゃったんですよね。どこかいい旅行先、ご存じないですか？」
　などと質問すれば、
「それなら、岩手県がオススメですよ。じつは最近、岩手県に旅行してきましてね……」
　といった具合に、相手の話したいだろうことに誘導できますよね。
　あるいは、お子さんが高校受験に合格していたことを投稿していたら、
「○○さんは、お子さんはいらっしゃるんですか？」
　と質問することで、
「中学生の子どもがいるんですが、じつは先日、第一志望の高校に合格できたんですよ」
　などと話をしてもらいやすくなります。
　親なら誰だって、自分の子どもの自慢話をしたいものです。でも、自慢話は自分からはなかなか話し出しにくいもの。
　そこで「知らないふり」をしてうまく質問することで、相手が話したいだろうことを引き出すこともできるのです。

■5.断る前にまず誘いに感謝する

　相手からの誘いを断るとき、ついつい
「すみません」
　と切り出して、すぐに断ってしまう人がほとんどです。
　でも、その前にちょっとした感謝を伝えれば、それだけで印象がガラリと変わります。
　たとえば、
「お誘いくださってありがとうございます！　でも……すみません～」
　このように、まずは自分を誘ってくれたことに対する感謝を相手に伝え、それから断るというステップを踏むだけでも、相手が受ける印象は大きく変わります。
　また、できれば断ったあとに、なにか代替案を提案できればベターです。
　たとえば、
「その日はダメなんですが、○日なら大丈夫です」
「どうしても行けないので、お花だけ送らせてください」
「①感謝→②断り→③代替案」というのが断り方のひとつの定型なので、まずはこれを覚えてしまいましょう。

【感想】

◆冒頭でも触れたように、当初は「芸人さんの本」ということで、やや舐めた見方で読み始めた私ですが、途中でそれは誤りだと気がつきました。

実際、ハイライトも引きまくり。

普通に「話し方教室の講師」や「コミュニケーションをテーマに書く著者」の作品と比べても遜色ありません。

本来なら、もうちょっとテーマを絞って書くのが普通なのでしょうけど、下記目次にもあるように、7つもの分野でTIPSを列挙している次第。

もちろん、類書ともかぶるネタも多いのですが、その分、大ネタもしっかり登場しており、1冊の本としての中身はかなり濃いと言っていいと思います。

◆たとえば上記ポイントの1番目は、「説明」をテーマにした第2章からのもの。

これは話を聞く側にしてみたら、確かにかなりありがたい心遣いです。

ただ、ヨメと話していて感じるのは、「解決するんじゃなくて、ただ聞いて欲しい」であろうケースが多いのに、決してそうは言ってくれないんですよね……。

しかもフラットに話を聞いていると、問題や事件が登場するので、どうすべきか問われているような気がするという（罠ですｗ）

それはさておき、ビジネスシーンにおいて、話をする側になったら、忘れずにいたいところです。

◆また、上記ポイントの2番目は、「プレゼン」がテーマの第3章から引用しました。

ただしこのケースの場合、プレゼンと言っても大人数の前で講演するのではなくて、目の前の相手（お客さん）に良さを伝えるものですから、私たち一般的ビジネスパーソンでも、普通に起こりうることだと思います。

たとえば本書での具体例も「ジャイロ機能のあるカメラ」を、「ジャイロ機能」という「強み」だけでなく、「手ブレしにくい」という「恩恵」と一緒に伝えることを推奨しており、これは納得。

さらに上記では割愛しましたが、その際、相手の「要望」を満たす「強み＆恩恵」を選ぶべき、という主張にも説得力がありました。

さすが、番組内でホメるコーナーをお持ちだっただけのことはありますね。

◆続く第4章では、その「ホメ」がテーマということで、上記ポイントの3番目のTIPSをセレクト。

「何が何でもホメよ」という、ある意味「テクニック不要」の主張ですが、この辺はある種のメンタルブロックが存在しているのが大きいと思います。

外国人相手なら「サンキュー（にっこり）」で済むところが、日本人相手だと「いえいえいえ」の否定しまくり（「謙遜の壁」）ですから、それは素直に「ホメ」ることができませんよね。

それでも今後は、上記引用内にもあるように「ひるむことなく、相手を褒めつづけ」たいと思います。

また、上記ポイントの4番目は、「雑談」がテーマの第6章から抜き出したもの。

こちら、相手がSNSで情報を発信していないと実践できませんが、そういう方ならばぜひお試しください。

……「事前にSNSから相手の情報を仕入れて」というのは、以前モテ本で読んだことがありましたが、仕事でも使えるということで。

◆そして上記ポイントの5番目は、再度飛んだ第8章からのもの。

この章は「断り方」がテーマだけあって、あまりボリュームは無かったのですが、この「誘いに感謝する」というのは、私自身、意識していました。

ただ、代替案が出せるのは、単なる日程的な問題のケースであり、むしろそれ以外の問題が断る理由だと、難しいものがあります。

そこで本書で提案されているのが、「断る理由をストックしておく」こと。

実は私も、少々厄介なお客さんの顧問契約をお断りしたことがあるのですが、「認知症の母の面倒を診るのに忙しくて」というのが、その理由でした。

これも半分本当のことなので、良心の呵責は特にありませんでしたし、各自それぞれ用意しておくと良いかもしれませんね。

活用できるTIPSが満載の1冊です！

世界一わかりやすいコミュニケーションの教科書 (きずな出版)

第1章まだ誰も気がついていないコミュニケーションの大原則
第2章わかりやすい！といわれる「説明」の超基本
第3章説得力が爆上がりする「プレゼン」の奥義
第4章この人と話すと楽しい！と思われる「ホメ」の哲学
第5章どんな人でも絶対ウケる「トーク」の裏ワザ
第6章初対面でも話が弾む「雑談」のルール
第7章アイデアが出る！「ファシリテーション」の成功法則
第8章気まずくならない「断り方」のキーポイント